勝ち組男の異世界迷宮で奴隷ハーレム   作:Lilyala

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予定外

 

 

「夜分遅くに失礼。ちょっと厄介ごとを拾ってな。出来れば上に取り次いでほしい」

 

「む」

 

 

 チラリと背後に視線を向けた()()()()()()が軽く頷き、同僚と目で言葉を交わす。

 

 

「分かった。少し待っていろ。──暫く持ち場を離れる」

 

 

 駆け足で城に戻っていく騎士を遠目に眺めながら、軽く溜め息を吐き出した。

 

 全く……本当に厄介な案件を抱えちまったぜ。まだ顔を繋ぐつもりは無かったのにな。

 

 日が昇りつつある朝焼けを眺めていると、騎士が上司と思われるエルフを連れて戻ってきた。

 

 やはり、と言うべきか。戻ってきたエルフの顔は、こちらがよく知る男だった。

 

 

ゴスラー・ノルトブラウン・アンハルト ♂45歳

魔道士Lv58

装備 ひもろぎのスタッフ 身代わりのミサンガ

 

 

「お待たせしました。ハルツ公領騎士団長のゴスラーと申します。何やら急用との事で?」

 

「自由民のアカギだ。確認は必要か?」

 

「念のためお願いします」

 

 

 一度頷き、隣の騎士へ左手を差し出す。

 

 

滔々(とうとう)流るる(たま)の意思 脈々息づく知の調べ インテリジェンスカード オープン。……確かに。確認しました」

 

「うむ。それで、アカギ殿はどの様な用件でこちらへ?」

 

「後ろの奴らの為にも結論から言うが、俺が狩った盗賊の()()()()()()彼女達が出てきた。で、俺は冒険者ギルドの尻を叩いてここまで来たって訳だ」

 

「……成る程」

 

 

 ゴスラーが軽く部下に目配せをすると、部下が一度敬礼した後、門の中へ駆けていく。こんな世界だ、盗賊のもとに居た被害者への対応は、ある程度マニュアル化されてるのだろう。

 

 

「同族の救出に感謝を。貴方が助けてくれなければ、彼女()は死ぬまで盗賊の慰みものだったでしょう」

 

「狙った獲物のついでだから気にすんな。俺の手に余る案件だったから連れてきた。それだけだ」

 

 

 先程消えた騎士が女騎士を連れてきた。その女騎士に連れられ、被害者のエルフ()が門の中に消えていく。

 

 

「たとえそうだとしても、私が貴方に感謝する気持ちは変わりませんよ」

 

「そうかい。苦労しそうな性格してんな」

 

 

 原作を知らなくても分かる、この苦労人気質。流石ゴスラー。公爵に振り回されるキャラとして確立してるだけある。

 

 

「ところで差し支えなければ教えてほしいのですが、彼女達を襲った盗賊共は何処に居たのですか?」

 

「セルマー伯爵領の××××って街だ。そこのスラム街の一角にある娼館には裏口があってな?娼館の酒蔵に繋がってるんだが、そこで盗賊に監禁されていたぞ」

 

「なんと……」

 

 

 原作ではハインツ一味が暴れていたが、他の盗賊が全く居ないなんて事は夢物語より有り得ない。法を司り、犯罪者を取り締まる側が落ち目なんだ。

 

 そら、他の盗賊団も暴れまわるわな。

 

 

「一応、盗賊が残しておいた契約書類は纏めて奪ってきた。ついでに金貨二枚と彼女達の装備も置いていくから渡してやってくれ」

 

「良いのですか?基本的に盗賊から取得した物は討伐者に権利がありますが」

 

「元々、彼女達の物だしな。流石にその仲間だった奴等の装備は貰っていくつもりだが……そちらで買い取るか?」

 

「……いえ。そこまで甘えさせてしまっては彼女達の為になりません」

 

「あいよ。あ、ついでにインテリジェンスカードの換金も頼む」

 

 

 アイテムボックスから彼女達の装備とインテリジェンスカードを取り出し、近くの騎士に纏めて渡す。捌く手間が省けたな。そう思わないとやってられん。

 

 ちなみに戦利品を全部渡した訳では無かったりする。持ち運びしやすい貨幣のつもりだったのか、盗賊達は8枚ほどモンスターカードを所持していたのだ。

 

 俺にとっては金貨より価値のある品。渡せないよな、流石に。

 

 

「ゴスラー様。お持ちしました」

 

「うむ。こちらが褒賞金と()()()()()()です」

 

「有り難く」

 

 

 重さ的に金貨四十枚は行ったか。儲け儲け。

 

 

「もう少し日が昇った後でしたら我が主にお繋ぎしたのですが」

 

「いらんいらん。俺は貴族と話せる様な育ちじゃないし、エルフ全部とは言わんが、それなりに嫌な目を向けられた経験もある。これぐらいの距離で十分さ」

 

 

 実はそんなに気にしてないが。原作知識でエルフはそういう人種だと知ってたし。

 

 

「では、ここらで失礼する。またいつか」

 

「分かりました。ご武運をお祈り致します」

 

 

 さて、今日の宿はどうしようか。

 

 

 

 

 当初の予定では盗賊狩りで金貨二十枚前後、二十万ナール稼ぐ予定だった。それを道中で繰り返し、目標の六十万ナールを稼ぐ予定だったんだが……

 

 

「貯まっちまったな」

 

 

 懸賞金の入った布袋を借りた宿の部屋でひっくり返せば、何と驚き金貨が四十五枚も飛び出した。盗賊の貯めていた資金を合わせると、六十万ナールを余裕で超えている。

 

 

「ゴスラーからの感謝の気持ちが二十枚ってところか。まぁ、エルフなら欲しがる奴も多いし、当然か」

 

 

 そうじゃないと()()()()の権力の高さに説明が付かない。エルフ一族の長老というだけでは無く、同族を何度も守り、()()()()()()()()()()()()()()()()公爵すら恐れる地位に居るのだろうし。

 

 

「大怪我や不幸な事故で引退したとしても、長老がセーフティーネットとして助けてくれる。それがエルフの貴族達が責務を全う出来る理由か」

 

 

 他の種族と違うのはそこなのだろう。個人で完結しているのでは無く、種族で貴族をやっている。

 

 だからこそエルフはこの迷宮がポコポコ湧く世界で、ただの村人が傲慢になる程の長い歴史を積み重ねる事が出来た訳だ。その代償として、セルマー伯爵の様な誇りを汚す存在は同族に狩られるが。

 

 

「……エルフを仕入れるならペルマスクより先だな。あそこは外国らしいし、流石に繋がりは無いだろう」

 

 

 帝国のエルフ()に縛られるのは御免だ。俺は自由に生きたい。

 

 

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