【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】 作:『代行さん』
◇◆◇◆◇
メリッサ
「それにしても驚いたわ、人だかりができてたわね」
波動ねじれ
「だね」
人だかりから脱出した緑谷一行はメリッサの誘導のもと、エキスポから少し離れて移動をしていた。八百万による『ヒーローとは』がエキスポ内で反響を呼んでおり、その"ほとぼり"が覚めるまでの処置であった。そんな中、"先のこと"もあり八百万がしょんぼりとした雰囲気で一行から少し離れた位置にいた。甲矢はそんな様子を見かねてとなりまで移動すると一緒に歩き始めた。
八百万百
「申し訳ございません、あの様な"はしたない"真似を」
思うところがあってか、八百万は謝罪を口にしたー『八百万は楽しい雰囲気』を台無しにしたとあって、しょんぼりとしていた。そんな中隣を歩いていた甲矢が八百万に話しかけた。
甲矢有弓
「そうかな?結構的を射ている指摘だったりするかも」
甲矢のフォローに目を丸くして八百万が顔を上げた。歩く一行の行き先はメリッサ次第とあって皆が雑談を始めていた。八百万の相手は甲矢だった。
八百万百
「え?」
甲矢有弓
「なんか知んないけど緑谷君、自己評価が異常に低いんだよね。後ろ向きっていうか卑屈というか」
八百万百
「後ろ向き…」
甲矢有弓
「個性が強いのに精神面がそれより強いというか歪んでる感じなんだよね、前に前に行っちゃって、それでも身体は逆に個性に置いていかれてる感じ」
八百万が視線を甲矢から緑谷に移す『普通の中学生に見えた』、先輩と仲良く話をし、表情豊かで場を和ませている様に見えた。
八百万百
「普通の様に見えますが」
甲矢有弓
「でも、私には無理矢理普通になってるみたいに見えるんだ」
甲矢が緑谷の欠損している部位を自分の体を指差すことで指摘してみせた。すると八百万は《ハッ》とし今一度緑谷に視線を移したー意識しなければ忘れてしまう『身体的ハンデ』それを感じさせない『自然』な態度。八百万は顔を顰めた。
◇◆◇◆◇
メリッサの先導で到着したのは『アイ・アイランドのアカデミー』だった。アイ・アイランドの次世代の頭脳が鎬を削る舞台。
『アイ・エキスポ開催中』の舞台はひっそりとした静かさに包まれていた。電気が消えている廊下を複数の足音が木霊していくー『動体感知センサー』が皆の歩みに合わせて廊下に灯りを灯していき奥へと進みー扉が並び立つ廊下に着くと皆が通されたのは『メリッサの研究室』だった。
モーターの駆動音と共に開いた扉もまた、センサーにより明りがつき、部屋中が照らされた。
メリッサ
「散らかっててごめんね」
メリッサが部屋に入ると皆を部屋へと招き入れた。波動ねじれは楽しそうに部屋を見回し、緑谷出久はソファーにちょこんと座り、最後に入ってきた甲矢有弓と八百万百も各々が椅子に座って研究室内を見回した。
『トロフィー』『研究設備』『資料』が見られた。それもその筈、2年生でありながらメリッサ・シールドは『研究室』を当てがわれている。これは彼女が優秀であり、勤勉で、努力を欠かすことのないことの証明であった。
八百万百
「素晴らしいトロフィーの数々ですね、さぞ努力をされたのでしょう」
『デザイン賞』を始めとした、その年の優れたアカデミー生に送られる『クリスタルトロフィー』、研究テーマの実用性と課題の分析が行われる研究会での優秀者に贈られる『記念カップ』とシンプルでいて、一目で分かるトロフィーの数々に八百万や他の面々も無言の感嘆を顔に浮かべていた。
メリッサ
「私はお父さんと違って天才じゃなかったから一生懸命勉強したわ」
『メリッサの謙遜の合間』ー数時間はここで"しばしの間"過ごすことになる恐れがある為、メリッサは足りない椅子を隣の部屋から持って来た。