軽度のキャラ崩壊有り
番外編 短編集 王様ゲームという名のデスゲーム(?)
始まりは、ユメ先輩の一言だった
「王様ゲームしよー!!!」
「「………は?(はい?)」」
――――――――――
「もう少し説明してほしいんですけど…」
「いいよ!王様ゲームって言うのはねぇ――
「そこじゃねぇですよお馬鹿先輩」
――ひぃん!エルくん反応が冷たいよぅ!」
いきなり王様ゲームをやろうとほざいた我らが先輩に、俺は呆れた表情をしていた。突拍子のないことを言い始めるのは別にいつもと何ら変わりないので、慣れていると言えば慣れているのだが
ってかどこで知ったよそんなもの
「…エル、少し良いですか?」
「ん?どったホシノ」
すると、ホシノが神妙な面持ちで訪ねてくる
「王様ゲームって、なんですか?」
「……………あ、まずそこから?」
そうして、俺はホシノに王様ゲームの概要を簡潔に話した
①参加者がくじを引く
②「王様だ〜れだ」の掛け声に合わせ、王様のくじを引いた人が名乗り出る
③王様は「◯番の人は◯◯◯をする/して」、「◯番と◯番の人は◯◯◯」などの番号指定での命令を出す
④当てられた番号の人がその命令を実行する。王様の命令は絶対(悪しき文化)である
そうしてその工程をある程度繰り返し行う
説明を聞いたホシノとユメ先輩はなるほどと頷く
「………いや待て、待ってくれ。ホシノは兎も角先輩は知ってましたよね?なんでそんな“今知りました”みたいな反応してるんですか」
「え?いやぁ…私も詳しくは分かんなかったからさぁ」
「分かんないのにやろうとか言ってたんですか貴方???」
まぁそんなこんなあったものの、今日は三人とも特に用事があるわけでもなく、よく言えば暇だったので断る理由もなく。この三人で王様ゲームを行うこととなった
…王様ゲームで三人は少なくね?と思ったが、二人が楽しそうなので良しとしよう。最悪大将呼べばええやろ
――――――――――
「持ってきましたよ」
「お、さんきゅーホシノ」
しばらくすると、くじを作り終えたホシノが戻って来る。手にはくじ棒。これで準備は整った
「よーし!じゃあ皆!くじ棒引いてー!」
ユメ先輩が催促し、俺とホシノ、先輩の順番でくじを引く。よく混ぜ合わせられたくじ棒を、それぞれが手に取り、そうして元気よく、王様ゲーム開始の合図を行う
「「「王様だ〜れだ!!!」」」
俺達は、その合図で自身が引いたくじ棒を見る
「(1………王様じゃないか)」
俺が持っているくじ棒には“1”と書かれており、どうやら王様では無かったようだ。となれば二人の内どちらかということになるのだが…
「あ!私のくじ王様!王様だよ王様ー!!!」
途端、ユメ先輩が元気よく自身持っているくじを見せてくる。そこには“王様”の文字
ユメ先輩が王様か…となるとホシノは消去法で“2”だな?
隣のホシノを見てみると、自分が王様を引けなかったのが悔しかったのか、少しだけ悔しそうな表情をしてユメ先輩のことを見ていた。いやゲームだからこれ、そんなに悔しがるものじゃないぞ?
隠れた負けず嫌いである事が露見したホシノであった
「じゃあねー…何にしようかな」
うーん、と悩む素振りを見せるユメ先輩。いいぞもっと悩め。これも王様ゲームで王様になった人ならではの醍醐味だと思う。そうしてあわよくば俺に来ないでくれ(本心)
「じゃあ…決めた!」
「「………(ごくり)」」
「2番の人は語尾に“にゃん”をつけて喋ること!」
当たるな当たるな当たるな当たるな当たるな当た――ん?2番?俺は1番だから俺じゃない………つまりホシノか……………待て、今先輩なんてった?「語尾に“にゃん”をつけろ」?それってつまり…
慌ててホシノの方を見る
「最悪です………にゃん」
「グッ!」
「「エル君!?(エル!?)」」
その言葉を聞き、悶えてしまう。想像以上に語尾“にゃん”ホシノの攻撃力が高い…!
なんだろう…可愛いな、うん。いつもツンケンしてるツンデレ属性持ちのホシノが言うと、やっぱりギャップ萌えとでも言うのだろうか?言い表せない感情が湧き上がってくるような気がする
「良し、続けようか」
息を整えて、王様ゲームを再開しようと伝える。先輩は心配そうに声をかけてきて、ホシノは恥ずかしさ半分困惑半分の表情で見てくる
「エルくん大丈夫?」
「あぁ、まだ逝ける」
「それ漢字が違う気がするんですけど…にゃん」
「ん゙ッ!!!」
「エルくん!?」
「早く続けましょう先輩!何故かは分かりませんがこのままだとエルが死んでしまいます!」
「え、あぁうん!」
不意打ちは聞いてません
「はい!それじゃあ皆くじは持った?」
三人のくじ棒を元に戻しかき混ぜ、そして三人ともまたくじ棒を各々手に取る
「それじゃあ行くよ〜!!!」
「「「王様だ〜れだ!!!(にゃん!)」」」
「…あ、また私だ、えぇ………?」
どうやら2回連続ユメ先輩が王様を引いたらしい。変に豪運なんだよな先輩って
「また引けませんでした…」
「ホシノちゃん、にゃんが抜けてるよ〜?」
「んぐっ………分かりました…にゃん」
少し悩んだ末、なにか良いことでも思いついたのか、ユメ先輩は命令を口にする
「じゃあ猫つながりで〜、2番が猫耳カチューシャを着ける!」
そう言ってどこからか猫耳カチューシャを取り出す。どうやらこのときのために用意をしていたようだ、なかなかに用意周到で少しばかり驚いてしまう。だって先輩だぞ?あのいろいろと抜けてる、アビドス砂漠にコンパス無しで突撃しそうランクング一位の先輩だぞ?
そうなかなかに失礼で本人にバレたら色々と面倒なことになりそうな事を考えつつ、自分の引いた番号を見る。くじ棒には“1”と書かれており、自分ではなかった安堵感を覚える
「…俺は1番だった…待てよ、ってことは――
「…私が、2番です…にゃん」
「ホシノ………王様の命令は絶対なんだ…悪いな」
なんだろう…もうホシノが不憫に思えてきたんだが
――――――――――
「楽しみだねぇホシノちゃんの猫耳姿、まぁ語尾も似合ってたし似合うと思うけどね!」
「………なんやかんや言って、先輩楽しんでるなぁ」
「着けてくるので少しここで待っていてください」とホシノが扉の向こうに行ってから数分、ユメ先輩はホシノが帰ってくるのを今か今かと待っている。かく言う俺も少し楽しみではある、ホシノいつもだったら絶対こんな事してくれないし、滅多にお目にかかれないチャンスだしな
「………えっと」
「ん?あ、ホシノ、いつの間に帰ってきてたんだお前」
扉の向こう側から微かにホシノの声が聞こえてくる。いつからそこいたんだよお前、全く気づかなかったぞ
「どうしたのホシノちゃん!早く入ってきてよぉ!」
「…あの、本気の本気でコレ見せないと駄目ですか?」
そんな事を言って、なかなか自身の姿を見せようとしないホシノ。その声には恥じらいを感じ取れ、柄にもなく恥ずかしがっているのが分かる
「早く早く〜!!!」とユメ先輩が急かし続け、観念したのかホシノは扉を開いた
「どうですか………にゃん」
「グハッァァァ!?」
「「エル君!?(エル!?)」」
ホシノのその姿を見た途端、俺は勢いよく吐血して後ろに倒れ込む。二人が驚いたような声が聞こえた
ホシノは元々ツンデレ属性持ちアタッカーだ、そこにあざとさをプラスしたらどうなるか?結果は見ての通りだ。破壊力が桁違いだ、いつものホシノからは考えつかないそれは、ホシノのさらなる魅力を掻き立てる。少し恥じらいを持っているのか頬を赤らめているのは得点が高い、まさかホシノと語尾“にゃん”、そうして猫耳がここまでマッチするとは
「我が生涯に一片の悔い…有り………」
「あったら駄目でしょ!?」
「ガフッ」
「あー!?エルくんが死んだ!?ホシノちゃんの人でなし!!」
「コレ私が悪いんですか!?」
そうして俺の意識は暗闇に落ちていったのだった(気絶)