雪梛の一閃   作:雪梛

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力とスライムな少女

「久しぶりに戻ってきたね」

四人は今回の舞台である魔王討伐編の自宅にようやく戻ってきたようだ。

「そういえば詩奈(しな)は最近どんな感じ?もしかして話が進んでないからわからない?」

本当にどこまで知っているのか聞きたいぐらいの鋭さで雪梛(せつな)が聞いてきたようだ。

「その通りよ。まあこの世界補正でいくつか能力を取り戻している感じよ。ちなみに元の世界に行ったら多分採用されないわ」

「世知辛い世の中ね。まあネタバレしなくなるんならいいんじゃないかしら?ところで貴方、私と手合わせでもしにきたのかしら?」

どうやらだいぶ前に話していたことをきっちり覚えていたようだ。

「まあそんなところよ。でも流石の貴方たちも全開まではしていないからもう少ししてからね」

どうやらそれなりの眼は持っているようだ。

「そしたらそこの可愛らしい貴方。ちょっと付き合ってくれないかしら?久々に全力を出さなきゃならないから軽い調整が必要なのよね」

初雪(はつゆき)だよ。それじゃあとりあえず外に出ようか。二人はどうするの?」

「私たちは休憩だよ。行ってらっしゃい」

雪梛にそう言われて二人はひらけた土地に向かった。

「そういえばまだ挨拶をしていなかったわね。私の名前は詩奈よ。昔は雪梛と一緒に特殊部隊に所属していたわ」

「私の名前は初雪だよ。この世界で魔王を倒すために色々な加護をもらったけど魔王と友達な人だよ」

ようやく目的地に着いたため二人は準備運動をして準備を整えた。

「そういえばどんな感じに調整をするの?私の世界は呪文主体だからあんまり相手にならないよ?」

「その心配はいらないわ。貴方には高密度の物体をサイズ別に生成して欲しいのよ。それを私がぶん殴って破壊する感じよ」

詩奈は拳に何やら硬そうなハーフフィンガー手袋をはめている。

「わかった。じゃあ早速作っちゃっていい?」

「もちろんよ」

初雪は大きさに密度を注意しながら丁寧に生成し始めた。

詩奈は初雪が完成させるまでに力を出せるように準備しているようだ。

シャドーボクシングをしているがもはや音が違いすぎて初雪には何をしているのかわからなかったらしい。

少し経つとそれぞれ大、中、小の順番に大きな氷の塊が出来上がっていた。

「終わったよ。ちなみにさっき何をしていたの?」

「ありがとうね。さっきと言ったらシャドーボクシングしかしてないわよ?」

初雪はこの人もいかれていると思いながらも少し離れた場所に避難した。

「さてと私の世界では相手があまりにも脆すぎたからこっちでは楽しみね」

詩奈はそういうと小さい氷の前に立ちおよそセーブ状態の全力で一発殴った。

ドコーン ミシミシミシミシ パキーン

「あらすごいわねこの氷。真ん中に穴だけ開けようと思ったのに砕けてしまったわ」

「どんな火力してるの…ちなみに今の力の割合は?」

初雪はどうせ全力じゃないと思いながら聞いた。

「そうね…セーブ状態でなら本気を出したわ。まあこっからはリミットを解除していくわ」

初雪はもはやため息すら出なかった。

「じゃあこっちは五割で殴ってみるわ。うまく割れるといいのだけれども」

詩奈は流石に通常殴りでは破壊できないと思ったのか氷に拳を当てて脱力し、肩から肘、肘から手首、そして圧縮した力を拳に移行させて力を全開放させた。

「流体拳」

ドン ピューン

どうやらさっき言っていた穴とやらが開いたようだ。

「詩奈の技だったんだね」

「ええそうよ。こんな技ばっかりだから特殊部隊の時には力の詩奈とか言われていたわ」

そうすると雪梛は冷静か分析だろうか。

そんなことを考えながらも初雪は最後の塊をどう砕くのかが面白くなってきたようだ。

「これは全開の流体拳でも厳しいわね。こんな物体初めて見たわ。じゃあこっちも懐かしの技を使うしかないわね」

詩奈はおもむろにデバイスを取り出し何やら操作をしてスライム素材を取り出しそれを持って最後の氷に向かい上に向かってスライム素材を投げて人差し指と中指の二本指を銃のように構えてスライム素材がちょうど落下してきた瞬間に何かをした。

「ブレイク」

パーン

確実に粉々に砕け散っていった。

「…今のは何をしたの?」

初雪は困惑しながら聞いた。

「簡単よこのスライムを緩衝材にして一点に超高速の刺突をぶち込みまくっただけよ。ちなみにスライム無しでもできるのだけれども痛いのよね。あとちなみにこれの応用をすれば飛び道具を無効化させることもできるわ」

これは確かに雪梛と昔組んでいたなと思うようないかれ具合だ。

初雪は訳がわからんと思っていると一つの気配に気づいた。

「久しぶりですね初雪」

声の方に視線を向けるとやはりの世無離(せなつ)がいた。

「あら、初めましてそちらのお方。私は詩奈という者よ。もしかして貴方が魔王かしら?」

「随分と鋭いのですね。実は出番がなくなりそうだったので急遽参戦することとなったのですよ。申し遅れましたね。私はこの世界の魔王である世無離という者です。よろしくお願いしますね」

二人は挨拶をすると間合いをとった。

「いきなり戦いなんだね。そういえば私の存在感薄くない?一応この世界の主人公なんだけど」

そんな言葉に返してくれるものは誰もいなかったようだ。

「そういえば貴方は呪文が使えるのですか?この世界ではそれが主流なのですが」

「使えないけど問題ないわ。貴方レベルはたまに見かけていたから力押しでどうにかするしかないわね」

どうやら当時から化け物と戦っていたらしい。

まあ世界最高峰の舞台ならそうなってしまうのだが。

「では遠慮なくいかせてもらいますね」

世無離はそういうと簡易呪文を発動し始めた。

詩奈は一つ一つをよく見ながら確実に回避しているようだ。

「素晴らしい動きですね。では近接戦をしますよ」

世無離は抜刀して詩奈に急接近した。

詩奈は世無離の軌道を見ながら培った経験と体術で確実に回避している。

どうやら攻撃をせずに相手の戦闘スタイルを見ているようだ。

「随分と消極的なのですね私の予想ではガンガン攻めてくると思っていたのですけれども」

「あらそれはごめんなさいね。楽しめる戦闘が久々だったものだから感覚を取り戻しているのよ」

詩奈はそういうと足にそれなりの力を入れて距離をとった。

「素晴らしいパワーですね。先手は貴方に譲りますよ」

「それはありがたいわね。せいぜい死なないように頑張りなさい」

そう言った瞬間、詩奈の雰囲気が一変した。

詩奈のは足に結構力を込めて世無離に急接近して殴りかかった。

世無離は予想以上の速度に少し驚いたがかろうじて回避をすることに成功した。

「あら、これを避けるとは予想通りのレベルね」

「褒めていただき光栄ですね。ようやく準備が整いました」

詩奈は上空を見た瞬間にシュミレーションを開始した。

上空から少し遅めの速度で二つの巨大な氷の塊が落ちてきていた。

どうやら脳内で重複詠唱をしていたようだ。

「最高じゃない」

詩奈は嬉しそうにそう言いながらスライム素材を一つ取り出して手のひらに乗せて照準を合わせて全開の流体拳を発動した。

フュン ドーーーン!!!

もはや視認するのがギリギリな速度で飛んでいきぶつかるとものすごい衝撃音とともに氷が真下に落下していった。

もう一つは間に合わなそうだったため受けの姿勢を整えて食らうと同時に受け流しを開始しそのまま地面に突き刺した。

そしてその突き刺さった氷を両手でがっしり掴んだ。

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

気合いと共に何故かヤバい質量物を持ち上げてそのまま上空に投げ飛ばした。

その瞬間に初雪には何をするのかわかってしまった。

世無離はありえない光景を目にして驚いてはいたが投げた意図が分からなかったようだ。

「貴方にひんやりしているものをプレゼントするわ」

世無離はようやく気づいたがもう遅かった。

詩奈はすでに腕をセッティングし終えておりあとは圧縮して吹っ飛ばすだけのようだ。

「流体拳」

世無離は炎の壁を瞬時に張ったが効果はいまひとつだ。

炎の壁を突き破り世無離ごとぶっ飛ばしてしまったようだ。

「あれ死んでないよね?」

「大丈夫よ。手応えがなかったわ」

「それは飛び道具だからでしょ…」

まあ流石に死んでないだろうと思いながら二人はクールダウンをして帰ろうとした。

「流石に予想外でしたよ。あれは死ぬかと思いましたね」

何故か世無離が一見無傷で帰ってきた。

「あら生きていたのね。戻ってきてどうかしたのかしら?」

「貴方は近々雪梛と香澄(かすみ)と戦うのですか?もしそうであれば良い場所を提供いたしますよ」

詩奈はそれはいいと思って世無離が無傷な理由は聞かないでおくことにした。

「それはご丁寧に。とても助かるわね。そしたら明日あの子たちと一緒にそちらに向かうわね」

「ではお待ちしております」

そうして初雪と共に帰り市場を雪梛と香澄に話した。

「そういえばそんなフィールドがあったね」

「あそこならちょうどいいんじゃないかしら」

二人の同意も得られたようなのでとりあえず四人は休憩をしてその日を終了させた。

そして次の日はならずに私の登場や。

あたしもいるわよ。

今回は特別ゲストの朝月(さつき)さんに来てもらったで。

ところで今回は何をするのかしら?

よくぞ聞いてくれた。

今回は詩奈にちょっかいをかけてみようかとおもーとるで。

具体的に教えてちょうだい。

なんか話を構成してこっちに呼び込む。

以上や。

随分と簡単ね。

ということは何か策があるっちゅうこったな?

そうよ。

とりあえず権限をくれないかしら?

ええで。

ほいっとな。

じゃああたしはこれで帰るわね。

え?

てんちょうが困惑してる間に朝月は颯爽と帰っていってしまった。

「こんにちは雪梛。ちょっと紹介したい場所があるのよ」

「急に出てきてどうしたの?まあ暇だからついていくよ」

雪梛は香澄と共にてんちょうの元へと向かった。

朝月の開いた亜空間の中に入るとてんちょうが何やら急ぎで文字を打ち込んでいた。

「雪梛、香澄、今よ」

朝月は急にそんなことをいってきた。

しかし二人はその言葉を確実に受け取ってショートマイゾーンで殺しにかかった。

「私の勝ちや」

てんちょうは死ぬ直前にそんなことを言っていた。

「今の言葉が気になるわね。雪梛、調べてくれるかしら」

「今調査中だよ」

どうやらこのフィールドの特性について調べているようだ。

「これは負けだね。どうやら私たちの攻撃が当たる寸前に不死性を追加されているね。おそらく朝月が消したんだろうけどそれを死ぬ直前で上書きしたみたいだ。ちなみにこれは私の権限でも消せないなんか上位のものになっているね」

雪梛が解説を終えると同時にてんちょうが出てきた。

「その通りや。流石は私の電子機器をハッキングしまくってるだけのことはあるな。まあそういうこったから今回はさっさと帰っときーや」

そう言われて確かに打つ手もないので二人は帰っていった。

「お疲れさんやな朝月」

「なんのことかしら?」

朝月は視線を少しだけ泳がせた。

「まあまあとぼけんでもええやろ。休憩ばかりとなってしまいそうだったからこっちに呼び込んで少し身体を動かしてやろおもーたんやろ?まあそれは私もなんやがな」

そう言われて朝月は苦笑いをした。

「貴方中々鋭い時あるわよね。本当にどこまで知っているのかしら」

「はっはっは。まああんまり知っとることはないんやけどな。もしこの展開を知っとったら不死性を消させることもなかったしな」

てんちょうはそう言っていたが朝月はそうは思わなかったようだ。

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