勝ち組男の異世界迷宮で奴隷ハーレム   作:Lilyala

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仕込み

 

 

「そ、それでは行きます」

 

 

 メローが緊張しつつ呪文を唱える。

 

 机の上にはダマスカス鋼の槍と最後の一枚のコボルト、そして手に入れたばかりのウサギのカードが。

 

 

強権のダマスカス鋼の槍 槍

スキル 詠唱中断 空き 空き 空き

 

 

「出来ました……!」

 

「お疲れ様」

 

 

 メローを労いつつ残る空きをどう使うか考える。

 

 火力を期待するなら攻撃力二倍と防御貫通が欲しい。ただ、石化添加と麻痺添加を付けても便利そうなんだよな。

 

 HP吸収を付けるのも悪くない。上の階層では当たり前の様に全体攻撃が飛んでくる事が確定しており、その対策にもなるだろう。

 

 何ともまぁ贅沢な悩みが出来る様になったもんだ。カードは手に入らないが。

 

 

「スキル合成するところを初めて見ました」

 

「私も主様に買われるまではそうでしたね」

 

「そうなんですか?」

 

「はい。奴隷に見せる物でもありませんから」

 

「え。グロリア様は竜騎士なのに見せてもらえなかったのですか?」

 

「私は主様に竜騎士にして頂いた()()()()()でしたので」

 

 

 竜騎士に転職する為には一人で魔物を倒す必要がある。これが自由民なら何の問題も無いのだが、高い金を払って買った竜人族の奴隷にそんな危ない事をさせるかと言うと……まぁ、御察しの通りだ。

 

 ちなみに迷宮の外に出る魔物は村人総出で袋叩きにして尚、怪我人が出る強さらしい。

 

 原作でもデュランダルで確殺出来るスローラビット相手に、主人公が銅の剣で死闘を繰り広げていた。

 

 銅、鉄が量産出来る限界品質という事を含めて考えれば、恐らく普通の探索者は似たような戦いになるんだろう。

 

 

「私も御主人様に買って頂くまで鍛冶師になれなかった()()()()()ですし、仲間ですね」

 

「そ、そうなんですか。わ、私は凄いところに来てしまったのかも知れません……!

 

 

 コボルトのカードに悩み続ける探索集団だけどな。

 

 

「さて、昨日も言った通り今日は休日だ。二人は好きに過ごして良いぞ。サギニは悪いが俺に付き合ってもらう」

 

「かしこまりました」

 

「何処かへ行くのですか?」

 

「暗殺者に転職する為の下準備と帝都でサギニの服を買ってくる。ついでに日用品の買い出しもするつもりだ」

 

「迷宮に潜るなら私達も一緒に行った方が良いのではないでしょうか?」

 

「いや、不要だ。休日ぐらいはゆっくり羽を伸ばせ。夕飯の買い出しと支度はやって貰うがな」

 

「分かりました。それではお言葉に甘えて好きに過ごさせてもらいますね」

 

「おう。それじゃサギニはついてきてくれ」

 

「は、はい!」

 

 

 サギニを連れて二階の倉庫へ向かい、そこで硬革装備を出す。

 

 

「着替えたら帝都で野暮用を済ませて迷宮へ行く。そこで魔物と戦ってもらうが、一階だから大丈夫だよな?」

 

「たぶん大丈夫だと思います」

 

「良し、それじゃ着替えてくれ」

 

「は、はい。……失礼します」

 

 

 これが地球なら部屋の外へ出るが、ここは異世界でサギニは俺の奴隷。昨日も楽しんだその肢体を舐める様に見詰める。

 

 う~ん……やはり脂の乗り始めは良いものだ。瑞々しさを失い始めた代わりに手に入る、柔らかと妖艶さが混じりあった体は嫌いじゃない。

 

 

「き、着替え終わりました……」

 

「おう。それじゃ行こうか」

 

 

 まずは服屋だ。たぶん初めて着るであろう新品の服に驚くが良い!

 

 

 

 

 帝都の服屋では借りてきた猫の様に大人しくなったサギニの尻を叩き、下着と服を選ばせた。その後はシュクレの枝(歯ブラシ)や生理用のカボチャパンツ、リュックサック等を買い漁って自宅へ一度帰還。

 

 値段はそれなり。金貨が飛んだのは必要経費だと割り切るしか無い。やはり絹の下着や新品の服は高かった。

 

 荷物を自宅に置いたら再度ワープを展開。向かう先はコボルトが一階に湧く迷宮だ。

 

 

「そういや狼人族は匂いで敵を追えるのか?」

 

「ある程度なら分かります」*1

 

「それじゃ先導を頼んだ」

 

「かしこまりました」

 

 

 サギニに前を歩かせ、その後をゆっくり追う。ちなみに俺の武器はグロリアの愛剣、サギニは毒の銅の剣だ。

 

 盗賊からパクった時はガッカリしたが、まさか役に立つ機会があるとは。人生、何が起きるか分からんな。

 

 

「居ました」

 

「よし。まずは普通に狩るぞ」

 

「かしこまりました」

 

 

 という訳で戦闘開始。ダマスカス鋼の剣を振り抜き、さらに唐竹割りで斬りかかる。

 

 ここからさらに切りかかっても余裕なのだが、念のために一歩下がる。そこへ振り下ろされるコボルトのナイフ。

 

 

「相変わらず弱いな」

 

「コボルトですから」

 

 

 会話してる間にも二人で攻撃を叩き込み続けていると、十回目を振るう直前に変化が起きた。

 

 

「えっ──?」

 

「サギニ。下がれ」

 

 

 指示を出した瞬間、即座に後ろへ飛べる辺り、狼人族は伊達じゃないらしい。ロクサーヌはハイエンドだろうが、それ以外の狼人族も反射神経を含む身体能力は普人より優れてそうだ。

 

 

「これは……毒?」

 

「お前の持ってる銅の剣のスキルだ。一回目で引けるとは運が良い」

 

 

 コボルトの色合いだと若干青白くなった(毒に掛かった)姿は分かりやすいが、敵によっては分かりにくい場合も多そうだな。

 

 それぐらい若干青白くなったか?程度の変化しか無い。

 

 

「スキル付きの武器を使わせてもらったのは初めてです」

 

「これからは毎日使うようになるさ。それより集中しろ。ここからは面倒だぞ」

 

「何をすればよろしいですか?」

 

「毒で死ぬまでひたすら回避だ」

 

 

 ある程度ダメージを与えてあるが、それでも時間は掛かる。ロクサーヌも良くこんな面倒な事をやったもんだ。しかもノンレムゴーレムで。

 

 

「迷宮のボスに毒針を投げる戦術は聞いたことありましたが──あ、だから戦士を極めた人間が転職出来る事があるとメロー様は仰っていたのですね」

 

「察しの良い奴隷は好きだぜ」

 

 

 それから五分ほど二人でコボルトの攻撃を避けていると、何の前振りも無くコボルトが倒れ、煙に変わる。

 

 

コボルトソルト

 

 

 残念ながらカードは出なかった。糞が。

 

 

*1
原作でもロクサーヌの匂いを辿ってバグラム家が追ってきたので、狼人族はロクサーヌ程では無いが、ある程度わかる設定。

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