【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】 作:『代行さん』
校長先生
「それでは皆さん、夏休みを楽しんで下さい」
そう言った校長が降段し、実質的な夏休みとなった。
◆◇◆◇◆
担任の先生
「雄英やめちゃうの?」
その日緑谷出久は職員室を訪れていた。理由は先日の『雄英出願』についてである。
担任の先生
「理由を聞いてもいいかな?」
緑谷出久
「はい、僕には高過ぎるなって」
担任の先生
「そっか…」
緑谷出久のその反応を見て、担任は少し考える素振りを見せると『進路希望調査書』を差し出した。緑谷出久はそれを受け取ろうと両手を出した。しかし受け取ろうとしたそれはイタズラに引き戻された。
担任の先生
「どうしたんだその両手」
緑谷出久
「あ、これはその」
緑谷出久は普段飄々としている担任の真っ直ぐな視線に"しどろもどろ"になる。しかし、担任はその姿を見て『悪いことではない』と感じたのか言葉を切った。
担任の先生
「言いたくなければ言わなくていい、面倒だし」
担任としてはどうなのだろうかという発言、周りの教師は少し呆れるも『緑谷出久』と分かるや否や見て見ぬ振りをした。
緑谷出久
「あの先生」
担任の先生
「なぁ緑谷、防衛大って知ってるか?」
緑谷出久
「え?はい、自衛隊の…」
担任の先生
「なら話は早いな」
担任は緑谷に座る様促すと自分は床に屈むと緑谷出久を真っ直ぐ見て話し始めた。
担任の先生
「あそこを受ける奴が大勢いたのは知ってるか?」
緑谷出久
「知らなかったですが予想はつきます」
担任の先生
「じゃあ毎年必ずと言っていいほど辞退する奴がいるって言ったら?」
緑谷出久
「そうなんですか!?」
担任の先生
「あぁ、腕試しってだけで受ける奴なんているくらいだ、一種のボーダーラインって奴だろうよ。んでだお前だ。何で雄英やめちゃうの?」
緑谷出久
「目標にするには高す…」
担任の先生
「それは現実的な話だろ?お前の本音は?」
緑谷出久
「本音…」
担任の先生
「さっき話したろ?受けても辞退するー腕試し、受けるか受けないかは自由だ」
緑谷出久
「…」
担任の先生
「お前はまだ若いんだし"当たって砕ける"ってのも悪くないんじゃないか?」
緑谷出久
「当たって砕ける」
担任の先生
「これは渡すが、よく考えて出しに来い」
緑谷出久
「…」
担任の先生
「返事!」
緑谷出久
「はい」
緑谷出久は背中を押される形で職員室を後にした。職員室を出た後僅かに聞こえてきた会話に背を向け帰路に着いた。
◆◇◆◇◆
机の上に置いた用紙を前に黙り込むこと数時間、緑谷出久は何度目かの立ち上がりを見せると自室の扉を開けリビングへと向かった。そこでは母親が料理をしている音がしていた。
緑谷出久
「母さん」
緑谷出久の母親
「どうしたの?出久」
慣れた手つきで料理をする母親に緑谷出久は事の経緯と悩んでいることを伝えた。
緑谷出久の母親
「受ければいいじゃない」
緑谷出久
「で、でも落ちるかもしれないし」
緑谷出久の母親
「その為にいくつも受けるのよ、お金のことは心配しないで」
料理の手を止めると母親は緑谷出久の手を取り、真っ直ぐ見つめて言った。
緑谷出久の母
「貴方の人生よ」
その日緑谷出久は何度目かの着席をすると用紙に書き込んだ。
先生A
「巻原先生」
担任
「何です?」
先生A
「あんなこと言っていいんですか?」
担任
「あんなことって?」
先生A
「雄英に行かせちゃうなんて」
担任
「あぁあれですか、あれは」
緑谷出久の通う中学校教員、巻原 包傭は何かを口にしようとして冷めた目つきに変わるとため息をつき机に向き直った。
先生A
「え?何ですか?」
巻原担任
「いえ成り行きです」
そう言った巻原はため息をついた
巻原担任
「無個性ってのは羨ましいな」
そう言って自分の服から覗く赤い包帯を恨めしそうに眺めると机に向き直り書類仕事に戻った。