当初の予定では本編最終装備だった。
今見ると作者は何と戦わせるつもりだったんだろう……?
──夏の季節 八十日目
夏の日差しが弱まり、森に落ち葉が増え始めた頃。俺達の装備集めも佳境に入っていた。
当初の予定ではコツコツ切り替えていく予定だった装備も、魔結晶促進とドロップ売却の合わせ技で何とか揃える事が叶い、納得のいくレベルの装備が揃った。
それに伴なって俺達の最終到達階層も気付けば六十六層に。
まぁ、苦労したのは装備を破壊してくるボスだけだったんだが。単純な殴り合いならガンマ線バーストで余裕だしな。
そして完成した俺の素晴らしき成金装備がコレだ。
強権の聖剣 両手剣
スキル 詠唱中断 HP吸収 MP吸収 防御貫通 クリティカル率二倍
身代わりのとんがり帽子 頭
スキル 身代わり
頑強のダルマティカ(黒) 胴
スキル 物理ダメージ削減 魔法ダメージ削減 毒耐性 石化耐性 敵対心減少
耐火の聖銀のガントレット 手
スキル 火耐性 風耐性 水耐性 土耐性 HP回復速度二倍
駿馬の聖銀のデミグリーヴ 足
スキル 移動力増強 回避二倍 麻痺耐性 睡眠耐性 MP回復速度二倍
かみくらのダイヤモンドの腕輪 アクセサリー
スキル 知力五倍 攻撃力二倍 消費MP軽減 ダメージ逓増 体力二倍
ふっ。どうよ。この『ぼくのかんがえたさいきょうそうび』具合は。
欲を言えば攻撃力五倍も欲しかったんだが、第三ランクの最上位は八十九層以降でしか挑めず、そもそもクーラタル以外にそこまで成長した迷宮は存在してなさそうなので諦めた。レベルも足りてないしな。
(……レベルと言えば、イザベラも今日で終わりか)
グロリア、メロー、サギ二の三人はすでに中位職に到達している。装備も完成しているし、後は金が貯まり次第アクセサリーを換えていくだけだ。サギニは事情があって暗殺者のままだが。
残るイザベラも
サギニ達はすぐに気付いたんだけどな。石化率が大幅に変わっていたし、俺がこそこそ何かやる事はよくある事だから。
ここらへんは付き合いの長さも関係しているので、たぶん次の奴隷で実験する時にはイザベラも気付くだろう。
「主様。準備出来ました」
コンコンと叩かれた扉の向こう側からグロリアの呼ぶ声が聞こえた。どうやら家事を終えたらしい。
「おう。すぐ行く」
机の上を軽く片付け、パパっと探索装備に着替える。最後に
さて、ラストスパートを掛けるとしようか。
◇
「長かったなぁ……」
レーヌを解放した後からこっそり探索を進めていたダルの迷宮。そこの五十六層でエリクシール稼ぎをしてる最中に開いたパーティージョブ設定を見た俺の口から、思わず感慨深い気持ちが溢れた。
| イザベラ | 所持職業 |
|---|
村人Lv5 探索者Lv50 戦士Lv30 剣士Lv1 商人Lv30 薬草採取士Lv1 農夫Lv1 僧侶Lv1 巫女Lv1 錬金術師Lv1 騎士Lv50 賞金稼ぎLv1 武器商人Lv1 防具商人Lv1 料理人Lv1 暗殺者Lv50 冒険者Lv1 聖騎士Lv1 刺客Lv1 森林保護官Lv1 遊び人Lv50 曲芸師Lv1
遊び人に必要なジョブ数は十八個。盗賊が入手出来ない関係で冒険者と刺客を得るまでレベル上げする事は想定していた。
だが奴隷は奴隷を所持出来ず、奴隷商人の取得条件を満たせない*1のは想定外だった。
そのせいで上げる予定の無かった騎士を上げる必要があり、ジョブを獲得するより先に装備が完成してしまった事には変な笑いしか出ない。
「主様。どうかなさいましたか?」
黙って虚空を見つめていた俺を心配したグロリアが声を掛けてきたので、メニューを消して視線をグロリア達へ移す。
「ちょっと一層行くぞ」
「えっと、一層ですか?」
「おう。ようやく実験結果が出そうなんだ」
という訳でワープを開き、ダルの一層へ。ギルド神殿で力を解放した真デュランダルをイザベラに渡した後、サギニに人の居ない方へ案内を頼んだ。
「……ここなら大丈夫そうですね。他の人の匂いはありません」
「よし、それじゃイザベラ。ランダムスキルって言ってみろ」
「わかりんした?」
疑問符を浮かべたイザベラがスキル名を口にすると、すぐに表情が変わる。
「あの、主人さま?これは……?」
「とりあえず、これから起こる事は他言無用だ。ついでに俺は説明する気も無いから何も聞くな」
「えっと……?」
「イザベラ様。主様が他言無用と言えば他言無用ですし、質問するなと仰ったのなら諦めましょう。そんな無駄な事をするより先に、私達は与えられた力を使いこなす事に努力を向けるべきです」
「はぁ……」
歯に物が詰まってるかの様な表情になったイザベラには悪いが、これは俺が貴族となった時のアドバンテージとなる情報だ。
たとえ聞かれたとしても答えるつもりは無いし、レッジにすら教えるつもりは無い。
「ご主人様。敵の匂いが近づいてます」
「よし。それじゃイザベラ。ランダムスキルを使え。グロリアは敵を抑えてやれ」
グロリアが軽く敵を
「えっと、それじゃいきます。……風の向くまま、気の向くままに。運芸──ランダムスキル」
イザベラが呪文の詠唱を終えると、イザベラの右手が優しく輝いた。……流石に最初から当たりは引けんか。
「あの、これはどうすれば……?」
「グロリアに向けてみろ」
「はい……?……えっ?」
「これは……僧侶の手当てですか。なるほど、ランダムスキルとは全てのスキルを運次第で使えるスキルなのですね」
「一発で見抜くか。流石メロー、正解だ」
ちなみに曲芸師はこんなジョブだ。
効果 空き 空き 空き
スキル ランダムスキル
遊び人より効果枠が二つ増え、代わりにスキルセット枠を失った。そのせいで俺は使う必要が無いジョブなんだが……このジョブには
「さて、イザベラ。そのスキルは連発出来るからどんどん使ってくれ。俺が許可を出すまでな」
「わかりんした」
再び敵と向き合い、イザベラが詠唱する。──また手当てか。そこまで被るスキルじゃないんだけどな、これ。
「えっと、また行きます。風の向くまま、気の向くままに。運芸──ランダムスキル」
三回目を発動した瞬間、
「それは主様が時々見せる高速移動の……!?」
「本来なら大当たりなんだけどな。残念ながらそれも外れだ」
運が良ければオーバーホエルミングやオーバードライヴも発動するのがランダムスキルだ。消費も少ないし、連発も出来るが、安定性という言葉からはかけ離れてるスキル、というのが俺の評価だ。
ぶっちゃけ、ガチャやってる気分になるんだよな、あれ。
それから四度ほど発動させ、途中で強壮剤を飲ませる休憩時間を経て、八回目の挑戦で
「風の向くまま、気の向くままに。運芸──ランダムスキル。……えっ?」
イザベラが詠唱を終えた瞬間、グロリアの抱えている魔物に紫電が走った。挑戦回数八回。意外に手間取ったな。
そんな感想を抱きつつパーティージョブ編成の画面を開く。そこには確かに
| イザベラ | 所持職業 |
|---|
村人Lv5 探索者Lv50 戦士Lv30 剣士Lv1 商人Lv30 薬草採取士Lv1 農夫Lv1 僧侶Lv1 巫女Lv1 錬金術師Lv1 魔法使いLv1 騎士Lv50 賞金稼ぎLv1 武器商人Lv1 防具商人Lv1 料理人Lv1 暗殺者Lv50 冒険者Lv1 聖騎士Lv1 刺客Lv1 森林保護官Lv1 遊び人Lv50 曲芸師Lv1
「おめでとう、イザベラ。お前は今日から魔法使いだ」
「……えっ?えっ?」
混乱するイザベラを他所に、メローが冷静に答えを導き出す。
「なるほど。イザベラ様の装備は最初からこの為に作られたのですか」
「おう。レーヌの時に判明してな。それからずっと狙ってたんだ」
俺の遊び人はレーヌ攻略時に五十を超えており、その時には曲芸師のジョブを獲得していた。そして魔法スキルが発動する事を確認していたからこそ、イザベラの装備をこんな風に作っておいた訳だ。
強権の聖槍 槍
スキル 詠唱中断 HP吸収 MP吸収 防御貫通 クリティカル率二倍
身代わりのティアラ 頭
スキル 身代わり
頑強のダルマティカ 胴
スキル 物理ダメージ削減 魔法ダメージ削減 毒耐性 石化耐性 敵対心減少
耐火のアームロング 手
スキル 火耐性 風耐性 水耐性 土耐性
駿馬のハイヒール 足
スキル 移動力増強 回避二倍 麻痺耐性 睡眠耐性
かみくらのボディピアス アクセサリー
スキル 知力五倍 攻撃力二倍 消費MP軽減 ダメージ逓増
うーん、この原作カシアリスペクト装備よ。ちなみにボディピアスなのは趣味だ。やはり原作はリスペクトしないとな!
「えっと、イザベラさんは魔法使いになったという事ですか?」
「おう。だからイザベラが慣れるまでは暫くコボルト狩りにするつもりだ。お前らもそのつもりで頼む」
グロリアの質問に答えつつ魔物を聖剣で切り捨てる。デュランダルを使わなくてもワンパンとは俺も強くなったもんよ。
「かしこまりました。これで高層の探索が少しは楽になると良いのですが」
「まぁ、雑魚の殲滅速度は上がる筈だし、今までよりは楽になるだろ」
グロリアと二人でこれからの展望について話し合っていると、混乱した様子のイザベラが疑問をそのまま口にする。
「えっと、皆さんはなんでそんな簡単に受け入れてるん……?わっち、自爆玉使ってないのに魔法使いになれたんよ……?」
その当然の疑問に対して、サギニを含む三人が口を揃えて答えた。
『『『
◇
引っ張ったまま封印された魔法使いの正規ルート(捏造)
初級魔法+回復魔法使える賢者と迷ったけど、魔法四発は許されないかなーと思い、こんな形の予定でした。
これも暗殺者が強すぎるから……!