イヴァリースでどう生きていけるのか   作:かにしぐれ

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イグーロス城にて

成都イグーロスに到着したラムザ一行は、エルムドア侯爵誘拐の件をダイスダーグ卿に伝えるべくイグーロス城へと向かった。

ダイスダーグ卿の元へアカデミー生を含む全員で向かうわけにはいかないので、本来ならばラムザと副官のディリータ、そしてエルムドア侯爵誘拐の証人としてアルガスの3人がダイスダーグの元へと向かうのだが、ダイスダーグ卿の執務室には()()入室したのだった。

 

サジはイグーロスに到着した時点でラムザ達と別れようと考えていたのだが、ラムザから一緒に来てくれないかと声をかけられたので何事かと思いながらも着いていったらイグーロス城にたどり着き、そのままダイスダーグ卿の居る執務室にまで連れてこられてしまったのだ。

 

大した説明もなくいきなりダイスダーグ卿と引き合わされてしまったサジだが、ダイスダーグ卿より魔法都市ガリランドでの骸旅団討伐についての言及があった時にラムザよりその時の【功労者】として紹介されて卒なく挨拶をこなしてしまったため、ラムザ含むこの場の全員から(その振る舞いでただの平民は無理でしょ)と内心で突っ込みを入れられるが、それは大した問題ではないので割愛させていただこう。

 

サジの紹介が終わったところで、今度はマンダリア平原での一件についてラムザから説明があり、その流れでアルガスの紹介が成された・・・のだが、色々と気が逸っていたアルガスは挨拶もそこそこにエルムドア侯爵救出のために北天騎士団を貸してほしいとダイスダーグ卿に要求してしまったのだ。

 

そのあまりにもな勢いにアルガス以外の全員が圧されてしまっていたが、ダイスダーグ卿が返答する前にサジが宥めにかかった。

 

「アルガス、一旦落ち着こうか」

 

「落ち着いてなどいられるか! 少しでも早く侯爵様をお救いしなければならないんだ!」

 

「それはそうだけど、こういう話って()()()()()ってのもあるんじゃないの?」

 

サジはそう言った後、自分はよくわからないけどね~と韜晦するように付け加えた。その様子に(いや、よくわかっているのでは?)とまたその場の全員から内心で突っ込みを入れられるサジであったが、このやり取りで若干の冷静さをアルガスも取り戻したようだった。

 

「エルムドア侯爵の誘拐があったのは侯爵を招いたラーグ公側の領地であるガリオンヌでの出来事、つまりはベオルブ家の領地で起きた事件だ。これはもうエルムドア家の案件というよりもベオルブ家の案件だと思うよ?」

 

「それは・・・そうだがエルムドア侯爵様に仕える身として俺も!」

 

「気が逸ってるのはわかるけど、そもそもアルガスがダイスダーグ卿に【お願い】できる権限はあるの?」

 

そうサジに言われると、アルガスはうぐっと言葉に詰まった。そもそもダイスダーグ卿とアルガスでは身分が違いすぎるため、先ほどのダイスダーグ卿への要求は無礼だと処罰される危険性もあるものである。

そこに思い当って顔色を青くし始めたアルガスに対して、

 

「アルガス殿、自らの主君の危機を前に冷静では居られぬのはわかるが、貴公にできる事は今は無い」

 

そう静かにダイスダーグ卿は語りかけた。

 

「エルムドア侯爵の捜索は北天騎士団で行う。おまえたちには、このイグーロス城の警護についてもらおう。なに、それほど難しくはない。“危険”が、この城にまで及ぶことなどなかろうよ」

 

これでこの話は終わりだと言外にダイスダーグ卿は示したため、ラムザ達4人は執務室を退室するのだった。

 

 


 

 

 

ダイスダーグ卿との謁見の後、ラムザ達はイグーロス城内の中庭を抜けて部隊の皆に先ほど言い渡された次の任務を伝えるために移動していた。

 

その途中で、アルガスは彼の家についての話や、今回ダイスダーグ卿に謁見できたのもベオルブ家の人間であるラムザが居たからできたことで、自分一人では到底叶わない事だと彼らしくもない弱弱しい口調で語っていた。

 

それを静かに聞いていたサジだが、

 

「そういえば、結局なんで俺はここに居るんだろう?」

 

とイグーロス城に連行されたから思っていたことを口にした。

 

「なんでって、僕が一緒に来てって言って、君がわかったって言ったからじゃないか」

 

「その時は何も考えずに了承しちゃったけど、よく考えたら事件と何も関係ない()()の俺がダイスダーグ卿に会うのはおかしくないかな!?」

 

「ガリランドでもアルガスを助ける時でも大活躍だったし、僕は感謝しているんだよ?」

 

「感謝の気持ちはありがたく受け取るけど、それが何でダイスダーグ卿との謁見になるのかなぁ!?」

 

「それはほら、ダイスダーグ兄さんの覚えが良くなれば、サジもガリオンヌ領内だったら色々と活動しやすくなると思うよ?」

 

何がおかしいのかわからないという様子で答えるラムザに対し、サジがヒートアップしていく。

 

「俺の功績なんてラムザから伝えるだけでよかったでしょ。俺は平民なんだし、ダイスダーグ卿の前で粗相をする可能性があるほうが問題だよ。ディリータもそう思うよね?」

 

「ガリランドの詰所で見たサジの言動を見た限りでは俺も問題ないと思ったが・・・」

 

「いやいや、現場の騎士相手と領主様相手じゃ全然違うじゃないか!」

 

「だが、大丈夫だっただろ? むしろ危うかったアルガスに助け舟を出すくらいだったしな」

 

「なっ! ディリータお前っ! ・・・まぁ、俺も冷静じゃなかったから否定はできないけど」

 

ディリータに助けを求めるも、彼もラムザ側だとわかりがっくりと肩を落とすサジと、思わぬ所から流れ弾を食らったアルガスが同じように肩を落とす。そんな二人も見て笑うラムザとディリータ。ダイスダーグ卿との謁見の後のちょっと暗くなっていた雰囲気が消えたところで、

 

「兄さーん!」

 

と女の子の声がした。その声がした方を見ると、茶髪の少女と、金髪の少女、そして金髪を短く揃えた精悍な顔つきの騎士がこちらに歩いてきていた。

ディリータの妹のティータで、ラムザの妹のアルマ、ラムザの次兄である聖騎士ザルバッグの3人は、ラムザ達アカデミー生がガリランドから帰ってきたことを知って会いに来たとのことだった。

 

ベオルブ一家の家族の会話を聞いている横で、もう腹を決めるしかないのかと考えているサジであった。

 

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