キヴォトスに迷い込んだので、全力で楽しんでみる   作:おすとろもふ

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アビドス4日目のお昼頃〜吹き飛ぶシロコを添えて〜

 

昨日は大変だった。

 

ホシノ先輩と出かけた先で、何があったのかを事細かく聞かれ、しばらくの外出禁止命令を出されそうになった。

 

……ホシノ先輩は過保護すぎると思うんだ。

 

そして現在、俺はシロコと二人でアビドス高校の売店に来ていた。

 

割と定期的に商品が入れ替えされてるのを見るに、連邦生徒会とやらはまだアビドスを見放してはいないようだ。

 

店員はいないが、商品を持って外に出ると自動的にモモペイからお金が引き落とされる仕組みらしい。……便利すぎるだろ。

 

ちなみに、払えなかった場合は借金扱いになるとか……。

 

「……ん!ミツハ!新商品が追加されてる!」

 

「んー?……なんだそりゃ、スパイシーエビキャベツおにぎりて……。いや、美味しそうだな」

 

「ん。今日はこれと、わかめおにぎりとしじみのお味噌汁にする」

 

「見事に海鮮ものが揃ったな」

 

俺とシロコは、のほほんとした会話をしながら今日食べるお昼ご飯を選んでいく。

 

「……ッ!?し、シロコ?あっちの方に探してたカロリーメイトのイチゴ味あったぞ?」

 

「……?わかった。見てくる」

 

……ッスゥー。

 

俺はあまりの緊張に手が震えるのを我慢しながら、目の前にある雑誌を手に取る。

 

 

【キヴォトスグラビア特集!】

 

 

やっば……!なんで学校の売店に売ってんの!?

 

……いや、そんな事はどうでもいい。

 

今は一刻も早く中身を見なければ!!

 

「……すっご」

 

「……ふ〜ん?ミツハくんはそういう子が好みなのかなー?」

 

「ッ!?!?!?」

 

俺が食い入るように雑誌をめくっていると、隣から聞き馴染みのある声が聞こえてきた。

 

し、心臓が飛び出るかと思ったわ!!

 

なんでここにホシノ先輩がいるんだ!さっき屋上で寝てただろ!

 

……そ、そんなことよりも早く誤魔化さなくては。

 

「い、いやー……なんの、ことっすかねぇ?ちょっと俺の預かり知らない感じで……」

 

「へぇ?誤魔化すんだー?ふーん?……やっぱりミツハくんは外出禁止かな?」

 

「それだけはやめてぇ!!」

 

 

 

 

・・・・・・꒰ঌ(៸៸៸`ΦㅁΦ´៸៸៸៸)໒꒱エッチナノハダメ! シケイ!!

 

 

 

 

「さっきは酷い目にあった……」

 

「……自業自得」

 

シロコさん……誰よりも俺が一番わかってるよぉ!!

 

俺とノノミとシロコは、三人で部室に集まり昼食をとっていた。

 

「……ん!?この味は、いける!」

 

……シロコが一人でおにぎりを食べながらキラキラしている。

 

そして項垂れる俺を見て、ノノミが笑顔で励ましてくれた。

 

「まぁ、ミツハさんも年頃ですからね〜⭐︎」

 

「フォローになってないんだわ!」

 

なんでさっきの俺の醜態が瞬く間に広がってんの!?

 

……シロコだな。あの場にいて俺がホシノ先輩に説教されてるのを、横目に見ながら悠々と買い物してやがったからな!!

 

「くそぅ……!」

 

「……ん!ミツハ、どんまい」

 

 

 

 

 

◇・・・・・・◯

 

 

 

 

 

「……うへ〜、なんでシロコちゃんが羽交締めにされてるの〜?」

 

「えーと、まぁ……いつものじゃれあいみたいな感じですかねー」

 

「まだミツハくん来て2日目なんだけど〜?」

 

俺は、先程いい笑顔をしてサムズアップしてきたシロコを羽交締めにしていた。

 

こいつには俺が!天誅を下さなければいけないんだッ!

 

そんなことをして、シロコとジャレているうちに、今日シロコと約束していたアビドスライディングの時間になっていた。

 

「ミツハ!行くよ!」

 

「おーう、ちょいと待ってくれ」

 

俺は片手を前に突き出し、水をイルカの形に変える。

 

そろそろこの工程も慣れてきた気がする。

 

「おー……いつ見ても凄い」

 

純粋な目をキラキラさせながら、イルカ号をペチペチ叩くシロコ。

 

「叩くな叩くな……んじゃ行くぞー」

 

「ん!レッツゴー!」

 

 

 

 

……思った以上にアビドスというのは過酷らしい。

 

ただですら蒸し暑いのに、それに加えて時々遭遇するヘルメット団達。

 

そして、何よりもアビドス自治区が広すぎる!!

 

普通に回ろうとしたら、何日掛かるんだこれ。

 

俺とシロコは現在、周りが砂に埋もれた廃墟だらけの区域を走っている。

 

走っているといっても、俺が乗っているのがイルカ号でシロコがロードバイクだが……。

 

「どうしよう……暑い」

 

「……ん。ミツハ軟弱。そんなだからテロリスト相手に遅れをとる」

 

「普通は遅れをとるんじゃないかな!?」

 

こいつらみたいな戦闘民族と一緒にしないでほしい。こちとら、銃を持ったのだって昨日が初めてなんだぞ……。

 

そういえば、昨日テロリストと戦っている時に咄嗟に出来たが、水で大きな水の手を作りドラム缶を持ち上げたりできた。

 

案外、イメージしたもの全般を作り出せるのかもしれない。

 

そして、想像以上に俺のこの力が便利な能力なのかもしれないな。

 

……ちょっと試してみるか。

 

俺は、イルカ号の尻尾から水をジェットのように噴射して前に進むイメージを作る。

 

すると、思った通りにイルカ号が加速するが、問題はそのスピードである。

 

風が俺の全身を吹き抜けていく。

 

これ……早すぎないか!?

 

「ッ!?ギャァァァァァアアア!?」

 

「……ッ!?な、なにしてるの。あと、早すぎない?」

 

俺は、早々にジェットの噴射を止めスピードが緩やかに下がるのを、必死にイルカ号にしがみつきながら待った。

 

「し、死ぬかと思った……」

 

「……ん。ミツハは馬鹿」

 

俺の横に追いついたシロコが、呆れながらこちらを見ていた。

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

俺とシロコはライディングを終わった後、アビドス高校に戻り、二人で部室に身を投げていた。

 

正直、外が暑すぎて部室にあるクーラーがないと今は倒れそうだ。

 

俺はポケットからスマホを取り出すと、検索サイトで次に行きたいところを調べ始める。

 

シロコは傍で、『変装の達人』という本を熱心に読んでいた。

 

……何をする気だ。

 

その後もキヴォトスの各種観光名所や、他の学校の自治区なども見ていたが、ある一点が目に留まった。

 

ゲヘナは温泉の名所が多い……?

 

調べてみたところ、ゲヘナは治安が終わっているらしく、毎日のように何処かしらで爆発や銃撃戦が起きるらしい。

 

……どうなってんだよここの自治区。

 

その後も、流し見でゲヘナのことを調べていると、俺の視界に影が覆い被さった。

 

「……!ゲヘナ学園に興味があるんですか?」

 

この柔らかいおっとりボイスは、エンジェルノノミだ!

 

「明日行ってみようかなって」

 

「や、やめておいた方がいいと思いますよ?ほらっ!ホシノ先輩が怒っちゃいますよー?」

 

ノノミは若干動揺しながらも、ホシノ先輩をダシにしてやんわりと否定する。

 

……昨日から、俺が危ないことをしようとすると毎回ホシノ先輩が止めに入ったり、静止をするようになった。

 

まるで母親ですね、はい。

 

「……だが俺は、自由な鳥だ!何者にも縛られない大きな鳥になるんだ!」

 

「そうですか〜。……そうですね!確かに、縛り付けるのは良くないですね〜♤可愛い子には旅をさせよとも言いますからね!」

 

「……まぁ、ミツハなら大丈夫じゃない?危ない時はイルカ号で逃げればいいし」

 

俺の自由宣言を聞いたノノミとシロコが、ゴーサインを出してくれる。

 

……二人とも、わりと奔放だからな。

 

そ、それじゃあ、ホシノ先輩に内緒でお願いします。どうか、本当に!

 

ヒソヒソと小声で話しながら、二人にお願いする。

 

「……分かりました〜。ホシノ先輩には悪いことをしますが、ミツハさんが見識を広めるには色々な所に行ってみるのが一番ですからね⭐︎」

 

「ん……。知識を得るのは大事。最近学んだ」

 

本当にありがたい。

 

「ですが、今のままだと流石に危ないのでー、銃のお手入れと護身術くらいは学んでからですね〜!」

 

「……ん!そうと決まれば外に出る!!私がミツハに護身術を教える!」

 

シロコがフンス!と鼻を鳴らしながら校庭に走っていく。

 

ノノミはシロコの後を追うように、その後ろを歩いていく。

 

「行きましょうか〜?ミツハさん!」

 

「お〜う」

 

俺もノノミに緩い返事を返しながら、その後を歩いて行った。

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

俺は現在シロコに何回も技を掛けられ、地面にダウンしていた。

 

「……なぁ、覚えられる気がしないんだけど?」

 

「……感覚で覚えて」

 

できるかぁッ!!

 

「えーと……そうですね。シロコちゃんじゃ無理そうなので、丁度こちらに向かって来ているホシノ先輩に頼みましょうか!」

 

俺は、ノノミの視線の先を辿るように玄関の方を向くと、ショットガンと片手に折りたたみ式の盾を持ったホシノ先輩が歩いて来ていた。

 

「ふわぁ〜……みんなで何してるの〜?」

 

ホシノ先輩が近くまで来ると、あくびをしながら聞いてきた。

 

「ん!ミツハに護身術を教えてる!危ない時用!」

 

「うへ〜、若い子達は元気だね〜。おじさんはそこで見てようかな〜」

 

「……?ホシノ先輩も一緒に教える」

 

ホシノ先輩が、ノノミの隣に座ろうとするのをシロコが止める。

 

そして、シロコの発言を聞いたホシノ先輩は、心底面倒臭そうな顔をしながら答える。

 

「う〜ん……。おじさんは遠慮しておこうかなぁー。ほら〜稽古とかって若い子達が自主的にするものだと思うんだよねぇ〜」

 

「ホシノ先輩も若いですよ?」

 

ホシノ先輩のおじさん発言に、隣にいるノノミが答える。

 

そんな問答をしている間にも、シロコはうずうずしながらこちらににじり寄ってくる。

 

……こいつ!まだ俺を投げる気かッ!?

 

俺は、咄嗟にホシノ先輩に丸投げをしようと決意した。

 

「ほ、ホシノ先輩のかっこいい姿見てみたいなー!絶対かっこいいし、ホシノ先輩がシロコを綺麗に投げる姿を見れば、俺も覚えられるかもー!」

 

所々棒読みだった気もするが、生憎あと1m先まで迫って来ているシロコのヘイトをずらしたい!

 

「う、うへ〜……そ、そこまで言うなら〜やってあげようかなー?可愛い後輩の頼みだしさー!」

 

……チョロいなこの先輩。こんなキャラだっけ……?

 

「……ん!!ホシノ先輩、覚悟ッ!!」

 

ホシノ先輩が立ち上がった瞬間に、シロコがホシノ先輩に向かってダッシュする。

 

そして、猛スピードで迫って来ているシロコを一瞥した後、ホシノ先輩が死角を縫って、近接の間合いに入り込む。

 

そのまま、シロコが驚きで固まっている隙に、重心を崩すように背中で上に軽く押し上げた。

 

当然、猛スピードで突っ込んだシロコはその勢いのまま、上に打ち上げられる。

 

「ッ!?くっ!まずっ……!」

 

「……そうだね。体勢を崩されたまま宙に上げられたら、何もできないよね」

 

ホシノ先輩は、そのまま流すように上半身を下に入れ、宙に浮いたシロコに片足を振り抜いた。

 

「……ま、まじ??」

 

「ホシノ先輩って本当、強いですよね〜♤」

 

俺を先程までボコボコにしていたシロコが、まるで赤子の手を捻るかのように叩きのめされた。

 

「……どうかな?ミツハくん。覚えられそうー?」

 

「無理ですわ」

 

キヴォトスってほんと、魔境だと思った。

 

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