勝ち組男の異世界迷宮で奴隷ハーレム   作:Lilyala

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奴隷商人

 

 ワープを駆使して迷宮から迷宮へと渡っていく。まず最初に向かったのは、俺にパラーの話をしてくれた奴隷商人の店だ。

 

 

「……なるほど。中々難しい条件ですね」

 

「そうなのか?騎士はともかく戦士として長く戦った経験のある奴隷は居ると思っていたんだが」

 

「確かにお客様の仰る奴隷が売られる事はあります。ですが、戦士としての実力がある奴隷はすぐに貴族の方が買ってしまうのですよ」

 

「あー……」

 

 

 戦士として五体満足で長年生きられるなら騎士になれるだろうし、当然と言えば当然か。

 

 これは俺の予想が甘かったな。普通に買えるもんだと思ってたわ。

 

 

「一応聞いておくが、竜人族の方はどうだ?」

 

「そちらはもっと貴族の方に人気ですから……。それに我々奴隷商人としても高く売れる事が確約されている()()ですからね。季節の変わり目にあるオークションの方に出品するかと思います」

 

「まぁ、貴族との繋がりにもなるだろうし、当然と言えば当然か」

 

 

 さて、困ったぞ。話を聞いた限りだと高Lvの戦士奴隷は、奴隷商人にとっても人気商品だ。

 

 つまり、他の地域を回っても買えない可能性が出てきた。

 

 金で解決出来るならどうにでも出来るが、そもそも商品が無いなら買う事すら不可能。まさかこんな事になるとは。

 

 

「戦士になること自体は簡単ですが、熟練の戦士は引く手あまたです。お客様のご要望を満たす可能性があるとするなら待遇の悪い奴隷の引き抜きになりますが……」

 

「熟練の戦士の待遇が悪い事はまず無いと?」

 

「はい。その様な探索者様の下では育つ前に迷宮に飲み込まれてしまいますので」

 

 

 自分の盾の扱い(手入れ)を怠ればそうなるか。迷宮がそんな事を許される場所なら、そもそもここまで悩んでない。

 

 

 大きく溜息を吐き出し、思考を切り替える。

 

 

 戦士や騎士の奴隷が入手困難なレア物だと分かっただけでも良しとする。大切なのはこれからだ。

 

 

「話して大丈夫なら聞きたいんだが、奴隷の再入荷ってどれくらいの頻度なんだ?」

 

「そうですね……。基本的に奴隷の大量入荷は冬の終わり頃です。税金を支払えず、やむなく家族を売って納税する者達や管理している村から十五歳になった者を連れてくるので、その時期が一番奴隷の入荷が多い時期になります」

 

 

 ここまでは言われずとも察していた情報だ。そしてここからが俺が聞きたい情報になる。

 

 

「それ以外の入荷は基本的には不定期になります。迷宮で負傷した治療費を用意する為に売られる場合が大半ですが、政情の変化や引退する探索者からの引き取りもありますね」

 

「なるほど」

 

 

 政情不安なら東のカッシームが該当する。引退者が出そうな場所は──()()()か。

 

 

「すまんな。今回もここで奴隷を購入する事は無さそうだが、これは情報のお礼だ。受け取ってくれ」

 

 

 詠唱して開いたアイテムボックスから金貨を一枚、机の上に置く。

 

 

「お客様。この程度の情報でこんな大金を受け取るわけには……」

 

「いや、貴殿が与えてくれた情報は自分にとって千金に値する。ここでの購入は叶わなかったが、これからの付き合いを考えれば妥当だろう」

 

 

 椅子から立ち上がり、帰宅の準備。最後に一言だけ言い残しておく。

 

 

「次こそはこの店で購入するとしよう。その為にも励まねばな」

 

 

 

 

 迷宮から迷宮へと渡り、ザビルへ向かう。カッシームやペルマスクに近いこの場所は、他国の奴隷が流れてくる場所という事は確認済み。

 

 後はお眼鏡に適う奴隷が居てくれると助かるんだが。

 

 

「──って訳なんだが、どうだ?」

 

「残念ながら居ねぇな。というか()()()()が求めてるぐらいだぜ」

 

 

 アロハシャツの様な袖の短い服を着た奴隷商が、続けてカッシームの現在の政情を口にする。

 

 

「貴族のいざこざなんて良くあるし、普通は迷宮があるからすぐに収まるんだが……今回は悪い方に転がっちまってなぁ……」

 

「悪い方?」

 

「直系が全滅しちまったんだ」

 

「…………うわ」

 

 

 直系の血族だけで争うならまだしも、分家にも参加権が回った以上、カッシームの争乱は暫く収まらんな。

 

 下手すりゃ周囲の貴族が干渉してる可能性もある。王族か皇族か知らんが、国が出てくる展開もありそうだ。

 

 そりゃ優秀な戦士を求めるわ。戦後を含めて考えても、騎士になれる実力者は多い方が良いし。

 

 

「そういや、ここには()()()が無かったか?あれはどうした?」

 

「カッシームの別の貴族様に売ったぜ?端金でノウハウや装備を回収出来るなら安いし、あそこの領地は平地が多くて人気だ。だから良い値が付いたぜ」

 

 

 ガハハと大口を開けて笑う奴隷商人にはお隣を騒がせる火種を売った罪悪感は無いらしい。

 

 まぁ、人類皆善人って訳じゃない。これもまた人間らしいか。

 

 そんな事を考えていると、奴隷商人が声を潜め、真剣な表情で帝国にある()()を口にした。

 

 

「ま、帝国は帝国で北部が怪しいから他人事じゃないけどな。流石にカッシームほど荒れはしないだろうが、アンタも警戒しておいた方が良いぞ?」

 

「セルマー伯爵領か。だがあそこはハルツ公爵がどうにかするだろ?」

 

「どうだか。エルフは同族の保護に積極的だし、実力では無く血縁関係で領地を安定させている。それを悪いとは言わんが、だからこそお互いに甘さを出してしまい、手遅れになる可能性が十分あるとオレは思ってるぜ」

 

 

 強ち間違いじゃないから反応に困る。

 

 原作ではアッサリ解決したイベントだが、本来なら公爵と伯爵の所有する騎士団同士の対決になった筈だ。

 

 流れた血の量次第で公爵側の領地にも影響が出ただろうし、伯爵領は言わずもがな。下手すればお互いに幾つかの領地を手放す事になっただろう。

 

 エルフの態度的に増援が期待出来ないのもキツイ。個人的な感想を述べるならば、種族差別によって自ら救いの手を手放すのは本当に馬鹿だと思う。

 

 どうせ自分の事は棚にあげて『何故助けなかった!』とか言うんだろうがな。原作の態度的に。

 

 

「ま、兄ちゃんも貴族になるなら気を付けろ。俺達にとっちゃ上なんて誰でも良いんだ。迷宮討伐さえしっかりやってくれるならな」

 

「肝に銘じておくよ」

 

 

 

 

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