【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】 作:『代行さん』
「…」
緑谷の後ろ姿を眺めるサーナイトアイこと"佐々木未来"は《ホッ》と胸を撫で下ろした。"不自然ではなかったか"と自分の行動を振り返った。
失礼があれば不審者として通報されかねない状況なのにも関わらず何故『連絡先』の交換を申し出たのか?それと言うのも『緑谷出久』と言う人物が『オールマイト』にご執心、だからではなくーその理由は『予知』が彼に対して発動しなかったからだった。
問題は"病院"での一件以降接触する機会がなかったことだった。名刺を渡していようともいつかかってくるか分からない為、不安が募る一方だった。
きっかけとしてノートを拾えたのは幸いだったー偶然にも雄英高校の体育祭で再会の機会に巡り会えた。ノートを閉じる間際、自分の内容が描き込まれた『ページに咄嗟にサインや身体を気遣う』まではよかったが、どう切り出したら不自然ないか熟考している内に時間になってしまった。
去り際、同じ趣味を共有する人物であったことが何より幸いだった。連絡先を交換できた為、趣味を口実に接触が可能になった。
佐々木未来
「しかし、何故見えない?」
【予知】は視界内に収めた人物の未来が断片的に見える個性。であるにも関わらず緑谷出久の未来は全く見えなかった。
佐々木未来
「これは暁光かも知れない」
不敵に笑う佐々木未来は反省をしつつ帰路へと着いた。
◇◆◇◆◇
柔らかみのある声
「どうしてそんなに大きい物持って平気なの?不思議」
気だるげな声
「これはどう分類すれば良いんだ?」
通形ミリオ
「かなりの重労働だよね」
張りのある声
「ねじれ、緑谷君の邪魔しないよ。天喰、迷うより運び出すのが先。通形は疲れたんなら木陰に入って休みなさい」
緑谷出久
「ぼ、僕は平気なので」
秋の息吹を感じる朝の涼しさー休日の朝早くに緑谷は先輩方に囲まれながら海岸の清掃をしていた。ひとりで作業していた時よりー遥かに楽しく、速さのある作業内容に不思議と緑谷は笑顔になっていた。
◇◆◇◆◇
清掃を始めて数時間海の彼方の地平線からの日の昇りと共に皆が休憩に入った。皆に手製、持参のお茶を配りつつー通形ミリオは緑谷と面識がある故ここにいても不思議ではないものの、残りの御三方ともなれば話は変わってくる。と言うことで休憩がてら緑谷は当然の疑問を口にした。
緑谷出久
「先輩方はお休みされなくて良いんですか?」
柔らかみのある声
「それがね、昨日体育祭の打ち上げしようって話をしようとしたんだけど、通形が「明日行くところがあるんだよね」って早々に帰っちゃって、それでねそれでね、話を聞いたらここに朝早く向かうからってことで来たの」
気だるげな声
「俺は、特に疲れてなかったし、ミリオが行くから興味本位で」
張りのある声
「あたしは別にくるつもりなかったんだけど、ねじれがどうしてもって誘うから」
波動ねじれ
「
甲矢有弓
「遊ぶってより慈善活動がメインじゃん」
通形ミリオ
「まぁまぁ2人とも環の顔に免じて」
天喰環
「俺は…」
波動ねじれ・甲矢有弓
「じゃあ仕様がないか」
天喰環
「帰りたい」
緑谷出久
「皆さん仲良いんですね」
波打ち際、海岸から海にかけて設けられたコンクリートの道ーその先にある東屋にて緑谷を含む5名はレジャーシートを広げて談笑していた。先輩方に飲み物を渡しつつその姿を羨ましく緑谷は眺めていた。
波動ねじれ
「ねぇねぇ!質問、緑谷君はどんな個性を持ってるの?片手だと不便じゃない?どうして片手なの?不思議」
緑谷出久
「えっと、それは」
甲矢有弓
「ねじれ、質問は返事を待ってからにしな」
波動ねじれ
「だって」
緑谷出久
「僕は、大丈夫です。えっと僕の個性は今のところ超再生ってことになってます」
波動ねじれ
「え?でも」
甲矢有弓
「ねじれ、それ以上は」
『波動ねじれのコミュニケーション』ーねじれにとっての知りたいとは"友人"になりたい心の表れであり、他意はないものの、その質問の内容は時に他人への配慮が欠けた一面を見せることがあるーよく言えば友好的、悪く言えば無遠慮と人を選ぶ手段に見える。
緑谷出久
「えっと」
緑谷は言い淀んだ。アイ・アイランドでの口外は警察より控える様に言われており、緑谷自身は嘘が上手な方ではなく、印象を悪くしかねないとあって、慎重に言葉を選んで発言を始めた。
緑谷出久
「今、個性が発動してないんだと思います」
甲矢有弓
「個性が発動してない?」
緑谷出久
「はい、元々は手が黒くて、色々できたんですけど」
緑谷が身振り手振りで【エアロダイナミックフィールド】を使っての"あれやこれや"を説明した。『怪力に似た運搬能力』『擬似的な飛行』『それらを応用した拘束や体術』についてひと通りの説明をした後、ねじれが言った。
波動ねじれ
「片手だからかな?」
緑谷の話を聞いての客観的発言だった。緑谷の発言は『入院する前』なものばかりであり、確かに『腕』の有無で個性の発動に変化があったのではと『判断』することは必然だった。
緑谷出久
「それなんですけど、えっと、僕が横断歩道を歩いている時に車が強引に入ってきて轢かれそうになった時があったんですけど、その時は発動できたんです」
『脳無との一戦』ー緑谷にとって片腕になっての初めての個性発動。一時的ながら【エアロダイナミックフィールド】を意のままに操れ、片腕でも問題なく扱えていたものの、その後に入院したことを"要所要所"をボカして説明した。
波動ねじれ
「まるで個性が体に合ってないみたいだね、不思議」
甲矢有弓
「ねじれ?」
波動ねじれ
「あ、ごめん」
緑谷出久
「い、いえ、僕もそう思っているので気にしないでください」
『個性発動中、もしくは後』ー緑谷が『黒色化』して数分後に緑谷の体調が激変した。腕の"痺れと震え"に頭痛、個性の発動が遮られ、あわや大惨事になりかけたこと。客観的な意見として『個性が体に合っていない』と言うのは『間違っていない』ーこれに関しては緑谷も同意の意思を示していた。
『個性の変質』ー【エアロダイナミックフィールド】は別として『変質した後の個性』は緑谷自身が扱えていないという自覚がハッキリあった。使おうとしても使えず、使えたところで『体調を崩す』とあっては『合っていない』と言うのは妥当な意見だった。
甲矢有弓
「不思議だ」
緑谷の腕を有弓が"ことわり"をいれてから触れた。鍛え始めたばかりなものの男性を思わせる太さと肉付きの良い腕、緑谷の外見とのギャップは言わずもがなー『普通の腕』だった。
『緑谷の方はと言うと顔から火が出そうになっていた』ーそれと言うのも始めこそ、触診などにより慣れていた他者との接触だったものの、いざ意識した途端『異性』と言うこともあり、内心パニックになっていた。
短髪薄紅色の髪とピアス、端正な顔立ちは女性と言うより男性的な美しさを持っており『ボーイシュ』と形容できる外見の甲矢有弓、しかし緑谷の手に触れる彼女の腕は緑谷と同様にギャップがあった。整えられた爪に柔らかな肉質、触れていると合って『近く』の為か香水の匂いが鼻に触れ、意識せざるを得ない状況に陥っていた。
波動ねじれ
「顔真っ赤だよ?熱でもあるのかな?」
緑谷出久
「へぇぁ?あ、いえ、これは」
甲矢有弓
「ねぇ、緑谷君」
緑谷出久
「はい!」
甲矢有弓
「ちょっと試してみてもいい?」
『甲矢有弓の提案』ー緑谷の手に触れた有弓は緑谷に提案をした。
甲矢有弓
「集中」
緑谷出久
「はい」
有弓の【個性】を通した。『イメージ』トレーニングだった。