【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】   作:『代行さん』

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ー『個性の変質』

家で帰りを待つ人が居ない緑谷は気がつけば海岸に来ていた。心配されることがない以上緑谷の『自制心』は機能を放棄していた。

 

緑谷出久

「個性が変質してるのかな」

 

『個性の発現』から『アイ・エキスポ』までは『常時発動』が当たり前だった。しかし、前回の3度目の『脳無』との戦いにおいて黒い手は『発動型』に変わっていた。

 

理由は定かではないものの、緑谷にとって注意すべき内容だった。アイ・エキスポ以前の状態は【無敵の盾】が『常に張られていたようなものだった』のが『意識して張らなければならない』変化を受けた。

 

そしてもうひとつ、緑谷は『予想』を持って海岸のゴミに触れたーしかし『手が黒くなることはなかった』

 

緑谷出久

「個性が発動すらしない…か」

 

緑谷はゴミから手を離し、手のひらを見つめる。肌色のままの手には『感覚』があることが唯一の救いだった。感覚までもがなくなっていたなら不自由なことこの上なかったに違いなかったためだ。

 

【個性】が発動しない緑谷は『何か発動をする上でトリガーが必要になる』と言う妙な確信があった。しかし、それが何なのかが分からずー暗くなりきった海岸の曇り空の下でひとり"眉間に"シワを寄せていた。

 

緑谷出久

「あの時」

 

『緑谷引子を助けようとしたあの時』を思い出す。信号機の前では確かに"自分の手"だった。母親が自分を心配して対岸から戻って来てた後ー護送車が横断歩道に突っ込んできた。

 

緑谷出久

「頭だけが熱っぽかった?」

 

『助けなければと思った』ーその時には既に走り出していた。次に身体中に熱が籠る感覚が起こったかと思えば"それは"頭にのみ集中し、身体は冷えた感覚に包まれた。

 

緑谷出久

「内側から引っ張られるみたいな」

 

『手が黒くなった時』ー胴体側から指先へと『黒い』ものが伸び、手全体を覆った。覆い被さると言うより腕の上を這って広がる様にー『基礎となる幾何学模様が腕全体に現れ、それを幾重にも"縁取り"繰り返すように模様が太くなっていき『黒い手』に変化した。

 

【個性】の変質は、言い換えれば『準異形型』から『変身型』に変化したことになる。これにより『トリガー』となる『ある行動』の確信へと繋がる。

 

しかし、【個性】と言うにも『生まれつきの感覚で分かる』訳でもなく、自分の個性により『自分自身が傷ついたり、周りを傷つけたりしてしまう』ー『分からない』とはそれだけで不安となってしまう。

 

緑谷出久

「集中、集中、助けるイメージ」

 

緑谷はゴミに再び手をつき、目を閉じた。『イメージ』するのは『人を助ける』と言う抽象的なものーしかし『発動することはなかった』

 

緑谷はこの日、拾える分だけのゴミを拾って帰宅した。

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