ありふれた世界で死が見える剣士が世界最強に   作:烙印バンザイ

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 シア「ここはどこですか?」
 ティオ「…ここは、どこじゃ?」
作者「ここは…ただの茶番の場…あ、「カチッ」あ、琥珀さん…あの…本当、やめてくださ…あああ」ドン!!
 琥珀「ここは茶番が起きる場所です、これに関しては気にしないでください」
刀真「おい、作者…あれなんでこの二人がいるんだ?それよりも作者は…またか」


五十話

 清水を引きづり場所を町外れに移した。この場にいるのは、愛子と生徒達の他、護衛隊の騎士達と町の重鎮達が幾人か、それにウィルと俺達だけである。

 未だ白目を向いて倒れている清水に、愛子が歩み寄った。黒いローブを着ている姿が、そして何より戦場から直接連行して来られたという事実が、動かぬ証拠として彼を襲撃の犯人だと示している。信じたくなかった事実に、愛子は悲しそうに表情を歪めつつ、清水の目を覚まそうと揺り動かした。

 

 デビッド達が、危険だと止めようとするが愛子は首を振って拒否する。拘束も同様だ。それでは、きちんと清水と対話できないからと。愛子はあくまで先生と生徒として話をするつもりなのだろう

 

 「清水君、落ち着いて下さい。誰もあなたに危害を加えるつもりはありません……先生は、清水君とお話がしたいのです。どうして、こんなことをしたのか……どんな事でも構いません。先生に、清水君の気持ちを聞かせてくれませんか?」

「なぜ? そんな事もわかんないのかよ。だから、どいつもこいつも無能だっつうんだよ。馬鹿にしやがって……勇者、勇者うるさいんだよ。俺の方がずっと上手く出来るのに……気付きもしないで、モブ扱いしやがって……ホント、馬鹿ばっかりだ……だから俺の価値を示してやろうと思っただけだろうが……」

 「てめぇ……自分の立場わかってんのかよ! 危うく、町がめちゃくちゃになるところだったんだぞ!」

 「そうよ! 馬鹿なのはアンタの方でしょ!」

 「愛ちゃん先生がどんだけ心配してたと思ってるのよ!」

  反省どころか、周囲への罵倒と不満を口にする清水に、玉井や園部など生徒達が憤りをあらわにして次々と反論する。その勢いに押されたのか、ますます顔を俯かせ、だんまりを決め込む清水。

  愛子先生は、そんな清水が気に食わないのか更にヒートアップする生徒達を抑えると、なるべく声に温かみが宿るように意識しながら清水に質問する。

 「……示せるさ……魔人族になら」

 「なっ!?」

 「魔物を捕まえに、一人で北の山脈地帯に行ったんだ。その時、俺は一人の魔人族と出会った。最初は、もちろん警戒したけどな……その魔人族は、俺との話しを望んだ。そして、わかってくれたのさ。俺の本当の価値ってやつを。だから俺は、そいつと……魔人族側と契約したんだよ」

 「契約……ですか? それは、どのような?」

 「どうせ…愛子先生を殺すことだろ?」

「……え?」

 俺は、清水が言おうとしたことを言った。

 「ある意味では、勇者より厄介な相手だからな俺が魔神族側なら真っ先に狙う」

 「そうだ、そうだよ、あんたを町の住人ごと殺せば、俺は、魔人族側の〝勇者〟として招かれる。そういう契約だった。俺の能力は素晴らしいってさ。勇者の下で燻っているのは勿体無いってさ。やっぱり、分かるやつには分かるんだよ。実際、超強い魔物も貸してくれたし、それで、想像以上の軍勢も作れたし……だから、だから絶対、あんたを殺せると思ったのに! 何だよ! 何なんだよっ! 何で、十万の軍勢が負けるんだよ! 何で異世界にあんな兵器があるんだよっ!それに両儀、お前のあの剣はなんだよ!お前らは一体なんなんだよ!」

 俺からしてみれば知らんの一言だが、途中、南雲に向かい厨二キャラの癖にと言って南雲が落ち込んでいたのをみて少し笑ってしまった。

 「清水君……君の気持ちはよく分かりました。〝特別〟でありたい。そう思う君の気持ちは間違ってなどいません。人として自然な望みです。そして、君ならきっと〝特別〟になれます。だって、方法は間違えたけれど、これだけの事が実際にできるのですから……でも、魔人族側には行ってはいけません。君の話してくれたその魔人族の方は、そんな君の思いを利用したのです。そんな人に、先生は、大事な生徒を預けるつもりは一切ありません……清水君。もう一度やり直しましょう? みんなには戦って欲しくはありませんが、清水君が望むなら、先生は応援します。君なら絶対、天之河君達とも肩を並べて戦えます。そして、いつか、みんなで日本に帰る方法を見つけ出して、一緒に帰りましょう?」

 肩を震わせ項垂れる清水の頭を優しい表情で撫でようと身を乗り出した愛子先生に対して、清水は突然、握られていた手を逆に握り返しグッと引き寄せ、愛子先生の首に腕を回してキツく締め上げたのだ。思わず呻き声を上げる愛子先生を後ろから羽交い絞めにし、何処に隠していたのか十センチ程の針を取り出すと、それを愛子先生の首筋に突きつけた。

 「動くなぁ! ぶっ刺すぞぉ!」

 清水の目は狂気に満ちていた。

 「いいかぁ、この針は北の山脈の魔物から採った毒針だっ! 刺せば数分も持たずに苦しんで死ぬぞ! わかったら、全員、武器を捨てて手を上げろ!」

 「・・・・・・・」

 清水の狂気を宿した言葉に、周囲の者達が顔を青ざめさせる。完全に動きを止めた生徒達や護衛隊の騎士達にニヤニヤと笑う清水は、その視線を南雲に向ける。

 「おい、お前、厨二野郎、お前だ! 後ろじゃねぇよ! お前だっつってんだろっ! 馬鹿にしやがって、クソが! これ以上ふざけた態度とる気なら、マジで殺すからなっ! わかったら、銃を寄越せ! それと他の兵器もだ!」

「なあ、お前」

「な、なんだ、お前もあの剣を出せ」

「いや、殺すからなって言うなら殺せばいいだろ、そもそも愛子先生を殺すことが目的なんじゃないのか?」

「うるさい、うるさい、うるさい! いいから黙って全部渡しやがれ! お前らみたいな馬鹿どもは俺の言うこと聞いてればいいんだよぉ!」

「お前は…いや、人間は…確かに特別な存在になりたいと思う、だけどある意味、普通に生活できることが一番、幸せだと俺は思うんだよな」

 「・・・・・・・」

「…刀真君」

「うるさい、俺は勇者なんだ、特別なんだ」

「正直に言うが…お前…勇者じゃなくてただの外道だぞ」

「うるさい、うるさい、うるさい」

「……し、清水君……どうか、話を……大丈夫……ですから……」

 「……うっさいよ。いい人ぶりやがって、この偽善者が。お前は黙って、ここから脱出するための道具になっていればいいんだ」

 その様子を見て南雲は、ホルスターから銃を取り出そうとしていると

「「ッ!!」」

 何かくる?

 「ッ!? ダメです! 避けて!」

 そう叫びながら、シアは、一瞬で完了した全力の身体強化で縮地並みの高速移動をし、愛子先生に飛びかかった。

 突然の事態に、清水が咄嗟に針を愛子に突き刺そうとする。シアが無理やり愛子先生を引き剥がし何かから庇うように身を捻ったのと、蒼色の水流が、清水の胸を貫通して、ついさっきまで愛子先生の頭があった場所をレーザーの如く通過したのはほぼ同時だった。

 愛子先生が倒れる瞬間、毒針が掠っていたようだったが俺は、攻撃してきた方向を遠目で見るとそこには遠くで黒い服を来た耳の尖ったオールバックの男が、大型の鳥のような魔物に乗り込む姿が見えた。

 

 ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ!

 南雲は、一瞬のタメの後、飛び立った魔物と人影にレールガンを連射する。オールバックの男は、攻撃されることを予期していたように、ハジメの方を確認しつつ鳥型の魔物をバレルロールさせながら必死に回避行動を行った。中々の機動力をもってかわしていた魔物だが、全ては回避しきれなかったようで、鳥型の魔物の片足が吹き飛び、オールバックの男の片腕も吹き飛んだようだ。しかし落ちることなく逃げられてしまった。

 アレが清水に契約を持ち掛けた魔人族なんだろう。魔人族に俺たちのことが知られてしまうのは、しんどいと思いながら色々と考えていると

 「…うん?」

 「むぐっ!? ……コクコク……ぷはっ……うぅ~、ハジメさんのいけず……先生さんが羨ましいですぅ……」

 「ハジメ……メッ」

 「ふぇ!? シ、シアさん、私は、違いますよ! あれは救命活動です! シアさんが求めるものとは意味が違いますからね! 私、先生ですからっ!」

 「何してんの」

どうやら口移しで愛子先生に神水を飲ませてシアが羨ましがっているところを容器で無理矢理、口に入れられたらしい。

 「そういえば清水は生きてるか?」

 俺は近くにいった騎士に聞いた。

 「清水君! ああ、こんな……ひどい」

 清水の胸にはシアと同じサイズの穴がポッカリと空いていた。出血が激しく、大きな血溜まりが出来ている……おそらく、もって数分だろう。

 「し、死にだくない……だ、だずけ……こんなはずじゃ……ウソだ……ありえない……」

 「・・・・・・・」

 「南雲君! さっきの薬を! 今ならまだ! お願いします!」

 「助けたいのか、先生? 自分を殺そうとした相手だぞ? いくら何でも〝先生〟の域を超えていると思うけどな」

 「確かに、そうかもしれません。いえ、きっとそうなのでしょう。でも、私が・・そういう先生でありたいのです。何があっても生徒の味方、そう誓って先生になったのです。だから、南雲君……両儀君?」

  俺は清水に近づいた。

 「・・・・・・・」

 「両儀、お、俺、どうかしてた……もう、しない……何でもする……助けてくれたら、あ、あんたの為に軍隊だって……作って……女だって洗脳して……ち、誓うよ……お前に忠誠を誓う……何でもするから……助けて……」

 「・・・・・・・」カチッ

 俺は、眼鏡を外しナイフを持った。

 愛子先生は俺が何をするつもりなのか察したようだ。血相を変えて俺を止めようと飛び出した。

 「ダメェ!」

 「・・・・・・・」グシャ!!

 俺はナイフで点を刺した。直死で見た、点を刺したなら結果はもう分かっていた。

 「……どうして?」

 「どうしてと言われても言って意味あるんですか?」

 「そんな! 清水君は……」

 「無理ですよ、あいつは…いろいろ踏み外した…あれはもう無理だな」

「だからって殺す事なんて! 王宮で預かってもらって、一緒に日本に帰れば、もしかしたら……可能性はいくらだって!」

「預かってもらたところで多分、死ぬぞ」

「そんなことは…」

「あのな、元の世界と比べて命が軽いんだよ…それに清水は、人間を裏切ったことで国に殺されるだろ、もしくは逃げたとしても魔人族に殺されるあいつは、今回のことが失敗した時点で詰みなんだよ」

「両儀君!……先生は……先生は……」

「南雲…お前の出番、奪って悪いな」

「あ、ああ」

「それと愛子先生…この世界で愛子先生が掲げているものは幻想だよ。だけど…その考え俺は嫌いじゃないよ…愛子先生…その考えは折れないでくださいよ」

全員が無言になった。町に戻るとと生き残ったことを喜ぶ町の喧騒が聞こえたが俺達の空気は微妙だった。

 




 推しキャラが来てるのに金回転ですまないさんは少し泣きました。(強いから文句はいえないから)
 後、幕間の話ですが少し前の話の設定です。
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