勝ち組男の異世界迷宮で奴隷ハーレム   作:Lilyala

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結晶化促進

 

 午後の狩りを始める直前、ふとキャラクター再設定を開き、設定を弄る。

 

 考えてみれば必要経験値減少系のスキルは俺にしか効果が無いのだから、別のスキルに変えてもサギニのレベル上げに干渉しない。

 

 

 つまり、別の事にBPを使えるという事だ。

 

 

 今の俺達に最も必要なのは金だ。これは異論を挟む余地が無いだろう。

 

 グロリアの防具もそうだし、新たな奴隷を得る為にも金は必要だ。そして、これを効率良く得る為には──結晶化促進にBPを割り振るのが一番となる。

 

 

キャラクター再設定

探索者 Lv40

 

基礎BP139使用中BP133使用可能BP6

 

パラメーター設定

消費BP-

 

ボーナス装備設定

消費BP-

 

ボーナス呪文

消費BP2

 

ワープ 1 メテオクラッシュ 1

 

ボーナススキル設定

消費BP131

 

獲得経験値上昇 1 獲得経験値二倍 2

獲得経験値三倍 4 獲得経験値五倍 8

獲得経験値十倍 16 獲得経験値二十倍 32

結晶化促進 1 結晶化促進四倍 2

結晶化促進八倍 4 結晶化促進十六倍 8

結晶化促進三十二倍 16

セカンドジョブ 1 サードジョブ 2

フォースジョブ 4 フィフスジョブ 8

シックスジョブ 16

鑑定 1 ジョブ設定1 詠唱短縮1

詠唱省略2 キャラクター再設定 1

 

 

 ヤギ狙いの狩り場として使っている十一層に湧く敵の数は最大四匹。俺が止めを刺せば、三十二かける四で一戦につき百二十八貯まる計算になる。……何でもっと早くに気付かなかったのか。

 

 いや、レベル四十になったのは最近だし、それまでは必要経験値十分の一を付ける必要があった事にしておこう。

 

 お陰で経験値稼ぎ用の設定でも結晶化促進八倍までなら付けられる様になったし。

 

 

「主様?」

 

「ん、悪い。少し力を調整してた。それじゃ行くか」

 

 

 敵の数が多い場所へ案内してもらい、サンドストームを二発放つ。大体これでコボルトが落ちる。ウサギとヤギは生き残るが。

 

 そこへ三人が突撃して戦闘開始。クールタイムを終えたら三回目のサンドストームを放つ。これで戦闘終了。

 

 試しに変えておいた黒魔結晶は無事に赤を飛ばして紫色に変わった。魔物百匹分だ。

 

 十戦すれば青、百戦すれば緑か。俺達が一回の探索で狩れる魔物は約五十組、午前午後合わせて百組。

 

 結晶化促進三十二倍を付けたまま狩りをすれば、一日金貨一枚の稼ぎが確定で入る計算になる。ドロップの稼ぎを含めればもっと行くだろう。

 

 

「敵です」

 

 

 サギニの声に反応して魔法を発動。詠唱省略万歳。念じるだけで発動するのは無法過ぎる。

 

 クールタイムを終え、トドメを放つタイミングで敵が一体石化した。瞬時に単発魔法に切り替え、生き残ってる奴にボールを放つ。

 

 乱戦時にボール系は使いづらいのが欠点だ。普通に味方に当たるし。

 

 仕方なくファイヤーウォールを敵の足元から生やし、上に吹き飛ばすついでに焼いておく。

 

 するとそのタイミングでグロリアの剣が振り下ろされ、炎の壁に敵を押し付けて焼き殺した。

 

 

「意外に便利だな。壁系の魔法」

 

「普通は詠唱しなければならないので、そこまで使い勝手が良くないと聞きます」

 

「あー……敵の動きに合わせて詠唱しても追い付かないのか」

 

 

 逃げようとしたエスケープゴートの正面にサンドウォールを展開。速度が乗り切った状態での激突は多大なダメージになったらしく、ヤギの糸を残して煙に変わった。

 

 最後に残ったウサギは三人に袋叩きにされて戦闘終了。って、止めを刺し損ねた。銀貨一枚分の損か。

 

 少ししょんぼりしながらデュランダルを引き抜き、石化したヤギに八つ当たり。いちいち変更するのは面倒だが、はさみ式食虫植物を合成するにも良い素体が無い。

 

 五スロの聖剣かオリハルコンの剣が欲しい。何処かに落ちてないかねぇ。

 

 

「あっ」

 

「お?」

 

「御主人様。宝箱です」

 

 

 サギニの指差した先へ視線を向けると、地面が微妙に盛り上がっていた。

 

 

「石畳の迷宮だからか違和感が凄いな」

 

「柔らかい曲線で盛り上がっていますね」

 

 

 木に張り付いてるコガネニカワタケ*1の様な違和感というか何というか。

 

 

「えっと、どなたが開けますか?」

 

「わ、私がやりましょうか?」

 

「いや、デュランダルあるし俺が開けるわ」

 

 

 オーバーホエルミングを使って高速化。そのまま地面にデュランダルを差し込んで後ろに飛ぶ。

 

 

「……ミミックじゃないみたいだな」

 

「階層が浅すぎかと」

 

「十一層だもんな」

 

 

 差し込んだ切れ目に手を突っ込み、ぺりっと地面を(めく)るように開く。

 

 

銅の剣

 

銀貨

 

銀貨

 

 

「んー……微妙」

 

 

 銅の剣はスロットが無いので店売りするしか無いし、銀貨と合わせても五百ナールにギリギリ届かない。

 

 まるでゴミは持って帰れと迷宮にキレられてる気すらするぜ。

 

 

「普通の探索者の方なら五百ナールの臨時収入を喜びますが、主様にとっては端金ですか」

 

「温泉の金網の底に沈んでる石な、あれ一個千ナールだぞ」

 

 

 それのお陰で快適な温泉ライフを送れているので文句は無いんだが。

 

 

「石代にもなりませんね」

 

「まぁ、そういう事だ」

 

 

 武器屋に売りに行く手間を考えると、とてもじゃないが額通りの稼ぎとは言い難い。せめてスロット付きなら大金に変えられたんだが。

 

 

「前の主なんて滋養丸を買うかどうかで揉めていたのに……」

 

「流石にそれは迷宮を舐めすぎだろ……」

 

 

 俺ですら滋養剤と強壮剤は十個ずつ、毒消し丸と柔化丸は五個ずつ用意してるし、奴隷に持たせている。

 

 一人三十万ナールだぞ?どう考えても薬代の方が安いし、失った時の停滞は考えたくも無い。

 

 

「六十ナールはコボルト六匹分の稼ぎですからね。普通はもっと戦闘に時間が掛かりますし、それを含めて考えれば仕方ないかと」

 

「その程度をケチって奴隷を失う方が痛いと思うけどなぁ」

 

「話の途中にすみません。そろそろ接敵します」

 

 

 頭を切り替え、魔法を準備。今回は──ヤギ三匹にウサギか。いい加減、カードを落としてほしいものだ。

 

 

 

 本日もカードのドロップは無し。原作では簡単に手に入ったヤギのカードが遠すぎる。

 

 意気消沈したまま両手を洗い、夕飯の準備に移る。

 

 

「今日の夕飯は手間こそ掛かるが、これからの食卓を一変させるレシピだ。基礎さえ覚えておけば応用が利くから、取り敢えず全員覚えておけ」

 

『『『はいっ!』』』

 

 

 迷宮探索より気合いの入った返事だな。まぁ、良いが。

 

 

「準備する物は小麦粉とオリーブオイル、卵、塩。これをボウルに突っ込み、ヘラで切り混ぜていく」

 

 

 現代なら薄力粉100g、オリーブオイルorサラダ油小さじ1、卵一個、塩小さじ1/3だ。これで一人前から二人前になる。俺達の場合は数字を二倍にすれば良いだけだな。

 

 毎回計量するのが面倒な奴は最初だけ果実や野菜の重さを利用して計量し、適当な木枠に流し込んで印を付けておけば良い。

 

 

「ぼそぼそしてきたら周囲の粉を巻き込みながら再び練っていく。まとまりが悪ければ少量の水を加えても大丈夫だぞ」

 

 

 ある程度まとまったら、まな板にスライムスターチを軽くまぶし、打ち粉の代わりに使い、耳たぶぐらいの固さになるまでひたすら捏ねる。

 

 スライムスターチはファンタジー食材らしく片栗粉とコーンスターチの良いとこ取りしてるので、色んな目的に使えるから常用したいのだが……実はこの粉、べらぼうに高い。

 

 売値は八十ナール。買値は四倍の三百二十ナール。

 

 宝箱の戦利品で辛うじて買える値段だ。そりゃパスタが普及しない訳だよ。

 

 

「後は人数分に分けて暫く放置。その間にもう一つの竃でお湯を沸かしておく」

 

 

 現代ならこの隙間時間でパスタに絡めるソースを作れるが、竃でそれやるとソースが冷める。

 

 電子レンジなんて物は無いから温め直しも厳しい。ここは我慢の時間だな。

 

 

────それから十五分後。

 

 

「そろそろ良いか。それじゃ再開するぞ」

 

 

 グロリアにはバター作りを頼み、サギニには火の管理を任せた。メローはレシピ記入係という布陣で再開だ。

 

 

「まずはスライムスターチを板にまぶし、作った生地をまな板に押し付ける。その後に麺棒で広げ、折り畳み、また広げる」

 

 

 正直、作りたいパスタによってここらへんは変わる。だから好きにしろとしか言えん。

 

 

「後は好みの長さに切り、茹でれば大丈夫だ。コツは大きめな鍋でお湯をたっぷり入れる事。塩を入れるのも忘れずに」

 

 

 日本パスタ協会によると、美味しいパスタを茹でる為には水1Lに対して塩5~10gが良いらしい。俺は小さじ二杯と覚えているが、ここらへんは料理人次第だ。

 

 

「他に何か注意点はありますか?」

 

「んー……お湯の温度は沸騰して吹き零れず、投入したパスタが揺れるぐらいが丁度良い。火加減の調整は面倒だが頑張ってくれ」

 

「はい。頑張ります」

 

 

 茹で時間はパスタの細さによって決まる。1.2㎜なら三分ほどで良いが、2㎜なら十二分掛かるらしい。

 

 今回は1.4~5㎜なので、五分で済ませた。

 

 後は平皿に盛り付ければパスタは完成。次はソース作りだ。

 

 

「トマトはヘタを取り除いて角切り、玉葱はみじん切り。にんにくは薄切り、豚と牛は包丁の背で叩いてミンチだ」

 

 

 ちなみにニンニクと唐辛子は八百屋では無く、漢方屋?の様なところで販売されている。八百屋を探しても見付からないので転移者は注意しよう。

 

 

「ミンチですか……御主人様の料理に相応しくないのではないでしょうか?」

 

「これは歴とした調理法だぞ。というか不味い肉を食える肉に変える技なんだから、美味しい肉に使えばより美味しくなるのは当然だろ?」

 

「……確かにそうですね」

 

 

 アメリカでは貧乏人の飯という事で一度歴史から消え、日本から再輸入された歴史があったりするらしい。本当かどうか知らんが。

 

 欧州は国によって違う。煮込みハンバーグだったり、スープに入れられる日本のつくねポジションにいたり。

 

 日本人が想像するハンバーグ()()()()は、フランスやドイツ、イタリアの様な美食の国にしか無かった筈だ。

 

 まぁ、SNS等で存在を知り、パソコンで調べれば一発な世界だ。完全に存在しないなんて事は有り得ない。

 

 

「まずは火が収まっている*2事を確認。それからフライパンにオリーブオイルを垂らして具材を炒める。最初はにんにく、香りが油に移ったら挽肉の順番だ。肉の色が変わった辺りで野菜とパスタの茹で汁を入れて火を通す」

 

 

 本当はこのタイミングでコンソメも突っ込みたい。残念ながら自作するにはキツいし、そんな暇も無いので諦めているが。

 

 

「これぐらい*3炒めたらトマトを投入し、潰しながら再度炒める。良い感じに仕上がった*4らソースの完成だ」

 

 

 盛り付けたパスタにボロネーゼもどきを掛け、居間に運ぶ。足りなかったらパンだ。今日はスープも無いしな。

 

 お味の方は──今夜も三人が凄かった、とだけ言っておこう。

 

 

*1
写真によっては木にウニが生えている様に見えるし、寿司屋にあるガリが張り付いてる様にも見えるキノコ。雑コラみたいな違和感を感じる。

*2
中火。織火だと弱い。

*3
五分ほど

*4
トマトを入れてから二分。

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