【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】 作:『代行さん』
天喰環
「すまんミリオ」
通形ミリオ
「気にすんなって、環の方が大事だからね」
天喰環
「ミリオぉ《オロロロ》」
『天喰環の体調不良』ーベッドの上で完全に伸びている天喰は顔が真っ青になっていた。それと言うのも行きの飛行機ー長時間飛行は体調を崩すには十分な状況だった。胃をひっくり返す勢いの嘔吐をバケツに入れた。
緑谷出久
「天喰先輩、お茶飲みますか?」
天喰環
「ありがとう、緑谷君」
緑谷からお茶を受け取った天喰がそれを飲むと再び仰向けになりー余程酔いが悪い様で目を瞑り、うなされる様に呼吸を落ち着けんとしていた。
通形ミリオ
「緑谷君、環は俺が見とくからね。用事を済ませに行きなよ」
緑谷出久
「わかりました。よろしくお願いします」
通形ミリオ
「用事が済んだら、一緒にエキスポ周るんだよね」
『通形ミリオの提案』ー緑谷の目的地は『招待状の送り主の元』だった。その経緯を知ってか、通形はその後のことを考えての発言だった。緑谷はそれに『微笑む』ことで返事をした。何分、『本当のこと』を濁したまま伝えているがために後ろめたさが拭えなかった。
緑谷が宿泊施設を後にし、歩くこと十数分で『とある』建物の前まで来ると、それを見上げた。
『セントラルタワー』ーアイ・アイランドの『記憶・脳』とでも言うべき場所、それを囲う様にして3つのビルが建っている。緑谷はセントラルタワーを見上げると『今度は』一階から
受付嬢
「おはようございます」
緑谷出久
「おはようございます」
受付嬢
「パーティ会場への立ち入りは現在行えませんが如何なさいましたか?」
緑谷出久
「えっと、デヴィット・シールドさんに用事がありまして」
受付嬢
「何かアポイントメントはございますか?」
『当然の反応』ー受付嬢は緑谷を疑う様に眉を下ろした。当然ながらデヴィット・シールドとは科学者にして発明家、一般人が「会いたいから」という理由ー何の理由もなく会える様な人物ではない。
緑谷は慌ててポケットから財布を取り出すと『名刺』を受付嬢に手渡した。《ギョッ》とした受付嬢が一礼の後、奥へと消えていった。
緑谷出久
「こんな感じなんだ」
『前回』ー緑谷は最上階から入り"しっちゃかめっちゃか"したことを思い出し、申し訳ない気持ちになった。結局のところーその後の状況を人伝にしか聞けていないため、内心《ヒヤヒヤ》しながら受付嬢が帰ってくるのを待っていた。
受付嬢
「大変失礼致しました」
緑谷出久
「い、いえ、確かに怪しかったですので」
受付嬢が戻ってくるや否や深々と頭を下げられ、緑谷はそれに笑って返すと奥のエレベーターホールまで通され、そこで『サム』と名乗る小太りの優しい顔をした男に連れられ、セントラルタワーを『エレベーター』で上がっていった。
『中央エレベーターの中』ー200まであるダイヤル式の到着階調整板ー広々とした空間、乗り降りする為の扉は"隔壁"の3層構造で内部からも外部からも破壊は困難と分かる作りをしていた。セキュリティに弾かれれば閉じ込められること間違いなしと言った雰囲気だった。
サム
「デヴィット博士の研究室へは少々掛かります故、楽にされてて大丈夫ですよ」
緑谷出久
「わ、わかりました」
サムが優しい口調で緑谷に休む様に言い、緑谷はそれに了承するも緊張からか体が固まったままエレベーターに乗り続けていた。
サム
「博士、デヴィット博士、緑谷さんがいらっしゃいました」
『酷くこざっぱりしている一室』ーそこに通された緑谷は研究室と聞いていた為、もっと"ざっくばらん"にごちゃついた様を想像していた為、その様子に面を食らった。しかし、何やら片付けが行われている様で件の一室から見える他の部屋には、まだ物が散乱している様子が伺えた。
サムが緑谷を連れてその部屋に入ると大きくとも小さくともない声で誰かに呼びかける様にして声を出した。
『数分の沈黙』ーその内、何かを引っ掛ける様な音や崩れる音、端が地面に転がる音などが聞こえた後、くたびれた様子の男が一室に転がり込んだ。
そんな様子を見てかサムが男ーデヴィット博士らしき人に肩を貸す形で起き上がった。その顔は酷くやつれた印象を受け、元気がある様には見えなかった。
デヴィット
「こんな
緑谷出久
「緑谷出久です」
デヴィットから差し出された手を握り返す緑谷は、彼の手が小刻みに震えているのを見逃さなかった。軽度の栄養失調が素人目に見ても分かるほどに現れていた。
緑谷出久
「随分疲れていらっしゃいますね」
デヴィット
「あ、あぁ、ちょっとね」
新聞の見出しや動画サイトでの『彼の印象』とはかけ離れた様子。緑谷は薄々ーと言うより分かっていた。『個性増幅装置』の消失が原因であることに。
デヴィット
「立ち話もなんだし、奥へ来るといい」
『そうして通された一室を見て緑谷は口元を押さえた』ー床に散乱する資料の数々、書き殴られたメモ用紙、絶えず演算を続けるコンピュータとそのモニターその"荒れ具合"がそのままデヴィットー彼の精神を映し出されている様に見えてしまったからだ。
デヴィット
「すまない、忙しくて片付ける暇がなかったんだ」
緑谷出久
「いえ、大丈夫です」
デヴィット
「すまないサム、彼と二人きりで話がしたいんだがいいかな?」
サム
「承知しました。何かありましたらご連絡を」
『数秒の沈黙』ー部屋の中で座り込む2人にエレベーターの駆動音が聞こえた。サムは2人を残し、別の階へと移動したのだった。
そうして、2人きりになったデヴィットは掛けていた眼鏡を外すと目頭を押さえた後消え入りそうな声で話し始めた。