勝ち組男の異世界迷宮で奴隷ハーレム   作:Lilyala

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知識チート

 

 

「今日はこのまま探索続行だ。十層に現れる敵はコラーゲンゲル。見た目通り硬いから手を痛めない様にな」

 

「パーンの様にハチノスは何度も戦わないのですか?」

 

「牛のカードよりサンゴのカードの方が欲しいんだわ」

 

「なるほど。やはり真剣に上を目指す方の考えは違いますね」

 

 

 尊敬の目を向けるグロリアに対し、メローは少し疑問符を浮かべていた。

 

 

「どうした?何か気になる事でもあるのか?」

 

「いえ、石化の状態異常は確かに強力ですが、石化添加にしても発動率はそこまで高くないと聞いたので。それならラブシュラブが落とす灌木(かんぼく)のカードを使い、麻痺添加にした方が良いのでは?と思いまして」

 

「両方入れるに決まってんだろ?発動した時点でメリットしか無いんだし」

 

「……そういえばそうでしたね」

 

 

 今はまだ過去の常識を引き摺ってるが、いずれながら作業で合成出来る様に鍛えないとな。

 

 成功するか失敗するか分かっているのだから、いちいち問答するのも面倒臭い。失敗した時の責任が怖いのだろうが、武具の所有権が俺にある以上、失敗した時の責任も俺のモノなのだ。

 

 勝手に気負われても困るとしか言えん。

 

 

「大丈夫ですよ、メローさん。失敗したら私も一緒に主様に謝りますから」

 

「その時はお願いしますね。失敗しないのが一番なのですが」

 

「二人の仲が良いのは俺としても嬉しいが──敵だ」

 

 

 俺の言葉を聞いた瞬間、二人が前方に向けて走った。そのお陰でコラーゲンゲルが使おうとした何かのスキルを止める事に成功する。

 

 確か原作でも八層のニードルウッドが水魔法を使ってきたな。って事はサンドボール辺りか?

 

 魔法を放ちながら敵の数を確認。コラーゲンゲル二体とミノ二体の合計四体か。どちらも弱点は無いので、ファイアストーム連打で良い。

 

 原作で十層の魔物に必要な魔法の数は七発。その時の主人公の武器はワンドだ。

 

 それが装備更新を考える切っ掛けになって話が進むのだが、俺はすでに装備更新を終えており、さらに遊び人のジョブも取っている。

 

 つまり、どれだけ敵が現れようと三回魔法を放つ時間さえ稼げれば何の問題も無い。戦闘後に全体回復を使えばリカバリーも簡単だ。MP消費は凄いが。

 

 

「どうぞ」

 

「ありがとな」

 

 

 グロリアから渡されたコーラルゼラチンをアイテムボックスへ入れる。確かソーセージに入れる事もあるし、絨毯を壁に貼り付ける為に使うんだったか。

 

 基本的には(にかわ)なのだろう。ただ元科学者としては、あの重厚な絨毯を木や石の壁に貼り付けられる粘着力が気になる。

 

 科学的に作るなら現代でも再現可能だろうが、それがこんな簡単に手に入るのだ。現代にあったら幾つの接着剤会社が倒産するやら。

 

 異世界だし、金属と金属の接着も行けるかも知れない。もしそうなら、まさにドリーム接着剤だな。スーパー膠と言っても良い。

 

 そんなくだらない事を考えながら迷宮をあちらこちらふらふら探索する。時々デュランダルを振るってMPを回復する以外は本当に何も起きない。

 

 やっぱり竜騎士の安定感は素晴らしい。HP吸収のお陰で多少のダメージは自己回復するし、両手剣二本から繰り出される火力は相当な物だ。

 

 ついでに今はメローのジョブ効果も加算されるからな。デュランダルや魔法が無ければ、攻守共にパーティー最強はグロリアだったかも知れない。

 

 それから暫く探索したが、ボス部屋を見付けられずに午前の探索は終了。

 

 午後はどうするかね?十一層に辿り着きたい気持ちもあるが、オークションについて調べたい気持ちもある。

 

 都合の良い迷宮について調べる必要もあるし、次の奴隷の種族を決めるのもアリだ。

 

 やりたい事は多く、調べる事も多い。だが()()()()()()()()()()事は一つも無い。

 

 全く、異世界は最高だぜ。

 

 

 

 

「今日の午後は帝都に行く。たまには休みも必要だしな」

 

「では、その間に家の掃除をしておきますね」

 

「庭の雑草も抜きたかったですし、丁度良いですね」

 

「いや、全員で行くぞ。色々買いたい物もある」

 

 

 そんな訳で帝都に到着。皇帝のお膝元と言う事もあり、相変わらず多種多様な人種で溢れている。

 

 もちろんジョブや容姿も様々だ。原作では登場しなかった種族も居るし、初めて見たジョブの奴も居る。

 

 確か転移前の設定で文化の数は多めにした筈だ。文化=人種なら、それこそ原作で見なかった種族を見掛けるのも不思議な事では無いか。

 

 

「えっと、主様?何処へ向かっているのですか?」

 

 

 人混みを縫う様に歩いていると、グロリアから質問が飛んできた。別に隠す事でも無いので簡潔に答えてやる。

 

 

「服屋だ」

 

「服屋?」

 

「なるほど。いずれ貴族になった時に使う、御主人様に相応しい衣装を御求めですか」

 

 

 うーん、見事な勘違い。

 

 

「いや、お前らを着飾って遊ぶつもりだ。というか探索者や冒険者の正装はどう考えても探索装備だろう」

 

「えっと、それなら古着屋で良いのでは?帝都の服屋は基本的に新品ですよ?」

 

「俺だけ新品の服を着て、奴隷はボロ切れなんて俺の貴族としての器量が疑われるんだよ──と、着いたな」

 

 

 一人のファンとして原作の舞台(聖地)を見るのは義務だ。だからベイルに行った時は奴隷商館を遠目から眺めたし、クーラタルに行った時はいずれ加賀道夫の家となる場所を見学してきた。

 

 もちろん帝都に来た時に服屋の場所を調べておいたぞ。聖地巡礼はファンの義務だからな。

 

 特にここは男の浪漫を形にしてくれる店だ。巫女服も欲しいし、ネグリジェも欲しい。

 

 俺の持つ科学知識を使ってナース服を作らせるのもアリだ。バニー衣装も捨てがたいし、文明を二百年ぐらい進める程度は誤差だろう?駄目か。

 

 

「いらっしゃいませ」

 

 

 浪漫について真剣に考えていると、丁度良く服屋に着いた。カランカランと小さな鐘が入店を知らせれば、初老の店主と思われる男が深い御辞儀で出迎えてくれた。

 

 

「コイツら二人のネグリジェと絹の下着が欲しい。服も買うが、それは自分で選ばせるつもりだ」

 

「畏まりました。それでは採寸させて頂きますので、こちらへどうぞ」

 

「えっと、主様?」

 

「大丈夫だ。メロー、グロリアのフォローを頼む」

 

「畏まりました。グロリアさん、大丈夫ですよ。落ち着いてください」

 

 

 店主が呼んだ女性店員に連れられ、二人が店の奥の個室へと向かう。それを見送った後、暇潰しも兼ねて店を散策する。

 

 オーバーチュニックばかりと思いきや、意外にワンピース型も置いてある。シェーンズも豊富にあるし、何というかロマネスク風近代ファンタジーみたいな発展の仕方だ。

 

 ちなみにゴシック様式が完成したのは十五世紀。今ここにあるのは地球で言う十二から十四世紀の物なので、俺が死ぬ頃にはプールポワン姿のイケメンエルフが闊歩する時代になるかも知れない。

 

 残念ながらゴスロリ姿の高身長エルフは拝めない。あれは十八世紀中頃から十九世紀のヴィクトリア朝がベースなのだ。

 

 

「お探しの物は見付かりましたか?」

 

 

 別に目的があって見ていた訳では無いが、せっかくなので声を掛けてきた店主に軽く首を振る。

 

 

「いや、どうやらここにも無いらしい。帝都の服屋にならあると思ったのだが」

 

「……それは申し訳ございません。ですが、宜しければ何をお探しかお聞かせくださいませんか?お話次第ではお力になれる事もあるかと」

 

 

 流石はプロだな。目が真剣だ。

 

 

「あまり大きな声で言える様な話ではないので、出来れば静かな場所に案内して貰えないか?ついでにパピルスとペンを貸してもらえると説明しやすい」

 

「畏まりました。こちらへどうぞ。書くものはすぐに御用意しましょう」

 

 

 案内されるがままに店主についていくと、商談用と思われる個室に通された。そしてすぐに男性店員がパピルスとペンを持ってくる。

 

 

「少し借りるぞ」

 

「ご随意に」

 

 

 パピルスに描くのは、ファウンデーション*1とランジェリー*2だ。

 

 

「俺の奴隷は胸が大きくてな?戦闘中に結構暴れるんだ。それを身体の負担にならない様に押さえる物が欲しかったんだが、何処にも無くてな」

 

 

 パピルスに描いたブラジャーを羽根ペンでトントンと叩く。その下にはブラジャーの基本的な思想を図で描いてある*3

 

 もちろん遥か未来のスポーツ工学を駆使したブラジャーの設計図だ。時代が違うぜ。

 

 

「……今、私は自身の未熟を痛感しております。確かに御客様のお望みの物は私の店では取り扱っていません。御客様の中には冒険者の方もいらっしゃいましたのに、気付けなかった我が身の不徳を恥じるばかりです」

 

「そう自分を卑下する事は無いぞ。俺がこの事に気付いた理由は()()()なのだから」

 

 

 トントンと叩いたのは、もちろんランジェリーの絵だ。最初は異世界感あって燃えたが、今では脱がせる時にカボチャパンツを見ると寂しくなるんだ。

 

 だから絶対に探そうと思っていた。存在すらしてなかったが。

 

 

「成る程、成る程。確かに()()の存在に思い至れば、御客様のお気持ちも理解出来ます」

 

「昔の偉人は女性を美術品に例えて寝床に誘ったそうだ。ならば、閨でこそ着飾るのは当然だと思わないか?」

 

「ええ。御客様の言う通りでございます」

 

 

 俺が差し出した右手を店主がガッチリ握り締める。やはり転移者たる者、知識チートは使わないとな。

 

 

「契約を纏めましょう。御客様のこのアイディアは女性を新たな舞台へと押し上げる素晴らしいお考えです」

 

「うむ。俺も貴殿の様な理解ある方を得られて良かった」

 

 

 あ、そうだ。忘れてた。

 

 

「貴殿が契約書を作ってる間に俺の知る()()()()()()をパピルスに書いておく。人気が出ればすぐに真似されるだろうが、活動的な女性ほど貴殿の店と他店の違いを理解する事になるだろう」

 

「恐縮です」

 

 

 ついでに基本的なブラジャーの型紙もオマケとして描いておく。人間工学はパワードスーツを作る時に嫌ってほど学んだんだ。

 

 どうせこれからも使うつもりの無い知識だし、こういう時に役立てないとな。

 

 

 

 

『『『有難うございました。またのお越しを御待ちしております』』』

 

 

 店主を筆頭に店員や抱えてる職人まで並び、御手本になりそうな美しい御辞儀に見送られて店を出る。

 

 今日、頼んだ品は全部無料(タダ)になった。これから先の利益を考えると、それでも黒字になると考えたのだろう。

 

 次に行く時は下着をチラ見せする技術と、その為のデザインでも伝授しようか。

 

 これでも心理医学と心理工学には自信があるんだ。自分の精神を立て直す為に学んだしな。

 

 

「あの、主様?」

 

「ん?なんだ?」

 

「私達が測定していた時に何があったんですか?」

 

 

 何があった、か。

 

 

「秘密だ」

 

 

 男の友情は口に出す物では無いのだ。

 

 

 

 

*1
女性用の補正下着の事。これは身体のラインを美しく見せる為の物で基本的に身体にフィットする様に裁断されるらしい。例:ブラジャーやコルセット

*2
寝室で使うゆったりとした裁断の下着。勝負下着はこっち。身体を圧迫する物はファウンデーションの分類になるらしく、パンストやガーターベルトもランジェリーとは呼ばないらしい。

*3
ブラヒム語は喋れても書けないため。

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