勝ち組男の異世界迷宮で奴隷ハーレム   作:Lilyala

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迷宮討伐ⅩⅡ

 

 ボス部屋に突入すると、相も変わらず魔力と思われる靄が集まり、魔物が現れる──

 

 

「うお!?」「きゃっ!?」「め、目が……!」

 

「眩しいですね……」「目を閉じとりゃよかった……!」

 

 

 薄暗い迷宮に相応しくない光輝くミラーボール。それを二匹の魔物が掲げ、こちらの目を潰したのだ。

 

 もちろん、そんな隙を呑気に与えてしまえば、敵はスキルを発動する余裕がある訳で。

 

 

「ッ──!」

 

 

 御丁寧に二発のサンドストームが俺達の身体を切り刻んだ。

 

 

「やってくれたなオイッ!」

 

 

 とりあえず全体大回復。そこから博徒のスキル、サンダーストーム、サンダーストーム、ファイアーストームの順番に魔法を発動。麻痺は──駄目か。

 

 

「昼御飯を作る前にお風呂で砂を落とさなければなりませんね……!」

 

「砂汚れは料理に異物を混ぜてしまいますからね……!」

 

「せっかくの美味しい料理を台無しにする事は許されません……!」

 

「皆さん、意外と余裕……?」

 

 

 グロリアとメローが一体づつ抱え、サギニがミラージュコーラルに殴り掛かる中、迷いのある動きをしながらイザベラが疑問を口にする。

 

 それに答えたのはサンゴに武器を振り下ろしているグロリア達だった。

 

 

「私達の場合、殴った方が安全なんですよ」

 

「御主人様のお陰でHP吸収の効果が付いてますからね」

 

「……えっと?」

 

「金で解決出来る問題は解決する主義なんだ」

 

 

 イザベラの疑問に答えつつ二巡目に突入。状態異常耐性ダウンのお陰か、四発目のサンダーストームでメローの抱えてる方が麻痺った。

 

 そこへ振り下ろされる金砕棒。謎回避は──無しか。麻痺か石化中なら問題無さそうだ。

 

 

「謎回避は起きたか?」

 

「まだですね──あっ」

 

 

 グロリアの振り下ろしたダマスカス鋼の剣を()()()の様な動きでサンゴが躱す。あの動きは……オーバーホエルミングか?

 

 

(……いや、通常状態の俺の目でも追える程度だし、コウモリの回避二倍辺りか)

 

 

 何というか種が割れてしまえば、そこまで怖くない。

 

 

「うーん……連続で発動しないみたいですね」

 

 

 デュランダルを避けられたらダマスカスで切り掛かり、ダマスカスを避けられたらデュランダルで切り掛かる。

 

 二刀流の利点を最大限に発揮しているグロリアにとって、敵の謎回避は問題では無いらしく、順調に敵へダメージを与えている。

 

 

「発動率は体感で二割ぐらいですね。両手武器とは相性が悪そうですが、片手武器なら余り問題にならないかも知れません」

 

「そうですね。片手剣は避けられても避けた先へ突くだけで大丈夫そうです」

 

「槍も避けられるけど反撃も無しやね」

 

「鎚は完全に相性が悪いです」

 

 

 グロリアは両手武器を片手で扱ってるし、サギニは片手剣だから問題無いと。

 

 イザベラの槍は確かに避けられるが、距離がある分だけ反撃の心配が無い。

 

 問題なのはメローの鎚か。というか……

 

 

「鎚が余り使われない理由が良く分かるな。得意、不得意がハッキリし過ぎだろ」

 

 

 俺達ですら予備の武器を用意出来てないのに、一般的な探索者だとメイン武器として使うには扱いが厳しすぎる。

 

 これなら槍や剣に落ち着くのも当然だ。金が幾らあっても足りんだろ。

 

 

「鎚はドラゴンやゴーレムの様な立ち止まって殴り会える敵には強いんですが、汎用性は全く無いですからね。ただ、種族柄武器の持ち換えはそこまで苦ではないので……」

 

「あー……確かにそうか」

 

 

 鍛冶師にはアイテムボックスがあるし、武器を作れる職業だ。他の種族と違って、()()()()()()()()()使()()()()()と割り切れるのか。

 

 つくづくこの世界のドワーフは恵まれている。

 

 そんな感想を抱きながら三巡目に入る。先程から雷光がミラーボールに反射されるせいで目が痛い。が、弱点が無いので雷魔法以外の選択肢が無い。

 

 せめてもの抵抗としてサンドストームを混ぜているが……こりゃレッジ達が愚痴るのも納得だ。目に悪すぎる。

 

 

「大した事の無い攻撃なのに、光が邪魔で目測を誤りますね……!」

 

 

 先程からちょこちょこ受け流しに失敗しているグロリアが愚痴を溢せば、諦観混じりの声でメローが答える。

 

 

「私は諦めて殴り合う事にしました。避けられたとしてもサギニさんへの援護になりますから」

 

 

 ドワーフの血なのか、下す決断が漢らしい。いや、後衛としては頼もしいのだが。

 

 それからはスキル発動兆候中に謎回避が発動しない事が判明した以外は山場も無く。全て強権で封殺し、盛り上がりに欠けたまま討伐完了。

 

 強いというより厄介な敵だったな。まだ目がシパシパするぜ。

 

 

 

 

 四十五層の魔物はロールトロール。火属性が弱点で、風に耐性を持つ魔物だ。ドロップ品は鉄。今更感が凄い。

 

 後はこの階層からボス部屋に湧く魔物の数が、ボス二匹と雑魚一体になるので忘れないうちに説明しておく。

 

 

「そういえば、確か猿は雷魔法を使いましたよね?」

 

「ああ。だからメローの額金ではなく、俺の帽子に麻痺耐性を付けたんだ。俺が無事なら即座に治せるからな」

 

 

 グロリアに説明しつつ遊び人のスキルを中級火魔法に切り替える。

 

 いざとなったらメテオクラッシュも弱点で通せるし、ロールトロールに関しては恐れる理由が無い。

 

 このまま火弱点の敵が続いてくれると助かるんだが。ネペンテスやアニマルトラップだと嬉しい。カードもドロップも欲しい。

 

 

「──よし、準備完了。サギニ、何時でも良いぞ」

 

「かしこまりました。それでは右から埋めていきますね」

 

 

 ここを越えれば羊がほぼ湧かなくなるし、弱点を持つ敵も増える。

 

 第五ランクは全種弱点持ちだからな。もちろん五十層で戦う予定の迷宮ボスもその定めからは逃げられない。

 

 そういう意味では、開いたばかりの迷宮は貴族を目指す人間にとって登竜門的な扱いなんだろう。

 

 原作でハルツ公爵が勧めていたのも納得だ。

 

 

「敵です。猿4、羊1、サンゴ1ですね」

 

「羊とサンゴはサギニとイザベラが引き受けろ。残りはグロリア達だ」

 

『『『かしこまりました』』』

 

 

 グロリア達が走っていくのを見送りつつ、後ろからメテオクラッシュ、バーンストーム、バーンストーム、ファイヤーストームの順に叩き込む。

 

 それだけで猿が吹き飛び、残る魔物は二匹だけ。

 

 

「弱点があると、こうまで変わりますか……!」

 

「これは探索時間の方が長くなりそうですね……!」

 

 

 即座に意識を切り替えたグロリア達が二手に分かれ、それぞれサギニ達の前に割り込んで戦闘を開始した。

 

 それを眺めながら強壮剤をグビッと飲み干し、瓶を踏み砕く。

 

 後はサンダーボールを撃ちつつ石化する事を祈るだけか。戦闘が楽なのは良い事だ。

 

 

 

 

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