過去の魔女   作:蕾-RAI-

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氷の魔女:答えは決まる

日時、時刻不明。場所:〇◯〇

 街中を走る少女、息が荒い。

「はぁ、はぁ…!」

 フードを深く被った女の子は裏道に隠れると息を整えてからまた表に出ようとした1歩踏み出した。けれど――

「居たぞ!!」「ッ…」

 通路を塞がれてしまい、急いで反対の方向を向いて走り出そうとしたがそっちも塞がれてしまう。

 この状態では普通の人間では逃げることはできない、けれど彼女は上に飛び上がるとマンションの屋上に着地する。風のせいでフードが外れてしまい、空色の髪が見えるがすぐに右手でフードを着け直して走りだす。

(あと少し…!)

 柵を越えて、彼女はまた高く跳ぶと隣のマンションの屋根に飛び移るけれど着地できず少し転がるが立ち上がって走りだす。

 また同じように飛び越えて走り出して行く。

「見えた…」

 そこは道も続いておらず、飛び移る場所もない。だが彼女の足は止まらず、そんななにもないところに自ら飛び降り、真っ白な地上に落ちていった。

[newpage]

[chapter:氷の街]

[newpage]

 4人は氷の街に到着する。

「うぅ…さむっ…」

「だね…」

 氷の街はその名の通り氷で造られた街であり、氷を使った家などが多い。そしてもちろん、温度はマイナスまであるため半袖の花と芽生は寒がるが、元から長い袖な瀬界と火の力を使う春香は普通だ。

「あれ、お〜いみんな〜!」

「ん?この呑気な声は…」

 突然後ろから声が聞こえると4人は後ろを振り返る、遠くから右腕を大きく振りながらこちらに向かってくる女性が見える。

「[[rb:幸 > ゆき]]ちゃんだね」

 瀬界が言うと全員うんうんと頷くと、彼女の元に向かって行った。

「よかった〜、みんな無事だったんだね〜」

 幸はニコニコと笑顔で安心した口調で言う、そんな彼女をみて4人は安心する。

 彼女は常にニコニコとしていて明るく、純粋なためこんな状況に置かれたときは無事かどうか不安に感じていた。

「幸ちゃん…温かい服とか、貸してもらえないかな…?」

「そうだ、いまめちゃくちゃ寒いの…」

 花と芽生がお願いすると、幸は即答で「おっけ〜、いいよ〜」と答えて急いで幸の家に向かう。

 道中、壊れた家が何件もあるがそこには普通に住民が修復作業に入っていた。空人はこの街にいないのかとまた少し安心していると、家に到着し中に入る。

 木製の家で、リビングで暖炉があり温かい。

「好きな場所に座っていいからね〜」

 花と芽生は前側の暖炉近くに座り、瀬界と春香は後ろ側に座ってしばらくすると服とお盆にお茶が淹れられたコップをもって戻ってくると「どうぞ〜」と言ってひとりひとりの前に置いていくと花たちに上着を渡す。

「ありがとう…」「助かる〜…」

 二人は渡された上着を着て暖炉に手を伸ばして温まる。

 そんな二人を見て幸はへにゃっと笑みを浮かべていると、後ろから瀬界は呼ぶ。

「幸ちゃん。少し聞きたいことがあるから教えて欲しいんだ。」

 「りょうかーい」と言いながら幸は椅子に座る。

「幸ちゃんの方はご家族になにかあったりしていない…?」

「大丈夫!ちゃんと元気だよ〜」

 「よかった…」春香が隣で安堵した声で呟き、瀬界も少し安心した表情に変わった。

「幸ちゃんの家に来る途中、商店街行ったでしょう?」

「あ〜、そうだね!街の人達が買い物してた」

「そう。ボクが気になってるのは街に人が居ること。」

 瀬界の住む〈異世界の街〉では空人が街を襲っていて、春香の住む街〈風の街〉では街は空人は居なかったが、1体だけは居た。

 だがここ、〈氷の街〉では空人はおらず、街に住む人達が営業・買い物するほどだった。

「最初はもちろん居たよ?結界が壊れて、空人が襲撃にきて…そこから3日後には何故か空人たちは居なくなって、今あんな感じで皆表に出ていつもの生活に戻ってるし壊れた建物は修復してってるんだ」

 この街では瀬界たちは〈風の街〉に居る時点で何故か空人たちが居ない。それは〈風の街〉で春香に街に吹き飛ばされたときみた崩壊した街で薄々感じていた。

「少しだけ気になっていた点が解決できた、ありがとう。それと一ついい?」

「ん?なに?」

 瀬界は一度息を吸う、数秒の間が開くと瀬界は幸に質問する。

「キミは、空人のことをどう思ってるの…?」

「!」

 幸以外の3人は空人のことを完全に敵だと判断している。

 花は母と姉を殺され、一度は共存を臨んだがそれを否定され、芽生は自分の命よりも大切な家族を全員殺され、春香はたった一人の妹を惨殺された。

 瀬界は、病院に避難している街の人達を殺そうとしていた為、3人の話を聞いた上でとりあえず敵と認識している。

「……」

 この質問で場は凍りついた。瀬界の真剣は眼差し、春香からは少し圧を感じる視線で背中を向けた花と芽生からも同じように圧を感じる為幸は答えがいいずらかった。

 間違えでもしたらこの友人関係が崩壊してしまうかもと感じているからだ。

「僕も、敵だとおもってる…」

 「場に合わせる」という答えで一度逃げる。だが幸の表情はわかりやすい、嘘を吐いているとすぐに瀬界にバレると軽いため息を吐く。

「幸ちゃん、合わせなくて良い。キミの答えが聞きたいんだ。」

 瀬界の右目は先程の真剣なものから、少し柔らかい眼差しに変わる。

「僕は―― 「空人は敵じゃありません…!」 …?!」

 幸の言葉をこの場にいる5人以外の誰かに遮られ、幸はバッと後ろを振り返る。その声は扉で少し壁にもたれ掛かった空色髪で花たちを同じくらいの年齢の少女が瀬界を睨みつけていた。

「どういう意味?それにキミは、誰…?」

「あっ、えーと……ごめんなさいぃ!!」

 だが、瀬界と目が会い、質問を投げかけられると睨みつけていた目が今すぐにでも泣きそうな目に変わって焦りだしてドアを閉めた。

「あ…」「ちょ、ちょちょエルちゃんっ!!」

 瀬界は突然逃げたことに驚き、幸は急いで椅子から立ち上がり、部屋の中に戻っていった少女を追いかける。

「ごめん瀬界ちゃん!待ってて!!」

「…え。わ、わかった…」

 返事を返した頃には幸は部屋の中に入っていたため、瀬界は少し困惑したまま呟いた。その隣で春香が「よしよし…」と優しく言いながら頭を撫でて慰めた。

 が、瀬界は自分の頭に置かれた手をどかしながら春香の方をみて「やめて。」と言った。

[newpage]

 自分の部屋に入ると、ベットの方に向かった。

「エルちゃ…わーぉ大丈夫?」

 ベットには布団で丸くなったエルと呼ばれる少女が居るのだが、完璧に丸まっていてどこが顔なのかがわからない。

 彼女の隣に行くと上の方を右手でちょんと触れるとビクッとエルの身体が跳ねた。だが顔を出そうとしないため、幸は別の箇所を同じように触れる。その度にビクッと身体が跳ねるエルがとても面白くなり本来の目的を忘れて遊びだした。

「ちょっ、やめっ!やめてください!!」「わあ!!?」

 エルが限界を迎えて、布団を幸に投げつける。枕は幸の顔に綺麗にぶつかり「へにゅぅ…!」と変な声を出すとそのまま地面にバンッと大きな音を鳴らして倒れる。

 机の上に置かれていた数個の小物がガタッと浮いて2、3個は横に倒れた。

「あっ、ご…ごめんなさい!!大丈夫です、か…?」

 エルはベットから飛び降りて駆け寄る。

「だいじょうぶ、だいじょう…ぶっ!」

 幸はバッと上半身をあげてエルの右手首を捕まえる。それに驚いて掴まれた方を見ながら変な声を上げる。

「へっ?!」「これで逃げれないね!」

 笑顔で自分を見つめる幸の方を見ると少し戸惑いながらも「は、はい…」と返事を返した。

「さて…雪に頭突っ込んでたエルさん?」

「は…はい…」

 花たちがここに来る前、エルは小さな雪山に顔から突っ込んで倒れているところをたまたま近くを見に来ていた幸に見つかった。

 エルは少し耳を赤く染めて恥ずかしそうにしながら「な、なんですか…」と幸に聞く。

「空の人たちのこと、なにか知ってるの?」

「ぁえ…っとぉ…」

 空人は敵じゃない、そうエルは言った。だから幸はなにか知っていると考えた。

 けれど何かを知っているであろうエルは同じ言葉をぼそぼそと呟いてばかりで話そうとしなかった。

「敵じゃないって言ったでしょ?」

「…そう、ですけど……」

 無言の時間が続く。そんなときだった、外から不愉快で危機感を煽るような警報音が鳴り響き二人はバッと窓の方を振り返る。

「!!」「まさか…戻ってきたの…」

 エルは目を大きく開いて口を軽く開いて窓を見つめ続け、幸は立ち上がって部屋を出ていった。

(まさか狙いは……)

[newpage]

 幸が部屋を出たときには花たちはおらず、椅子は綺麗に揃えられている。

「先に行った感じか!」

 そのままジャケットを取って着ながら靴を履くと、ドアを開けて外へ…扉の鍵を閉じてから右手に握った鍵を右ポケットに突っ込みながら数段の階段を降りて雪が積もる道を急いで走っていく。

そんな彼女を赤い屋根の上から見つめる白い猫が一匹。青く鮮やかな氷のような瞳で走っていく幸を見ていた。

 

 幸が向かっている中、魔女たちは目的地に到着していた。

 4人が横に並び、目の前から数百名の空人たちがゆっくり降下してきていた。

「あんなに…空人が」

「この街には手出しさせない…」

 芽生の言葉に全員が賛同し、まずは花が右足と手を前にだすと花の魔女の力を発動する。地面からうっすらと光る花びらが周りに現れる。

「行け…」

 左手を軽く挙げて、手首を前に出すと周りの花びらたちは一斉に目の前の空人たちに突撃していく。花びらは

空人の背中に生える翼を狙う。直撃した者は体勢を崩してしまい地面に落ちていく。

「は…ぁ!」

 そこに春香が風の魔女の力を発動させ、大きな竜巻を起こす。落ちていく空人たちを巻き込んでいく。

 その竜巻に向かって芽生と瀬界が走り出し、勢いよく飛び上がると夜の魔女と異世界の魔女の力を同時に発動させる。その瞬間竜巻は消え、上空に集められた空人たちと共に二人は暗闇の空間に囚われる。

 

 暗黒の空間、それは夜の魔女の力だ。対象と自分をその空間に閉じ込める、そしてその空間は夜の魔女のみ壁や地面に沈み自由に移動できる。その空間は夜の魔女の側近であるアゲラムの変化能力で造られている。

 そしてその暗黒の空間と似た力を持つ異世界の魔女の想像世界、それは名の通り異世界の魔女の自身が想像した世界が具現化するというもの。その場所は魔女が有利な状況になり、世界を創造、持続するには魔女の想像力が必須である。

 

 その2つが合わさった世界は真っ暗であるがところどころ小さく光り輝いているなにかが周りを舞っていて少し苦しい。それはまるで深海のようだった。

 一人の空人の目の前に泡がふわふわと寄ってくる、それにゆっくり手を伸ばす。触れた泡は割れた、だがそれで終わりじゃない。割れた泡はギリギリ見える大きさにまでなると彼の身体に向かって勢いよく走る。

 まるでナイフで斬られたかのように服は切れ、皮膚も切れて血が流れる。それは足や鼻、目にも。

 周りに浮かぶ空人たちも同じような目に会い、口から泡がぼこぼこと漏れる。この世界を創造したのは芽生がほとんどだった、切り刻み相手に苦痛を与える。自分が大切な家族を失ったときと同じ苦しみを味合わせるために。そんな負の感情がこの空間に反映された。

 

 だがそんな世界は何者かによって破壊される。

 暗闇に白い線が現れるとそのまま左右に開いていき現実世界へと戻される。浮いていた空人たちは地面へ叩きつけられ芽生と瀬界も同じように落ちていくが花の側近であるデュラタンが二人を受け止めて事無きを得る。

 

 花たち二人の目の前には、空間を斬った人物が遠くに立っている。その人物から感じるのは殺意に近いもの、そしてどこか寂しそう…な?

「はっ、花ちゃーん!春ちゃーん!!」

 突然後ろから幸の声が聞こえて振り返ると走りながらこちらに向かっているのが見えた。

ちょうどデュラタンが二人を連れて戻ってきたところだった。

 一つの弾丸が放たれる。それは先程立っていた人物からではない別の誰かから。

 バンッと鳴った音に花は振り返る、すでに弾丸は残り30センチもない距離まで近づいていた。

 

「ッ…!!」「!!」

 

 花は目を大きく開いた。弾丸との間に突如[[rb:空髪の少女 > エル]]が白い綺麗な翼を広げる。花との間に割り込ませた片方の翼で弾丸を弾くと地面に着地すると急いで彼女たちの元へ向かって翼を2つ生やしてそれで花たちを包み込むともう二つの羽で浮かび幸を回収しながら遠くに飛び去っていった。

 

「チッ…逃げられた…」

「……。」

 二人は彼女たちを見つめていた。そのうちの一人は風の街で現れた仮面を着けた空人だった。彼はすぐに後ろを振り返り、彼もまたどこかに行ってしまった。

 そして銃を握った女性の空人はイライラしたまま仮面の空人とは反対に歩いていった。

「あの裏切り者めぇ…」

 彼女が呟いた裏切り者、とは――

[newpage]

 エルは飛び続け、幸の家近くに着地すると白い羽から花たちをゆっくり離すと疲れたのか息を切らしてふらふらと地面に尻もちをつく。

「ねぇ…」

 そんな彼女のもとに芽生が声のトーンを低くして近づく、エルはゆっくり顔をあげるとどんな感情をしているのかわからない芽生の顔に少し怯えると襟元を掴まれる。

「ひっ…」

「どういうつもり…?答えろッ!!」

 芽生はもう片方の手でも襟元を掴んで勢いよく叫び、質問する。

「わっ…わたし…は…」

「ちょいちょい芽生ちゃん落ち着いて?ね?」

 そこに幸が割って入ると芽生を落ち着かせる。彼女は少し不機嫌になるが「ごめん」と呟いてゆっくり手を話して軽く深呼吸をした。

「一回中に入ってから話しよっか!そのほうがいいでしょ?エルちゃん…」

 優しく涙目のエルを見つめるとエルは「はい…」と呟いてから幸に支えてもらいながら6人は家の中に入っていった。

 

 机に座り、しばらくして幸がココアをひとりひとり置いていき最後に自分の分を置いてエルの隣の椅子に座った。それを見た瀬界は軽く息を吐いて目の前のエルを見て一つ質問する。

「キミは、空人なんだよね?」

「…はい…ごめんなさい。」

 エルは謝罪の言葉を述べて頭を下げる。

「でもどうしてここに…?」

「魔女が覚醒したって、聞いたので…それに…こちらの街でも被害者が急激に増えだした、ので…」

 その言葉と同時にバンッと机が叩かれそれに「ひっ…」と声を上げる。

「被害者が増えた…?こっちはね、大切な家族も妹も…帰る場所も奪われたんだよ!!?被害者とかふざけないでよ…一番の被害者はこっちだ!!」

 春香が椅子から立ち上がり、隣のエルに向かって叫ぶ。

 被害が出ているのはこっち側であり、被害が出る原因である空の人間がそんな事言うことがおかしいと。それには全員黙っていた。

「そんなのわかっていますッ!!」

 エルは泣きながら言い返す。

「あなたたちが、一番の被害者だってわかっていますッ…!でもあの人達はあんな好戦的な性格の人間じゃないんです!!」

 その言葉に瀬界が過剰に反応する。

「まって、それどういうこと…?」

 エルはゆっくりと説明する。

「わたしたちの街の人たちはとても優しい方たちがたくさんいます。争い事などもうしないと…それなのに突然街は変わりました…ある一人の男性が、争いをしようと…」

 そこからエルが話した内容はこうだ、その男性が街の王をなにかを使って「洗脳」し、そして街の男性たちや一部女性はある施設に強制連行されて王と同じように洗脳を受けたことで好戦的な性格に変貌して、下の5つの街に襲いかかった、と。

 その話を聞いた5人は黙り込んだ。その男以外の空人も被害者なのだと知ったからだ。

「このことを知ってほしくて…わたしは厳重な警備から抜け出してこの街に降りてきました。それともうひとつ…」

 今度は先程より小さな音で机が叩かれる。それは芽生だった。

「ごめんだけど、それでもアタシは変わらないから…」

 そう言ってココアを飲み干して外に出ていった。その直後「ごめん、わたしも…」「うん…」と花も春香の出ていき「ちょっと皆!!」後を追うように瀬界も出て行ってしまった。

 そしてリビングにいるのはエルと幸の二人となった。

「やっぱり…だめですよね…春香さんが言っていた通りで、大切な人、家を無くしてしまうほど大きな被害を出してしまっている以上…」

 エルはそう言いながら椅子の上で体育座りになって膝に顔を埋める。そんな彼女の背中をやさしく擦る幸。

「きっとわかってるよ?みんな…」

 幸は見ていた、みんなは複雑な表情をしていたことに。

『でも魔女たちは戦うことをやめなとおもうけどネ』

「え?」「へ?」

 二人は素っ頓狂な声を出して後ろを振り返ると床に白色の猫がおり、自分の身体を舐めている。

「だ、だれ…?」

『あたいは氷の魔女の側近。わからないの?』

「い、いや…わ、わかんないっす…」

 幸と白猫の会話に戸惑いながらも返事を返す。

 エルはじっと白猫を見つめて黙っていた。

『あんたはどうしたいのよ、敵側の事情を聞いて…戦いをどうしたいの?』

「……」

 幸は一度自分の足元を見た後、エルの顔を数秒見つめた後答えを決めた。

「止めたい。」

 その答えを聞いた白猫は呆れたように鼻で笑うと「がんばりなさい」と言って力を譲渡した。

「それで、あたしの名前は?」「え?」

「さっさとしてよ…名前なんてぱぁ〜っと思いついたものでいいのよ。」

「えっと…じゃ、じゃあ あられ で!」

 白猫は気に入ったのか同じ単語を繰り返し呟きながら玄関前まで歩いて行くと幸たちの方をみる

「ほら、いくわよ。」

「はい!!エルちゃんも!」

「へっ!?わたしも!?」

 エルはそういうと幸はニコッと笑顔で笑い返す。そして自分に差し出された手を掴んで二人は家から出て行った。

[newpage]

 空の街の中央に建つ大きな城のある一角。その大きな部屋には沢山のベットがあり顔半分が機械で隠された若い男女が一人一人眠っている。

 その奥に仮面の男とその男と共に風の街にいたもう1人の男が話をしていた。

「魔女たちの味方をしていた、と…」

「…。」

 仮面の男は縦に頷く。もう1人の男は「うーん…」と考え込む。

「殺していいよ、元々捕獲したら殺すつもりだったしさ〜」

 そう軽く明るく言って作業に入る。

 自分の腰ほどの機械の液晶画面を操作する、その画面には6人の名前と体の状態、謎のメーターが表示されているが人差し指で上になぞるとまた違う人のものが表示される。

 このデータは今眠っている人たちのものである。

「頼んだよ。【トゥール】?」

「…」

 トゥールと呼ばれた仮面の男は一度頷き、どこかに去って行った。

「これからが楽しみだよ…」

 男は軽く口角を上げて呟いた。

 

 一方その頃、花たちは誰もいない公園のベンチに座っていた。

 公園にある遊具には子供たちが数人、仲良く遊んでいてそれを眺めていた。

「…楽しそうだね」

 まるで前の自分達みたいに。

 5人はたまたま出会った、住む場所も違う。ただ音楽が好きと言う共通点で仲良くなったのだ。

「似てるよね、前のアタシたちみたいに…」

 遊ぶ子供たちは音楽について楽しく語り合っていた自分達に似ていた。

「今では、こんな大事な役割を持つことになるなんて思っていなかった。」

 今ではこの5つの街を救うために必要な魔女としての力を与えられてしまった。

「だから守らなくちゃいけない…みんなの大切な場所を…」

 自分たちの分、他の人達の大切な1度しかない人生を汚されないように。

 その理由があったから、洗脳されていても汚した空人を許さなかった。罪を犯しているのだから。

「確かにそうだね…でもボクはさ…エルさんの言ってたことが本当なら、助けてあげるっていうのもありなんじゃないかな?そしたらもうボクたちは殺めたりしなくてすむ。」

 3人はなにも喋らなかった。

 そんな中で再び警報が街中に鳴り響いた。楽しく遊んでいた子どもたちはすぐに逃げ出す。春香が立ち上がり、俯きながら

「行こうか。みんな…」

 2人が先に立ち上がる4人には答えはない。今はただ迷っているだけだ。特に花は――

「……うん。」

 少し遅れて花は立ち上がって芽生の隣に並ぶと商店街の方へ走りだした。

 

 

 商店街のある下町へ行くとそこは最初に見たときの明るさとは逆だった。

 そこは暗く、いくつかのお店にはシャッターが閉められているが、そこには誰かの血がはねている。そしてその場には沢山の人の死体があり、まるで洞窟に避難していた家族の死体が頭をよぎってしまい芽生は目を大きく開けていた。

 商店街の中心には街の住人の首を掴んで持ち上げた空人がいる。だがその空人は今まで見たものとは違っていて脚が人間のようなものではなく継ぎ接ぎで作ったかのような脚だった。

 そんな空人に向けて風が吹く。

「……?」

 掴んでいた手と共に人間が消え、後ろを振り返ると黄色い髪色をした少女が自分の手を投げ捨てながら人間を地面に寝かせる。

「冷たいでしょう?もう彼は死んでいる、残念だったね。」

 脚が異型の空人は春香に言う。彼女の言う通り、触れたときには身体はとても冷たかった。その感覚がまだこの両手に残っていた。

「また消えた…?」

 春香は目の前から消え、あたりを見渡す。彼女は天井の柱から火の力を使用して一気に近づく。拳を突き出して相手の身体に向けて殴りかかった。だが相手は一瞬で上に跳んで行き拳はレンガでできた道に直撃して凹み、拳からは少し煙が上がる。

「あははっ!!」「!!」

 春香が上を向くと同時に楽しそうな笑い声を上げながら空人が襲いかかる。

 だが春香は急いで地面を転がり、回避する。それと同時に空人が着地したことで地面が少し揺れて春香は一瞬だけ動きが鈍くなる、その瞬間に空人は一瞬で春香の元へ近づき両足で春香を吹き飛ばした。

「ッ…!!」

 花たちが立っている隣のファミレスのガラスを割りながら壁に頭を叩きつけられ、地面に横たわる。

「っ…ぁ…」

 壁からは春香の血が付き、口から少し血が流れていた。腕で血を拭って立ち上がろうと手を地面につけて力を

入れたが――

「ぅ、っ……!ぁ…」

 ガラスの小さな破片が脚に刺さってしまい痛みが体中に走るが、我慢しながら近くに設置されていたテーブルを使って立ち上がる。その間に空人が花たちを無視して店の前にまで来ている。

「ぁ…っ!」

 立ち上がれたのはいいものの、痛みが強くすぐ地面に膝をついてしまう。それを見た空人はうれしそうに笑う。

「あははっ!これじゃ、わたしの攻撃は避けきれないねッ!!」

「ッ…ァア!!」

 唇を噛み締め痛みを誤魔化しながら高速で近づいてくる空人を回避、それに驚く彼女だったがすぐまた襲いかかる。

 春香は回避しながら店内をぐるっと周り、外へ出るとそのまま花たちが居る場所とは逆の方向に走り出し、空人は高く跳びながら春香を追いかける。

 春香はただ走ることに集中し続け、やっと外へ出ると雪のせいで踏み込めずにそのまま倒れてしまう。

「これで、終わりねェッ!!」「はぁ…はぁ…」

 春香の長い脚から白い雪が赤く染まっていく。もう力が出ず、ただ呼吸するだけでそんな彼女に空人は容赦なく跳び上がり踏みつけようとする。

 だがそこに魔女が割って入る。

「うるさいな。」「!!?」

 芽生は春香の前に立つとそのまま空人のもとへ跳びだすと、魔女の力を発動させた。夜の魔女が作り出す空間に空人と2人だけが閉じ込められる。

 明かりのない、真っ暗な世界。それに困惑する。

「どこ…?」

 空中に居たはずが、いつの間にか地についていることに気づかず空人はただいま起きたことの疑問を吐く。その後ろの壁から青い目が現れると中から芽生が現れ、そっと

「ここは、アタシがアゲラムを使って作った空間。」

 空人はビクッと身体を震わせて振り返る。そこにはフードを被った芽生がいて、手には一本のナイフが握られておりそれに怯える。

「ひぃっ……」

「まっずっは〜♪」

 怯え尻もちをついた彼女に芽生は気にせず近づいていく。そしてナイフの先端をある部位に向けて

「まずはその脚から斬るね。」

 普通の人間とは似た形ではあるが、色は質感がまったく違いところどころ別の素材をつなぎ合わせたかのようなその両足に向けてナイフが振り落とされた。

「いぎっ…!」

 ナイフは脚に刺さると手を離して指をパチンと鳴らすと芽生の周りに5本のナイフが現れるとそれぞれ2本はすでに1本刺した右へ、残った3本は左脚に向けて動き勢いよく刺さり奇声をあげる

「ぁあああぁぁああああっッ!!」

「ここからだよ〜♪」

 痛みで涙を流すが、今の芽生には見えていない。再び指を鳴らすと両足に刺さったナイフが抜け、勢いよくまた刺さる。それが何度も何度も繰り返される。

「やめッ…ァ゛ア゛ッ!!ごめん…な゛ざい…、ゆるじて゛ぇえ゛ぇ…」

 泣きながら謝る。けれど芽生の返答は

「だ〜め♡」「ァアぁぁぁぁッ!!」

 とうとう両足は斬られ、離れる。血は流れていない。

「あ、あぁァぁ……」

 作り出した空間が消え、芽生がゆっくり着地するも空人は雪の上に落ちてその隣に斬り離された脚が落ちる。

 その脚に手を伸ばしながら呟く。

「やっ、と…うごける、ようになった…のに…」

「…!」

 ただただ簡単な理由で芽生は目が覚めた。そして両手がぶるぶると震え出し、後ろに下がっていってしまう。

「動けるようになった」、その言葉からわかった。彼女の脚が異形だったのは脚が無かった、もしくは脚が動かなかったから。

 自分がしたことは、彼女が長い間抱えていた苦しみを再び与えてしまったこと。

「あ、あたし…」

 芽生は混乱する、自分の髪を左手で握りながら後ろに下がって、地面に尻もちをつく。

 そんな芽生を睨みつける空人。

「ぶっころっ――」

 言いかけたところで、突然頭から血が噴き出す。

「…え、ぇ?」

 自分から流れる血に驚きながら手を見る。明らかにぼこぼこと体の中が動き出し、破裂した。

 地面に、芽生の顔に血は飛び散った。撃ち殺した者は少し遠くの森の中だった。

「使えないものは、片付けないとね。魔女の相手はよろしくね?」

 彼女は一度花に向けて弾丸を放った女の空人。彼女は隣に集まる各部に異型のものを持つ同族に向けて言う。彼らは無言で前に歩き出す。

「また……」

 芽生は腕や片足、目など先程の両脚が異型だった空人のような者達が現れ焦り、涙が流れてしまい、春香のもとに居る花たちはただ黙ってこちらに向かってくる空人たちを見つめていた。

 戦わなきゃ、命を奪わなければいけないのか。その言葉が花たちの頭の中に現れる。だがこのままでは4人の命はない、特に春香。傷は治せたもののすぐ元の動きができるかと言われたら多分無理。

「足止めだけでも……」

 そこに立ち上がったのは瀬界。数歩前に歩き、自分の能力が花たちにまで影響しないよう距離を取って右目が隠れている髪をあげた。その蒼い瞳が空人たちを捉え、力を発動させようとした時だった。

「待って」と、聞き覚えのある声が聞こえた。

 その場に居た魔女たちは驚き、声のする方を向いた

「幸ちゃん…とエルさん…。」

 息を荒くし、空人であるエルと背中にマケット銃を持つ幸とその隣に立つ反対側に立っており、幸の服は黒い服でお腹が少し露出、その上からジャンパーを来て腰には前右側から横左側までローブか着せられている。長く、ピッタリのズボンで氷のような色をした靴となっていた。

「僕に任せて…!」

 幸は背中のマケット銃を取り出しながら走り、エルは瀬界の方へ向かう。

「はっ…!」

 幸は勢いに任せてスライディング、相手の股を通り過ぎるとパッと立ち上がり目が異型の空人の背中に向けて銃を向けて「ごめん」と呟いて弾を放つ。

 普通は撃ち抜かれて死ぬ、だが幸…氷の魔女は違う。空人の体は弾が入ったところからだんだん凍っていき、氷の中に閉じ込められる。

 構えた腕を少しゆっくり下ろして一呼吸。激しく身体の内側で鳴り響く音を落ち着かせる。

「アァァア!!」

 腕が異型の空人は叫びながら幸の頭目掛けて後ろから殴りかかる、だが幸は上半身を下に降ろし左手を地面に付け、それを軸として長い脚を使って軽く周り空人の足を蹴り体勢を崩させる。

 幸は回った勢いでそのまま立ち上がると倒れている者に銃を向けて弾丸を放ち、飛び越えて最後の一人の方に向かう。

「ヴアァァァッ!!」「はァァァッ!」

 最後の一体の空人は異型の片足を勢いよく突き出す。幸もマケット銃を地面に落とし、くるっと1度回って右脚を突き出したことで二人はぶつかり合い、後ろに下がる。

 雪の上を転がり、銃を手に取って立ち上がると構えてトリガーを引く。

銃口から放たれた弾丸は氷のように透き通っており、そのまま起き上がろうとする空人の胸に向かって直撃。身体はどんどん氷漬けにされていった。

「……ふぅ…。」

 息を吐いて落ち着かせる。冷たい冬の風に当たり少し当たってから後ろを振り返り急いで花たちの方へ向かっていった。

[newpage]

 これは幸が空人の相手をしていた時。

 エルは花たちを安全は場所に移動させていた、花は自分より少し身長が高い春香を背負ってエルは芽生を抱き上げて移動していた。近く坂道にあった大きな氷の元に来ると花が春香を下ろしてもたれ掛からせその隣に瀬界が、エルが芽生をゆっくり下ろして幸の方を振り返った時だった。

「ぁ――」

 突然鳴った銃の音と同時に自分の頭が撃たれた。

「エルさん!!」

 瀬界が心配して駆け寄ろうとしたときだった、ふらふらと今すぐ倒れそうなエルの元へ再び音と同時に弾丸が放たれる。

「…ッ!!」

 自分の白い羽根で弾丸を防ごうとするが視界がすこしぐらついたせいで高さが合わずに左胸が貫かれた。

「かはッ…!」

 口から血を吐き出し、白い羽根には赤い血が付着する。瀬界が氷から出そうになるのが見えると口を開けて止める。

「こないで!!」

 瀬界は止まり、目を大きく開いたままエルを見つめる。そんな彼女は笑みを浮かべる。

「わたし…は、ちじょう…のぉ、ひとたち、とぉ…いっしょに、いきて…いけるかも…て…おもっていました…でも…」

 エルは左胸を押さえていた手を見ながら続ける。

「ここまで…くるとぉ、もう…だめかもしれませんね…」

 そう言った瞬間、エルの顔や手の血管が薄く紫色に変わりだす。

「じゃあね…まじょっ、のみなさん…!!」

 悲しい、希望を失った笑顔と共に3回目の弾丸が放たれる音が聞こえるとエルは羽根を動かして弾を防ぐが反動で坂道を転がり落ちて行った。

「「エルさんッ!!」」

 花と瀬界が叫ぶ、二人は黙ったまま唇を噛みしめる。

 

 

坂の一番下にまで転がったエルは倒れたまま息を荒くしていた。

(きっと、空人も一緒に暮らせるって…思ってたのにな…)

 エルの家族は兄を除いてそれ以外は居ない、友人は指で数えられる程度だ。

(にいさんに、最後くらい会いたかったな…)

 兄は連れて行かれ、地上に降りていったと聞いた。それが一番のエルが地上に降りようと決めた理由だった。たった一人の自分の家族を探すために。

(にいさん…)

 悔し涙を流してエルはぼこぼこ腫れ、感覚がほとんどない自分の手を握った。そんな彼女の前に誰かが歩き、近づいてくる。

「にい…さん…?」

 絶対違うと思いながら少しの希望を賭けて呟きながら少し笑みを浮かべながら目を開けはじめる。目を開いた時、そこには仮面を着けた男が立ってエルを見ていた。

「…にい、さん?」

 仮面の男は、答えもせず言われていた命令を遂行する。腰の刀を抜刀、その勢いのまま――斬った。

刀を鞘に戻すと彼は自分の右手が震えていることに気づく、そしてそのまま自分につけられた仮面を外してしまった。外した途端、一粒の透明な何かが雪の上に落ちた。

 仮面を外した彼の顔はとても―――。

 

 

 一方幸は撃たれ、落ちていくエルを見て思考と足が止まっていた。

「なん、で…?」

 ぽつりと、そう呟いた。

「ふざっけんな…ァ!!」

 銃を森の方へ向けて弾を放つ。弾丸は森の中で潜む者の近くの木に当たる。

「やるね…もうバレてるし、出るか。」

 彼女は森から出てくる、幸は現れた空人を睨めつける。そして再び弾丸を放つ、一瞬で空人の目の前にまで弾丸が飛んでくるがギリギリでかわす。くるりと一回転しながらこちらも銃を構えてトリガーを引いた。

 銃口から勢いよく飛び出した弾丸は幸に目がけて進む。

(絶対にィ…許さないッ!!)

 幸の心に怒りのスイッチが入る。エルを殺した、今目の前にいる敵は絶対に生かしてはならないと。

『氷の魔女、完全覚醒。』

 マケット銃に化けた魔女の側近【あられ】が呟くと、幸の瞳が氷のような空色に近い瞳に光る。その瞬間目の前に氷が現れると弾丸がそこに直撃。目の前の氷の壁を蹴り割って、前に進む。

「ふざっけんなァ!!」

 空人は弾丸を放ち続ける。だが、氷で足場を作り回避などと様々な方法で避けられてしまい、もう

目の前にまで来ている。

(これが魔女の力!?おかしすぎるでしょ…!)

 また銃を構えてトリガーと引こうと手を添える、その瞬間幸は弾丸を放つ。その弾丸は空人の持つ銃の口に入っていきトリガーを引いても弾は出てこない。そして幸が放つ弾丸は特殊なもので、銃は内部から氷漬けにされて使い物にならなくなった。

(これだけだと思うなよ…)

 空人は使えない銃を投げ捨て、右ポケットに手を隠した。幸はそんなことに気づかず近づいていく。

「じゃあね。」

 一気にポケットから手を出すと、その手には銃が握られておりそのまま発泡される。

(この距離なら、無理でしょ。)

 勝ちを確信した、もう氷の壁を作ったりなどもできない距離で幸は左手を横から斜めに突き出して

「ッ!!」「…は?」

 弾丸を素手で捕まえた。それに驚き、手に握っていた銃を落としてしまう。

「それじゃ、次はこっち。」

 左手を地面に振って弾丸を落とし、右手でマケット銃を相手の額に向けて弾丸を放った。

「がッ…!!」

 弾丸は額から貫き、血が白い雪を汚す。そのまま空人は地面に倒れた。

「お返し。」

 幸は相手の心臓部に銃口を向け触れさせて、トリガーを引く。バンッ!と鋭い発砲音が静かな空間に鳴り響いて白い雪に赤い血が広がり始めた。

[newpage]

 冷たい風が、幸の背中まである髪がなびく。

「はぁ…」

 口から白い煙が出てはすぐに消える、なんとなく生きてるんだなって思える。

 なんでなんだろう、突然急に彼女の笑い声と笑顔を思い出してしまう。

「あぁぁ……、なんで泣いてるんだろ…」

 思い出しただけで涙が溢れて、止まらない。短い時間だったけれどその分楽しい時間だった。

 もう、こんな日が訪れることはない。

「大丈夫?幸ちゃん…」

「ありがとう…瀬界ちゃん…!」

 瀬界は幸の背中を優しくさすり、時々ぽんぽんと優しく叩く。

 まだ心の整理がついていないのに、運命は待ってくれない。

「ここから、どうするの?」

 あられはマケット銃から元の白猫の姿に戻っていて、僕たちに問う。

「もう、わたしたちがすることは一つしかないよ。」

「!花ちゃん…」

 声がする方へ向くと花と芽生と意識が戻った春香が来ていた。

「エルさんのことは残念だけれど…もう…」

「瀬界ちゃん…」

 俯き、呟く瀬界に驚きながら幸自身も答えを決める。

 空人は洗脳をされて降りてきている。その原因が誰かがわからない。きっと届かない空の上、このまま放置してれば被害が出るだけ…

 涙を拭い、答えを出す。

「僕たちが、この世界のために…犠牲になろう」

 その答えを口に出すと、4人は頷くと

 

ここから、彼女たちの話の終わりが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森の中、仮面を外した男はふらふらと歩いていた。そんな彼の元に1人の人物が現れる。

「ダメじゃないかトゥール、せっかくこの私が作った仮面を外すなんて。」

 目の前には白衣を着て、背中から小さな羽が生えた男。彼はこちらに近づいてくると、左手に持っていた仮面を取り上げて、付け直される。視界は特に変わらない。

「さて、ここからが始まりだよ?トゥール。」

 そう言ってこいつはベルトを差し出してきた、それを手に取ってベルトを装着するとベルトに装填されていた機械の一部が光りだした。その瞬間、少しだけ残っていた意識が完全に消えた。

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