銃とか野蛮ですよね!というわけで銃捨てるね!!   作:ギアっちょ

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不明

「…物足りないと思いませんか?」

「……どしたの急に」

 

 いい息抜きになったと考えようと、全員で寝る支度をしようとしていたところに急にハナコが疑問を呈し始めた。

 

「急なことだったとはいえ、みんなが柔肌を見せ合いながら心を交わし合ったんです」

「言い方……」

「どうせならこの機会に、もっとみんなの親交を深めるべき!そうは思いませんか?」

 

 いや……私もう寝ようとしてたんだけど……アイマスクで顔隠れてるんだけど私……

 

「具体的には、ハナコは何をしたいんだ?」

「フフッ…やはり合宿といえば夜更かし、夜更かしといえば合宿所を抜け出して夜の街を散策……そして夜しかやっていないお店に入り——」

「ストップ、その部分はいらない」

「冗談ですよ、ヒサギさんってば敏感ですね……♡」

 

 くっトラップか、ぬかった……!

 

「トリニティの商店街は夜遅くまでやっていますし、ショッピングとか色々楽しめると思いますよ?」

「そ、そんなの校則違反じゃん!ダメッ」

 

 コハルは真面目だなあ……

 

「意外と皆さんこっそりやっていると思いますよ?私もそういう方を一人知っていますし……ね?」

 

 なんだこっち見てきて。

 夜に全裸で噴水で水浴びするそっちよりはマシだぞ絶対。

 

「皆さんの周りにもそういう方いらっしゃいませんか?」

「………」

 

 ヒフミが何か気まずそうにしている。

 安心して欲しい、そんなこと言ってるけどハナコが一番おかしいから絶対。

 

「で、でも……」

「……まあ、ずっと勉強ばっかりだったし、ここらで一回思いっきり羽を伸ばすのもいいのかも」

「先輩がそう言うなら……」

 

 コハルからの信頼が厚い。

 

「なら私も行くよ。生徒だけを夜に出歩かせるわけにはいかないしね」

「ふふっ、よろしくお願いしますね、先生」

 

 ……商店街かあ。

 普段やることって何か用事ある時以外は自警団としての活動だし、そう言うのに行くことはあっても何かを楽しむってことはなかったなあ……でもレイサとたまに遊びに行くことはあったっけ。

 

「ほらヒサギさんも脱いで、裸で夜の街に駆け出しますよ♡」

「裸になる必要はないでしょ!?ちゃんと服は着て!!」

「……脱ぐかあ」

「せ、先輩……!!?」

 

 ああ、うん。

 ハナコがコハルを気に入ってる理由、ちょっと分かるかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……意外と活気あるんだなあ」

「ですね。向こうにはモモフレンズのグッズショップもあって……また行きましょうね、ヒサギさん!」

「……そうだね!」

 

 期待の眼差しを向けられてしまいそう返すことしかできない。

 

「しかもその向かいには限定グッズを扱う隠れたお店もあって……」

「流石、詳しいんですねヒフミさん」

「……あ、あはは…」

 

 ……ヒフミって真面目そうなイメージがあるけれど好きなもののことになると結構なりふり構わないタイプというか。

 最初に補習授業部に入った理由も聞いたら、モモフレンズのためにテストをすっぽかしたからだと……そのくらい熱中できるものがあるのは少し羨ましいとすら思える。

 

「こ、こんなところハスミ先輩に見られたらどうしよう……」

「……そこの頭ピンクに無理やり連れ出されたって言ったら?」

「な、なるほど……!」

「あらら、売られちゃいます?私」

 

 まあハナコって悪名高いらしいし……意外となんとかなりそうかも。

 

「で、でもハスミ先輩怒ると怖いし、そうなるとハナコを突き出しても怒られちゃうかも……」

「あ、私を犠牲にするのは既定路線なんですね?」

「あはは……」

 

 先生がハスミが以前本気で怒った時のことを気になっているようで、それについてコハルが話し始めた。

 

 私も聞いていると、アズサに肩をトントンと叩かれる。

 

「ん〜?」

「……いいな、ここは。夜でも警戒する必要がなくて、街が明るい」

「………そうだね」

 

 彼女たちにとって夜は視界の悪い闇。索敵をして、先に相手を見つけて先手を打たなければならない状況。

 停電中の話し合いでアズサにちゃんと寝て欲しいという話題もあったばかりではあるけれど……この夜更かしをちゃんと楽しめているみたいだ。

 

「……これが普通なんだよ」

「…そうか」

「こういうのが特別じゃなくて当たり前だって……言いたいよね」

 

 銃声の鳴り止まない闇じゃなくて、銃を下ろして警戒せずに、ただ歩くことができる場所を。

 

「……ヒサギは、あの時私たちに語った理想は変わっていないか?」

「…現実見るようにはなったよ」

 

 この世界には銃が当然のようにあって、まるでこの世界をアピールする要素の一つとして存在する。

 そんなものを全否定するのは、難しい。

 分かってはいるんだけどな。

 

「でもまあ、一回掲げちゃった理想だからね。今更曲げるつもりはないよ」

「……そうか」

 

 私がそう言うと、安堵した表情でアズサがそう言った。

 

「…本当ならみんなこうやって過ごせればって思う」

「……仕方ないよ、それは」

 

 何をするか、どう思うかを選べない人だっている。誰しもに選択肢が平等にあるわけじゃなくて……他の道があるのを知らなくて、選択するのが怖くて、一つの道しか選べないこともある。

 選ぶ自由が、奪われることがある。

 

「………」

 

 あの時、他の道はあっただろうか。

 もっと上手いことやれば、逃げて逃げて……逃げ切ることができていれば、私がここにいることもなかったのかな。

 

 あの人の代わりに私がこの世界にいることも、なかったのかな。

 

「…何したいんだろ、私」

 

 納得と諦観と、頭にこびりつく記憶の間でずっとウロウロしている。

 

「アズサちゃんヒサギさん!ここのパフェ食べましょうよ!」

「パフェ?」

 

 ヒフミがそう呼びかけているのが聞こえて、どうやらいつのまにかこの夜中にパフェを食べるという話になったらしい。

 

「あー……そうだ、私モモフレンズのグッズ見てきていいかな」

 

 店の中に見覚えのあるヘイローがチラッと見えた。背も高いし分かりやすい、あれはハスミさんのだろう。コハルとハスミさんと3人揃うのは絶対気まずいから……

 

「そ、そうなんですか?……分かりました、先生に言っておきますね」

「うん。何かあったら連絡するよ、それじゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……可愛い、かも?」

 

 このスカルマンってのが無難に可愛いデザインだと思う。あとウェーブキャットとか……

 ヒフミの好きなペロロは……やっぱりどこか狂気を感じる表情をしている。ぱっと見はいいんだけど、ずっとその顔を見ているとなんだか不安になってくる。

 

 

 突然先生から通話がかかってきた。

 

「はいもしもし」

『ごめんヒサギ、今から戦闘に出ることになっちゃって』

「なんでぇ?」

 

 えっパフェ食べてるんじゃなかったんですか…?な、なぜ急に……?

 

「えっと…私今銃持ってなくて…」

『分かってる、しばらく待っててもらっていいかな?』

「あっ、ハイ」

『みんなには私から説明しておくから、それじゃ!』

 

 そして通話が切れる。

 

「んぇ〜……」

 

 これは……私役立たずになったな?

 部屋にならあの銃があるんだけど、まあ今ないし……相手がどんなのかもわからないし、他にも味方がいる場面で一人だけ突っ込んで相手の武器バラバラにしに行くのも、まああんまりいい目で見られないだろうし。

 

「……情けないなあ、なんか」

 

 まあそもそも勉強しにきてるのに戦闘を想定してるわけが……いやでもみんな普通は銃持ってていつでも戦えるしな〜!

 私の変な拘りのせいで迷惑かけてるとは……でも結局銃は撃ちたくないし……

 

「この眼で戦況分析とかなら……まあ、今更か」

 

 それに、噂によれば先生の指揮が凄いらしいし、多分私の出る幕はない。

 

 

「…やりづらいなあ」

 

 

 なんでこんなことになったんだっけと、あの頃のことを思い出して。

 あの人のカバンに小さなアクセサリーがついていたのを思い出す。それはちょうどこんな感じで……

 

「……ピンキーパカ」

 

 名前を思い出した。

 これも一応、モモフレンズ。

 

「そっか……好きだったんだ、あの人も」

 

 すっかり忘れていて、思い出すことをやめていて気づかなかった。断片的にしか覚えていないせいでもあるけれど……

 思えばあの人のこと、ちゃんと知れていない。

 

「……これ、丁度いいかな」

 

 小さなピンキーパカのアクセサリーをレジまで持って行って、買う。一緒にいこうと言ってくれたヒフミには申し訳ないけれど……どちらにせよそれはまた今度、ということで。

 

 買ったアクセサリーをカバンにつける。

 

「……おお」

 

 無愛想だったカバンに一気に彩りが増えた。それがなんだか不思議で、鞄を揺らして見たりする。

 

「…みんなが戦闘してる時にな〜に呑気にやってんだろ、私」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あ、そうだ、それともう一つ。」

 

 美食研究会をシャーレとしてゲヘナ……救急医学部に引き渡したあと、ヒナが今の私の状況を聞いてきた。

 風紀委員長である彼女ならと、補修授業部と今私たちの置かれている状況を説明していくつか意見を聞いて……これで話が終わりと思ったところで。

 

「トリニティにいるなら知ってるかと思って」

 

 まだヒナは何か聞きたいことがあるらしい。

 エデン条約に関することだろうかと、ヒナの言葉を聞こうとして。

 

「澪標ヒサギっていう人物に心当たりは?」

「え?」

 

 まさかその名前が出てくるとは思わなくて、変な声が出てしまった。確かに補習授業部については話したけれど、名前とか個人に関することは伏せていたのにも関わらず。

 

「今個人的に探していて……今トリニティにいるかもしれないって言うことまでは突き止めたんだけど」

「………」

 

 何故ヒサギのことを探しているのだろうか。彼女とゲヘナの間に何かあった?けれども彼女はアリウスとのことしか語っていないし……

 トリニティに来る前は、ゲヘナにいた?

 

「……知ってるのね?」

「…うん」

 

 考え事をしているうちに見抜かれてしまった。

 

「補習授業部のメンバーの一人が、ヒサギで……」

「……そうなの。少し…驚いた。一切の痕跡を絶って不思議には思っていたけれど、本当に3年にもなってトリニティに転校しているなんて……その上で補習授業部に……」

「……3年?」

 

 おかしい、確かに彼女は……書類でも何度も確認した。

 

「ごめんヒナ、ヒサギについて教えてもらってもいい?」

「え?構わないけれど……彼女は2年生にしてある学園の生徒会長をしていて……去年のある日失踪、そのまま行方をくらまして……最近トリニティにいるって情報を———」

「私の知っているヒサギは、今2年生なんだけど」

「……そんなはず…」

 

 驚いた表情をするヒナ。

 

「留年になったとするなら……いや、でも…年齢は?」

「確か今、16」

「今17じゃないとおかしい、そこも偽ってる?………澪標ヒサギの髪はえんじ色で、瞳の色は青?」

「……違う、瞳は黄色だった」

「………」

 

 黙って考え込んでしまうヒナ。私もいくつもの可能性を考えた後……先にヒナが口を開いた。

 

 

「先生、貴方の言う澪標ヒサギは………本当に、澪標ヒサギなの?」

 

 

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