〈花の街〉に住む、花 はこの街の魔女の【花】の魔女に覚醒した。
そして花の魔女に仕えるくじらに似た生き物、名はデュラタン。
彼と共に〈夜の街〉へ向かった。
夜の街も、花の街と同じように建物が破壊されて煙を上げたり。そしてとことどころ見える空人。
夜の街は24時間ずっと夜空に包まれた街だ。けれど、そんな夜空はなく花の街と同じように夕日に包まれている、きっと結界が消滅したからだろう。
「到着しました。」
「うん、ありがとうデュラタン。」
口の中から出ると、到着した場所は人があまり寄り付かない場所だった。
スマホを取り出して芽生ちゃんに電話をする。
『もしもし花ちゃん?そっちだいじょうぶ?』
「うん、芽生ちゃん今どこにいるの?」
『えーと、中心部の森に家族と避難してるけど…花ちゃん、ここに来てる?』
「うん。先にそっちに向かうね、それじゃ」
通話終了のボタンを押し、ポケットに入れる。
「行こうデュラタン。」
「わかりました。」
壁沿いをバレないように歩き、中心部に向かって行く。
「ねぇ、この街にも魔女がいるの?」
「はい。5の街全てに魔女とその側近が存在します。」
「側近?」
「ワタクシのようなものです。ですが、魔女が居ないとなれば彼らの存在は一時的に消えてしまっている」
私が魔女の力に覚醒するまでデュラタンが脳内に語りかけている状態になっているのだろうと考える。
「そうなんだ…」
「方角的に、芽生様も彼女に接触していることでしょうね。」
「彼女…?」
「えぇ、ワタクシの妹に当たる存在です。」
「そうなんだ…わっ!?」
突然視界の右側から攻撃されて、壁に叩きつけられた。
「な、に…?」
「お前が新たな花の魔女か。殺す…!」
相手は空人、それに何故か私が魔女だということもバレてしまっている。
「ここは戦うしかありませんね。」
「そう、だね…」
私は立ち上がると、魔女の力を発動させる。
目の前にステッキが生成され、それを掴む。ステッキを振り上げる。
体格のすごい空人の足元に魔法陣が現れるとそこから太い触手が9本現れ、ねじりながら空人を包み込む。
「無駄だァ!!」
けれど一瞬でちぎられてしまう。
「これでも喰らえ…!!」
手に持っていた斧に力を集中させ、それを勢いよく振り下ろすとそこからエネルギー型の斬撃が放たれる。
その攻撃を横に回って回避、壁に斬撃が直撃した。
「っ!!」
私はもう一度ステッキを突き出す。
今度は周りに小さな魔法陣を作り、そこから触手を鞭のように相手の体に強く叩きつける。
「弱いなァ…!!」
「そんな…」
だがまたちぎられてしまう。
「!!」
目の前から空人が消える、当たりを見渡すと突然目の前に現れてお腹を強く殴られた。
「うっ……!」
そのままバタンと膝をついてしまうと今度は首を掴まれて持ち上げられる。
「まだその強大な力を使いこなせていないようだな?まぁいい。俺たちが生きるためには邪魔だ、死ね。」
「ぅ、あァっ?!」
私の首を掴んだ手の力が一気に強くなり、呼吸ができなくなる。
そのまま意識が飛んでいきそうになった。
「アゲラム!突撃!!」
知っている声が聞こえる、同時に掴まれた手が離され呼吸ができるようになった。
「はぁ、はぁ…ごほっ!ごほっ!」
「花ちゃん!大丈夫!?」
私の背中を優しく撫でる、彼女は芽生ちゃんだった。
「って、どしたのその目!?」
「芽生、ちゃんもだよ?その目…」
そういうと芽生ちゃんは「え?嘘、アタシも!?」と言い始めてしまった。このままだと収集がつかなくなってしまうためすぐに話を変える。
「それよりもあの空人をどうにかしないと!」
「あ、確かに…けど、どうするの?」
空人は私を殺そうとしている、だから逃げるよりも戦った方がいい。
けど、魔女の力を私はまだちゃんと扱えない、多分芽生ちゃんも。だから勝てる可能性が低い。
「ワタクシを使えば、高火力の攻撃が可能です。」
「そうなの?」
「えぇ、ただし今の主様では発動するまでは60秒はかかります。それに芽生様」
「ん?なに?」
「貴方はまだ未覚醒です。ですから離れていてください。」
芽生ちゃんは心配した目で私を見る。
「…花ちゃん」
一度深呼吸をしてから、芽生ちゃんに向けて
「大丈夫。心配しないで。」
芽生ちゃんは「わかった」って言って後ろに下がる。
私は前を見る。目の前には空人がデュラタンと似た姿をしたアゲラムを引き剥がした。
「魔女の力を発動させてください。」
デュラタンの言う通りに魔女の力を発動させる、すると服が変化していく。
黒ベースの変わった模様が入ったパーカーのような服装になり、フードが勝手に被される。
「……」
「今の主様は一般の人間の身体能力と比べて大幅に上昇しております。」
「わかった。」
私は脚に力を入れて、一気に近づく。
空人は花に焦って拳で勢いよく殴りかかる、花は一瞬で消えると後ろに移動する。
「!?このォッ!!」
空人は手に持った斧にエネルギーを溜めるとそれを後ろに回転しながら横に振る。
周りの木が真っ二つに切り落とされるが、花は盾を作り防御。
盾を右手で掴むとそれを掲げて走り出す。
「オラッ!!」
斧を振り掲げて勢いよく振り下ろそうとするが、花は走りながら掴んだ盾を勢いよく投げて相手の肘の骨を折ると返ってきた盾をキャッチ、そのまま上に飛び上がると回りながらもう一度盾を勢いよく投げて頭にぶつけた。
「ガッ…!!」
「デュラタン。」
デュラタンに自身のエネルギーを送り始めて60秒が経過する。すると勢いよく地面に潜ると、目の前の空人に向かって地面を泳ぎ向かう。
背中に回り込むと口を大きく開き、飲み込む。そのまま地面に潜っていった。
それと同時に、目の前がぐらっと歪みだして体の力が勝手に抜けた。目の前が真っ暗になった、そこからしばらくはなにも覚えていない。
目の前で急に倒れた友達のもとへ駆け寄る。
彼女の名前を大きな声で呼びながら、体を揺さぶるけどなにも反応がない。
手を心臓部においてみると、ドクン…ドクン…と一定のリズムを取っていることから生きていることがわかって少し安心した。
「はぁ〜、よかった…」
だけど、そんな私に向かって少しいじわるな生き物が語りかけてくる。
「ワタシを雑に扱って、ホント最低ネ。」
雑な扱いは、多分突撃させたことだと思う。
「ごめんね、でもあれしかなかったもんだったから…」
花が危ないと思ってどうにかしなきゃと考えた先がこのプンスカ怒っている体がだいたい赤色のクジラの【アゲラム】、ちなみに名前はないと言っていたのでこの私、芽生が命名しました。ドヤ
「その前に、ここから早く移動しましょう。」
「そうだね…」
このままではまた空人が来てまた戦闘に入ってしまうけど、戦える力がある花ちゃんが気絶しているから私達は確実に死んでしまう。
けれど、最初に避難していた場所に花ちゃんを背負って戻るとしても時間がかかってしまう。
「でもどこに…?」
「着いて来なさい。」
「う、うん…?」
私は気絶した花ちゃんと背中に背負って、アゲラムの後ろをついて行った。
ゆっくり、目を開けた。目の前には浮島が見えいたけど、少し見覚えのある天井になっていた。
視界の端から芽生ちゃんが安心した表情でわたしの顔を見ると、嬉しいため息を吐きながら
「よかったぁ…」
安心した声色で呟いて上半身の力が抜けて地面に横になった。
「ここは…?」
「あー、ここね〜…あの時に見た塔と似た塔らしいよ」
芽生ちゃんの言うあの時とは、多分私が見つけた塔のことだとおもう。
上半身を起き上がらせて、周りを見渡す。石レンガで造られていて、2人だけでは広い部屋には椅子もなにもない。右側には階段、左側にはカーテンのようなものがあり、それで部屋の入り口を覆っている。
その部屋の中には石像となったこの夜の街の魔女がいるのだろうが、結界が壊れているため死んでしまっているだろう。
「あのさ、花ちゃん…」
「どうしたの?」
「もしさ、私達が魔女になったら…同じように結界を創るために石像にならないと行けないのかな…」
芽生からの言葉に目を大きく開く花、彼女自身も少しだけ気づいていた。自分も同じように石像にならなければいけなのかと。街の人々が安心して暮らせる日を創るには自分自身が犠牲にならないと行けないのかと。
「ええ、芽生様の言う通りです。」
「デュラタン…」
地面からデュラタンがゆっくり姿を現した。
「この世界、この5つの街の平和な日常は犠牲があったから成り立っていたです。」
「そう。」
頭の上から声が聞こえ、見上げるとデュラタンと似た姿をしたクジラの生き物…確かアゲラムがふわふわと空中を泳いでいた。
「1つの街に暮らす大勢のニンゲンのために1人の犠牲が必要なのヨ。」
みんなの平和のために、私たちが人柱にならないと行けない。そして残る3人も。
「これも全部、空の街のせいなんでしょ…?」
花は立ち上がって、デュラタンたちに向かって問う。
全ては空の街が突然現れたことから始まったことだ、何故自分たちが犠牲にならないと行けないのか。それがわからなかったから。
「過去の主様も似たようなことを言っていました。ですが、魔女の力だけでは倒せないのです。」
「そんな…」
顔をうつむかせて、服を強く握り締めた。
「その前にアンタの家族のところに戻らないの?」
「そうだった、花ちゃんはどうするの?」
芽生の質問から花が答えようと口を開き、言葉を発しようとしたときだった。遠くの方から大きな爆発と共に、建物が強く、大きく揺れた。
芽生ちゃんは体勢を崩してしまい、地面に倒れてしまう。
「芽生ちゃん、あれ…!」
「え…?」
花が指を指した場所からは、黒い煙が上がっている。
それを見た芽生の瞳は大きく開く。
「そんな…みんながっ!!」
芽生は急いで階段を降りようとしたが、そこにアゲラムが通路を塞ぐ。
「どいてよッ!!」
「アタシの力があれば、すぐに行けるわよ。」
そういうとアゲラムの体が怪しく光る。そして光の粒子となり、芽生の背中に纏わりつく。
背中には翼と、その翼の間にはボンベのようなものが同化する。
『[[rb:単身装備夜翼 > たんしんそうびやよく]]。名前長いからまとめると空を飛べる機械ね。』
「これで…、急がなきゃ!」
「芽生ちゃん!」
花の呼びかける声が聞こえなかったのか、芽生は階段のある方とは逆の方に走り、窓に飛び乗るとそこから飛び出す。
自動的に起動し、そのままスピードを出して煙の上がる場所に飛んでいた。
「芽生ちゃん…!」
花は急いで立ち上がると、そのまま階段を降りて行った。
私には両親はいない。
いない、まぁ…捨てられていた。
私は施設の出入り口にダンボールに入れられていた、そこに職員の月さんが私を見つけた。
その話を聴いたのは15歳の誕生日だった。それまでは何も知らなかったけど成長するにつれて「なんで私はこの施設にいるのだろう。」と考えるようになって「捨てられたのかな」とか考える様になっていたからあんまり驚かなかった。
そんな、私を捨てた親のことよりも一緒の施設にいる家のことが大事だと思っていたから。
みんなの命は、私の命よりも大事な存在だから。
もちろん、花ちゃん達も大事だ。
…後少しで到着する。
近くの人口的に造られた洞窟の近くに降りて、私は走り出す。
たまに転びそうにはなったけど、頑張って走り続けた。
「はぁ…はぁ…」
呼吸が荒くなるほど我武者羅に走り続けて、やっと到着した。
洞窟の入口近くには大きな穴が空いていた。そこの黒い物体から煙が吹き出ていた。
少し呼吸を整えてからゆっくり、足元に気をつけながら洞窟の中に入っていく。
「みんな…!」
中に入って約1分半、突然壁から伝わる感覚が変わりべちゃっとした感覚がした。
自分の手を見た。その右手は肌の色の上に何かが付いている。
左手で右ポケットからスマホを取り出してライトを点けて右手についたものを確認した。
「うそ…でしょ…?」
右手は赤く染まっていた。壁を照らしてみると周りには赤い液体がはねていた。
目の前を照らしながら、前に進んで行く。
「!!」
べちゃっと、左足から鳴りそこを照らした。左足は血溜まりを踏んでいてそのとなりには、誰かの左腕が落ちていた。
その瞬間、芽生の表情は絶望した表情となり少し早歩きになる。
「みんなっ!返事してよ!!ねえ!」
その声は洞窟内に響き渡るが、誰からも返事がなかった。
そして、しばらくしてから芽生の足が止まった。
「ぁ…、ぁあ…!うそ…そんな……」
光に照らされるのは、施設の子供達。それも体が片腕が欠けていたり、片目がなかったり。内蔵が体の外に出ていたりしている…全員、死んでいる。
「……ぇ。」
突然足元に何かが触れた。そこに光を当ててみた。
「つき、さん…?」
芽生の第二の母親である、月の左の手の甲が見えてそのまま芽生はその手を掴んだ。
「え…」
けれど、彼女の手は冷たい。体の中からくる温かさなども全くない。それに驚き、スマホを落としながら後ろに下がった。
スマホが落ちたことで、光が月の身体を照らす。
そこには、月の死体があった。それも大量に血を流し、両目がくり抜かれた状態だ。
「なん、で……」
芽生はそのまま膝から崩れ落ちる。
彼女の今の顔は、絶望と哀しみが混ざった表情をしている。そして涙が静かに流れ始めた。
「ぁぁぁぁあぁぁぁあ!!」
芽生の怒りと悲しみに満ちた叫び声は、洞窟内に響き渡り、中に入ろうとしていた花の元にも届いた。
「芽生ちゃん…」
その叫び声を聞いた花は右手をそっと強く握り締めた。
花が芽生の元に到着したときには、彼女はうつむいて涙を流しており花はそっと後ろから抱きしめた。
「はなちゃん…、みんなが…みんながぁ……」
「……」
花はただ芽生を優しく抱きしめることしかできなかった。
そんなところにアゲラムが口を開く。
「これは、空人にやられたわね。」
「空人…」
それにいち早く反応したのが芽生だった。
同時に立ち上がり、アゲラムに向けて何かを言おうとしたときだった。
「あぁ?誰かいるなぁ」
入り口付近から男の声が聞こえ、足音がだんだんこちらに近づいてくる。
花は戦闘態勢に入った。
約2分、男の姿が見えた。見た目は20代、背中には他の人とは違った白い羽根が生えている。
「なんだ、まだ残ってやがったのかよ。」
その言葉に芽生は敏感に反応する。その顔からは怒りの表情だった。
「お前か、私の家族を殺したのは…?」
「家族?あー、さっき殺したガキと大人のことかぁ。あぁそうだ、オレが殺した。」
その瞬間芽生の中の何かが切れた。
「アゲラム…私に力を頂戴。」
「その言葉を待ってたわ、もちろんあげるわよ。夜の魔女様♪」
その瞬間芽生の体にアゲラムが入り込む。その瞬間、芽生の青い瞳に黄色と赤の模様が入る。
「殺す…。」
そう呟き、右足を強く地面に叩きつけるとそこから黒い液体がドロドロと流れ出した。
すぐに空人の足元にまで流れ着くと、芽生は左腕を前に上げるとバッと強く握る。その瞬間黒い液体から複数の腕がドロっと現れると、空人の足首や手首を逃さないように強く握り締めた。
「なん、だ…これ…!」
「お前はここで殺す。」
芽生はゆっくり、逃げられない空人の元へ歩き出した。
「ま、まってくれ…!ひっ…」
「お前に時間なんて与える価値がない。」
芽生の両目から赤い血が流れている。その顔を見て怯える空人の首に向けて
自分の右腕を伸ばす。
そしてそっと掴む。その後、優しい笑みを浮かべると一気に力を入れ始めた。
「ァッ…ガ…」
力はどんどん強くなっていき、すぐに空人は息絶えた。
腕は液体の中に戻っていき、液体は芽生の身体に吸収されていくと今度は芽生の体からアゲラムが分離した。
「芽生、ちゃん…?」
「ん?どうしたの?」
花に向けた芽生の表情は正反対なもので、笑顔で、嬉しそうな表情になっており少し戸惑いはするも気にしないようにした。
「一応外に出よう?」
「そうだね、少し苦しい…」
二人は洞窟の外に向かって歩きだした。
二人は外に出ると芽生は施設の子供達の悲惨な姿を思い出したのか、口を押さえつけて花たちから離れた場所に向かい、木の下で吐いた。
「ぉえ…ごほっ!ごほっ!」
「芽生ちゃん…」
彼女の元に向かおうとした直後、突然後ろから銃声が聞こえると花が倒れた。
「ぅ…っ…!」
「花ちゃんッ!!」
口から血を流す花を見た芽生は急いで立ち上がる。
そして目の前で高笑いをする女性を睨みつける。彼女の背中には少し小さい羽が生えていることから空人だ。
「こんな状況なんだから後ろ、気をつけないとダメよ?魔女さん」
「っ…」
地面を這って、距離を取ろうとするが背中に女性の足で勢いよく踏みつけられる。花は声をもらして動けなくなる。
「ぁッ!…っ…」
「さて、この娘の息の根を止めないとね。」
そう言って銃口を花の頭に向けた。
「やめろッ!!」
「ッ!」
芽生が割って入る。
相手の持つ銃を叩き落とすと、体勢を低くして腹部を殴りつける。
「お前も、魔女かッ!!」
「だったらなんだ!!」
そう言って高く飛び上がる。太陽が芽生で一部隠れた瞬間、そこから黒い何かが壁を作り出した。
まるで街灯のない夜の街のようだ。
女性は少し驚き、焦るが芽生を待つ。だが、少し違和感を覚えた。
(あの魔女どこにいる…?)
芽生は高く飛び上がっている、だから着地を一度するはずだ。けれど着地したときの音が全くしなかった。
「!!」
目の前から何かが横一列に飛んでくるのがわかり、急いでしゃがんで回避する。
「ナイフ…」
飛んできたのは銀色に光るナイフ。だが壁に刺さったナイフは壁の中に吸収されていった。
直後、背中に何かが突き刺さり少し冷たい感覚と共に痛みが走る。
「な…どこから…」
背中にはナイフが3本縦に突き刺さっており、それは深く刺さっているため血が大量に出ていた。
「さっさと姿を現せ!魔女!!」
そう言いながらホルダーからもう一つの銃を取り出し構えた。
「いいよ。」
「ァッ!!」
後ろの壁から声がすると同時に、背中に深く刺さったナイフの一本が勢いよく引き抜かれた。
激痛に耐えれず、女は地面に跪いた。その足元から血溜まりができる。
「ッ…なん、なの…ひっ!」
突然目の前に芽生が現れ、女の赤い血がついたナイフを彼女の首元に立ててつける。
「痛い?」
なんとも単純な問いに少し驚くが、すぐに答える
「ええ、痛いわよ…」
「そっか、じゃあ…もっと痛くしてあげる♡」
そう言ってナイフを持っていない左手でパチンッと音を鳴らした。
「ヴッ!!?」
背中に刺さった2本のナイフが勝手に動き出し、中にゆっくり入っていく。
「ァッ…や、めっ!あァァァ!!」
激痛に悶え、苦しむ姿を薄っすらと笑みを浮かべながら見つめる芽生。
ナイフの持ちてがもう見えなくなった時、女性の口から掠れた声で一言
「こ、ろし…て、ぇ…」
その言葉を聞いた芽生は右手に握るナイフをもう一度首元に近づけると、横に切り落とした。
頭はころっと地面に転がり落ちて身体はばたっと倒れて血溜まりに浸かった。
芽生はゆっくり立ち上がり、花の元に向かう。同時に黒い壁が消滅していく。
「花ちゃん…」
花の身体は銃弾で貫かれた場所があり、そこから血が流れている。
だが、まだ脈があってそこは少し安心した。
「どうしよう…」
夜の街には今は病院も動いていない。
だからどうすることもできなかった。
「あ…瀬界ちゃんなら…!」
異世界の街に住む瀬界の両親は医者だ。だからそこに急いで向かうことができればもしかするとどうにかなるかもしれないと考えた。
「アゲラム!私を異世界の街に連れていける?!」
「ええ、可能よ。」
「花様はワタクシが運びましょう。」
そう言ってデュラタンは地面の中に飛び込むと、下から花を口の中に入れた。
「アゲラム。」
私が名前を呼ぶと、アゲラムの体が光の粒子になって背中に集まって翼になった。
「行こう…!」
そうして私達は飛び、夜の街から出ていった。