【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】 作:『代行さん』
◇◆◇◆◇
緑谷出久は微睡の中で目を覚ました。
体全体が何か『硬めのスライム』のような物が纏わりついて身動きが取りづらい状況に少々の困惑を覚えつつも"進まなければ"と思い、ゆっくりと歩き出した。
ここは何処だろう、何をしなければいけないんだろうー疑問の尽きない中、何もない空間に到着した。その中心で蠢く何かと『目が合った』
緑谷出久
「君は…」
◇◆◇◆◇
緑谷出久
「君…は?」
心電図の鳴る空間にて目を覚ました。天井は真っ白でカーテンによる仕切りが設けられていた。身体を動かそうとして鼻、太もも、肩に管が繋がれており物理的に身動きが取れなかった。肩に繋がれているとは、肩より先がなく肩関節らしき部分に管が通されていると言った状態だった。
看護師A
「緑谷さん、入りますよ?」
緑谷出久
「あ、はい」
緑谷の返事の後、勢いよく開かれたカーテンの先、青ざめた看護師が急いで部屋を後にしたのが見えた。緑谷は"キョトン"とするばかりで再度天井を眺める作業に戻った。何分両腕が無いせいで何もできないのが現状なのであった。
数分後、慌ただしい足音と共に医者らしき白衣を着た男性と先ほどの看護師が入ってきた。それぞれが緑谷を見るや否や"信じられない"と言った様子で部屋中を駆け回っていた。
少し後、医者達はさらに難しい顔をして、緑谷の検査を始めた。ひとり、また一人と増える医師に緑谷は困惑を隠せずにいた。そんな折、緑谷出久の母親ー緑谷引子が入ってきた。
緑谷出久
「あ、母さ」
出久がその姿に気がつくと手を振ろうとした瞬間、数いる医者を掻き分け一目散に出久へと駆け寄り抱きしめた引子は涙が枯れるまで泣き続けた。出久を抱きしめる両腕の力は出久の『記憶』に残るそれとは比べ物にならないほど強く温かみを帯びていた。
緑谷出久
「1ヶ月!?」
医者A
「えぇ、その間『呼吸、心拍、体温』の一切が確認できず、唯一確認できたのが脳波だけだったんです」
緑谷出久
「えっと、それで」
医者の説明を受け益々"こんがらがる"頭を必死に整理した出久が辛うじて搾り出した質問が「何故延命措置をとったのか」だった。
医者A
「それは…」
緑谷出久
「それは?」
緑谷引子
「貴方を助けたいからって」
側で聞いていた引子が話を割って入った。泣き腫らした目を拭い続けた。
緑谷引子
「寝ている間に2人、出久に会いにきたのよ」
緑谷出久
「2人?」
引子の言葉に考え込む出久は意識を失う前の事を思い出そうと考え込み、その内の一人『飯田天哉』の事を思い出した。
緑谷出久
「飯田君?」
緑谷引子
「そうよ」
そう言った引子は鞄から何かを取り出すと出久に"とある物"を差し出した。
緑谷引子
「これに助けられたって」
緑谷出久
「これ!」
引子が出久の前に出したものは『黒い球』だった。瞬間、黒い球を両断するように線が現れると上下に分かれ目の玉が出現した。周囲の"どよめき""驚嘆"を他所に黒い球が出久を凝視すると忽然と姿を消した。
緑谷引子
「え?」
緑谷出久
「あ」
医者A
「そんな馬鹿な!?」
『黒い球の消失と同時に出久の片腕が不完全ながら生えてきていた』