──春の季節 五十一日目
鍛冶師Lv32
装備 金砕棒 ダマスカス鋼の額金 ダマスカスメイル ダマスカス鋼のガントレット ダマスカス鋼のデミグリーヴ
暗殺者Lv30
装備 強権のエストック ダマスカス鋼の盾 竜革のカチューシャ 竜革のジャケット 竜革のグローブ 竜革の靴
「うーん……メローの武器は槍のままが良いか?」
「金砕棒に強権を付けるまではその方が良いかも知れませんね」
という訳で金砕棒と槍を交換する。
「動きはどうだ?」
「流石に革装備と比べると動きづらいですが、慣れれば問題無くなるかと」
「そうか」
なんというか玩具感が凄い。騎士の人形に槍を持たせて立たせてる様にしか見えん。
グロリアが女騎士ッッッ!って感じだったから余計にそう思うのかねぇ。鎧の下に着る黒タイツ*1姿はエロ可愛かったんだが。
「あの、御主人様。私がこんな良い装備をお借りしてもよろしいのでしょうか?」
「お前はもうちょっと自信を持て、サギニ。その装備は俺からの信頼の証なんだから」
「うぅ……頭では理解してるのですが……」
拾った時は皮装備に銅の剣。今ではエストックに竜革一式にダマスカス鋼の盾。まぁ、凄まじいランクアップではある。
とはいえ上を目指すなら遅かれ早かれ装備変更は必然だった。慣れて貰うしかない。
「先に言っておく。サギニの手と足は変更するかも知れんが、それ以外はスキル付与で強化していくつもりだ。だから手入れは怠らない様にな」
「「「はい!」」」
「よし、それじゃ行くか」
まぁ、午前だけなんだが。下着の方が大切だし。
◇
「お、装備を変えたのか。懐かしいねぇ、俺達も昔は良い装備を求めて色んなところを探したぜ」
「探索者なんてそんなもんだろ。それより進み具合はどうだ?あれから進んだか?」
「聞いて驚け。もう十二層まで空いてるぜ」
「まじかよ。良く四層も登れたな」
分岐ごとに分かれる方針を取ったとしても、もう少し掛かると思っていたんだが。
「今までひよこ達に場を譲っていた中堅層が参戦したっつーのがデカい。後は噂を聞き付けてやって来た冒険者達の力もあるな」
「なるほど。さすが直轄領と言うべきかね?」
「まぁ、貴族や高名な冒険者の別荘がある土地だし、守りたい人間は少なくないわな。ところでカードはどうする?ここで大丈夫か?」
「おう、大丈夫だ。何枚だ?」
「二枚だ」
「了解」
金貨一枚と銀貨二十二枚を渡し、カードを受け取る。付けるとしたら強権とHP吸収辺りかね?攻撃力二倍も悪くないが。
「毎度あり。しっかしパーティに鍛冶師が居るのは羨ましいねぇ。俺達は鍛冶師を探すところから始めないと挑戦すら出来ねぇわ」
「その為に高い金を支払ったからな。自慢の奴隷だぜ」
「かーっ!惚気かよ!まぁ、そんだけ別嬪さんなら自慢したい気持ちも分かるけどな!」
「くくっ。やらないぞ?」
「流石に他人のモノに手は出さねぇよ──っと、悪い。長々と引き留めちまったな。おーい、運んでやってくれ」
「うっす。それじゃ九層から十二層まで送りますね」
「助かる」
パーティ編成で空いてる枠に組み込み、九、十、十一、十二の順番に送って貰う。
「それじゃ帰りますわ」
「あ、待った。後で飲み代にでも使ってくれ」
流石に毎度毎度厚意に甘えるのもあれなので、銀貨を三十枚ほど渡しておく。渡しすぎに思えるかも知れないが、実は四層分の代金としては足りてなかったりする。
階層かける銀貨一枚が正規の値段だしな。十二層の代金を抜いてジャスト三十枚なのだ。
「いいんすか?」
「世話になった対価だ。遠慮無く受け取ってくれ」
「では、ありがたく。探索、頑張って下さいね」
その言葉を最後に探索者の男が靄に消える。……さて。
「一旦、家に帰って合成するか。探索はその後だ」
ワープって便利だよなぁ、本当に。
◇
迷宮からトンボ返りして金砕棒にカードを合成する。そして完成したのがこちら。
スキル 詠唱中断 HP吸収 空き 空き
殴り勝つという意志を感じる良い武器だ。
メローの槍と交換した後、再び迷宮へ飛ぶ。槍は五人目か六人目の武器にする予定だ。未だ人種に悩んでいるし、ジョブも決めてないが。
「主様。私達はまだ手を出さない方が良いですか?」
「いや、ここからは普通に戦うつもりだ。メローの慣らしも必要だし、お前らも勘を取り戻したいだろう?」
「そうですね。もう見てるだけは嫌です」
調整を兼ねた素振りしているグロリアがそう答えれば、同意する様にメローも力強く頷く。サギニはすでに鼻をピクピクさせて索敵中だ。頼もしい仲間ばかりで涙が出るぜ。
「それじゃ行くか。サギニ。頼んだ」
「かしこまりました」
サギニを先頭に歩かせて探索開始。とはいえ入り口近くは多くの探索者達がすでに戦闘しており、俺達が出る幕は無い。
戦闘中の一団に一声掛けて奥へ進み、再び別の集団に遭遇する事を何度か繰り返し、ようやく静けさを得たと思ったら魔物が現れた。
「サラセニアか。何気に初めてだな」
サラセニアは二枚の葉っぱと緑の頭を持つ、巨大なウツボカズラの様な魔物だ。
攻撃方法は消化液による遠距離攻撃と頭突きの二つ──なのだが、時折消化液を
ドロップ品は
その関係か生薬生成で加工すると滋養丸になる。傷薬としては最低ランクだが買うと六十ナールもするので、出来れば乱獲しておきたい。
サラセニアに向けてグロリアが走る。サギニは右のオリーブ、メローは左のコボルトに向かうが、それより早く俺のファイヤーストームが発動。ついでにもう一発。
「ひもろぎ凄いな。コボルトが溶けたぞ」
「魔法使いの装備としては最高峰ですからね」
俺の独り言を拾ったメローが二体目のサラセニアに向けて金砕棒を振り下ろす。二体同時攻撃を狙わないのはグロリアに当たるからだろう。
反対側に回り込めばいけそうだが、危険を冒してまで狙う必要は無いという判断かね?
二巡目のファイヤーストームを放つ。それが止めとなり、二匹のサラセニアとナイーブオリーブがアイテムに変わる。
「……っとと。危うく地面を叩くところでした」
振り下ろそうとしていた剣を力ずくで止めたグロリアが安堵の溜め息を吐き出す。その隣ではサギニが盛大に空振っていた。
「手を抜くよりマシですが、慣れるまで大変そうですね」
「探索を終える頃には慣れてるだろ」
「だと良いのですが」
メローと言葉を交わしつつグロリアが持ってきた附子を滋養丸に変える。附子一つで生成可能な滋養丸の数は三つ。
ギルド売りで一つ十五ナール、全部で四十五ナールの儲けになる。下手なドロップ品より高い。
「んー……ボス部屋見付けたら周回するか」
「滋養剤に切り替えですか?」
「ああ。買うと一つ六百ナールするしな」
ちなみにその一個上は六千ナールする。素材の入手難易度的に何も可笑しくないが、使える人間の数も少なそうだ。
それからは特に語るべき事は何も無く、終始迷宮を散歩して探索終了。やっぱ人が多い迷宮はキツイ。獲物とロクに会えすらしねぇ。
午後に用事が無ければ別の迷宮に飛んでたぜ。いや、まじで。