【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】 作:『代行さん』
◆◇◆◇◆
緑谷出久
「あの巨体はオールマイトに固執してるんだ」
飯田天哉
「まさか?この状況でアレをやるんじゃないだろうね?」
緑谷出久
「上手くいくかは分からないけど威力は保証する」
飯田はフードコートで緑谷が見せた一発芸がこの作戦の要ということに不安と馬鹿馬鹿しさで考えることをやめた。
◆◇◆◇◆
物陰から飛び出した。緑谷は大きく振りかぶり、拳に収まる程度の礫を投擲した。初速の速さこそ"一般球児"と比べやや劣る速さだったが、投球はー瞬の間に加速を始めた。
緑谷の投擲した礫が"モヤ"の顔面に触れた。それは煙故、頭や目を形作っていた部分が石を受けた水面の様に歪んで崩れた。手応えはなく攻撃としては不発と言えたが、緑谷は叫んだ。
緑谷出久
「飯田君!!」
飯田天哉
「うおおぉぉ!!」
物陰から飯田は足の"ふくらはぎ"から生えているマフラーから腹に響く【エンジン】音を出しながら走り出した。その足の速さは礫の比ではなく、車の如き速さで巨体に向かい始めた。
黒いモヤ
「何か御用でしょうか?」
"クグもった"男の声で"煙"が話したもののそれに返事をするものは居いなかった。
それもその筈、礫を投擲した緑谷は煙にではなく巨体に一目散に走り出し『緑谷出久の十八番である物真似』と共に拳を構えていた。
緑谷出久
「デトロイトぉ」
緑谷の本家に比べれば天と地ほどの差の体格に不釣り合いな『画風の違う濃ゆい顔』が乗っかっており、これまた渋い声で突き出そうと振り絞った『オールマイトの真似』ーこれを見た巨体は掴んでいたモノを手放し拳を構えた。
飯田天哉
「掴んだ」
緑谷出久
「伏せて!!」
巨体の振り上げた拳が唸りを上げ、緑谷の拳が迎え撃ち『空気の爆ぜた音と共にソニックブームが発生した』
飯田天哉
「耳が…緑谷君!ッ!?」
耳鳴りと砂煙が上がる視界の中、助けた人を庇いながら転がった飯田は起き上がり様に状況を確認した。そこにはタンポポの様に拳が粉砕された『巨体』の姿と『吹き飛ばされ転がり込んで来る緑谷の頭頂部』が見れたー勢いのある50kg前後を真正面から抱き込んだ飯田は盛大に仰け反った。
飯田天哉
「ッ…緑谷君!腕は?」
飯田は胸に受けた衝撃よりも、先程生じた強烈な一撃同士のぶつかり合いに緑谷を確認するも気絶している以外、何事もなかった様に無傷だった。"そんな馬鹿な"と驚く飯田の耳に瓦礫の崩れる音が聞こえた。
被害者
「うっ」
飯田天哉
「不味い、ここから早く離れなければ」
直感的にここに居てはいけないと踵を返した飯田は緑谷と被害者を担ぎ上げ走り出した。しかし、その走りは次の瞬間には止められてしまった。
黒いモヤ
「ふぅ、危ない危ない、最近の個性はバラエティに富んでいますね」
飯田天哉
「…ッ!」
一瞬の出来事、回り込まれた、待ち伏せされていたという難解なモノではない。もっと単純な"いきなりそこに現れ道を塞がれた"のだった。
飯田天哉
「お前達は一体何者なんだ」
黒いモヤ
「我々はヴィラン連合と申すモノです」
飯田天哉
「お前達の目的は何だ?この人をどうするつもりだ」
黒いモヤ
「あなた方には関係のないことです、何せ」
飯田は警戒し【エンジン】を唸らせ"回避や逃走"の準備をした。一瞬の油断も飯田にはなかった。しかし次の瞬間には『世界が暗転』し、空高くへと担いでいた2人諸共投げ出されていた。
黒いモヤ
「あなた方には死んでいただくのですから」
飯田天哉
「何!?」
体の浮く感覚"足場が突如として無くなり"足裏に感じていた安心感は遥か底で海を漂っていた。