【R18個性】も『クソナード』に掛かれば【強個性】   作:『代行さん』

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夏休みの幕間『感傷』

???

『起きないと』

 

緑谷出久

「ん?」

 

???

『運動に行かないと』

 

緑谷出久

「え?何?運動?」

 

緑谷出久は寝ぼけながら『オールマイト時計』を手に取り《シパシパ》した目で見た。朝の5時頃、普段であればまだ寝ていてもおかしくない時間だった。

 

緑谷出久

「まだ眠れそうだよ?」

 

???

『…』

 

緑谷出久

「…ん?」

 

緑谷出久の意識が覚醒に向かうと同時に"今話しているのは何ものか"について疑問が生まれた。緑谷家は現在二人で暮らしている。緑谷出久とその母親である。である場合母親が話しかけていれば何も問題はないが声質は母親より高いのが明らかだった。

 

それに気がついた緑谷出久はベッドから床に倒れ込みつつ、電気のスイッチまで走り、部屋中に広がる照明の明かりを正面に拳を不格好に持ち上げ臨戦体制に入った。脳裏に浮かぶのは『強盗』の文字だった。

 

緑谷出久

「(この家には僕と母さんしかいない)」

 

握る拳に力が入る緑谷出久の足が震える中、物音の類いが耳に届くことはなかった。

 

正体不明

『…』

 

緑谷出久

「誰かいるんですか?」

 

緑谷出久は力なく拳を下ろすと"抑揚の乏しい声"の主を探した。しかし、見当たらなかった。心拍数が徐々に落ち着きを取り戻す中、謎の声は聞こえなくなっていた。緑谷出久は力なく座り込み、時計を見返すと数分は経っており、二度寝をするには眠気がなくなり過ぎていたーその結果、寝巻きを着替えた緑谷出久は外へと向かった。

 

 

 

寒さすら感じる朝の空気に身震いしながら彼方に上がる朝日を眺める。僅かに記憶から抜け落ちそうな声を思い出しつつ緑谷出久は走り出した。足裏に感じるコンクリートの高反発性に走る速さは徐々に上がり、調子に乗った緑谷出久はいつの間にか海まで来ていた。

 

緑谷出久

「海なんて何年ぶりだろう」

 

海辺の砂浜に降りた。緑谷出久の記憶の中では『もっと小さな海岸』だったことに違和感を覚えつつ、背伸びをひとつしたーその際目の玉がいるのに気がつくと挨拶をした。目の玉は緑谷出久を凝視しーいつも通り周囲を見回すとひと方向を見つめて固まった。

 

その行動に緑谷出久も合わせてその方向に目を向けた。視界に入ってきたのは山と積まれた金属やコンクリート、ガラスなどの人工物のゴミだった。全体的に"風化"が目立っていた。

 

子供の頃の思い出の場所にこれ程の仕打ちを受け緑谷出久は怒りを通り越して呆れると同時に打ち捨てられているー緑谷出久はゴミのうちのひとつに手をついた。

 

"冷蔵庫"だったものに触れた手のひらー返ってくる感覚はなかった。緑谷出久は表面を眺める。所々緑色がかっている"それ"は《ザラザラ》としているんじゃないかと思いを馳せた。

 

手をつくと手の甲にいた目の玉と目が合う緑谷出久は、それを見つめ返し、ふと"佇む者"との交戦を思い出した。

 

緑谷出久

「あの時は咄嗟だったけど」

 

もしかしたらと思いー緑谷出久は両手で冷蔵庫に触れた時、それは

 

緑谷出久

「うわっ!!」

 

驚く程軽々と持ち上がり、驚きのあまり後方に冷蔵庫を落としてしまい砂煙が上がった。舞い上がった砂煙に咳き込みながら緑谷出久は両手を眺めた。同時に腰に受けた衝撃に屈み込むことになった。

 

『目の玉は四つん這いで屈み込んだ緑谷出久の腰からゴミの山の一角を凝視し続けていた』

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