勝ち組男の異世界迷宮で奴隷ハーレム   作:Lilyala

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迷宮討伐Ⅵ

 

 

──春の季節 七十六日目

 

 

 三十八層の魔物はコボルトケンプファーだった。出来るだけコボルトの居る場所に向かう様に指示を飛ばしたのは言うまでも無い。

 

 ただひたすらコボルトを虐殺しながら進んでいると、十三回目の戦闘でカードが落ちた。──蜘蛛のカードがな!

 

 

「つ、次です!次はコボルトのカードですよ!主様!」

 

「そ、そうですよ!次は出ます!きっと出ます!」

 

「あっ──え、えっと、たぶんボス部屋です」

 

 

『『『………………』』』

 

 

 こんな時に見付かるなんて!?という三人の無言のアイコンタクトを見て、何とか気持ちに折り合いをつける。……いや、やっぱ辛ぇわ。

 

 テンション最悪のままボス部屋に突入し、メテオクラッシュ、バーンストーム(魔道士)、バーンストーム(遊び人)、ファイヤーストームを叩き込み、強壮剤を飲み干して再び四連魔法。

 

 博徒のスキル?ストレスのせいで忘れたぜ。

 

 三巡目で俺の魔法に耐えきれず、コボルトイェーガーが二匹とも霞に変わった。ドロップは──

 

 

モンスターカード コボルト

コボルトフラワー

 

 

「ッシャァッ!」

 

 

 今まで生きてきた中で一番のガッツポーズ。俺のキャラじゃない?

 

 

 コボルトのカードの前では些事だ。

 

 

「おめでとうございます!やりましたね!」

 

「「おめでとうございます!」」

 

「えっと、おめでとうございます?」

 

「おう。ありがとな!」

 

 

 やはり日頃の行いが良い人間にこそドロップの神様は微笑むな!

 

 そんなテンションのまま拾ったばかりのコボルトと、オークションで譲って貰った灌木のカードをエストックに合成。完成したのがこちらだ。

 

強権のエストック 片手剣

スキル 詠唱中断 石化添加 麻痺添加 空き

 

 美しいな……!出来ればもう一枚、いや二──六枚ぐらい欲しい。無理か。

 

 

「えっと、お昼までまだまだ時間がありますが、どうしますか?」

 

「もちろん次の階層へ行くぞ。試し切りもしたいしな」

 

 

 という訳で、そのままの勢いで三十九層に突撃。この階層の魔物は──

 

 

「……この匂いはヤギですね」

 

「って事はパーンか」

 

 

 高確率で全体魔法を撃ってくる厄介な魔物だ。逆に言えば、属性耐性装備が揃ってるならタダの雑魚に成り下がるんだが。

 

 

「ヤギは一人一体抱えてくれ。それ以外はグロリアとメローに任せろ」

 

『『『かしこまりました』』』

 

 

 サギニを先頭に迷宮を進む。もちろん前の層と同様にコボルトをメインで追うように指示を出した。

 

 ヤギのカードも欲しいが、一枚余ってるしな。そこまで欲しい物じゃない。

 

 

「……って思ってると、何故か落ちるんだよな」

 

 

 グロリアからヤギのカードを受け取ってボックスに投げ込む。昔はあんなに欲しかったんだけどなぁ……。

 

 

「迷宮には人の欲望を感知する神が居ると聞いた事があります。なんでも欲しいものは中々与えない意地の悪い神様だとか」

 

「私も聞いた事がありますね。その話」

 

「私もあります」

 

「わっちもあります」

 

物欲センサー(欲望の神)は何処にでも()()んだな」

 

 

 まさか異世界まで広まっているとは……地球のゲーマーだけでは満足すれば良かったものを。

 

 そんな感想を抱きつつ探索を再開。流石に距離を取られたり、前衛に立つ魔物が邪魔で何度か全体魔法を食らったが、痛みはそこまで酷い物では無かった。

 

 四十二、三度の風呂に慣らし無しで入浴しようとして、すぐに飛び出た後の熱さというか痛みというか。

 

 連続で食らえば厳しいだろうが、複数ジョブで精神を上げている俺だと十発食らってもたぶん死なないし、全体大回復を一回使えばリカバリーが利く。

 

 その程度だったので、正直拍子抜けだった。

 

 

「あ、今日は運が良いですね。ボス部屋です」

 

 

 サギニの運が良いのか、それともコボルトがさっさと上に行ってくれと案内しているのか。

 

 そろそろ撤退して昼飯にしようかと話しているところに、ボス部屋発見の報告が飛び込んできた。

 

 

「良いペースですね。このまま続いてくれれば夏前に討伐出来るかもしれません」

 

「過度な期待は禁物だが、どうしてもそう願っちゃうよな」

 

 

 このまま一回の探索で三層づつ進めるなら、明日の夜には四十九層に辿り着ける計算になる。

 

 そんな理想展開は有り得ないと頭では分かっているが、それでも望んでしまうのが人だよな。

 

 ボス部屋前の待機部屋で水の壁を使い、軽く休憩。小麦粉とバターと砂糖で作ったカロリーバーのパチもんを齧りつつ作戦会議だ。

 

 

「パーン層のボスはシルヴァーニ*1。手に長い鉤爪を持ち、獣の毛皮を着ている上半身が人、下半身が羊の魔物だ。パーンとの違いはスキルが物理主体になっていて、狼人族のビーストアタックに酷似した一撃を放ってくるらしい」

 

「それは恐ろしいですね。あの威力をこの階層の攻撃力で放ってきますか」

 

「確かに怖いですね。……でも、スキルなんですよね?」

 

「ああ。だから強権で止められる」

 

 

 この階層まで来る奴なら基本的に持っているし、実はそこまで怖い敵でも無かったりする。

 

 やはり強権。強権こそ最強のスキルよ。

 

 

「それじゃ行くか」

 

 

 黙々とカロリーバーを齧っていたサギニがおかわりを求め、捨てられた子犬の様な瞳をこちらに向けているが無視だ。このあと昼飯だしな。

 

 ボス部屋に入ると靄が二ヶ所に集まり、半人半獣の魔物となった。初手は──二匹ともスキルか。

 

 駆け寄っていたサギニとイザベラに止められたので、完全に無駄行動になった。その隙に博徒のスキルと魔法を放つ。

 

 

「石化──いえ、麻痺ですね」

 

「石化以外はそのまま殴ってくれ」

 

「了解しました」

 

 

 メローの抱えるシルヴァーニが麻痺によって行動停止状態となり、サギニとイザベラが防御を考えずに攻撃を叩き込む。

 

 

「これは便利ですね。攻撃だけに専念出来ます」

 

「石化と違って結構発動するのも良いですね」

 

 

 大振りを顔面に叩き込むメロー。ザクザクと連続で突くサギニ。だが止めを刺したのはイザベラだった。

 

 

「石化や」

 

「了解です。後はグロリアさんの方だけですね」

 

 

 メローが二人に指示を出すと、サギニが獣の様にグロリアの抱えるボスに斬り掛かる。

 

 

「麻痺しました。──ついでに石化もですね」

 

「……主人さまの言う通り、準備って大切やね」

 

「流石にこれは出来すぎですけどね」

 

「だな」

 

 

 適当に魔法を連打して石化したボスを処理して戦闘終了。やっぱり暗殺者はぶっ壊れジョブだわ。

 

 

 

 

 

*1
独自設定。元ネタはイタリアの森の妖精。

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