星を愛した人形の追憶   作:ばぐひら/Baguhira

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なかなかいい構造が思いつかない……




9話 ペロキチ、襲来

皆様、いかがお過ごしでしょうか?澄み渡る空、淀みない雲、照りつける陽の光に照らされ、程よく心地よい風の音が聞こえ、鳥のさえずりが耳に届く、そんな日です。こんな日には屋上に上がり、ひなたぼっこでもしながらお昼寝でもしたいですね

 

 

「エルさん!?なんでそんな悟ったような諦めたような表情してるんですか!?」

 

 

さて、そろそろ現実を見てみましょう。後ろをご覧ください

 

 

「待てやごらぁぁぁぁ!!」

「身ぐるみ置いてけー!」

「金だ金ぇぇ!金のなる木だ!!!」

「汚物は消毒だぁぁぁぁぁ!!!」

「死にさらせェェェェェェェェ!!!」

 

 

数十人のヘルメット団が、怒り心頭で追いかけてきていますね。捕まったら恐らく、いや確実に、僕のような弱々人間では間違いなくボコボコ確定でしょう

 

さて、横で並走している元凶に向かって心の底から叫びます。ご唱和ください、せーの

 

 

「ふざけんじゃねぇぞこのペロキチィィィ!!」

 

「わぁぁぁぁぁん!すみませぇぇぇん!!」

 

 

叫びたいのはコッチだボケ!

 

そんなこんなで、俺は今現在ブラックマーケットに居る。ブラックマーケットとは、その名の通り闇市。あの連邦生徒会すら管理の及んでいない治外法権、学園自治区数個分という途轍もない広さをしているギヴォトスの裏

 

そして俺の横で一緒になって逃げている少女。名前は阿慈谷 ヒフミ、モモフレンズの代表格であるペロロ(変なカバ)の重度の大ファン。ペロロのゲリラライブでテストを抜け出したり、ペロロのグッツのためだけにブラックマーケットにたびたび足を通わせる自称平凡。通称ペロキチ。因みにこいつの前でペロロを様つけで呼ばなければ、恐怖の塊の様な威圧感を発しながら訂正を促してくる

 

 

「お前なんで追われてんの?ねぇなんでこんな人数に追われてんのォォォォ!?」

 

「私が知りたいですよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「待てやテメェ!!」

「お嬢ちゃんよぉ!!待ちやがれ!!!」

「何処へ行くんだぁ?」

「金置いてけよぉ!!!」

「ぶッッ殺ォォォォォォす!!!!!!」

 

 

背後のヘルメット団が罵声怒声を上げながらまだ追いかけてくる。折角なので、何故俺がブラックマーケットに居るのかを説明しよう

 

実は、俺は最近ではとある用事でよくブラックマーケットに来ている。勿論ユメ先輩やホシノには内密に。そんなある日出会ったのがヒフミ(ペロキチ)だ。どうやらペロロの限定グッツを買うためにわざわざブラックマーケットまで来たらしく、ちょっとした縁により俺にブラックマーケットの案内を頼み込んできた。そのときは取り敢えず危険なのでヒフミの護衛と案内を行なった。そしてヒフミにブラックマーケットへの注意勧告を行ない、もう来るなと釘を刺した。その時のヒフミも「今回だけお願いします!」と言っていたから、その時の俺は今回限りの縁だと考えていたのだが……翌日ヒフミは何食わぬ顔でまたブラックマーケットに来ているのを偶然見かけた

 

そこからはもう何度も同じ事の繰り返し。何度言っても「ペロロ様のため!」とグッツの為だけにブラックマーケットに単独で行ったり来たりするヒフミを見かけるたびに案内や護衛を行なった。まぁ護衛と言っても俺の戦闘能力はホシノと比べても高くない方なので護衛らしい護衛はしていなかったとは思うが。そして途中から何を言っても駄目だと感じた俺は、ヒフミとモモトークを交換し、連絡を取れるようにした。そしてそこから関係が続いているのだ

 

 

「ああぁぁぁぁぁ!もう!クソッタレ!」

 

 

俺は懐からRed Shu Summer(レッド・シュウ・サマー)を取り出し後方のヘルメット団に撃ち放つ。弾丸が1人のヘルメット団のヘルメットに命中し、当たりどころが良かったのかその衝撃で意識を落とす

 

よっしゃ1人撃破!

 

 

「テメェよくもやりやがったなぁぁぁ!」

「ヘイロー無いからって撃たれないとでも思ってんのか!?」

「覚悟は良いか、俺はできてる」

「撃って良いのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」

「八つ裂きにしてやんよォォォォォォ!!!」

 

 

やらかしたァァァァ!?

 

俺の一撃でノックアウトしたヘルメット団の1人が、他のヘルメット団の火を焚き付けてより熱量と圧が増した。

 

さて、ここで少し前を思い出してみよう。何故俺はペロキチと一緒にヘルメット団に追われてるのだろう、俺は特に何かした覚えもない。まぁ普通にペロキチがこのヘルメット団を連れて走ってたのを見かけて、ペロキチが何故か俺の方に名前を叫びながら方向転換して俺が巻き込まれただけなんだけどな。

 

俺の今の心情を歌にしてみようか?

 

ある日、ブラックマーケットの中、ブチギレヘルメット団を引き連れ逃げ回るペロキチに、出会った♪

怒声蔓延るブラックマーケットの道〜、面倒事担いだペロキチに〜出〜会〜っ〜た〜♪

 

ふざけんな???

  

「いやぁぁぁー!お助けぇぇぇ!!」

 

「るっせぇペロキチ!」

 

「エルさん助けてェェェェェェ!!!」

 

「待てやぁぁぁぁ!!!」

「逃がさん!!」

「塵芥のように燃え尽きよ」

「金金金カネカネかねぇぇぇぇぇ!!!」

「脳髄ぶち撒けてやんよォォォォォォォ!!!!!」

 

「俺逃げる!後は自分でどうにかしろ!!!」

 

「そんな事言わずに!!!」

 

 

ペロキチと並走しているから俺も狙われているのだ、なら俺がペロキチから離れればいい……と思い進行方向を変更するが、ペロキチは俺の隣にぴったりと着いてくる

 

マジげんこつしてやろうかコイツ

 

 

「あぁぁぁぁぁもう!オラッペロキチこっち来い!!」

 

「へ?…うわぁ!?」

 

 

ペロキチの腕を引っ張り、曲がり角に急カーブする。ペロキチは情けない声を出していたが無視でいいだろう、取り敢えずコレで追っての視覚から外れた。なら――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「おいアイツら曲がったぞ!!」

 

「なら追いかけるんだよぉぉぉ!!!」

 

「逃がすかゴルァ!!」

 

「逃げても無駄だぜぇ!」

 

「ブッコロス…ブッコロォォォォォォォス!!!」

 

「なぁさっきから物騒な奴いないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「………ふぅ、コレでいいだろ」

 

「こ、助かりました…」

 

 

ヘルメット団が居なくなったのを確認し、俺とペロキチはゴミ箱の中から這い出る

 

 

「………にしても、よく撒けましたね」

 

「曲がり角に曲がった時点で視界からはもう消えてんだ、逃げるだけなら幾らでもやりようはあるだろ」

 

 

俺はわざと入り組んだ路地に逃げ込んだ。曲がり角が無数に折り重なるような場所、逃げるには持って来いの地形、予めそういう事を想定して逃走ルートを作っておいて正解だった。

 

 

「それにこのゴミ箱も…外からの見た目に反して中が綺麗ですし……」

 

「あーそりゃそうだろ、俺が用意したやつだし」

 

「え!?」

 

 

俺が用意したのは嘘だが、俺が意図して設置されてるのだからあながち間違いとも言えないだろう。逃走ルートを確保したら、次は潜伏場所だ。だからわざわざブラックマーケットにありそうな粗大ゴミに扮して各地に隠れられる場所を設置してある。俺は弱いからな、そういうくらいしないとブラックマーケットなんて即死だ、過剰な用意ではあるかもだけどな

 

 

「…んで?なんで追われてたんですかねペロキチさん」

 

「ペロキチじゃないです!!」

 

「で?なんで?」

 

「……あのヘルメット団の方が、ペロロ様の期間限定缶バッチを取り扱ってるって聞きまして、その、ちょっぴり無茶したと言いますかぁ…」

 

「無茶」

 

「居ても立ってもいられず、あの方たちの拠点?らしき場所にバイクで思いっきり突っ込んでしまい……うち何名か引き飛ばしちゃって

 

「引き飛ばす」

 

「そ、それで……」

 

「………やっぱりペロキチじゃねぇか」

 

「あ、あぅ……」

 

 

正真正銘のヒフミ(ペロキチ)だ。これあのヘルメット団、結構真っ当な怒りだったのでは?

 

 

「で、俺を巻き込んだのは?」

 

「…エルさんなら助けてくれるのではないかなぁと」

 

「ペロキチ、ギルティ」

 

「え、ちょ待ってくださいぃぃぃいいだだだだ!?

 

 

拝啓、皆様

 

ペロキチはやはりペロキチでした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…もうやんじゃねぇよ、つっても無駄か」

 

「あはは……善処はしますよ?」

 

「善処するだけだろうが」

 

 

ブラックマーケットの入り口、俺はペロキチをしっかりとブラックマーケットの外へと送り返した。もう帰れ、あわよくばもう来るな。どうせまた他のヘルメット団とかチンピラあたりから身代金請求されるんだから

 

俺はそんな想像がついてしまう未来を幻視し、つい頭を悩ませる。俗に言う「頭痛が痛い」という状態だ。こいつがここ(ブラックマーケット)に来なければいいのに、来る。こいつが騒ぎを起こさなければいいのに、起こす。本当にどうしようもない

 

 

「おいペロキチ、せめてちゃんと来るなら俺に一言言ってから来い」

 

「え?いいんですか…?」

 

「お前一人だと心配だろうが、いやほんと」

 

 

正直、ペロキチの為に俺がここまでやる必要はない。何か起こったとしてもコイツが悪い、なにせ全部自業自得だから。でも、なぜだか俺はコイツ(ヒフミ)を見捨てられない。端的に言うと気に入った、絆されてる。我ながらチョロいとは思うし、それだけで助けるのかとも思う。

 

 

「やっぱり、エルさんって優しいですね!今日はありがとうございます!」

 

「うるせぇ」

 

 

謝んなら来るな馬鹿

 

そうしてペロキチはブラックマーケットを後にした。俺はしっかり帰っているのか監視した、案の定帰るふりをして戻ってこようとしてたので回れ右させた

 

「まだ目当てのものを見つけれてないんです!!ペロロジラの限定先行公開チケット!!!」

 

「知るか!帰れ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「………」

 

 

ブラックマーケットのとある区間。石造りの壁の前に立ち、コンコンコンコン、と小刻みに4回ノックする

 

 

―――――――

 

 

小さく何かを呟くと、壁が僅かに揺れた気がした

 

 

―――――――――――

 

「あぁ」

 

 

なにかに返事を返すと、壁へと迷いなく歩いていく

 

ぶつかるかと思われたが、少年は溶け行くように壁へと吸い込まれて姿を消す

 

辺りを静寂が包んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




中学ペロキチ登場()
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