【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】   作:『代行さん』

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ー『再会・中』

周囲の茂みのざわつきが眼前まで迫った。その直後

 

元気のいい声

「桃がなってるよ!」

 

緑谷出久

「…ッ?!」

 

緑谷はその光景に固まった。地面から『尻が半分』出た状態で現れ"ものの見事な"桃がなっていたのだ。声は聞こえど見えるのは尻のみの状況。緑谷の構えていた拳も警戒も全てが"抜け落ちた"。

 

しかしそんな『生まれた隙』も数秒と経たずに元に戻ると緑谷は『記憶の中』からその聞き覚えのある声にその名を持って返事を口にした。

 

緑谷出久

「通形さん?」

 

通形ミリオ

「桃がなってるよ!」

 

緑谷の『問い掛け+呼びかけ』に反応するように再び通形が"渾身の一発芸"を持ってして返事をした。

 

緑谷出久

「あ、はい」

 

通形ミリオ

「よーし、つかみは大失敗だ」

 

緑谷の反応に大爆笑の通形ミリオは呆気に取られる緑谷を他所に地面にすり抜けるように消えていった。緑谷は通形の居た地面を注意深く触ったり、叩いたり、踏んでも『何の変哲もない』地面であることを確認した。

 

《ハッ》と緑谷が慌てて周囲を見回した。知り合いと再会できたことはもちろんとして、心細くなる一方の環境からの救済とあって、居なくなって欲しくない気持ちがあった。そんな心配とは裏腹に程なくして通形は緑谷の元に戻ってきた。緑谷の安堵も束の間、現れた通形は全裸だった。 

 

安心、不安諸々ひっくるめた感情は"またしても"緑谷からすり抜けた。

 

 

 

通形ミリオ

「アハハ、びっくりしたよね?悪いことした」

 

緑谷出久

「いや、高度過ぎて理解が追いつかなかったというか何というか」

 

『いそいそと服を着ている通形』と『何故か正座をしている緑谷』という何とも言えない絵面の中、通形は緑谷に笑い混じりに聞いた。

 

通形ミリオ

「よせやい、完全に滑ってたよね」

 

緑谷出久

「…ハイ」

 

通形ミリオ

「素直w」

 

通形をフォローしようとした緑谷は逆に詰め寄られことにより"焦り混じり"に本心を話した。通形は怒るわけでもなく緑谷のそんな返答に"盛大"に吹き出した。その姿に緊張しっぱなしの緑谷はつられて笑った。

 

 

 

通形ミリオ

「緑谷君はどうしてこんなところに?」

 

緑谷出久

「道に迷ってしまいまして」

 

通形ミリオ

「アハハ、"結構結構"雄英って広いよね」

 

通形が笑い、緑谷も笑った。しかし緑谷の目はそれを見逃さなかった。

 

『震え』

 

『緑谷の緊張』ー通形ミリオの明るい立ち振る舞いの中に残る警戒と慎重さ、それは自分と同じ緊張からくるものか否か『推し量れるものではなかった』が『脳無の様な』突然に脈絡もなく襲われると言った感じはしなかった。

 

通形ミリオ

「緑谷君?」

 

緑谷出久

「はい!」

 

『緊張の伝播』ー無意識に通形に対して警戒を発していた緑谷は通形の呼びかけに全身で反応した。その後、通形と共に雄英の敷地内まで戻ることができた。

 

 

 

緑谷出久

「通形さんって雄英の2年生だったんですか!?」

 

通形ミリオ

「今日イチの反応だよねw」

 

戻る道すがら通形と緑谷の会話に花が咲く中、通形が雄英高校の2年生、2歳年上であることに緑谷は驚いた。緑谷が考えていた『時代の象徴』は『平和の象徴』同様に何かしらの『カリスマ性』を有しているものと考えていた緑谷にとってこれ程の衝撃はなかった。

 

緑谷出久

「となるとそろそろ2年生ステージありますよね」

 

通形ミリオ

「…お、よく知ってるね」

 

緑谷出久

「パンフレットにありましたので」

 

通形ミリオ

「もしかしなくとも君それ見てて迷ったよね」

 

緑谷出久

「は、恥ずかしながら」

 

通形の笑い声とツッコミ、緑谷のつられ笑いが辺りに響いた。

 

 

 

通形ミリオ

「ねぇ緑谷君」

 

2年ステージの前、スタジアムの前に到着した緑谷と通形は別れ際、最後の会話をした。

 

通形ミリオ

「…今日は君1人で来たの?」

 

緑谷出久

「いえ、ま…ペイルシャドウってヒーローと一緒に」

 

通形ミリオ

「…そうなんだ」

 

『俯く通形に緑谷が振り返る』ー再びの震えを認めた

 

緑谷出久

「通形さ…いえ、通形先輩」

 

通形ミリオ

「なんだい改まって」

 

緑谷出久

「応援します、全力で」

 

通形ミリオ

「!?」

 

『通形ミリオの震えが止まった』ー緑谷は味方のいない。そんな環境をよく知っている。周りもまたその環境に甘んじてしまっている節があることも知っている。『自分は助けようと思っていた』と環境の維持に無意識にでも加担してしまう無言の同意がどれ程、人を傷つけ、諦め癖をつけさせてしまうのかを知っていた。

 

『だからこそ、面と向かって「自分は応援している」と伝えた。震えを止める手伝いをする為に』




◇◆◇◆◇

通形ミリオは震えを止めた
『敵ではない』という確信を持てたが為に

◇◆◇◆◇

人気の少ない森林に向け緑谷が入っていったのを前にして、通形ミリオは『警戒』を持ってー緑谷を追跡した。

昨今多発している『個性犯罪』ーそれを手引きしている人物がいるかも知れない、そう言った嫌な予感が拭えないが為に隠れつつ緑谷を追跡した通形だったがーいざ会ってみれば『海岸であった時』より一回り筋肉のついた緑谷だったことに一度は安堵した。

しかし、見れば『自然』なのが"そもそも"おかしいことに気がついた。片腕がなくなっていた。それであるにも関わらず平然と『歩く姿』に違和感すらなく『そこに存在していた』ことに通形の警戒はより鮮明になった。

気がつけば人質とも言える状況のもと、スタジアムまで案内が完了してしまい『心中がざわめく』中ー『いっそのこと差し違えてでも止めるべきか』と警戒を前面に押し出した通形。だったが緑谷出久の一言。

『「応援します」と言った少年の一言』に邪な感情は一切感じられなかった。"恥ずべき"とばかりに『不自然で自然な少年に向かって』震えが止まった手を前に突き出し通形ミリオは言った。

緑谷のそんな『不自然』を『個性』として飲み込んだ

通形ミリオ
「いいねぇ、緑谷君ガッツがあるね!」
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