【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】 作:『代行さん』
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波動ねじれ
「有弓〜早くエキスポに行こうよ〜」
甲矢有弓
「ちょっとねじれ引っ張らないで」
男性陣と別れた女性陣は部屋の中で荷物を広げていた。制服姿から普段着へと着替えている真っ最中だった。
波動は深青色のミニジャンパースカートに麻色コートを羽織った大人びたコーデをしており、甲矢はジーパンに赤シャツ、黒パーカーとパンクな服装に衣替えをしていた。波動は早々に着替えを終えると『ようやく着替え始めた甲矢有弓を急かす様に腕を引っ張っていた』
『チャイムの音』
甲矢有弓
「ねじれ、なんか頼んだ?」
波動ねじれ
「いや、全然」
そんな折、部屋に響いたチャイムの音に2人して顔を見合わせた。服装を整えた甲矢を見て波動が扉を開けた。扉の先ーそこには『大和撫子と洋の協調』と形容できる少女が立っていた。
黒髪ロングを頭の後ろで纏め、凛とした顔立ちにドレスー動き易い改良が施されているものながら刺繍のひとつ一つが丁寧に仕上げられた見た目をしておりー同じ系統の美しさの波動ねじれとは『違った』雰囲気を醸し出していた。
八百万百
「おはようございます」
波動ねじれ
「おはよう、大丈夫?部屋は間違えてない?」
八百万百
「つかぬことをお伺いしますが緑谷出久さんはこちらにいらっしゃりませんか?」
甲矢有弓
「緑谷君の知り合い?それじゃあ別の部屋だね」
八百万百
「あら、そうなんですの?てっきりこちらにいらっしゃるとばかり」
八百万が困った様子を見せており、波動が甲矢に目配せした。甲矢は「はいはい」と笑顔で息をついた。波動はそんな様子を待っていたとばかりに八百万に振り返ると両手を包み上げ、ある提案をした。
波動ねじれ
「緑谷君を探してるなら一緒にエキスポ回ろ」
八百万百
「え、えぇ私は構いませんが」
甲矢有弓
「私は構わないわ、この子は波動ねじれで私が甲矢有弓、よろしく」
八百万百
「八百万百と申します。よろしくお願いします」
八百万はこうして2人と出会い、緑谷を探すべくアイ・エキスポに向かうのだった。しかし、甲矢の提案で一応、通形率いる男性陣の宿泊室にも訪れるも『一歩違い』で緑谷は外出中、天喰が調子悪く唸っているだけだった。
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自己紹介を受けた緑谷出久は頭の中で"ふと"その名前に聞き覚えがあることに気がついた。それというのも有名な資産家の家柄であり、アイ・アイランドのスポンサーとしてあまりに有名なのである。
緑谷出久
「八百万と言えばアイ・アイランドのスポンサー会社の苗字と同じ」
八百万百
「あら、ご存知でいらっしゃったのですね」
『八百万百』ー八百万家のひとり娘【創造】の使い手であり、前回はエキスポのプレオープンに訪れていたとのこと。本人曰く「狙われることは珍しくない」とのことだった。
八百万百
「まさか、セキュリティに定評のあるアイ・アイランドで拉致されそうになるとは思いもしませんでしたが」
緑谷出久
「災難でしたね」
八百万百
「全くです」
緑谷が苦笑いを浮かべ『八百万もまた苦笑いを浮かべた』
2人して飲み物を飲み終えた。空になったカップにコップを配膳ロボットが持っていくのを眺めた後、少しの沈黙が続き、徐に緑谷が口を開いた。
緑谷出久
「どこにも怪我がなさそうで良かったです」
八百万百
「軽い捻挫だけで済みましたので、それに」
緑谷出久
「それに?」
八百万百
「飯田さんがおっしゃられていました、緑谷さんの個性のおかげだと」
緑谷出久
「僕の?」
八百万百
「緑谷さんの個性のおかげで高所からの落下から生還できたと」
『切られ残った腕』ー飯田達を救った『エアロダイナミックフィールド』は黒霧からの攻撃により切り離された緑谷の一部であり、離れていたとしても短時間ながら『残り火』が燃える様に個性の発動が継続される。
緑谷出久
「運が良かっただけだよ」
八百万百
「緑谷さん…」
『緑谷が左肩を撫でる』ー2人を救えたことは喜ばしいことながら『結局のところ』無謀な挑戦が結果的に良い方向に転んだだけのため緑谷はあまり嬉しくはなかった。もしあのまま2人が海に叩きつけられていたなら"きっと"後悔ばかりが残っていたと確信を持って言える。
それ故に『おかげ』ではなく『所為で』今がある。緑谷にとってそれは余りに稚拙なモノと感じられた。それ故に『自傷』へと向かった。
緑谷出久
「運が」
自分に向けた刃物が複数回にわたって突き立てられる。
八百万百
「今を彩る数多のヒーロー達は」
緑谷出久
「?」
『緑谷の自傷に八百万が口を挟んだ』ー八百万にとって緑谷は命の恩人であり、今日に至れる生命線、そんな恩人を『運が良かった』で済まされるわけがなかった。偶然ではなく必然、運ではなく実力、思考より先に行動
『そのどれもが』ー八百万の語り出し、緑谷の俯いていた視線が持ち上がり、八百万へと向けられた。
八百万百
「お父様からいつも聞かされておりますの、今のプロヒーローの方々は学生時代に逸話を残しております」
緑谷出久
「逸話…」
八百万百
「考えるより先に行動していた、と」
緑谷出久
「…ッ」
八百万百
「緑谷さん、貴方は飯田さんから止められても"なお"私を助けようとしてくれたと聞いております。それは貴方の意思ではありませんか!それが運?それが偶然?笑止千万」
『八百万が毅然とした態度で言い放ち際に立ち上がる』ー先程までの落ち着きのある凛とした大和撫子から一変、淡々と燃え続ける種火が如く、静かでいて力強い言の葉に緑谷は圧倒されていた。
女子会をしていた面々を含むー周りもその熱に気がつき振り返る、それにお構いなしと八百万は緑谷に詰め寄ると気迫に満ちた態度で続けた。
八百万百
「いくら緑谷さん自身のことであっても私が許しません、撤回を要求します」
緑谷出久
「え、いや、でも」
しどろもどろに緑谷が『慌てる』中、八百万はより詰め寄った。
八百万百
「何を言おうと私を助けて下さったヒーローへの不遜な態度ー撤回を、要求、します」
緑谷出久
「ち、近い…」
『緑谷の顔が真っ赤になり狼狽える』ー八百万百は"はっきり言って"美しい。緑谷にとって高嶺の花と形容できる程にーそんな彼女が接近してこようものならキャパシティを優に超える。それが"顔一つ分の距離に"ともなれば些かオーバーキル気味になってしまう。
甲矢有弓
「はい、お二人さん、そこまでね」
八百万百
「ハッ!」
そんな中で甲矢が2人の間に割って入った。それというのも『騒ぎが大きくなり過ぎている』が為だ。八百万の口上はハッキリ"ハキハキ"としていて耳に心地良く、添えて『熱量たるや』ー道行く人が足を止め、その演説に耳を傾ける始末『ちょっとしたパレード気分』
メリッサ
「皆さんこちらへ、波動さんお願いします」
波動ねじれ
「それ!」
『アイ・アイランドでは【個性】の使用』ー制限はなく『アメリカ』方式が取られている。『日本』の様な『免許制』ではない故、一般人でも島の中では個性が自由に使用でき、伸び伸びと羽が伸ばせる。
人だかりを歩いて突破は不可能とし、メリッサの誘導のもと波動ねじれの【個性】で人だかりから逃げることとなった。