探索者Lv33 英雄Lv30 遊び人Lv1
魔法使いLv31 薬草採取士Lv1
現在のジョブはこんな感じだ。四枠目の魔法使いまでが主戦力、五枠目は育成枠になる。
遊び人も手に入れたし、スタッフ持って魔法連打でも良いんだけどな。魔法使いを取得した時のトラウマのお陰で、未だデュランダルを手放す勇気が持てない。
ちなみに漫画版で三スロットのロッドがあったので、その上位装備となるスタッフはダマスカス鋼と同等の四スロットが上限の可能性が高い。
ただ近接武器と違い、スタッフにはそこまで詰め込みたいスキルが無いんだよな。MP吸収付けて殴りに行くならデュランダルを抜くし、強いて言うならウサギのカードだが、俺より先にグロリアの武器に付けた方が間違いなく役に立つ。
そう考えると、ひもろぎのスタッフにするだけに留めておいた方が売る時に悩まなくて済む気がしている。
「あの、主様?」
「んー?」
「疑わないで聞いてほしいのですが、私がその剣を使う事は出来ないのでしょうか?そうすれば、主様だけを働かせずに済むのですが……」
「出来るかどうかで言えば、出来る。ただ、
鞄から取り出してグロリアに見せたのは
この上の黄魔結晶は十万匹狩る必要があり、その上の白魔結晶は百万匹狩る必要がある。
前者は魔結晶化促進六十四倍を付けても
「私がそれをお借りして戦っては駄目ですか?」
「そしたらお前の魔結晶が育たないぞ?」
「構いません。私は主様の奴隷となれて幸せですし、それ以上に主様の後ろをついて歩くだけの現状が申し訳無くて……」
「んー……分かった。それじゃお前の魔結晶を貸してくれ。アイテムボックスに仕舞っとく」
「は、はいッ!」
いそいそと鞄から取り出したグロリアから魔結晶を受け取り、代わりにデュランダルと魔結晶を渡す。ついでにアイテムボックスからシミターを取り出して腰に下げた。
たぶん、使う機会は無いだろうが。
「切れ味やべーから自分を切らない様に気を付けろよ」
「はい。よく存じております」
まぁ、グロリアの仕事を奪ってた元凶だしな。
それから少し進むと、哀れな獲物の姿が。コボルト、ニードルウッド二匹の編成か。この階層では珍しい編成だ。
「行きますッ!」
デュランダルを構え、グロリアが迷宮を駆ける。
そのまま勢いを殺さず真横に振り抜くと、直撃した二体が即座に煙に変わった。残るニードルウッドが悪足掻きの様に枝を振るうが、そちらは鉄の剣に防がれる。
そして止めの一撃が振り下ろされて戦闘終了。ドロップ品は──塩、枝、リーフか。俺より良いな。
「す、凄い……」
呆然と右手に握るデュランダルを見つめるグロリアに近付き、代わりにドロップ品を拾う。
「あっ!す、すみませんっ!」
「気にすんな。試したいこともあったし」
右手に握るリーフに向けて『生薬生成』を発動。すると、手の中のリーフが毒消し丸*1に変わった。
「主様は薬も作れるのですか?」
「他言無用な。……後でポーチでも買うか。取り出しやすい位置に無いと、いざという時に困るだろう」
今回はアイテムボックスに仕舞うが、漫画版の描写を見た感じ、とてもじゃないが毒になった時に開けるとは思えない。
変なタイミングだが、これからに必要な情報が手に入って良かったぜ。上の階層には毒や麻痺どころか石化を食らう機会もあるみたいだしな。
「取り敢えず次の獲物を探すぞ。昼までに出来るだけ稼いでおきたい」
「かしこまりました」
敵を求めて迷宮を行ったり来たり。この階層の地図は完成しているので、本当に敵を求めて徬徨う以外やる事が無い。
俺は奴隷の主だから気にしないが、こりゃ奴隷の立場だと居心地が悪いだろう。ここらへんは俺のミスだ。
(……正直言えば、後先考えずに稼ごうと思えば幾らでも稼げるんだよな)
例えばニードルウッドの落とすリーフ。このアイテムはギルドに売ると一つ八十ナールになるのだが、これを薬草採取士の生薬生成で毒消し丸に変えると、一つ二十五ナールの商品に変わる。
一回で十個作れるので、合計で二百五十ナール稼げる訳だ。
後先考えずに動くなら序盤の金策としてかなり上等だろう?原作で名前だけ登場した薬士ギルドを敵に回す可能性を考えなければ、だが。
他にも朝早く港町に向かい、魚を仕入れて内陸部に売る事も考えた。だが納品先を探し、金に変える事が出来たとしても、一度や二度ならともかく奴隷を購入出来るだけの回数を何度もやれば、間違いなくそれが仕事となってしまう。
あちら側も安定配給を望むだろうし、そうなるとこちらの都合で辞められなくなる訳だ。
もちろん一方的に打ち切る事も出来る。だが迷宮を踏破して貴族になろうとしているのに、約束を守らないという汚名をわざわざ被ろうとは思わない。
信頼を築くには年月が必要で、失う時は一瞬。
それが人間社会という物だ。
「…………あ」
「お?」
グロリアが屈み、何かを地面から拾う。まさかあれは──
「おめでとうございます。モンスターカードですよ」
「漸くか。長かったなぁ」
手渡されたカードに鑑定を使うと、待ち望んでいたカードの名前を教えてくれた。
必要数を考えればまだまだ欲しい。だがその為にここに留まる意味はあまり無く、もしやるとしても十一層にコボルトが湧く
「そろそろお昼だと思いますが、どうなさいますか?」
「それなら帰るか。朝も言ったが、この後は別行動だ。たぶん戻るのは日が変わる頃だから先に寝ておけ」
「……かしこまりました」
未だ納得いってないが、反論するつもりは無いって所か。俺が死ねば巻き添えを食らう以上、不安になる気持ちは分かる。
だが竜人族で、隻眼で、傷があって尚も美人にカテゴライズされるグロリアは、どう考えても人の記憶に残り過ぎる。
今回は良くても盗賊同士の繋がりから襲撃犯の容姿が漏れる可能性がある事を考えると、とてもじゃないが連れ歩けない。
「あ、ベッドで寝て良いからな。それと戸締まりだけはしっかり頼む」
「はい。主様の慈悲に感謝を」
恭しく頭を下げたグロリアを横目で眺めつつ、近くの壁にワープを発動。現れた黒い渦を抜ければ、そこは倉庫代わりに使っている部屋の中。
何というか帰ってきたと実感が湧く場所は良いな。徒歩零分で帰宅出来るの良い。
「それじゃ行ってくる」
「御武運を」
グロリアが差し出した外套を纏い、ワープで目的の街へ飛ぶ。
待ってろよ盗賊ども。すぐに金貨に変えてやるからな!