ありふれた世界で死が見える剣士が世界最強に   作:烙印バンザイ

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 作者「ふぅ〜またまた死ぬかと思った」
刀真「作者何回目だよ」
  シア「あの大丈夫ですか」
ティオ「お主、頭を撃ち抜かれていたが」
作者「ああ、大丈夫、これが、書けてる時点で大丈夫だから」
二人「えっ?」
刀真「おい、作者、いくら茶番のこの場所でもメタいぞ」


五十一話

  俺達は、ウィルを連れてフューレンに戻っていた。今回は魔力駆動四輪に俺、琥珀、春奈も乗っていた。

 「あのぉ~、本当にあのままでよかったのですか? 話すべきことがあったのでは……特に愛子殿には……」

 「ん~? 別に、あれでいいんだよ。あれ以上、あそこにいても面倒なことにしかならないだろうし……先生も今は俺がいない方がいい決断が出来るだろうしな」

 「・・・・・・・」

 「……それは、そうかもしれませんが……」

 「お前……ホント人がいいというか何というか……他人の事で心配し過ぎだろ?」

「お前…他人を気にしてたらいつか騙されそうだな」

俺と南雲にウィルは苦笑いだった。

 「……いい人」

 「いい人ですねぇ~」

 「うむ、いい奴じゃな」

 「いい人ですね」

「いい人だね」

  「わ、私の事はいいのです……私は、きちんと理由を説明すべきだったのではと、そう言いたいだけで……」

 「・・・・・・理由ね」

 「ええ。なぜ、愛子殿とわだかまりを残すかもしれないのに、清水という少年を殺したのか……その理由です」

「…話した気がするが?」

「彼を〝助けない〟理由にはなっても〝殺す〟理由にはなりませんよね? だって、彼はあの時、既に致命傷を負っていて、放って置いても数分の命だったのですから……わざわざ殺したのには理由があるのですよね?」

「・・・・・・・刀真も相変わらずですがお人好しですね」

「そうだね」

「「「「・・・・・・・お人好し?」」」」

「・・・・・・・」

「南雲君は察しがつくんじゃない?」

「ああ」

 俺が絶対に話さないと知って琥珀は説明した。

 清水は言っていた。自分が出会った魔人族の目的は、〝豊穣の女神〟である愛子先生の殺害であると。それは取りも直さず、愛子先生を殺すために清水を利用したということだ。最後のあの攻撃も、愛子先生を殺すために体ごと貫いた。愛子先生が、嘆いて立ち止まったり恐怖に震えて蹲ることもなく、自分に出来ることをと頑張れるのは生徒がいるからだ、もし、生徒が自分のせいで死んだとしたらどう思うか、それは、心が折れてしまうかもしれない。俺も恩義を感じていたのと愛子先生が心が折れるのは困るからだ。

 「そういうことだったんでしたか…いや〜刀真さんは普段、人の事をなんとも思っていなさそうな顔していますがやっぱりいい人ですね」

 「そういうことでしたか……」

 「なるほどのぉ~、ご主人様は意外に可愛らしいところがあるのじゃな」

 「・・・・・・・」カチッ

 ズドン!!ズドン!!

 「酷いですぅ〜」

「はぁはぁさすがじゃの」

シアとティオに剣圧を撃ち込んだ。

 「別に愛子先生なら大丈夫だろなんだかんだあの人は人として強いから」

 俺は、そう話したら何人かにやにやしていた。

  「……シア。その、何だ、今回は助かった。遅くなったが……ありがとな」

 「……………………誰?」

 南雲が人に礼を言うのは珍しいと思った。

 「……まぁ、そういう態度を取られても仕方ないかとは思うがな……これでも、今回は割りかしマジで感謝してるんだぞ?」

 南雲を凝視するシアに、今度はしっかりと視線を合わせて「ありがとな」と礼を言う南雲。そんな南雲の言葉に、シアはフルフルと身を震わせると、途端に落ち着きをなくしてそわそわし始めた。視線を激しく彷徨わせ、頬を真っ赤に染めている。ウサミミは、あっちへピコピコ、こっちへピコピコ。

 「え、えっと、いえ、そんな、別に大した事ないと言いますか、そんなお礼を言われる程の事ではないといいますか、も、もう! 何ですか、いきなり。何だか、物凄く照れくさいじゃないですか………………えへへ」

 「シア。少し気になったんだが……どうしてあの時、迷わず飛び込んだんだ? 先生とは、大して話してないだろ? 身を挺するほど仲良くなっていたとは思えないんだが……」

 「それは……だって、ハジメさんが気にかける人ですから」

 「……それだけか」

 「? ……はい、それだけですけど?」

 「……そうか」

 苦笑いをしていた南雲は、シアに話しかけた。

 「シア。何かして欲しい事はあるか?」

 「へ? して欲しい事……ですか?」

 「ああ。礼というか、ご褒美と言うか……まぁ、そんな感じだ。もちろん出来る範囲でな?」

 「では、私の初めてをもらっ『却下だ』……なぜです? どう考えても、遂にデレ期キター!! の瞬間ですよね? そうですよね? 空気読んで下さいよ!」

 「〝出来る範囲で〟と、そう言っただろうが」

 「十分出来る範囲でしょう! さり気なく私を遠ざけてユエさんとはしてるくせに! 知っているのですからね! お二人の情事を知るたびに胸に去来する虚しさときたら! うぅ、フューレンに着いたら、また私だけお使いにでも行かせて、その隙に愛し合うんでしょ? ぐすっ、また、私だけ……一人ぼっちで時間を潰すんですね……ツヤツヤしているユエさんを見て見ぬふりしなきゃなんですね……ちくしょうですぅ……」

 「いや、おまっ、何も泣かなくても……俺が惚れているのはユエなんだから、お前の事は、まぁ、大事な仲間だとは思うが恋情はなぁ……そんな相手を抱くっつうのは……」

 「……ぐすっ……ハジメさんのヘタレ!」

 「……おい」

 「根性なし! 内面乙女のカマ野郎! 甲斐性なし! ムッツリスケベ!」

 「おいおい」

まあ、なんとなくユエとやってるんだろうなとは知っていた。たまに夜に癖でやってしまう気配察知の練習でたまに察知してしまい…ああ、やってるなくらいにしか思っていないがウィルがいる場で話す内容かよと思った。他の人もヘタレという言葉に笑っていた。

 「シア。もうちょいハードルを下げろ。それ以外なら……」

 「……ハジメ、ダメ?」

 ユエは最近、シアに甘くなっていた。

 「……俺が、心から欲しいと思うのは、ユエ、お前だけなんだ。シアの事は嫌いじゃないし、仲間としては大事にしたいとは思うが……ユエと同列に扱うつもりはない。俺はな、ユエに対して独占欲を持ってる。どんな理由があろうと、他の男が傍にいるなんて許容出来そうにない。心が狭いと思うかもしれないし、勝手だとも思うかもしれないが……ユエも同じように思ってくれたらと、そう思う。だから、例え相手がシアでも、他の女との関係を勧めるというのは勘弁してくれないか?」

 「……ハジメ」 

 「あ〜あ二人の空間に入ってんなあれ」

「本当に仲がいいですよね」

 「……完全に忘れてますよね……私のこと……私へのご褒美のお話だったはずなのに……」

 「……なるほど、お三人の関係が何となく分かってきました……シア殿は大変ですね」

 「……ハジメ、ごめんなさい。でも、シアも大切……報いて欲しいと思う。だから、町で一日付き合うくらいは……ダメ?」

 「ユエさぁ~ん」

 「別に、それくらい頼まれなくても構わないさ。というか、ユエに頼まれたからってんじゃシアも微妙だろ? シアが頼むなら、それくらいは付き合うよ」

 「ハジメさん……いえ、なりふり構っていられないので、既成事実が作れれば何だっていいんですけどね!」

 「……ホントお前って奴は……」

 「まぁ、まだそれは無理そうなので、取り敢えず好感度稼ぎにデートで我慢します。フューレンに着いたら、観光区に連れて行って下さいね?」

 「ああ、わかったよ」

 「なんでしょう、このアウェイ感。一家団欒中に紛れ込んだ他人の気分です」

 「う、う~む。これは放置プレイにしては全然ゾクゾクせんのじゃ……寂しいだけなのじゃ……というかそろそろ誰か妾に反応してくれてもいいんじゃよ? 中に入れてくれてもいいんじゃよ?」

 いちゃいちゃほのぼのする前席の後ろで居心地悪そうな表情をするウィル。それと、誰も呼んでいないのに、いつの間にか荷台に乗り込んで、荷台と車内をつなぐ窓から頭だけ車内に入れて、先程からちょくちょく会話に参加してくるティオ。

 ティオは付いて行きたいと頼んだにもかかわらず、結局、放置されたどころか存在そのものを忘れられてしまい、慌てて走り出した魔力駆動四輪の荷台に飛び乗ったのだが、その酷い扱いに興奮してハァハァしながら窓から車内を覗き込んでいた姿に、車内の全員がドン引きし、いないものとして扱うことにしたのである。

 「む? むぅ~、つ、つっかえてしもうた。胸が邪魔して……入れん。すまぬがウィル坊、引っ張ってくれんか?」

 「・・・・・・・」カチッ

 ズドーン!!

 「ぬおっ!?」

 剣圧を撃ち込み直撃させるとティオは荷台に逆戻りしていった。

 「なあ、マジでどうするアレ」

 「な、なにをするんじゃ。いきなりそんな……興奮するじゃろ?」カチッ

 ズドン!!ズドン!!ズドーン!!!

 俺は剣圧を連発した。それをくらいティオは更に興奮していった。

 「ハァハァ、全く……所構わずじゃな。しょうがないご主人様じゃ。じゃが、安心せよ。どのような愛でも妾は受けきってみせる。だから……もっとしてもいいんじゃよ? もっと激しくてもいいんじゃよ?」 

 「黙れ…というかなんでいるの?お前の目的は調査だろ?なら早くハイリヒ王国に行けよ」

 「ッ!? ハァハァ……何処までも弁えたご主人様め……じゃが断る。妾は、ご主人様に付いて行くと決めたからの。竜人族としての役目も果たせそうじゃし、責任もとってもらわねばならんし、別れる理由が皆無じゃ。ご主人様がなんと言おうと、付いて行くぞ。絶対離れんからな」

 「…なにが責任だ…勝手に興奮してるだけだろ」

「逃げても追いかけるからの? あちこちの町で、妾の初めてを奪った挙句、あんな事やこんな事をしてご主人様なしでは生きていけない体にされたと言いふらしながら、ご主人様の人相を伝え歩くからの?」

「はぁ〜南雲、コイツを同行させていいか?」

 「生理的に無理」

 「ッ!!!? ハァハァ……んっ! んっ!」

 「……と言いたいところだが、何を言っても無駄なんだろ? 俺達の邪魔をしないってんならもう好きにしろよ。俺は、もうお前をどうこうする気力自体がわかない……」

 「だそうだ」

「お? おぉ~、そうかそうか! うむ、では、これから宜しく頼むぞ、ご主人様、ハジメ殿、琥珀、春奈、ユエ、シア。妾のことはティオで良いからの! ふふふ、楽しい旅になりそうじゃ……」

「…むぅぅぅ」

「・・・・・・・」

「……むぅ」

「よ、宜しくお願いしますです……」

 新たな仲間、変態の竜人族ティオが加わり、俺達は中立商業都市フューレンへと向かう。

 




 次は幕間です。幕間はフューレンに向かう前…三十九話から四十話の間の話です。
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