【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】   作:『代行さん』

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[ー『縁』]以降を削除、変更したものになります。


【スケール・シフト】その1『吐露』

緑谷は神妙な面持ちで夜道を歩いていた。

 

たまに通り過ぎる車に手を挙げてみても運転席には誰も居らずー自動運転による帰宅を行なっているせいで止まってくれる気配は微塵もない、その際で"ただ"ひたすらに歩かされていた。

 

緑谷出久

「平常心、平常心…」

 

『神妙な面持ちの理由』ー背中にメリッサを背負う形で歩き続ける緑谷は背中に感じる柔らかい感触。それに意識を向けないように一歩ずつ確かめるように歩いていた。

 

何度か起こそうと試みた緑谷だったがメリッサの疲労は相当なもののようで反応は見られなかったー『人を担いで動く経験のなかった緑谷はズリ落ちそうになるメリッサを落ちそうになる度に支えた』ーそれに対する反応も確認できなかった。

 

 

 

緑谷出久

「これも個性だったりして」

 

緑谷は半ば冗談混じりに独り言を呟き、そう思うに至った『八木俊典』との出会いを思い出していた。

 

死にかけているにも関わらず『何処か』生命力に満ち溢れていた人だったことーちょうどメリッサと同じ金髪だったことなど、気を紛らわせる様に思い出す程に太ももの上で目を瞑っていた彼の特徴が思い起こされた。

 

身体は痩せ細り、骨と皮だけの全身ーにも関わらず、交わした握手から感じたのは『筋骨隆々の大男』だったーその力強さを受けた握手から思ったことは『全盛期ならばどれ程の力みを生み出していたのか』と、思いを馳せずにはいられなかった。

 

加えて身体のみならず『気配り』にも隙はなかった。困っていると分かるや否や助けられた。声掛けは短く、それでいて頼り易い雰囲気と態度作りと『彼』の一挙手一投足が常人とは比べ物にならない積み重ねを感じさせた。

 

是非叶うのであれば『八木俊典』という人物をもっと知りたいと思った。

 

 

 

そんなことを考えている間に『メリッサの研究室』に到着した。相変わらず静まり返ったキャンパス内に緑谷の足音が木霊する。幽霊でも出てきそうなほど《ヒンヤリ》とした通路を進み、駆動音と共に開いた扉の先で漸くメリッサをソファーへと寝かせた。

 

寝かせるにも問題が起こり、どの様に下ろせばいいのか四苦八苦した後、仕方なく『黒色化』を使って安全にメリッサを下ろした。

 

緑谷出久

「栄養補給を終わらせたら宿に戻ろう」

 

メリッサを下ろした後、ソファーに隣接した椅子に腰掛け、ポケットから『栄養補給』に必要な菓子類を取り出した緑谷はそれを『黒色化』の解除際に口に放った。

 

慣れているとはいえ、この『即吸収』も個性として考えられるものだと思いつつ『ならば』この【個性】は『エアロダイナミックフィールド』や【飛行】で分類されるものではないことが明らかなことを疑問に持った"が"物思いに耽るにしても『帰宅してからだ』と緑谷は気を取りなおすと椅子から立ち上がり扉に向けて歩き出した。

 

緑谷出久

「おっとっと?」

 

緑谷が椅子から立ち上がり扉に向けて歩き出した数秒後、右手が後ろに引っ張られ、体勢をよろつかせた。疑問に思った緑谷が振り返るとメリッサが緑谷の手を両手でしっかりと掴み抱えていた。

 

何事かと思いつつ、メリッサに近寄り「どうにか離してもらえないだろうか?」と躍起になる。

 

緑谷出久

「どうしよう」

 

押しても引いても問題のある状況に緑谷が顔を顰めた時、メリッサの口元が僅かに動いているのがわかった。緑谷はそれに耳を傾けた。

 

メリッサ

「…かないで」

 

緑谷出久

「?」

 

メリッサ

「置いていかないでお母さん」

 

緑谷出久

「ッ!」

 

メリッサが緑谷の腕をより強く抱き寄せた。その力強さは緑谷に振り解くには『遅過ぎた』と思わせる程のものだった。中腰だった緑谷は観念して、ソファーに背中を預ける様にして座り込んだ。

 

緑谷は『既視感』を覚えつつ、涙を流すメリッサのために腕を貸し続けた。耳を澄ませば聞こえてくる雨音に耳を傾け直し、緑谷もまた《うつらうつら》と睡魔に身を任せることになった。

 

 

 

メリッサ

「んっ〜、ん、うん?」

 

轟く雷鳴で目を開けたメリッサは感じ慣れた部屋に身を起こそうとして失敗した。緑谷を抱き寄せた両腕に目を向けたメリッサは驚きのあまり固まった。

 

最初こそ『侵入者や不審者』を疑った思考を取ったものの『タルタロス』と同等のセキュリティを持つアイ・アイランドーそこに侵入して何もしないで座り込む愉快犯などいないと思考を改めた。

 

メリッサ

「あれ?緑谷君?」

 

ソファーにもたれ掛かる癖毛を眺めたメリッサは起き抜けながらに素早い理解力を見せた。

 

メリッサ

「でも確か、私って…あ!」

 

昨晩のことを思い出して気不味くなったメリッサは今の今まで抱き抱えていた緑谷の腕を手放した。少しして"ホテリ"が治ったメリッサは《そっ》とソファーから下りると倉庫から毛布を持って来て緑谷へと掛けた。理想を言えば緑谷をソファーに寝かせるのが『最適』なものの年下、隻腕であったとしても『男性』である緑谷を抱えるには"些か"メリッサでは役不足であった。

 

毛布を掛け終えたメリッサはふと抱きついていた腕を持ち上げた。必要最低限の筋肉量から漸く力みに必要な筋肉がつき始めた腕、隻腕であるが故か、やや歪な肥大化を見せる腕を興味深く見た後、寸法を計り始めた。

 

寸法を取り終えたメリッサは『その数値』を持って倉庫へと向かった。倉庫からいくつかの部品と『赤い塊』を持ち出すと、机の上に広げて作業を始めた。

 

メリッサ

「…」

 

真剣なメリッサの傍で《スー、スー》と寝息を立てる緑谷はまだ暫く眠り続けることだろう。

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