ありふれた世界で死が見える剣士が世界最強に   作:烙印バンザイ

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作者「どうもまた新しい小説を書くのにはまっていてしばらくは防振りを書くのに集中している作者…ぐはぁ」
琥珀「……」
刀真「なんか久しぶりだな」


八十九話

「……」

「あれが次期皇帝。お前の後釜か……見るに堪えん、聞くに堪えん、全く酷いものだ」

「……言ったはずだ。皆殺しにされても、誓約などしねぇ。怒り狂った帝国に押し潰されろ」

「息子が死んでもその態度か。まぁ、元より、貴様に子への愛情などないのだろうな。何せ、皇帝の座すら実力で決め、その為なら身内同士の殺し合いを推奨するくらいだ」

 どうやらどこまでも実力主義の国らしいかった。ガハルドは息子娘に対して人並みの愛情は持っていないという噂があるらしいがどうやらあくまで実力主義らしい。王太子が殺された時より側近が殺された時の方が騒いでいた。

「わかってんなら無駄なことは止めるんだな」

「そう焦るな。どうしても誓約はしないか? これからも亜人を苦しめ続けるか? 我等ハウリア族を追い続けるか?」

「くどい」

「そうか……“デルタワン、こちらアルファワン、やれ”」

 

――アルファワン、こちらデルタワン。了解

 カムが指示を出し次の瞬間、爆発音が鳴り響いた。

「っ。なんだ、今のは!」

「なに、大したことではない。奴隷の監視用兵舎を爆破しただけだ」

「爆破だと? まさか……」

「ふむ、中には何人いたか……取り敢えず数百単位の兵士が死んだ。ガハルド、お前のせいでな」

「貴様のやったことだろうが!」

「いいや、お前が殺ったのだ、ガハルド。お前の決断が兵士の命を奪った。そして……“デルタワン、こちらアルファワン、やれ”」

「おい! ハウリアっ」

 カムは更に指示を出した。ガハルドの言葉も虚しく轟音が鳴り響いた。

「……どこを爆破した?」

「治療院だ」

「なっ、てめぇ!」

「安心しろ。爆破したのは軍の治療院だ。死んだのは兵士と軍医達だけ……もっとも、一般の治療院、宿、娼館、住宅街、先の魔人族襲撃で住宅を失った者達の仮設住宅区にも仕掛けはしてあるが、リクエストはあるか?」

「一般人に手を出してんじゃねぇぞ! 堕ちるところまで堕ちたかハウリア!」

「……貴様等は、亜人というだけで迫害してきただろうに。立場が変わればその言い様か……“デルタ、やれ”」

「まてっ!」

 三度起きた爆音に、ガハルドは今度こそ、帝国の民が建物ごと爆破されたと思い込んで歯ぎしりをした。もっとも実際には、爆破されたのは帝城に続く跳ね橋だったりする。帝都で爆破事件が起きれば帝城に報告が来るのは必定なので、唯一の入城ルートを破壊しておいたのらしい。

 ちなみにカムの言葉はハッタリで、軍と関係のない場所に爆弾を仕掛けたりはしていない。

「貴様が誓約しないというのなら、仕方あるまい。帝都に仕掛けた全ての爆弾を発動させ、貴様等帝室とこの場の重鎮達への手向けとしてやろう。数千人規模の民が死出の旅に付き合うのだ。悪くない最後だろう?」

 言っていることはテロリストだった。

「一体誰のせいでこうなったのか。」

「不思議ですね。」

「刀真君、琥珀…二人も影響を与えた原因の一部だからね」

「そもそも爆弾を民家に本当に仕掛けていても仕掛けてなくてももうガハルドは詰んでるんだ…まだハウリアの時間だ。」

「貴様が誓約しないというのなら、仕方あるまい。帝都に仕掛けた全ての爆弾を発動させ、貴様等帝室とこの場の重鎮達への手向けとしてやろう。数千人規模の民が死出の旅に付き合うのだ。悪くない最後だろう?」

 ガハルドは沈黙していた。おそらく妙案を探しているのだろう。だがここまでされたら妙案など思いつかないだろう。

「“デルタへ、こちらアルファワン……や”」

「まてっ!」

 ガハルドは苛立ちと悔しさを発散するように頭を数度地面に打ち付けると、吹っ切ったように顔を上げた。

「かぁーー、ちくしょうが! わーたよっ! 俺の負けだ! 要求を呑む! だから、これ以上、無差別に爆破すんのは止めろ!」

「それは重畳。では誓約の言葉を」

「はぁ、くそ、お前等、すまんな。今回ばかりはしてやられた。……帝国は強さこそが至上。こいつら兎人族ハウリアは、それを“帝城を落とす”ことで示した。民の命も握られている。故に、“ヘルシャーを代表してここに誓う! 全ての亜人奴隷を解放する! ハルツィナ樹海には一切干渉しない! 今、この時より亜人に対する奴隷化と迫害を禁止する! これを破った者には帝国が厳罰に処す! その旨を帝国の新たな法として制定する!”文句がある奴は、俺の所に来い! 俺に勝てば、あとは好きにしろ!」

 亜人族と関わりがなくなるだけでそれ以外は害はあまりないから反対は出なかったが直接負けたことも大きいようだ。

「ふむ、正しく発動したようだ」

「ヘルシャーの血を絶やしたくなければ、誓約は違えないことだ」

 皇帝の一族達にスポットライトが降り注いだ。本来なら会場にいないはずのまだ幼い皇太孫もいたが全員首から紅い石のついた首飾りをさげていた。

「わかっている」

「明日には誓約の内容を公表し、少なくとも帝都にいる奴隷は明日中に全て解放しろ」

「明日中だと? 一体、帝都にどれだけの奴隷がいると思って……」

「やれ」

「くそったれ! やりゃあいいんだろう、やりゃあ!」

「解放した奴隷は樹海へ向かわせる。ガハルド。貴様はフェアベルゲンまで同行しろ。そして、長老衆の眼前にて誓約を復唱しろ」

「一人でか? 普通に殺されるんじゃねぇのか?」

「我等が無事に送り返す。貴様が死んでは色々と面倒だろう?」

「はぁ~、わかったよ。お前等が脱獄したときから何となく嫌な予感はしてたんだ。それが、ここまでいいようにやられるとはな。…………なぁ、俺に、あるいは帝国に、何か恨みでもあったのかよ、南雲ハジメ」

 ガハルドは南雲の方を向いたが南雲は何も話さないつもりだった。

「ガハルド、警告しておこう。確かに我等は、我等を変えてくれた恩人達から助力を得た。しかし、その力は既に我等専用として掌握している。やろうと思えば、いつでも帝城内の情報を探れるし侵入もできる。寝首を掻くことなど容易い。法の網を掻い潜ろうものなら、御仁の力なくとも我等の刃が貴様等の首を刈ると思え」

「専用かよ。羨ましいこって。魔力のない亜人にどうやって大層なアーティファクトを使わせてんだか……」

「案ずるな、ガハルド。ハウリア族以外の亜人族にアーティファクトが渡ることはない。お前が誓約を宣誓したところで、調子に乗って帝国を攻めることなど有り得んよ。もしそうなったら、我等ハウリア族の刃はフェアベルゲンの愚か者に振るわれるだろう」

 ガハルドはハウリア族はフェアベルゲンとも独立して亜人族(兎人族)の不遇改善と戦争の回避を望んでいると察した。

「そうかい。よーくわかったよ。だから、いい加減解放しやがれ。明日中なんて無茶な要求してくれたんだ。直ぐにでも動かなきゃ間に合わねぇだろうが」

「……いいだろう。我等ハウリア族はいつでも貴様等を見ている。そのことをゆめゆめ忘れるな」

――ボス。こちらアルファワン。全隊撤退します。数々のご助力、感謝のしようもありません

――シアのためだ。気にするな。それに、まだ全て終わったわけじゃない。気を抜くなよ。むしろ、これから先こそが本当の戦いだ。“皇帝一族を排しても”そんな阿呆がいないとも限らないからな

――心得てますよ、ボス。元より、戦い続ける覚悟は出来ています。この道が、新生ハウリア族が歩むと決めた道ですから

――そうか。覚悟があるなら是非もない。全ハウリア族へ。見事だったぞ!

――私からもハウリア族へ今回の計画の完遂お疲れ様でした。

――まあ、お疲れ様、次から自分達でこれ以上の事を出来るようになれ…まあ、お疲れ。

――オォオオオオオオオオオオオ!!!!

 通信からは歓喜の雄叫びが上がった。

「くそっ、アイツ等、放置して行きやがったな。……誰か、光を……あぁ、そうだ誰もいねぇ……って、ゴラァ! 南雲ハジメ! てめぇ、いつまで知らんふりしてやがる! どうせ、無傷なんだろうが! この状況、何とかしやがれ!」

 ガハルドは怒声が聞こえ始めた。ちなみに南雲はシアを抱き締めてモフモフしていた。リリアーナ王女は脇に捨てられていた。

「へいへいっと……」

南雲は“宝物庫”から発光する鉱石を取り出し天井に飛ばした。光石は、天井付近で浮遊すると一気に夜闇を払い、昼間と変わらない明るさをパーティー会場にもたらした。

「おい、こら、南雲ハジメ。いい加減、いちゃついてないで手を貸せよ。この状況で女、しかも兎人族の女を愛でるって、どんだけ図太い神経してんだよ」

「いや、ほら、シアはか弱いウサギだから、さっきの襲撃で怯えちまってんだよ。可哀想になぁ。ほんと恐ろしい奴等だった。俺も、身を守るので精一杯だったよ」

「いけしゃあしゃあと……とにかく、無傷であることに変わりねぇだろ。お前等に帝国に対する害意がないってんなら、治療するなり、人を呼ぶなりしてくれてもいいんじゃねぇか?」

「だがなぁ、あんたの部下達が、治療した瞬間に襲いかかってきそうな殺気を放っているんだが……その場合、そのまま殺っちゃっていいのか?」

「いいわけ無いだろ! おい、お前ら! そこの化け物には絶対手を出すなよ! たとえ、クソ生意気で、確実にハウリア族とグルで、いい女ばっか侍らしてるいけすかねぇクソガキでも無駄死には許さねぇぞ!」

「ほれ、お前のことを殺したくても、実際に化け物の顎門に飛び込むような馬鹿は、ここにはいねぇ。俺がさせねぇ。そろそろ出血がヤバイ奴もいるんだ。頼むぜ、南雲ハジメ」

「まぁ、向かってこないなら別にいいけどな。……香織、頼む」

「うんっ、任せて……“聖典”!」

「回復まで化け物クラスかよ。……やってられねぇな」

 戦闘可能な者は即時にガハルドの周囲に固まり、俺達に向けて警戒心丸出しの険しい表情を向けた。

「だから、よせっての。殺気なんか叩きつけて反撃くらったらマジで全滅すんぞ」

「しかし、陛下! アイツ等は明らかに手引きを!」

「そうです! 皇太子殿下まで……放ってはおけません!」

「このままでは帝国の威信は地に落ちますぞ!」

 ガハルドが嘆息しつつ覇気を叩きつける。

「ガタガタ騒ぐな! 言ったはずだぞ、お前等を無駄死にさせるつもりはないと。いいか、あの白髪眼帯の野郎は正真正銘の化け物だ。ただ一人で万軍を歯牙にもかけず滅ぼせる、そういう手合いだ。……強ぇんだよ、その影すら踏めない程な。奴に従えとは言わねぇが、力こそ至上と掲げる帝国人なら実力差に駄々を捏ねるような無様は晒すな!…て、お前は何してるんだ!!」

 ガハルドの視線には俺が剣に魔力を纏わせて振り上げていたところだった。

「え?やる気があったら振るつもりだっただけだけど?」

 ちなみに殺気をこちらに向けてきたので琥珀も臨戦体制をとっていた。まあガハルドの怒声でその行動は無駄だったが

「うん、これにて一件落着だな」

 南雲の一言で帝国貴族は南雲を睨んでいた。帝国にとって南雲は疫病神に見えるようだ。

———

 約束の一日が過ぎた翌昼過ぎ、帝都中の亜人奴隷が一箇所に集まるという異常事態に何事かと集まる帝都民を前にして、帝国側からの発表がなされた。

「亜人に対する全ての対応は、“エヒト様”からの“神託”である!」

 光り輝く翼をはためかせて銀の羽を天より降り注がせる香織と、聖剣を掲げる勇者光輝が姿を見せていた。

「白崎、すげぇなすぐにでも逃げ出したいのに」

「そうですね」

 現在、エヒトを利用して奴隷を解放していた。これは奴隷解放と法定化について国民にどう説明すべきかと頭を抱えるガハルド南雲の提案でこうなった。

 新しい法は反発もあったが国からの命令でもあるので最終的にはほとんどが折れた。ちなみに反対していたやつらは生首として発見されていた。

「まあ、これで帝国の亜人族の奴隷は自由になりますが……」

琥珀は黙ったが俺は琥珀が言いたいことを理解した、

「ああ……」

亜人族の奴隷の中には心身共に酷い傷を負っている。それは再生魔法と魂魄魔法で大抵は治っていても、記憶は完全には消しきれないそれは完全に癒えることはないが時間とケアが必要だ。それに帝国の亜人族は解放されても亜人族の奴隷は他にもたくさんいる…そこまでは俺達にも対応する事は出来ない。

「それでも、今回のことは帝国の亜人族にとっては奇跡なんだろうな。」

「…そうですね。」

 

 




本当に防振りの方の話のほうが思いつきやすくいまは防振りの方に集中していますがしばらくしたらブルアカのほうもてをつけようと思っています。
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