ダル。
スコットランドに実在する『鈍い』の名を冠する都市の名前──では無く、騎士に案内された街の名だ。
印象としては田舎というには大きく、都会と呼ぶには小さい、何処か中途半端な印象が拭えない街、というのが正直な感想になる。
たぶん原作に登場した『ベイルの街』より小さいだろう。武器屋や防具屋こそあるが、スラム街を作れる程の広さは無く、娼館や奴隷商の館も小さめだ。
まぁ、日用品は揃えられたし、着替えも手に入った。これ以上を望むなら、それこそ原作の街に向かうべきか。
「おっと、ここか」
換金ついでに騎士に尋ねておいた宿屋に入る。もちろんデュランダルを消し、三割引のスキルを付けた。
後はお湯と共に支払えば大丈夫……の筈。
「いらっしゃい」
「普通の一人部屋で六泊。ついでにお湯も毎日くれ」
「夕食はどうする?含んでおくと割引になるぜ?」
「それなら一緒に頼む」
左手を差し出し、インテリジェンスカードのチェックをして貰う。原作を読んでいたから淀み無く行えたが、そうじゃなかったら俺も色々尋ねただろう。
「一番安い部屋は二百五十ナール。夕食は五十ナール。お湯は二十ナール。合計で一泊三百二十ナールだが、六日も泊まってくれるんだ。一泊二百二十四ナールで良いぞ」
「分かった」
賞金の入った袋から銀貨十四枚取り出し、受付の上に置く。ちなみに銅貨は一ナール、銀貨は百ナール、金貨は一万ナールの価値となる。この上にある白金貨は百万ナールだ。
「まいど。お釣りと部屋の鍵だ」
「確かに」
原作を読んでる時も思ったが、この割引スキルを使った時の違和感が凄いな。要らない装備を騎士団の専属商人に売り払った時も三割増しにして貰ったが、その時は『お世話になったので』だった。
お世話したのは村人であり、騎士団の人達は戦友な気がするんだが。
「お湯と夕食は何時出せば良い?」
「夕食は今からでも大丈夫か?」
「ああ。準備出来てるぞ」
「それなら先に食事を食ってくる。お湯は食後に頼む」
「分かった。食堂はそちらから見て右手の奥だ」
「了解」
指示通り右の扉を潜り、食堂へ向かう。入り口から見えるテーブルの数は六つ。椅子の数は机一つに対して六脚だ。探索者のパーティーが単位として成立しているのかね?
「お食事はあちらから選べます」
「三番で」
「畏まりました」
三番を頼んだのは原作リスペクトだ。パン、スープ、野菜のシチュー、肉を焼いたもの。美味しいと主人公が太鼓判を押していたのは覚えている。
流石に異世界転移初日で食事の冒険に出る勇気は無かった。今日はお腹一杯食べてぐっすり眠り、明日に備えたい。
席に着いてすぐに料理が運ばれてきた。自分が想定していたより空腹だったのか、目の前にあった料理が瞬く間に消えていく。
その後は特に何も無く、部屋に戻ってお湯とボロ切れで身体を拭き、すぐにベッドへ潜り込んで気絶する様に寝た。
◇
────春の季節 二日目
差し込む朝日で目覚め、軽く
再び室内に戻って始めに行った事は、
「約十五万ナールか。奴隷は無理だな」
ロクサーヌどころかセリーすら買えん。買うつもりは無いが。
幸いな事に装備は硬革一式からスタートなので、ソロで戦う分には問題無いだろう。
ばら蒔いた貨幣をサイフに戻し、今度は自分に鑑定を使う。
村人Lv4
装備 鉄の剣 硬革の帽子 硬革の鎧 硬革のグローブ 硬革の靴
これが現在の俺だ。獲得したジョブは英雄、盗賊の二つ。盗賊はハインツ一味に居た探索者の帽子を生きてる内に
探索者である以上、盗賊では無い。正直、取れるかどうかは賭けだったが……どうやら上手く行ったらしい。
続いてキャラクター再設定だ。
・キャラクター再設定 | 村人Lv 4 |
|---|
| 基礎BP | 102 | 使用中BP | 70 | 使用可能BP | 32 |
パラメーター設定 | 消費BP- |
|---|
ボーナス装備設定 | 消費BP63 |
|---|
武器一 1 武器二 2 武器三 4
武器四 8 武器五 16 武器六 32
ボーナス呪文 | 消費BP1 |
|---|
ワープ 1
ボーナススキル設定 | 消費BP6 |
|---|
鑑定 1 ジョブ設定 1
詠唱短縮 1 詠唱省略 2
キャラクター再設定 1
これが今の設定となる。どうせすぐ1stジョブを探索者に変えるので、増加したBPは使わない方向だ。
デュランダルは迷宮でアクティブにする予定なので一旦消しておく。それを踏まえて考えると、現状の理想設定は──
・キャラクター再設定 | 村人Lv 4 |
|---|
| 基礎BP | 102 | 使用中BP | 36 | 使用可能BP | 66 |
パラメーター設定 | 消費BP- |
|---|
ボーナス装備設定 | 消費BP- |
|---|
ボーナス呪文 | 消費BP1 |
|---|
ワープ 1
ボーナススキル設定 | 消費BP35 |
|---|
必要経験値減少 1 必要経験値二分の一 2
必要経験値三分の一 4
獲得経験値上昇 1 獲得経験値二倍 2
獲得経験値三倍 4 獲得経験値五倍 8
セカンドジョブ 1 サードジョブ 2
フォースジョブ 4
鑑定 1 ジョブ設定 1
詠唱短縮 1 詠唱省略 2
キャラクター再設定 1
3P余った。探索者のレベルが9になったら必要経験値五分の一でも取るかな。
ま、取り敢えずこれで準備完了。それじゃ朝食食べたら初迷宮へ行くとしますか。