星を愛した人形の追憶   作:ばぐひら/Baguhira

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投稿頻度は遅め


過去編〜青い追憶〜
1話 知らない場所


?月?日 日照りで焼けるような快晴

 

分からないことが多いが、とりあえず日記をつけてみようと思う。月と日が?なのは分からないからだ

 

俺は砂漠で目を覚ました

そこは辺り一帯砂漠で、見たこともない場所だった

 

周りは特にコレと言って何かがあるわけでもなく、更に砂埃のせいで視界が最悪で、そこまで遠くを見渡せなかった。なので俺は次に自分自身を見てみることにした

 

知らない制服を身にまとい、少し小さめのバックが肩にかかっているのが分かった。どれも身に覚えがなく、とりあえずバックの中を弄ってみることにした。バックにはスマホらしき機械と、何も書かれていないノートと鉛筆が入っていた。今つけている日記はそのノートと鉛筆でつけている

 

なんで俺はここにいるのか分からない。自分の名前は覚えている、だけどソレ以外の記憶が抜け落ちたようにすっぽりと?ノイズがかかって靄がかかったように?駄目だ上手く表現できそうにない。けど、そうだ。俺は記憶喪失ってやつなんだろう。状況証拠から見てもそうとしか思えない

 

俺の記憶云々はともかく、とりあえずこの砂漠を出ようと思う。流石に世界の全てが砂漠なんてアホみたいなことじゃ無い限りは、歩き続けてればいつかは砂漠から抜け出せるだろう。今の俺はさながら遭難者だ、正直なところのどが渇いて水が欲しい。けど我慢

 

人間水が無くても一週間くらいは生きられるだろうし、頑張ってみることにする

 

 

?月?日 馬鹿みたいに暑い

 

最初の日記をつけてから1日が経過した。おはよう世界

砂漠の夜は冷える、温度差で死ぬかと思った。朝と気温差何度だよ!

 

まだ砂漠は抜け出せそうにない。まだ大した距離歩いてないのか?体感では数十キロは進んだと思うんだけど…

 

相変わらず喉が乾く、水がねぇんだからどうしようもないだろクソッタレが!砂漠なのにサボテンの一つもありやしねぇ、どうなってんだ?たまになんかの建物の残骸みたいなのがあるくらいで、まじでここ何もねぇな

 

………ほんとになんで俺ここにいるんだろ

 

 

?月?日 痛い

 

歩きすぎて足が痛い。でも止まるわけにはいかない

 

あいもかわらず喉が乾いた。水分がほしい。喉が痛む、声が掠れてきた。どんだけ願ってもなにも変わりはしないってのに、らしくもなく神頼みだ、いいやこの際だ、神でも悪魔でも構わない。誰でもいい、水をくれ

 

 

?月?日 はれ

 

しかいがぼやけてきた、そろそろげんかいがちかいのかもな。あーこれがさいごのにっきになるな

 

たったすうかいしかつかってないけど、もうつかわなくなるのかな

 

もうにっきはつけない、ばっくにいれとく。そしてあるく

 

ああ、みずがのみたいな

 

 

 

 

しにたくない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ん?」

 

 

いつものように店の開店準備をしていると、遠くに人影のようなものが見えた。こんな廃れきった場所にわざわざ足を運んでくるなんて、アビドスの子たちかそこらで暴れているヘルメット団、もしくはこのアビドスの現状を犯罪の隠れ蓑にしようと企む悪い大人くらいだ。だからその姿に違和感を持ったのかもしれない

 

目を凝らしてよく見てみる。制服を着ているものの、ボロボロで少しきたなく、黒いバックをぶら下げている。体に力が入っていないのか、少しふらふらとしたおぼつかない足取り。その姿からどこかの生徒だとわかったが、どこか違和感を感じざるを得ない

 

 

「あっ!?」

 

 

その時、その生徒が突然前かがみになって倒れ込む

 

俺はそれを見るやいなや声を上げ、その倒れた生徒に急いで近づく

 

 

「おい!大丈夫かおい!!」

 

 

体を揺らしてみるが、反応が返ってこない。顔を見てみると赤く、滝のような汗を流しているのが見て取れた。額に手を当てると、熱い

 

 

「熱中症か?いや脱水症状もあるかもな…とりあえず日陰に!」

 

 

俺は急いで抱きかかえ、“柴関ラーメン”の店内へ運ぶのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…こいつはヒデェ」

 

 

開店してすぐだったので客はおらず、とりあえず横に寝かせておでこの上にビニールに詰めた氷を乗っける

 

よくよく観察して見ると手も顔も足も傷だらけで、足はパンパンに膨れ上がっていた。恐らく足を酷使しすぎたのだろうと予想がつく。バックの中にはおそらく彼女のスマホであろうものと、日記と鉛筆が入っていた。日記には“郭雲 エル”と書かれている。多分彼女の名前だろう

 

とりあえずバックの中身はそのままにしておいて、体をウエットティッシュで軽く拭いた後足に湿布を数枚貼っておいた。今は目が覚めた時のために、冷えた水を用意している

 

 

「いったい、何があったんだ?」

 

 

思わず顔をしかめてしまうような状態の酷さに、俺はそう言葉を吐いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「嬢ちゃん!ラーメンいつもの!」

 

「大将、注文入りました!味噌ラーメンネギマシマシメンマヌキシルスクナメ(正式名称:柴関味噌ネギ特大ラーメン+ネギ増量+メンマ無し+汁減量)!それにお客さん俺の性別男!!」

 

「え?マジかい?」

 

「この前もこのやり取りしませんでした?」

 

「アッハッハ!すまんすまん、坊主の反応が良くってつい」

 

 

目の前の常連客が、そう愉快そうに笑う

 

俺が大将に保護されてから1ヶ月ほど時間が過ぎた。あの時、気がついたら俺はこの柴関ラーメンの店内で寝かされていた。初めは困惑が勝ったが、後から俺が目覚めてることに気づいた大将から事情を説明してもらったことでその疑問も解消された

 

俺はどうやら意識もほとんどない状態でこの柴関ラーメン付近まで歩いてきたらしい。俺は記憶にないが、限界が来て倒れた俺を大将が運良く発見、そのまま保護してくれたそうだ

 

そうして5日ほど熟睡、いくらなんでも目を覚ますのが遅くないかと医者に見てもらうことを検討し始めたときに起きたらしい。起きて数日は疲労と栄養失調で満足に動くこともできない状態だったが、それも時間が立つに連れ良くなってきたのだ。その間に大将がラーメン屋をやっていることを聞き、流石にこのままじゃ大将に悪いと思いここ最近ではここ柴関ラーメンのバイトとして働いている

 

そうしてここ最近ではお客さんに顔を覚えられてきて、こうしてたまに弄って他愛もない話をしたりするのだ。しかし顔の事を弄るのはやめてほしい、少し気にしてるんだから

大将が「嬢ちゃん」なんて言ってきて本気でやめてくださいと言ったこともある。あのときの大将の顔は忘れられない、あの困惑と驚きと申し訳無さをふんだんに含んだいつもの大将からはあまり考えられないあの表情は

 

ちなみにだが、俺は今現在大将の家にお邪魔する形で生活をしている。そもそも今の俺に家と呼べるものはないし、最初は申し訳なくなって外で野宿しようと考えていたが、大将に「馬鹿野郎、そんなら俺の家に住みな。子どもなんだから大人を頼れ」とうまい具合に諭されてしまい、恩がある大将の言葉を頭ごなしに否定することもできず、今に至る

 

なんだろう、やっぱ大将かっけぇわ

 

 

「ほらよエル、これが4番テーブルでこっちが8番テーブル」

 

「はい大将!」

 

 

そうこうしている間にも、注文はされていく。俺は指定された席に大将から渡されたメニューを届ける

今日はやけに人が多い………どうしたんだろ、あそこの席に座ってるのは最近有名なパラパラヘルメット団だし、向こうはカタカタヘルメット団だ、珍しい。まあ中で揉め事起こさないんなら何でも良いんだけど

 

 

「これとこれとこれ…後これも!頼んだぜ!」

 

「分かりました!!」

 

 

再び大将から渡されたものを受取り、席へと運ぶ。もうこの作業も慣れたものだ、初めのうちは何をしたら良いのか分からずあたふたしていたっけ

バイトをしたことは無かったが、いざ実際にやってみると案外楽しいものなんだな

 

そうして今日の柴関ラーメンは、何故か大盛況だった。なんでだろ?

 

まあ客足が多いことに越したことは無いからいっか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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▢月△✕日 晴れ/時々曇り

 

数カ月ぶりに日記をつけることにする。ここ最近は色々あったから書きたいことはいっぱいなんだけど、その話しはまた後で。今日は数回目の柴関ラーメンでのバイト作業を行った

バイトと言っても大将とお金のやり取りがあるわけでもないし、お手伝いのほうが正しいかもしれないけれど

 

今日はやけに客が多かった。理由はわからないけど、客が多くて困ることもないので良しとしよう

 

それにヘルメット団の奴らも来ていた。まあ今回は暴れなかったから特に言うべき点はない。しっかり常識を持ち合わせてラーメンを食べに来たんなら、こっちは誰であれ客として対等に扱う

 

それにしてもいそがしかった。大将にもしっかり休んでほしい

 

…俺は大将に少しでも恩を返せているのだろうか?愚問だったな

 

もう寝ることにする。おやすみ

 

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