【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】 作:『代行さん』
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緑谷出久は既視感を覚える微睡の中で目を覚ました。
体全体が何か『硬めのスライム』のような物が纏わりついて身動きが取りづらい状況と何もない空間ーその中心で蠢く何かと『目が合った』気がした。顔の動き、目の辺りの白い光によりそんな気がした。
しかし、何かは辺りを見回す様子を見せたーその行動は"失せ物探し"に見え、緑谷は思わず声を掛けようとしてあたふたしていた。"何分"時間の感覚がない空間の中とあり、朝なのか昼なのか、はたまた夜なのかといったー大雑把な区分すらも分からない状況のため声掛けの一言目を決めかねていた。
そうこうしているうちに何かと『再び目が合った』気がした。
緑谷出久
「こ、こんにちは」
無難な挨拶を選んだーしかし、何かは周囲を見回す行動を続けるばかりで緑谷の事など気にも止めない様子だった。ある種、感情が確認できないその行動に緑谷は居ても立っても居られなくなり再び声を掛けた。
緑谷出久
「こんにちは、僕は緑谷って言うんだ。君は?」
緊張、忌避、無関心ー初対面の人に対しての接し方を『将来のためのヒーローノート』の『記憶』から引っ張り出して実践する。しかし、ヒーローだから問題ない行動なものの一般人がしたならば『声掛け事案』だと、自虐気味に心の中で笑った。そうしている内ー必死に共通点を探しとある違和感を受けた。
緑谷出久
「…!?」
何かの片腕がないことに気がついた。信じるに信じられずの瞬きー"一瞬の暗転の間に何かは緑谷を間近で見上げていた。緑谷は動揺から尻餅をついた。
そんな様子にお構いなしと何かは言った。
『目と手がないの』
緑谷が目と思っていた物は目の辺りで揺らめく白い火の様なものだった。妖しく灯るそれは頭の動きに合わせて揺らめきを見せていた。
驚き言葉を失っていた緑谷だったがー何かが繰り返す行動を見る内に『どうにもならないことなのだがどうにかしてあげたいと緑谷は思い立ち上がった』
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緑谷出久
「目と手」
緑谷は気がつけば病室の床に立っていた。虚空に手を伸ばし、捕まえ損ねた"何か"を思って涙を流していた。伸ばした手ー視界に入った手は"普通"の見た目をしていた。夢から覚め、徐々に消えていく夢現の中で確かに『目と手』だけが『記憶の中』で鮮明に残っていた。
女医
「災難でしたね、退院したばかりと言うのに」
緑谷出久
「そうですね」
女医が苦笑いを浮かべながらカルテを眺め、緑谷もまた苦笑いを浮かべた。入院とまではいかないものの『極度の疲労』による『気絶』とのことだった。
出久は引子が『入院している』ことを知らされた。『個性の酷使』によるキャパシティオーバーとのことだった。幸い命に別状はない様で明日にでも退院ができるとのことだった。
『通された病室の中で響く心電図の音が『嫌に』印象的だった』
病院を後にし、帰宅した家の中は『冷たく』『静か』だったー居間まで行き電気をつけるとひとりでは広く感じる様子に『電気を消し』早々に自室へと戻った。数分間、静かな自室の中で"ただただ"天井を眺めていた。
窓の外が暗くなるにつれ小腹が空き始めたもののー晩御飯を作る気にはなれず、横になっていたベッドから身を起こすと財布をポケットに入れ、玄関に向かうと『誰もいない居間』を一瞥し、外へと出ていった。