キヴォトスに迷い込んだので、全力で楽しんでみる   作:おすとろもふ

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激おこホシノ先輩 #たすけてぇ #まじやばい #超帰りたい

 

ホシノside

 

 

 

「ハァ……ハァ……ッ!!ここにもいないッ!!」

 

私は、久しぶりとも思えない焦燥感に駆られていた。

 

数日前に、アビドス高校に尋ねて来た後輩のミツハくん。

 

最初は、疑っていた。また、私達を裏切る存在が増えた……って。

 

……でも、違った。

 

ミツハくんは優しくて、私の後輩のシロコちゃんとノノミちゃんからもいい奴とお墨付きを貰っている。そしてなによりも、ユメ先輩が天国へ行く前に私に託した存在。

 

……そんな大切な後輩が、大切な存在が私の前から"また"いなくなる。

 

「な、なんでッ!!なんでいなくなるのッ!?また……またぁッ!!」

 

「……一回落ち着くんだ。焦っても視野が狭くなるだけだよ」

 

錯乱した私の様子を見兼ねて、隣で同じくミツハくんを探している少女に諭される。

 

……そうだ。

 

彼はヘイローを持っている。

 

この程度で死ぬはずが……。

 

 

 

……いや、違う。それで失ったんじゃないのか?

 

その慢心と虚勢で、私は過去に大切な人を失ったんだ。

 

「……駄目だよ。早く、早く見つけないと……!また、いなくなるッ!!」

 

「……まぁ、そうだね。早く見つけるに越したことはないか。……目の前にテロリストらしき人達が出てきたし」

 

私達の目の前には、爆破したビルの中から降りて来たテロリスト達が続々と現れ始めた。

 

「なんだこいつらは。一般人は、あらかた逃げたはずだけどな?」

 

「まあ逃げ遅れではないな?銃構えちゃってるしな?」

 

目の前のテロリストは、私達など眼中に無いように会話を続ける。しかし、隙などない辺り、流石に場数を踏んでいるようだ。

 

……相手が私じゃなければ、だけど。

 

「……ねぇ、君達さぁ……」

 

 

 

邪魔なんだけど

 

 

 

 

私は片手で持っていたショットガンを逆手に持ち、相手の死角を縫って回り込む。

 

そしてそのまま相手の頸を、ショットガンのストックで殴る。

 

「ガッ!?」

 

「ッ!?!?いつの間にッ!?」

 

気付くのが遅すぎる。

 

……こいつらを片付けるのに、あと3秒も要らない。

 

私は、ストックで殴った後に流れるようにしゃがみ、もう片方のテロリストの射線から外れる。

 

そして、しゃがんだ反動を使って、バネのように相手に突っ込み、両手で構え直したショットガンの銃口を腹に突きつける。

 

「ッ!!なんだと!?」

 

「何もかもが遅いよ。……とりあえず、邪魔だから退いてね」

 

そのまま、ショットガンを2発お腹に打ち込み背面キックで飛ばした。

 

「にひひ……流れるような制圧。まるで、滑らかで口当たりの良いチーズケーキみたいだね……」

 

「……それ、褒めてるー?」

 

私を褒めているのか、褒めていないのかの境界線が難しい賞賛を受けとりながら周囲を見渡す。

 

すると、建物の影から次々とテロリストが出て来た。

 

「うへー……どれだけいるのかな〜?おじさん、ミツハくんを早く探さないとなんだけどー?」

 

私の心臓の動悸は、マシになったとはいえ、強いストレスを訴えている。

 

時間が経てば経つだけ、ミツハくんが遠のいて行くような嫌な感覚が背筋を撫でる。

 

さっきから自覚できるほど、視野が狭くなっている気がする。

 

早く……早く見つけ出さないと……。

 

なのに……目の前のこいつらが邪魔だ。

 

「……君、中々凄い顔になってるよ?まぁいいや。私も手伝うから、さっさとテロリスト達を倒そうか」

 

「……こんなの10秒も掛からないよ」

 

「む?10人くらいいるよ?」

 

少女は、その身体に似合わない大きな盾を構えながら、私を見る。

 

中々表情が読みにくい子だけど、目を見開いていることから驚いているのは伝わる。

 

「当然……余裕だからね」

 

私は最後の言葉を吐き終える頃には、地面を蹴り、一瞬で相手の懐へと潜り込む。

 

「なっ!?はやーーー」

 

「君が遅すぎるんじゃないかなー?」

 

相手の鳩尾にショットガンを突きつけて発砲。

 

そのまま気絶したテロリストの身体に、背中を軽く当て背後に回り込んだテロリストの顔面に射撃。

 

 

 

……あと8人。

 

私は焦燥感を抱えながら、戦場を駆け回る。

 

 

 

 

 

バニタスᓀ∧ᓂ・・・・・・ᓀ∧ᓂバニタス

 

 

 

 

 

ミツハside

 

 

 

いやー……周りを見ても瓦礫と倒れているテロリストしか見えないんですけど。

 

崩れた瓦礫のあちこちから火の手が上がり、まさにそこは地獄絵図と化していた。

 

「……日本じゃ、こんな景色見たことなかったからな。これも新鮮……なのか?……いや、んなわけねえわ」

 

俺は、目の前に広がる非日常の景色を見渡しながら周囲を見る。

 

所々に瓦礫が積もった山のようなものが出来ており、これではホシノ先輩を見つけることができない。

 

そう思いながらコーギータウンがあるであろう方向に歩いていると、近くから銃声が響いた。

 

「……ウッソだろ。まだテロリスト達いんのかよ。一応構えてくか……」

 

持っていた愛銃を構えながら、ゆっくりと瓦礫の山に背を預ける。

 

そして、そのまま顔だけ出して様子を見ると、そこには地獄が広がっていた。

 

周囲にはテロリストと思われる人達が無惨に転がされており、気絶しているのだろう。しかし、問題はその数である。

 

パッと見で20人以上は転がっており、まるで怪物が通った後のような光景になっていた。

 

「……え、えぇ。やばくねー……?」

 

俺は唖然としながらも、ここは不味いという直感に従いその場を離れようとする。

 

しかし、直後に聞こえた声に反射的に引っ張られ、テロリスト達が倒れている中にある瓦礫の山の頂上を見た。

 

「……ミツハくん。どこにいるの……?でてきてよ

 

 

ゾワッ

 

 

やばい!まじでやばいッ!!なんか知らんけどホシノ先輩がドス黒いオーラ纏ってる!!

 

そして俺は幻視した。

 

ホシノ先輩の立っている瓦礫が、まるで人の屍が積み重なった山のようになっているのを……。

 

……出ていきたいけど、身体が震えて動けないぃ。

 

「あれ?……こんな所にいたのか!同士!……その怪我どしたの?」

 

俺の身体がビクッと反応する。この声は、デモに参加していた……参加してたか?まあいいや、ロマンチスト少女だ。

 

「……あ、あぁ。さっきぶりだな!」

 

咄嗟のことで声が出なかったが、なんとか言葉を返しつつさっきまでホシノ先輩がいた場所を見る。

 

しかし、そこにはホシノ先輩の姿がなかった。

 

「……あれ?ホシノ先輩どーーー」

 

「いた……」

 

俺の視線の下にいた。

 

……え?死角?ホシノ先輩、今俺の死角を通って来たんすか!?

 

「ほ、ホシノ先輩無事だったんすね。よかった……」

 

俺は安堵しながら息を吐く。

 

それと同時に襲って来た軽い体重で、俺はなんなく床に押し倒された。

 

「……っ!!っ!!心配したんだよッ!?後ろを見たらミツハくんがいなくてッ!!……どうしてッ!どうしていなくなろうとするの!ねぇっ!いなくならないでよぉ……!!」

 

……ホシノ先輩は泣いていた。

 

俺の顔に、沢山の大粒の涙が降ってくる。

 

俺は、俺が思っている以上にホシノ先輩から大切にされていて、沢山の心配を掛けてしまったんだと、今更ながらに罪悪感が押し寄せて来た。

 

「ご、ごめん……」

 

「……許さないっ!!今日はずっと手を繋いでないと許さないから!」

 

「それはちょっと困るんすけど!?」

 

なんという悪魔のような要求をしてくるんだ。今日一日は、ずっと幼児扱いを受けなければならないというのか!?

 

耐えられない……!!

 

「……口答えしないで。大人しく従って」

 

「ひぃん……」

 

何故か、今までで感じたことのない感覚に襲われた。

 

こう……なんというか、首輪を嵌められた感覚みたいな……。

 

俺はホシノ先輩と手を繋ぎながら立ち上がり、傍らで成り行きを見守っていたロマンチスト少女に感謝を伝える。

 

「その、ありがとな。初対面なのに、捜索みたいなことさせちゃって。多分、その服の傷も俺を探してたからだと思うし。ほんとごめん!あと、ありがとう!!」

 

「にひひ……いいよ。せっかく出来た同士を失いたくはなかったからねー。ただ、せっかくなら今度埋め合わせでもしてもらおうかな?」

 

「それなら喜んで」

 

「……」

 

ホシノ先輩がこちらを凝視してくる。

 

無言でひたすらこちらを見つめてくる辺り、何か思うことがあるのだろう。

 

「あぁ……でも、連絡手段がなかったね。モモトークでいい?」

 

「おー!いいぞ!交換しようぜ!……ナツっていうのか」

 

「うん。柚鳥(ゆとり)ナツ。よろしくね?同士」

 

俺は、本日二人目の連絡先に舞い上がっていた。

 

……側でずっと見つめてくるホシノ先輩を感じながら。

 

 

 

 

その後ナツと別れ、ホシノ先輩と手を繋いだままアビドスに帰った。

 

……結局、校舎に帰るまで手を離してはくれなかった。

 

「……えーー!?ほ、ホシノ先輩とミツハさんが手を繋いでる!?」

 

「……な、何があった」

 

ノノミとシロコの顔が驚愕に染まっていた。

 

ホシノ先輩は素知らぬ顔をしながら、二人のリアクションを無視して買ってきたものを抱え、校舎に入っていく。

 

当然、手を握られたままなので俺も一緒にだ。

 

……何故か飼い犬になった気分なんだけど。

 

そして、俺達は買ってきたお菓子類や着衣、武器などを机に広げ、各々がものを手に取る。

 

「わぁー!!可愛い服ですね〜⭐︎ホシノ先輩の可愛さが際立つデザインです!」

 

「……ん?なにこれ。サッカーボール型発煙弾……?なんでサッカーボール?」

 

「おいっ!ノノミ!!流れるように俺のパンツを広げるなッ!!」

 

「うへー……買ってきたクッキーが粉々になってるよお〜……」

 

そんなわちゃわちゃとした空間で、何故か俺は改めてホッとした。

 

「……ははっ。ほんと、生きててよかった……」

 

「……ね」

 

横で、綺麗な夕陽に照らされたホシノ先輩が笑いながら相槌を打った。

 

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