勝ち組男の異世界迷宮で奴隷ハーレム   作:Lilyala

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塩だれ焼肉パン

 

 

 最初の宣言通り、パームオイルを乱獲してから帰宅。とはいえ昼から揚げ物は若くない俺には厳しい。

 

 かと言って昼から手の込んだ料理を作るのもなぁ……という主()らしい思考により、本日のお昼は手抜き料理となった。

 

 

「用意する物は七輪!後は美味い食材!以上だ」

 

「これで不味かったら食材の責任以外の何物でもありませんね」

 

「ただ焼くだけですからね」

 

 

 グロリアとメローの冷静なコメントが痛いが無視だ。

 

 用意した食材はカエルのもも肉、バラ、三角バラ、蛤に牡蠣にザブトンにロース。白身や赤身やレーヌの壮齢の漁師がくれた魚介類。後はトロムソで買った長ネギ?にニンニク等々。

 

 本当ならナスも欲しかったんだが、季節が違うのか用意できなかった。キャベツとレタスはあったんだけどな。

 

 

「それじゃ各自適当に自分で焼いて食べてくれ」

 

「主様は食べないのですか?」

 

「俺はタレとドレッシングを作ってくる」

 

 

 用意する物は砂糖、酢、醤油(魚醤)、にんにく、鶏ガラスープ(竜皮で取ったダシ)、ごま油。白ごまは無い。

 

 後は適当な皿に全部ぶちこみ、砂糖が溶けるまで混ぜるだけ。これでチョレギドレッシングの完成だ。

 

 余談だが、実はこの世界のごま油は気軽に使える品じゃなかったりする。なんと一本、驚きの千ナールなのだ。

 

 こんな値段になる理由は単純で、オリーブ系最上位のドロップ*1だから。つまり、採ってこれる人間が殆ど居ないし、湧く迷宮もほぼ無い。

 

 そのお蔭でクーラタルの特産品の一つになっているのだから、この世界は面白い。パラーもレムゴーレムやグリーンキャタピラーが浅い層に湧く迷宮をキープしてるしな。

 

 まぁ、管理に失敗するとレーヌの二の舞になるんだが。

 

 とりあえず適当なキャベツの千切りにドレッシングを掛けて味見。……微妙に魚臭いのが気になるが、魚醤を使う以上、これ以上は無理だから許容範囲内という事にしよう。

 

 

「あの……ご主人様。私、もう待てません……!」

 

 

 妙な色気を醸し出しながら、キラキラとした視線を俺に向けてきたサギニ。

 

 ここで『待て』をするのもアリかな、と一瞬だけ考え、即座に思考を破棄する。

 

 

「俺はもう一個作るから先に食ってろ。掛けすぎに注意な」

 

「はいっ!」

 

 

 ドレッシングの入ったボウルを渡せば、返ってきたのは満面の笑みと嬉しそうな返事。

 

 うーん、狼成分は迷宮に置いてきたか。戦ってる時は凛々しいのになぁ。

 

 

 そんな事を考えながら塩タレ作りに移る。

 

 

 用意する物は長ネギ、ごま油、おろしにんにく、おろし生姜、塩。塩は人数分かける1gと覚えると分かりやすいぞ。他は適量だ。好みの味を探すと良い。

 

 まずはネギを1cmぐらいのサイズに切り分け、さらに包丁を入れて芯を取り除く。

 

 後はそのまま開いて千切りだ。面倒なら繊維に沿ってフォークで裂いてもいける。

 

 抜いたネギの芯は他の料理に使うなりすると良い。タレ作りには使わん。

 

 長ネギを千切りにしたら氷を浮かした冷水に突っ込んで十分ほど待つ。その後、キッチンペーパーで水分を抜けば、下準備は終わりだ。

 

 

 まぁ、異世界にキッチンペーパーなんて無いんだが。

 

 

 代わりに使うのは『さらし』だ。着物の着付けの時に使うアレと言えば分かりやすいか。

 

 清潔な木綿布(さらし)に乗せて軽く絞り、調味料と和える。これで塩だれの完成──

 

 

『『『………………』』』

 

 

 振り向けば、こちらをジッと見詰める無数の視線が。タレの入った皿を右に動かせば右に動き、左に動かせば左に動く。……ふむ。

 

 

「なんつーか、お前ら遠慮が無くなってきたな」

 

「うっ。……ちょっとはしたなかったでしょうか」

 

 

 頬を赤く染めるグロリアに首を振る。

 

 

「人前でしっかり出来るなら問題ないさ」

 

 

 人数分の小皿にタレを垂らしていき、最後にネギを分配。それをグロリアと二人で配膳した後、グロリア達が焼いていた肉をかっさらって口に運ぶ。

 

 

「んー……こんなもんか」

 

 

 やっぱり迷宮産以外の部分が足を引っ張るな。不味くは無いんだが、ごま油と塩ににんにくと生姜が負けてらぁ。

 

 

「主様の舌はこのレベルでも満足出来ませんか」

 

「レシピ元の味を知ってると、こういう反応にもなるさ」

 

 

 高級焼肉店の味を求めたのにフランチャイズの味になってるというか。せっかくの三角バラなのに、タレが掛け算ではなく足し算止まりって言えば伝わるかね?

 

 

「主人さまの故郷はどんな美食の国やの……?」

 

「少なくともこの程度の味なら国の飯屋で普通に出てくるぞ」

 

 

 焼肉チェーンは全国に約三千店舗あるし。

 

 

「御伽のお話ですか?」

 

「おいおいサギニ。勝手に人の故郷を幻想にするなよ」

 

 

 とりあえず釘を刺しつつ海老に手を伸ばす。……海鮮類の美味さは世界が変わっても変わらんのが素敵だ。

 

 

「でも、最低でもこのレベルの食事が安い値段で食べられて、毎日温泉に入れて、新品の服が安く売られている国なんですよね?」

 

「まぁ、そうだな」

 

「やっぱり御伽の国では??」

 

 

 四季の風光明媚な景色に、様々な美食。蛇口を捻れば安全な水が流れ出て、高度な医療も受けられる。

 

 流石に不老長寿までは行かないが、日本人は若く見られる事が多く、人によっては一世紀ぐらい生きる事もある。

 

 日本らしい要素を羅列してみると、確かに楽園と呼ばれる条件を満たしているか……?

 

 

「…………いや、やっぱ楽園じゃないな。過労死する奴も結構居るし」

 

「カロウシ?」

 

「働きすぎて死ぬって事だ」

 

 

 話しつつチョレギサラダもどきに箸を伸ばす。野菜は全て冷やして保存しておいたんだが、やっぱり日本産の味には勝てんな。

 

 品種改良は時間が掛かるし、生きてる間に俺が日本に匹敵する野菜を食べられる事は無さそうだ。

 

 

「……?奴隷の話ですか?」

 

「ある意味では?」

 

 

 適当にはぐらかしつつパンに切れ目を入れ、そこへレタスを敷く。

 

 そしてその上に塩だれを潜らせたバラを乗せれば、なんちゃって焼肉パンの完成だ。

 

 

「うん、悪くない」

 

「本当ですか!?私もやってみます!」

 

 

 日本への興味が一瞬で消え、代わりに焼肉パンの作成に熱意を燃やし始めるサギニ。

 

 グロリア達も黙々と作り始めた辺り、全員興味があったらしい。

 

 

「こ、これは本当に美味しいですね……!タレがパンに染み込まないお陰でべちゃつきが抑えられ、パンの甘さをしっかりと感じられるのに満足感が凄いです……!!」

 

「し、塩だれだけでも凄かったのに野菜とここまで合いますか……!」

 

「…………!!」

 

「主人さまの国のレシピって皇室お抱えの料理人を超えてるんやない……?」

 

 

 四人が幸せそうに焼肉パンを頬張る姿を眺めつつ、俺は一足先にギブアップ。

 

 年取るとマジで量を食えなくなるんだよな……。

 

 

 

 

 

 

*1
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