銃とか野蛮ですよね!というわけで銃捨てるね!! 作:ギアっちょ
「さて、と……ごめんね時間取らせちゃって」
「別に大丈夫です」
「そっか」
机を向かえ合わせに置いて座り、ヒサギと向き合う。
「ハナコたちのことは何となくどんな子か分かったんだけど、君のことだけはまだよく分からなくて……少し話が聞きたいなって」
「……なるほど、まあ私先に教室にいたら待たされてたし…」
「ヒフミと一緒にみんなを探しに行ってたんだ」
信用はされていない……会ったばかりの相手をそこまで信用することもないだろうけど、少し警戒心が強い子なのかなと感じる。
「それで質問なんだけど……自警団に入ってるんだっけ?」
「そうですね」
「スズミとは知り合い?」
「……なんでスズミの名前が?」
また訝しげな表情をしてくる。
「シャーレが出来た時にすぐに色々戦闘があって……そこでスズミには助けてもらったんだ」
「……あれハスミさんだけじゃなかったのか」
「ハスミ?ああ…」
ああ、コハルとの会話で、以前正義実現委員会に所属していたということが分かったし……そこの繋がりかな。
「なるほど……聞きたいのはコハルとの関係ですか?」
「それもあるかな。他の二人とも知り合いだったみたいだったから」
目つきが鋭くなる。けれどすぐに普通の表情に戻り、淡々と話し始めた。
「……私が正義実現委員会にいた頃の最初の任務で、コハルも最初の出撃だった。そこで知り合って……私はそのあとすぐ辞めて自警団に入った。それだけの関係です」
「ハナコとは?」
「あの変態とは何度か会話したことある程度で」
「変態……」
まあ、最初に会った時スク水だったしね……ハナコはヒサギのことをどう思っているのだろうか。さん付けだったけれど……
「それじゃあ、アズサとは?」
一番聞きたかった質問。
ヒサギを目にしてからのアズサの様子が明らかにおかしかったから……二人の間に何かあるのかと。
「先生、確かアズサは最近転校して来たんですよね?私は転校生の噂も聞いたことなかったんですよ?何で知り合いだと?」
「……アズサが明らかに君のことを気にしているようだったから」
警戒されている、まるで触れられたくない話題のように。
「あの転校生が何考えているのかは知りませんけど、私は知りません。誰かと間違えているんじゃないですかね」
「……そっか」
言いたくないということだろう、これ以上聞いても機嫌を損ねそうだ。
「……というか、なんでそんなこと聞くんです?ただの部活の顧問が」
「先生だからね、生徒同士で何か困りごとがあるなら手を貸してあげたいから」
「……先生、ね」
やたらと先生という言葉に反応してくるような……
「質問はそれだけ?」
「あぁうん、ありがとう」
「それじゃあ私が質問しても?」
「うん、構わないよ」
警戒される気持ちもわかる。どうにかして距離を縮めたいところだけど……
「貴方は何故
「……え?」
何を聞かれるのかとは思っていたけれど、予想外の質問。
というよりは、質問の意図がよくわからない。
「えっと……」
「私の調べた限りでは貴方はシャーレ……連邦捜査部の顧問でしかない。どこかの学園に属しているわけでもなく……連邦生徒会は学園とは言えないし」
調べた、ということは以前から私のことを警戒していたということだろうか。それならこれまでの態度にも納得が行くけれど……
「貴方は何を持って先生なのか、というより何故先生なのか………というかそもそも貴方は———」
「私は、
「………はあ、そうですか」
あまり求めていた答えではなかったのか、少しがっかりした様子で咳払いをするヒサギ。
「すみません踏み込みすぎましたね、忘れてください」
「いや……」
「それじゃあ次……貴方がここの顧問ということについて。何故落ちこぼれの救済措置のために、わざわざトリニティがシャーレの先生を顧問に置いたのか……聞かせてもらっても?」
なるほど、何となく分かって来た。
きっと彼女はずっとこの補習授業部について、集められたメンバーと、私のことを見て何故集められたのか、本当に落第を免れるためだけのものなのか。
別の意図がないかを、ずっと考えていたんだろう。
「……私に顧問になってくれと頼んできたのはティーパーティーで、それ以外のことは何も」
「………超法規的機関を本当にそんな風に?というかよく受けましたね…」
「困っている生徒がいたら助けるのが私の仕事だからね!」
「へー」
白けた目をされた。
「まあ先生の言葉を鵜呑みにするなら、真意は茶しばき同好会のみぞ知るってことかなぁ」
「ち、茶しばき同好会?」
ティーパーティーのことだろうか……
「……まあ、質問は以上です。変なこと聞いてごめんなさい」
「ううん大丈夫、心配する気持ちも分かるから」
「心配……かあ」
そう呟いて席を立ったヒサギ。
「その……困っている生徒を助けるのが仕事なんですよね?」
「うん、そうだよ」
「なら……いや、やっぱり……でも……」
何かを迷っている様子。
「私に出来ることなら何でも言って」
「……じゃあ」
こちらに背を向けて、心配そうな表情をこちらに向ける。
「アズサのこと………よく見てやってください」
「……分かった、任せて」
「……じゃ、そういうことで」
何も聞かず、そう答えた。
私の言葉を聞いて、ようやくフッと笑って教室を出て行ったヒサギ。
「……何でシャーレが、か」
確かに不思議な話だ。エデン条約で手が回らないとは聞いたけれど、それなら措置を後回しにすればいい話。シロコたちのように切羽詰まっている状況でもないし……
わざわざ私に頼む理由とは、なんだろうか。
「それに、不思議な子だった」
何故先生なのか……自分で考えたこともなかった。
アズサとも知り合いみたいだし……気になることが多い。無思慮な詮索はしたくないんだけど……
「聞いて答えてくれるかなあ……」
そこまで言っていけないなと、顔をパンパンと叩く。
今は補習授業部の顧問だから、そっちに集中しないといけない。
「アロナ、この後の予定は?」
『シャーレに戻って書類仕事です!』
「………少しトリニティを見て回ろっかな〜」
「………ぬぐわあああああああああ!!!!!」
「うわおびっくりしたあ!?ひ、ヒサギさんどうしたんですか……?」
「ごめんねぇレイサちゃん……なんかね、凄くこう、発狂したい気分になっちゃって」
「わ、わかります!なりますよね発狂したい気分!!」
「え、大丈夫…?」
「あれぇ!?」
思ったより用事が早く終わって、暇なんでパトロールに出たらレイサと出くわしてベンチに座って話をしていた。
「その……どうやら私めちゃくちゃ成績悪かったらしくって」
「そうなんですか?」
「心当たりないんだけどねぇ!?で、その……補習授業部ってのに入れられて……他のメンバーと一緒に試験に合格しないといけないらしく…」
「補習授業部…だからしばらく活動できないって」
もうトリニティやめて別のとこ行こうかな……百鬼夜行とかそこそこ楽しそうだよな〜。
「まあそれと……その他諸々の厄介ごとが積み重なって、この世の全てに絶望しそうになってる」
「気をしっかりヒサギさん!私の知っている貴方は正義と情に篤い立派な方です!そっち側にいっちゃダメです!!」
「おう分かった肩掴んでぐわんぐわん揺らさないで」
「はっ、すっすみません…」
まあ、補習授業部になったこと自体はそこまで気にしていない。試験に合格すればいいだけだし……私の学力に問題はないと信じたい。問題はその、その他諸々の厄介ごとで……
「アズサ………」
「……アズサ?その方がどうかしたんですか?」
「え?……口に出てた?」
「はい、思いっきり」
「ありゃ……同じ補習授業部のメンバーってだけだよ」
アズサとシャーレの存在、問題はこの二つ。
アズサは……まあ、ひとまず置いておくとして。
茶しばき同好会が何を考えてシャーレを顧問にしようと思ったのかが問題だ。流石に不審すぎるし……ゲヘナがシャーレを警戒して、先生が指揮をしていたアビドスと戦闘行為を行ったって話もある。
ゲヘナが敵対行為みたいなのしたから、私たちは違いますよアピール……は、流石にちょっと考えづらいような……
「……うーん」
先生にも聞いたけれど、たかがおバカな生徒たちのために外部から協力を仰ぐこと自体が私のティーパーティーへの印象に反する。勘繰りはよくないけれど……シャーレを使って別の何かをしようとしている気がしてならない。
「いや、だとしても……」
たかだか五人の生徒のためにそこまでする理由がない。ヒフミってのはまともそうだったし……アズサは何したのか知らないし、ハナコは別に問答無用で退学でも納得だけど。というか矯正局に入れたほうがいい。
「……あの」
「………ん?」
レイサが心配そうな顔で私の顔を覗いていて、少し考えすぎたかと反省する。
「もし、私が力になれることがあれば……」
「……ありがと、でも大丈夫。とにかく勉強すれば済む話だしさ」
「そっか勉強……すみません、そっちは私もあんまりで……」
心配かけちゃうなあ、やっぱり。
「でももし他の困り事があればぜひ私を頼ってください!ヒサギさんのためなら何でもしますよ!!」
「……あんまり巻き込みたくないかなぁ」
「え?」
「なんでもない。その時はよろしくね」
「はい!」
声が大きくていい返事だ。
「じゃあ私はパトロール再開します!ヒサギさんはどうしますか?」
「ん〜、一緒に行ってもいい?」
「もちろんです!」
アズサとは初対面のフリを続けることにしよう。多分その方が向こうにもいいだろうし……とにかく勉強だな勉強、やっぱり全員が同時に合格っていうのが気になるけど……考えすぎも良くないかな。
「今日も平和のために!!」
「お〜!」