キヴォトスに迷い込んだので、全力で楽しんでみる   作:おすとろもふ

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キヴォトスは今日も平和です!

 

もしかしたら、俺はキヴォトスを舐めていたかもしれない。

 

「な、なにあれ……。飛行船にヘイローついてんだけど!?」

 

「あ〜、あれはそういうものだから気にしないのが吉かなぁ〜」

 

説明不可なんすね……。

 

俺達は今、キヴォトスの首都『D.U』に来ている。

 

周りを見渡せば、太陽の光でキラキラと光る高層ビルの数々に、空を飛ぶ巨大ヘイローの付いた飛行船などなど……。

 

目に映るもの全てが新鮮で面白い。

 

「……すっご」

 

今の俺は間違いなく、初めて田舎から上京してきた時と同じだ。

 

「それじゃー行こっか〜。最初はどこから行くー?」

 

周囲の景色と人に圧倒されている俺を見兼ねて、ホシノ先輩が先導してくれる。

 

「それじゃまずは、最優先で銃でしょ!」

 

「よ〜し!目指すはコーギータウンだね〜」

 

俺とホシノ先輩は、二人並んでコーギータウンを目指して歩き始めた。

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

「えぇ……色んなものがありすぎて目が回るんすけど」

 

「いやー……正直、おじさんも圧倒されてるんだよね〜」

 

俺とホシノ先輩は、コーギータウンに入った瞬間に立ち止まった。

 

あまりの情報量と人の多さに、空いた口が塞がらなくなっているのだ。

 

服や雑貨から、銃などの武器まで実に様々な物が売られている。

 

パッと見ただけでも、これだけの物が売っているのだ。中に入れば更に色々な物が売っているのだろう。

 

事前情報だと、コーギータウンに売られていない物はないらしい。

 

……キヴォトスやっば。

 

「ホシノ先輩そろそろ行くっすよー」

 

「そうだね〜。それじゃまずは、あそこに見えるガンショップから拝見していこー!」

 

「おー!」

 

 

 

ガンショップに入ると、早々に見えたのはズラッと並べられた各種様々な銃に、手榴弾や閃光弾といった投げ物など、物騒な物が沢山売られていた。

 

「うへぇ……いっぱいあるね〜。こんなに多かったら迷っちゃうよー」

 

「そっすね〜。ある程度候補は考えてみたんすけど、実際見るとどれも使いたくなるっすね」

 

「うんうん!わかるなぁ〜」

 

ホシノ先輩は、隣に来て一緒に銃を見ながら考えてくれる。

 

……やっぱりこの先輩凄い優しいな。面倒見がいいというか、何というか。

 

 

 

二人で色々見ながら迷っていると、近くで商品整理をしていたロボット店員さんが近づいてきた。

 

「どれを買うかお悩みですか?」

 

「はい。一応候補はあったんですけど、これだけ多いと迷ってて……。初めての銃なので、どれが自分に合うのかも分からないんですよね」

 

「……ふむふむ。そういうことなら私にお任せ下さい!」

 

現在の悩みを相談すると、胸を張って鼻をフンスと鳴らすロボット店員さん。

 

……いや比喩表現とかじゃなくて、本当にフンスって効果音が鳴ってんだよ。

 

「それではお客様は、銃は大雑把に分けて5種類に分類されているのをご存知ですか?」

 

「えーと、ショットガンとアサルトライフルと狙撃銃……とか?」

 

いやでも、これだと2つ足りない。他になんかあったか……?

 

「……あと2つは、ハンドガンとマシンガンだねー」

 

「はい!仰る通りです!各種、HG(ハンドガン)AR(アサルトライフル)MG(マシンガン)SR(スナイパーライフル)SG(ショットガン)となります!そして、この中から自分の戦闘スタイルなどに合わせて、自分に合った銃を選ぶ形になります!」

 

……なるほど。

 

自分の戦闘スタイルか……。

 

俺は、今現在水を操る力がある。

 

どこまで出来るかは未知数だが、何の形にも変化するという可能性の塊のような力なので、戦闘面でも多用するだろう。

 

そう考えると、こんな便利な力があって近距離に近づく戦闘をするのは、デメリットが大きい。

 

……何より、俺にそんな身体能力は存在しない。

 

そう考えると、射程距離の長いMGかSR、ARのどれかになる。

 

「ちなみに、MGにも沢山の種類がありまして、重機関銃、軽機関銃、短機関銃などなど、それぞれ射程距離や威力がまるで違うので、ここも悩みどころですね!」

 

「うへ〜、機関銃って凄いね〜。おじさん、ショットガンじゃなかったら、短機関銃使ってたかも〜」

 

「……ホシノ先輩ってガチガチの近距離ファイターなんすね」

 

……人は見かけによらないんだな。

 

その後も、店員さんの説明を聞きながら思案していく。

 

機関銃の中でも、短機関銃は取り回しがいいらしい。それに、「何と言っても機関銃は、連射力が他の銃とは比較にならない程凄いんです!」とロボット店員さんが、目の前で熱弁している。

 

ただ、短機関銃は結局近距離武器なので、敵に近づくのが最低条件となる。

 

それならば、敵に一切近づく必要のない狙撃銃の方が良さそうだ。

 

しかし、そんな精密な射撃力は生憎持ち合わせていない。

 

……となると、AR一択になるだろう。

 

「店員さん、決めました。俺、アサルトライフル使います!」

 

「いいですねー!!アサルトライフルはバランスが良く、中距離での戦闘に優れているんです!」

 

……ふむふむ。やはり、俺にピッタリなのはARだな。

 

「それでは、こちらにアサルトライフルのコーナーがありますので、ご自由にお選びください!」

 

「おー!ミツハくんはアサルトライフルにするんだね〜!おじさんが、前衛で引き寄せてミツハくんが援護射撃……うん!いいコンビネーションになりそうだね〜」

 

……ノノミとシロコはどこに行ったんだ?

 

今の戦闘シミュレーションに、二人が入れられてないのは何故だろう。

 

多分、そこに突っ込むのはだいぶ野暮だろうな。

 

忘れよう。

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

俺とホシノ先輩はガンショップを出た後、近場の服屋を回っていた。

 

「いや〜……ミツハくんの買った銃かっこいいねぇ〜」

 

ホシノ先輩の見つめる先は、俺の肩に掛けてあるアサルトライフル『M4-A1』改め、『青龍』だ。

 

塗装もされてあり、黒い銃身に水を纏った青い龍が描かれている。

 

……なんで名前を青龍にしたかって?カッコいいじゃん、龍。

 

「そういえば、ホシノ先輩はさっき何買ったんすか?」

 

「あー……最近ヘルメット団の襲撃が多くてね〜。面白そうな効果のある投げ物を買ってみたんだよ〜!」

 

お、面白そうな効果……?

 

さっきのガンショップに売られていた投げ物をチラッと見たが、売られていたのは爆発と共に唐辛子の粉を撒き散らす手榴弾や、投げたらそこがまるでパーティー会場のようになるミラーボール型閃光弾……。

 

……ろくな物がないんだけど。

 

「へ、へぇ。こ、今度見せて欲しいっすね」

 

「いいよ〜?絶対びっくりするから〜」

 

その後は二人で服屋に入り、俺のキヴォトスで着るための服を買ったり、ホシノ先輩に似合いそうな服を選んで着せてみたりと、午前中はコーギータウンを中心に遊び回った。

 

「おー!あそこに大きいカニさんがいるね〜!」

 

「マジっすね……。なんか、ビルにでかい魚がくっ付いてるんすけど」

 

「美味しそうだね〜!」

 

……ホシノ先輩の中では、魚=食べる物という方程式が出来上がっていそうだ。

 

俺達が現在向かっているのは、ラミニタウンと呼ばれる場所だ。

 

ラミニタウンは、コーギータウンを出てすぐの場所にある食堂街らしい。

 

その証拠に、ビルの上に巨大なハンバーガーが鎮座してたり、巨大なカニがビルに張り付いていたりと、これでもかというほど食材をアピールしてきている。

 

「どこで食べるー?」

 

「……せっかくなら海鮮食べてみたいっすね」

 

「よーしそれじゃー巨大なカニを目指そっか〜!」

 

 

 

 

 

・・・・・・꒰ঌ(⸝⸝ↀᯅↀ⸝⸝)໒꒱

 

 

 

 

 

俺は、目の前で起きていることに唖然としていた。

 

沢山の人が集まっているせいで、道が通行止めになっていた。

 

「……デモかなー?何にしても邪魔だね」

 

「なんでこんなところでデモ活動してんの……?」

 

ラミニタウンに入ってすぐにあるハンバーガーショップの前で、大規模なデモが起きていた。

 

これでは、目当ての巨大カニまで行けない。

 

俺は、周囲を見ながら道を探していると、デモの隅っこの方で全く違う看板を挙げて抗議している女子生徒がいた。

 

ホシノ先輩のよりも、薄いピンク色の髪の少女は他の人達よりも数倍目立つ。

 

『スイーツのロマンを否定するなー!スイーツはロマンだー!青春はスイーツだー!』

 

俺は目を逸らした。

 

まだ目の前で、【ハンバーガーを食べたらお腹を壊した!慰謝料を請求する!】のデモの方がマシだと思う。

 

あの少女はよく分からない。

 

俺は目を逸らしたまま、ホシノ先輩と別なお店に行こうとする。

 

……しかし、そこで俺達を遮る小さい少女が目の前に現れた。

 

そして、少女は神妙な顔をしながら口を開く。

 

「……時に、君達はロマンを感じたことはあるかい?」

 

……やばい、なんか始まった。

 

「お、おじさんそういうのはよく分からないかな〜?」

 

流石のホシノ先輩も戸惑っている。

 

目の前の少女は、表情が真顔で一貫しているが、声のトーンでなんとなく感情の機微が分からないこともない。

 

この子、不思議系だ。

 

「ロマンというのは、つまり夢なんだよ。私達は総じて夢を追いかける生き物だ。そして、私にとってのロマンはスイーツだよ。例えば、ロールケーキにもロマンは……」

 

……そして長い。

 

よく分からない議題を、よく分からない例えで補完している。

 

「ロマンか……ふむ。興味深いな」

 

俺は、適当にその場のノリに合わせる。

 

「……!!同士!」

 

「ちょ、ちょっと……?ご、こめんね〜おじさん達は今から昼食だから失礼させて貰おうかなー?」

 

「……ッ!?それは勿体無い!昼食を適当な場所で済ませるのは実にナンセンス。是非、私のおすすめのお店に……」

 

 

ドカアァァァァァンッ!!!!

 

 

「うわぁーー!!逃げろーー!!」

 

「やばいぞ!!ビルがぁぁッ!」

 

目の前の少女が熱弁している最中に、目の前のビルが轟音を立てて爆発した。

 

……え?やばくね?

 

「うっそだろ!?ビル爆発したんだけどぉ!?」

 

「むー……ここは撤退すべきだね。さぁ二人共、早くこっちに逃げるんだ」

 

「……うへー、まあよくあることだけど、こうなったら昼食探しは中断して逃げるのが吉だね〜」

 

え?よくあること……?

 

俺とホシノ先輩は、ロマンチスト少女の先導でその場から逃げようとする。

 

「ちょッ!!ちょっとまッ!?いったぁッ!?」

 

しかし、俺は誰かが捨てた空き缶で滑って転んだ。

 

俺が着いていってると思い、遠ざかっていく二人。

 

「……スゥー。まじ?」

 

俺は立ち上がるのと同時に人並みに流され、路地裏に放り出された。

 

 

 

「……ん?何だコイツ。一般人か?……まあいい、コイツを人質にするか」

 

……大ピンチじゃねー?

 

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