勝ち組男の異世界迷宮で奴隷ハーレム   作:Lilyala

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ホットビスケット

 

 

 午前の探索を終え、汗を流して帝都へ向かう。服屋での調整は今日で最後だ。この後は本縫いに移り、明日のオークションに合わせて納品という形になる。

 

 色はアイツらに選ばせたので、俺には誰が何色を選んだのか分からない。受け取る時も見えない様に包んでくれと頼んだのでネタバレの危険性も無い。

 

 つまり、明日の夜まで妄想するしかないという訳だ。色魔を付けてないのに胸がドキドキするぜ。

 

 

「主様。バターはここに置いておきますね」

 

「おう。ありがとな」

 

「いえいえ。それではサギニさんと家事をしてきます」

 

 

 バター作りを任せていたグロリアが部屋を出ていく。それを二人で見送り、レシピ担当として残っているメローと共に調理開始。

 

 

「じゃ、始めるか。まず始めに用意する物は、牛乳150ml(酪一つ)、バター35g、砂糖35g、塩一摘まみ、小麦粉200g、シェルパウダー(重曹)8gとサラダ油だ」

 

 

 面倒なら──というか現代ならホットケーキミックスを使った方が手っ取り早い。

 

 その場合、ホットケーキミックスと牛乳とサラダ油だけで作れる。

 

 

「酪をボールの上で割り、砂糖、溶かしたバター、塩を入れて混ぜる」

 

 

 慣れてくるとヘラでいける。苦手な奴は泡立て器でチャレンジだ。

 

 

「ある程度混ざったら小麦粉とシェルパウダーを混ぜた物を目の細かい笊に入れ、振るいながら混ぜ合わせる」

 

 

 ここらへんも特に説明する事も無い。纏まりづらい場合はバターか牛乳を少量入れて再チャレンジだ。

 

 どちらを入れるかによって味が変わるので、レシピ通りに作りたい奴はラップフィルムを使って強引に纏める事も出来るぞ。

 

 

「良い感じになったらまな板に小麦粉を適当に振り、生地を伸ばす。厚さは大体これぐらい(1cm)で良い。後はオリーブオイルを軽く塗って、弱火で良い感じに(片面五分)焼けば完成だ」

 

 

 あくまでも目安なので、気になるなら個人で調整してくれ。各ご家庭にあるフライパンの材質次第で結構変わるから、それを知らぬ俺では断言出来ないのだ。

 

 

「意外に簡単なんですね」

 

「まぁ、本来なら朝食に出す食べ物だしな」

 

 

 生地を一晩寝かせても良いし、チョコチップを突っ込んでも良い。卵黄を塗ってオーブンで焼いても良いし、生地に卵を混ぜても良い。何なら窯でも焼ける。

 

 基本さえ押さえておけば、後は好き勝手に改良しても良い。それがビスケット(自由)という物だ。

 

 一回目を焼き終え、二回目に突入。今日中に食べるなら焼き過ぎても問題無いのがビスケットの良いところ。

 

 元々保存食だしな。当然と言えば当然なんだが。

 

 ちなみに二回に分けて作った事には、海よりも浅く、山よりも低い悲しい理由が存在している。

 

 なんと驚く事に我が家には八人前を纏めて作れる大きなボウルが存在していないのだ。

 

 仲間が増えたら買おう買おうと思いつつもサボっていた代償なので、自業自得と言われれば黙るしか無い。

 

 

「量はこんなもんで良いか。メロー、二人を呼んできてくれ。俺はその間にバターを溶かしておく」

 

「かしこまりました」

 

 

 焼いたホットビスケットに溶かしたバターを掛け、その上から蜂蜜を垂らす。うーん、なんというカロリー爆弾。

 

 流石アメリカンな料理なだけあるぜ。毎日食ったら間違いなく肥満体になりそうだ。この世界だと一食千ナール以上の高級料理だけどな!

 

 

「お待たせしました」

 

 

 呼びに行ったメローを引き連れ、グロリアが一礼。サギニも軽く頭を下げたが、意識は完全にホットビスケットに向かっていた。

 

 

「手を洗ったら大人しく座ってろ。すぐに運んでやる──」

 

 

 言い切る前にサギニが流し台へ向かい、汲んである水と石鹸を使って手洗いを始める。その姿に思わず苦笑いを浮かべながらホットビスケットを乗せた皿を机に並べていく。

 

 

「それじゃ頂きます」

 

『『『頂きます!』』』

 

 

 ナイフとフォークで一口サイズに切り分け、口に運ぶ。……うん、甘い。

 

 

「ビスケットにバターと蜂蜜が染み込み、口の中が幸福で満たされます……!これ程の美味がこの世に存在して良いのですか……!?」

 

「くっ!作ってる時から気付いていましたが、これは美味という名の暴力です……!意識を強く持たねば連れて行かれる……!!」

 

「……………………………………………………………♪」

 

 

 三者三様の反応。共通しているのは、どいつもこいつも頬が緩みまくっているという事か。世界が違えど甘味は女性特効のスキルが付いている。それを意図せず証明してしまったな。

 

 とはいえ成人男性にこの甘さの暴力はキツイ。だから棚からコップを取り出して酪を割った俺は悪くない。

 

 

『『『…………………………』』』

 

 

 酪で舌をリセットしながら食べ進めていると、周囲からやけに粘度の高い熱視線を感じた。そちらへ顔を向けてみれば、三人が今までに無いぐらい真剣な表情でこちらを見ている。

 

 

「……お前らも飲むか?」

 

 

『『『お願いします!!』』』

 

 

 安いもんじゃないが、まぁ必要経費だ。これから幾らでも回収出来るだろうし。

 

 

 

 

 

 

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