地球に居た頃、俺は天才と呼ばれる側の人間だった。
一を知れば十を知り、百が見える。得意分野なら万まで見えた。
十で神童、十五で才子、二十過ぎればただの人。
芥川龍之介がヴォルテールを引用した言葉だが、俺は二十を越えても天才だった訳だ。──まぁ、そんな自負は欠片も残ってないが。
俺が元居た世界には、俺の事を
俺ですらギリギリ理解可能な領域で昼夜問わず遊んでおり、数秒後に世界が滅んでも『デスヨネー』と受け入れられるぐらいには暴れまわっていた。
俺が
……気軽に未来予知や過去改編するのは止めろ!人が寝てる間に勝手に誰かの経験を挟むな!せめて脳に刻め。なんだよ魂に干渉って!人類が触れて良いライン越えすぎだろ!──おっと失礼。昔の苦労が漏れた。
話を戻そう。
そんな天才達にプライドを粉々にされた俺は早々に高望みする事を諦め、手を抜いて楽に生きる事を将来の目標に据えた。
天才達が遊んでる隙を突いて稼げそうな特許を次々と発明し、それを元手に株や不動産を転がしながら生きる事にしたのだ。
Financial Independence Retire Early.
通称『F.I.R.E』
簡単に説明すると、不労所得で経済的自立と早期リタイアを目指すライフスタイルで、働きたくないでござる!と叫びたい全ての人間の夢だ。
成功者の中にはお仕事は確定申告です!と言い切る
大抵はサイドFIRE*1かファーマFIRE*2なんだけどな。社会との繋がりが全く無くなるし。
その結果は見ての通りだ。俺は末代まで不労所得だけで暮らせる金を得たのにも関わらず、一切使う事無くこの身一つでこの世界にやって来る事になった。
まぁ、後悔はしてないけどな!
「主様……?」
薄暗い寝室を照らす蝋燭の光。窓から差し込む青白い月光。春にしては少し暑い風が室内に流れ込み、これから訪れる未来を怪しく強調する。
その全てを自身を引き立てる為の小道具にまで落としたグロリアは、こちらを心配そうに見詰めつつも恥ずかしそうにネグリジェの裾を押さえ、頬を赤く染めた。
その薄いネグリジェの先には薔薇の刺繍の入った紅色のブラジャーが。
着用者が不快にならないギリギリを攻めつつ、美しくも細かい刺繍を入れる職人芸には脱帽だ。
(……っと、今は見るべき場所が違うか)
グロリアの大きな双丘を優しく包みつつも美しく魅せるそれは、暖色系の肌を持つグロリアに良く似合い、俺の視線を集めて逃がさない。
着せたまま遊んでも良し。ゆっくり脱がせても良し。
男らしく二兎を追うのもありだろう。ここらへんは好みが分かれそうだ。下手すれば性癖の殴り合いが起こっても可笑しくない。
唯一共通しているのは、この問題は男なら誰しもが悩む難問という事だけだな。そうだろう兄弟?
「えっと、流石にそこまでジッと見詰められると恥ずかしいですね……」
照れながらも堂々と俺に身体を見せ付けるのはメローだ。
暗色系の肌を持つメローは深みのある紫色のランジェリー。身長に不釣り合いな大きな胸を支えるソレは幼げな見た目とのギャップを生み出し、何もせずとも男の情欲を誘っている。
地球では犯罪になりそうな見た目だが、ここは異世界。地球のルールには縛られない。
地球に居る男達よ。異世界は良いぞ!
「…………?」
グロリアと同じく暖色系の肌を持つサギニは、明るいオレンジ色のランジェリーだ。
第一印象こそ活発な女性といった印象を受けるが、首を捻りながら自身の胸をゆさゆさ持ち上げる姿は妙な色気を感じる。
果たしてこれは俺から沸き上がる情欲なのか、色魔がもたらした効果なのか。
天才だった頃なら興味が先行しただろうが、今の俺は普通の探索者。つまり、考察を投げ捨てる事を躊躇わない。
「職人達も良い仕事をしたな。正直、明日に影響を出さない範囲で止まれるか分からん」
「え、あ……えっと、可愛がってくださいね?」
代表してグロリアが恥ずかしそうに言葉を紡ぐ。その言葉で俺はギリギリ保っていた理性を投げ捨てた。
ここから先は──御主人様限定だぜ。
◇