【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】 作:『代行さん』
筋トレといっても何をすればいいか分からず緑谷出久は考えていた。それもその筈ー黒くなった両手は触れたものの質量を徐々に奪っていくー生半可な質量のものは錘にすらならないー重すぎるものは持ち上げるのに時間が必要になり邪魔になってしまうことに加えて身体を痛めてしまう。筋トレに関して緑谷出久は難儀していた。
緑谷出久
「ランニングは"一先ず"継続するとしてこの手は鍛えられるのかな?」
鏡の前での自問自答。シャワーを浴びる為に脱いだ服の下、久しぶりに見た鏡の中の自分は余分な脂肪は少ないものの筋肉があるという訳ではなく、張った皮膚に映る筋肉から『やや細身な印象』を受けた。
シャワーのお湯を受けた手は案の定ー感覚を示してはくれなかった。浴槽に浸かりつつ"じっと"考え込む緑谷出久は『皮膚に泡が無数にくっついている中、両手だけ何もついていないことに気がついた』
緑谷出久
「これ」
緑谷出久は浴槽から勢いよく立ち上がった。体から上がる湯気は天井に向けて上がる途中、両手に当たる直前に"見えない何か"に接触すると両手を避けるように天井へと向かった。
その姿に見覚えのあった緑谷出久は自分の『記憶』から1人の個性を引き出した。
緑谷出久
「エアロダイナミックフィールド?」
アメリカで活躍中の『No2ヒーロー、キャプテンセレブリティ』ー【飛行】の名前が上がった。熱や冷気、衝撃などの外部干渉を遮断する役割を持つ空間を作り出す【個性】である。『これが本当なら大変なことだ』そう思った緑谷出久は湯浴みを早々に終えると騒々しく準備を始めた。
緑谷出久の母
「出久?そんなに急いでどうしたの?」
緑谷出久
「ちょっと用事を思い出して」
隠しきれない喜びを表情に出しつつ、急いで玄関までやってきた母に断りをいれー勢いよく外へ飛び出した。
緑谷出久の母
「最近忙しそうね」
飛び出したはいいものの【個性】の制御が効かない緑谷出久は近くの公園で不審者同然の行動を続けていた。
緑谷出久
「ほぁあ〜」
間抜けとも"とれる"そんな掛け声、行動を始めて数十分ー試行錯誤22回目を記録した辺りで一旦冷静になった緑谷出久はノートに記録を始めた。《ブツブツ》と連なる自問自答の数々は『熱意』の表れか、その表情からは必死さすら感じられた。
緑谷出久
「キャプテンセレブリティの独占インタビューには体に纏うイメージって言ってたな」
『記憶』から呼び起こした内容と『将来のためのヒーローノート』を照らし合わせるーそのひとつに『触れた対象にも伝播する』とあった。『海岸』での出来事から逆算し、それについては理解していた。しかし、思いつく全てを試したものの実現には至らなかった。
緑谷出久
「どうすればいいんだ」
緑谷出久の今後の課題としてランニング、"海岸清掃"兼筋トレ、個性把握となった一日の締めくくりだった。