【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】 作:『代行さん』
『世界人口の約8割が何らかの特異体質を持って生まれてくる時代『個性社会』ー日本人口に当て嵌めた場合約1億人は特異体質を持っていることになる。そんな中で『個性犯罪』は年々その数を増している。単純な話『個性犯罪』に巻き込まれる確率もまた増える』
緑谷出久の母
「最近多いわね」
緑谷出久
「そうだね」」
『一方で"普通"の事故や事件の発生もまた増加傾向にある今日この頃。緑谷出久はテレビに映る炎上する道路を眺めながらそう思った。』
緑谷出久
「…」
粗大ゴミや標識の問題は早々に解決した。役所より場所の指定がありそこまで運べば回収してくれるとのことだった。
緑谷出久
「そんな指定するんだったら、清掃もして欲しいな」
"ぼやいた"緑谷出久の腕は洗濯機を持ち上げていた。それは一般家庭にある様なドラム洗濯機というより"コインランドリー"で見かける乾燥機能付きの物だった。持ち上げた最初は動くことも叶わず下ろそうかと迷った緑谷出久だったが持ち上げる時間が長くなれば長くなるほど持ち上げていると言う感覚自体がなくなっていき、質量もまたそれに応じて軽くなっていくのを感じた。
数十秒もすれば質量はないも同然となり、腰への負担もまたなくなった。不思議に思いつつ指定された駐車場の一角に洗濯機を下ろした時、地響きと共にコンクリートが揺れた。
緑谷出久
「うわ!?」
持ち上げていた緑谷出久自身もそんなつもりはなかったがーかなりの重さのそれが地面に向かって何のクッションもなく置かれれば起こって仕方がない現象だった。
緑谷出久は再度洗濯機を持ち上げようとしたー最初に運ぼうとした時より早く持ち上がったものの確かな抵抗を受けた。
緑谷出久
「…」
緑谷出久は違和感を感じることのない自身の手を眺めながら海岸へと戻って行った。
黄昏時、多少の汗をかきながら昨日と比べて目覚ましい進捗に気持ちよく背伸びをした。海に反射する太陽の光は眩しく、伸びから戻った緑谷出久は目を細めながら沈んでいく太陽を見送った。
若い男
「おっと」
緑谷出久
「す、すみません」
若い男
「ごめんごめん、ちょっとよそ見をしちゃってたみたいだ、怪我はないかい?」
緑谷出久
「いえ、僕の方こそ、だ、大丈夫です」
帰路につかんと振り返った緑谷出久は自分より背の高い男性の厚い胸板に弾かれると鼻を押さえながら立っていたところから素早く後退りし"そそくさと"その場を後にしようとした。そんな緑谷出久の背中に声が掛かった。
若い男
「ねぇ君」
緑谷出久
「あ、はい」
若い男
「これは君がやったのかい?」
振り返った緑谷出久はゴミの山を眺める若い男が目に入った。
緑谷出久
「あ、いや、それは元々海岸に打ち上がっていたもので、決して僕が捨てたとかじゃなくてですね」
若い男
「めっちゃ早口」
緑谷出久
「ご、ごめんなさい」
若い男
「ごめんね聞き方が悪かったね、これを運び出したのは君かい?」
緑谷出久
「は、はい!僕です」
若い男
「凄いね、こんなに重そうなものを一人で!しかもこれ程の量」
緑谷出久
「い、いや、あはは」
若い男
「君名前は?俺は通形ミリオ、ミリオでいいよ」
緑谷出久
「み、緑谷出久です」
駐車場の灯が点灯し、その灯の下で通形ミリオと握手をした。その姿は逆立った金髪にカートゥーンアニメのような(あっさりとした)白目がない曇りなき目をしていた。それとは対照的な"立体感3割り増し"筋肉質な肉体は弛まぬ努力の結晶だと見てとれた。
通形ミリオ
「緑谷君は鍛えてるのかな?それとも個性?」
緑谷出久
「個性です」
通形ミリオ
「そうなんだね」
握手を終えた通形ミリオは緑谷出久の周りを《ぐるぐる》周りながら品定めを始めた。緊張のあまり緑谷出久はされるがままになっていた。
通形ミリオ
「うん!筋トレするといいかも」
緑谷出久
「え?」
通形ミリオ
「俺の直感、今個性を使うと体が痛むでしょ?」
緑谷出久は指摘を受け『腰が痛くなった』ことを思い出した。
緑谷出久
「確かに痛くなりました」
通形ミリオ
「個性ばかりに頼っていると感覚が鈍くなっちゃうからね」
緑谷出久
「なるほど」
緑谷出久は帰り道に自分の腕を眺め、腰回りを眺めた。先ほど別れた通形ミリオの体つきを思い出して考え込む。
緑谷出久
「あの口ぶりからして近接戦闘系の個性ではなさそうだ、だから肉体強度を上げる必要があるのか、参考にしよう。それにしても何の個性だろう?肉体強化系?投射系かもしれない。うん、あの驚き方からして強化系であっても時間もしくは強化量が少ないのかもしれない」
通形ミリオと別れてから時間が経つ度に聞きたいことがひとつまたひとつと増えていった。どんなトレーニングをすればいいのか、どんな個性を持っているのかなど、些細な事でも話をしてみたいそう思う雰囲気を持っていた人だった。
緑谷出久
「もっと話がしたかったな」
心残りがありつつも身体を休めるべく帰路に着く緑谷出久の足取りは軽いものだった。