銃とか野蛮ですよね!というわけで銃捨てるね!!   作:ギアっちょ

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気遣い

「復帰おめでとーございますっ!!」

「おめでとうございます、ヒサギさん」

「お、おう……どうも」

 

 久々の自警団活動、レイサが一緒に行こうと言い出すので待ち合わせ場所で待っていたら、なぜかスズミまで一緒に来ていた。

 

「なんでスズミが…?」

「私が呼んだんです!」

 

 でしょうね。

 

「どうせならもっと盛大に復帰を祝ってあげたいなと思いまして!」

「……それで、スズミ?」

「………自警団の人の連絡先、お二人のしかなくって…」

 

 なんだその反応、困る。

 同じように困っている様子のスズミと目が合った。

 

「……大丈夫、レイサちゃん」

「ヒサギさん…?」

「私も!二人のしか!連絡先ないよっ!!」

「っ〜!ヒサギさぁん!」

「レイサぁ!」

 

 傷を舐め合うように熱い抱擁を交わす。

 

「……何を見せられているんでしょうか」

「混ざる?」

「遠慮しておきます」

 

 そんな風に言うなよ、恥ずかしくなってくるじゃん。

 

「っと……それはそうとごめんね、こっちの事情でしばらく空けちゃってさ。こっちはこっちで色々ごたついて……」

「大丈夫です!私がヒサギさんのいない間もヒサギさんの分まで平和のために頑張ってたので!!」

「いよっ!自警団のスーパースター!」

「そ、そう言われると照れますね……えへへ」

 

 いっつも自分で声高々に名乗ってるのに……?

 

「……しばらくヒサギさんについて考えていました。あなたのやっていたメチャクチャは……人を、話し合いのテーブルに付かせるためのものだったんだと」

「……急に何?」

 

 確かにそういうつもりでやってはいたけれど……というかメチャクチャって言ったな。

 

「……何度か試してみましたが、難しいものですね」

「…そっか」

 

 別にそうして欲しいって頼んだわけじゃない。私はせめて自分の手の届く範囲だけでも、銃を使わなくてもいいようにしたいって思っているだけだし。

 

「それじゃあさっそくどこかへ行きませんか?パトロールついでですけど、ヒサギさん何かしたいこととかありません?」

「ん……そうだなあ」

 

 気持ちは嬉しいけど、特にない。色々あった後だから、少し落ち着いてゆっくりしたいというか………

 

「エデン条約、近いんだっけ」

「そうですね。色々ごたついたようですがゲヘナとの兼ね合いもありますし……特に延期などもなく、予定通りに行われるそうです」

「………そっか」

 

 どうしても気がそっちに行ってしまう。あれだけガッツリ関わってしまったんだから仕方ないと思うけど………無事に終わればいいんだけど。

 

「……普段二人が息抜きにどんなことしてるのか教えてよ」

「そんなことでいいんですか?」

「私にとっては大事なことだし………特にやりたいことないからさ」

 

 私の提案を二人は快く了承してくれた。

 スタングレネードと猛進により戦闘現場を制圧する二人を眺めながら、スズミの勧める音楽を聴いていたり………おすすめのイヤホンとか機器とか見たりしていた。

 私も武器全部バラそうとしたけど、二人に今日くらいは休んでくれと、ぶっ倒れたことを気にされて強く止められた。

 

 少し自分の中で色んなことが整理できた気がして……今まではまるで生き急いでいたような、そんな感じがして。

 陽が沈む前くらいに解散した。これからもよろしくと、そう伝えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私が澪標ヒサギになって、初めて眼を使った時。その情報量に耐えきれずにパンクして、鼻血を垂れ流しながら吐いて、気絶した。最初にされたのはその眼に慣れるように、何度も何度も、使えるようになるまで繰り返すこと。

 

「………きつぅ」

 

 眼を使い過ぎればもちろん負担がかかるけれど、それとは別に「酔い」のようなものがあって。それは使えば使うほど慣れていった。今でもそれは少し残っているけれど、単に視るだけに使うのなら十分なくらい。

 

「今日はこのくらいにしとくか……」

 

 しばらく、眼を定期的に使って限界値を上げる訓練をすることにした。補習授業部の時の一件で、人に向かって引き金を引けないなら、その分別のことで貢献しないとっていう……そういう焦りが生まれた。

 けどそうやって戦うための訓練をすればするほど、私の本当にやりたいことから遠ざかっていく気がして………いつもこの辺で考えるのをやめる。

 

 狙撃銃の手入れをして、カバンにしまう。一応モデルガンの携帯は続けるけど……これは結局、戦う手段を常に持っているってことだ。

 私がこんな風に悩んでる姿を見て、彼女はどう思うだろうか?

 

「……寝るかあ」

 

 自警団の面々もエデン条約には注目しているらしく、共有される情報にはそれに関連したものが多い。各々それぞれ思うところがあるらしく……ミカほどではないにしろ、ゲヘナを毛嫌いしている生徒もいる。

 

 私にできることは、何かあるだろうか。

 そんなことを考えながら眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よかった、ちゃんと来てくれましたね」

「流石に約束したんだから来ますよ……こんにちは、ハスミさん」

 

 ある日お茶をしようと誘われ……すごく久しぶりに正義実現委員会の部屋に来ることになった。ハスミさんはテーブルを挟んで椅子に座って待っていた。

 

「以前夜の町で補習授業部の方々と出会った時にはあなたはいなかったようでしたので……」

「近くにはいましたけどね、そのあと色々大変だったみたいで」

「補習授業部に手伝っていただいたので、なんとか」

 

 私いなかったけどね!

 

「……にしても、いいんですか?エデン条約も近いんですよね?私なんかに構っちゃって」

「知り合いと話もできないほど激務というわけではありませんから」

「……ツルギさんは?出撃中ですか?」

「あぁ、ツルギは今海に行っていまして……」

「なぜ??」

 

 こ、このタイミングで?

 いや、調印式を前にした今しかタイミングがないということか?それなら……まてまて、なぜバカンスだと勝手に想定しているんだ私は。何かしらの任務かもしれない、いやきっとそうだ、うん。

 

「色々ありまして、夏季休暇ということになっています」

 

 バカンスやないかい。

 

「アズサさんとヒフミさんも一緒に」

「ん〜??」

「この話はまたお二人から聞いてください。その……長くなると思うので」

「あっはい」

 

 なぜ二人が正実の委員長と一緒に海へバカンスへ……?どういう……?

 

「……それで本題なのですが。先日の一件、本当にありがとうございました。補習授業部と先生がいなければ今ごろどうなっていたか……」

「あぁ頭は下げないでくださいってば……」

「しかし救援にも行けず…」

「ハスミさんにそんな風にされてると、その……むず痒くって」

 

 ただでさえ一緒の空間にいるだけで気まずくなるのに、下手に出られたらさらに気まずくなる。

 

「……そうですね、このくらいにしておきましょうか」

「そうしてください」

「自警団の方はどうですか?と言ってもついこの前まで活動はできていなかったでしょうけれど……」

「どうって言われても、やることは変わりませんから……」

 

 相変わらず武器を下ろして対話をできるようにさせるのには苦労する。下ろさせるっていうか、最悪全員の武器をバラバラにして話し合いしかできない状態にするんだけど。

 たまにそこからでも取っ組み合いの喧嘩に発展するので困る。

 

「………初任務の時のこと、覚えていますか?」

「そりゃあまあ、その一回で終わっちゃったんで」

「武器を使わずに単身特攻して、敵を無力化して帰ってきたあなたを……私は立場上厳しく注意することしかできませんでした。あまりにも危険な行為でしたから」

 

 懐かしい、怒られたことの方はもう忘れてた。その後普通に活動する上でもいろいろしがらみがあること知って、辞めちゃったんだっけか。

 

「規則とは、何故あるのでしょうか」

「……それ、ハスミさんが言っていい発言じゃない気が……」

 

 急に何を言い出すのかと焦る。およそ正義を掲げる組織の言っていい言葉では……

 

「正義とは曖昧なものです。それには絶対的な解釈はなく、個人の考え方によって如何様にも変化する。あなたにとっての正義が、武器を使わないことであるように」

「………」

「少なくともここの規則では、あなたの正義は守れなかった。そしてそのしがらみが、先日の一件で私達の正義すら実現できない事態となった」

 

 統率するには確かに規則は必要不可欠、ティーパーティーの役割が3つの席によって担われているのも、正義実現委員会がティーパーティーの直属のような扱いになっているのも……

 それは組織を上手く動かすために、必要なこと。今回はそれが悪く働いてしまったというだけで……

 

「……すみません、変なことを言ってしまって。しかし事実として正義実現委員会は役に立たず、補習授業部とシスターフッドの手によって事態が収束したという結果があります。……どうしても、揺らいでしまって」

「ハスミさん……」

 

 下を向いて、悩んでいる表情が見えた。私がやり方合わないからって勝手に辞めて自警団に行ったことすら気にする人なんだから……優しい人だと感じる。

 

「確かに正義は人それぞれですけど……じゃあもし、全裸で戦闘することが正義と宣う変態がいたとして、そいつの正義を守れないからって規則がダメなんだって言ってたら大変なことになりますよね」

「………まあ、それはそうですけど」

「私もそんな変態と一緒なんですよ、変態だから規則に従えなくて、だから辞めてしまった。……一部の自由すぎるやつにいちいち足並み揃えても仕方ないですから」

 

 ハナコだって自分が他と違う自覚があるから、周囲に全裸になることを求めは……

 いやあいつ一緒に裸になろうって言ってくるな。

 

 変態のことを考えるのはやめよう。

 

「それに自由っていうのも、言葉ほど楽なものでもないですし。規則通りにするっていうのに安心感を感じる人もいると思います」

「……ヒサギさんも、そうなのですか?」

「私そんなに自由人に見えますか?……変なこだわりがあるくらいで、規則に従って生きようとはしてますよ」

 

 平然と掟破りをしてくるハナコが自由すぎる。あれはあれで色々悩んでたらしいけど………

 ダメだ気を抜くとすぐに全裸の変質者のことを考えてしまう、これじゃハナコを喜ばせてしまうじゃないか。

 

「今回みたいなことが起きてもシスターフッドが動ける。……なんやかんやでバランスが取れてると思いますよ、トリニティは。一つの派閥というより、組織全体で見た場合の話ですけど」

「………本当に、それでいいのでしょうか」

 

 どうやらよほど今回の一件でミカにいいようにされてしまったのが堪えているらしい。……まあただの生徒会にすぎないティーパーティーが強い権力を持ちすぎだとは思うけれど。

 それも聖園ミカという人物が暴れに暴れたせいでこうなったわけで…

 

「……どうしてもって時が来たら、その時はハスミさんの正義を貫けばいいと思います。組織の規則じゃなくて」

「………ヒサギさんは強いですね」

 

 フッと笑うハスミさん。

 

「私にはそういう強さがあまりありませんから……」

「まあダイエット中にスイーツ食べちゃうくらいですもんね!」

「ハナコさんですね?」

 

 あら察するのが早い……正解だけど。

 

「やはり、あなたを正義実現委員会に誘ったあの時の自分の勘は正しかったのだと、そう思えました」

「……買い被りすぎですよ」

「そんなことはありません、自信を持ってください」

 

 そうやって褒められても困るんだけど………私はキヴォトスで当たり前のルールにすら従えないやつなのに。

 

「あなたの言う通りですね。……少し弱気になっていたようです」

「立場的にも色々あるのは理解してます、ハスミさんは立派によくやってると思いますよ」

「ありがとうございます」

 

 本当に、同じ子供とは思えないほど立派で……それはもう、色々と大きくて。背とか。

 

「少し変わったように思います」

「……私?」

「はい。と言ってもそこまで親しい仲ではなかったですけれど……以前より落ち着いているように見えるというか」

「……そうかなあ」

 

 まあ色々あったし……そうなのかもしれない。

 

「今日はこの辺りにしておきましょうか。話せてよかったです」

「こちらこそ。……次は、もっと楽しい話が出来るといいですね」

「フフッ……そうですね、次までに何かいい話題を用意しておきます」

 

 また一つ、肩の荷が降りたような気がした。

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