雪梛の一閃   作:雪梛

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魔王と勇者

「最後のやつ良かったわね。結構気合が入っていたじゃない」

雪梛(せつな)が戻ると全員最初の場所にいた。

「まあ今回は時間帯とかのイレギュラーなところがあったからね。私も今回のマイゾーンはかなりお気に入りだよ」

雪梛はクールダウンをしながら話している。

「そういえば詩奈(しな)はどうしたの?さっきから姿を見かけないけど」

初雪(はつゆき)の言う通り先程から詩奈の姿が見えなくなっていた。

「それだったら心配はいらないよ。多分私に殺されたから元の世界に強制送還されたんだよ」

「では心配いらなさそうですね。そういえば戦う前に言っていた期待はずれは本音なのですか?見たところ凄く強かったのですが」

結構気になっていたことを世無離(せなつ)が言ってくれたようだ。

「あれは嘘だよ…ってのは嘘だね。実際一緒に戦っていた時は潜在開放で互角ぐらいのレベルだったからね」

それを聞いて全員が改めて特殊部隊のヤバさを知った。

「それはかなりすごいわね。ところでこの後はどうしようかしら?まだまだ活動可能時間はいっぱいあるわよ」

「まあ私と香澄(かすみ)はそこまで時間にこだわらなくてもいいんだけどね。まあいいよそしたら久しぶりに世無離と少し話をしたいかな。急だけどいい?」

「大丈夫ですよ。なんなら今からでもきてもらって構いませんよ」

「じゃあ先に行っているね」

そういうと雪梛と香澄は足で流体拳を発動させて吹っ飛んでいった。

「二人は入れない魔王城の前で何をしているんだろうね」

「多分何も考えていなかったのでしょう。さあ行きますよ」

そういうと世無離はダッシュしていき初雪は氷の線を滑りながら向かっていった。

少し待つと二人もようやく到着して合流した。

「流石に鍵がかかっていますよ」

「そこが盲点だったんだよね。なんなら二人を吹っ飛ばしてから追いかけてくればよかったよ」

雪梛はすでに潜在能力を解除して体の調子を確認しているようだ。

「それじゃあとりあえず闘技場にいきますよ。そういえばここで詩奈と雪梛が戦うというのを完全に忘れていましたね」

完全に頭から抜けていたようだ。

四人は闘技場へと向かっていった。

中に入ると前と変わらずの景色が広がっていた。

「ここは相変わらずだね。早速で悪いんだけど呪文を見せてもらってもいいかな」

「もちろんいいですよ」

世無離はそういうと小さい氷の塊を生成した。

「どうですか?」

雪梛は観察眼に立体的視認を使用して確認をした。

「流石だね。前に割った時よりも格段に密度が高くなっているね。それに伴って呪文の発動時の効率化もされているだろうから呪文のレベルはかなり高くなっていると思うよ」

雪梛にそう言われて世無離は少し笑った。

「それはよかったです。また戦う時にはもっと苦戦してほしいので剣術も頑張りますよ」

「それはいいね。どうせもうやっているだろうからどうせなら初雪と戦ったらどうかな」

「急に戦わされそうになっているね。まあ私は全然大丈夫だよ。むしろ戦闘描写が少なすぎてめっちゃ弱そうだから戦わせて」

確かに初雪の戦闘シーンは少なくて雪梛と香澄が人外すぎるから初雪が弱そうに見えてしまうのだ。

「戦いたい動機が謎すぎるけど戦ってくるれるのなら助かりますよ」

二人は間合いを取って氷の刀を生成した。

「ついに無詠唱で出せるようになったのですね」

「これでも見えないところで鍛錬してるんだよ」

最初は世無離が動き出した。

速度的にはかなり良く懐かしの原初のメンツと戦わせても互角以上の戦いができるだろうと言ったところだ。

初雪は刀をよく見ながら正確に回避をしている。

そして少し経ったところで初雪が刃を合わせてから後ろの跳躍して距離をとった。

「いい動きだね。前よりも断然速いし鋭くなっているね」

「そういう貴方も随分と強くなりましたね。まるで一回死んできたかのように」

世無離がどこまで気づいているかはわからないが相変わらず鋭いようだ。

「呪文を使ってもいいんだよ?全力できな」

「ふふ、その言葉後悔しないようにですよ」

世無離は複数系統の簡易呪文を一気に展開して初雪の周囲や追尾をさせながら一気に距離を詰めて交戦を開始した。

先ほどよりも速くこれがまともに戦っているといった感じのようだ。

初雪は呪文ごとの相性を瞬時に判断しながら的確に相殺していき更に氷の壁を瞬時に生成して世無離の刀を強制的に止めてその隙に斬るなどかなり高度な行動をしている。

世無離は簡易呪文を挟み込み初雪の刀を止めると同時に距離をとった。

「素晴らしい思考力ですね。その回転速度で焼ききれないのが不思議なぐらいですよ」

世無離はそういうと闇を生成して更に脳内詠唱二重詠唱をしながら呪文による猛攻撃を開始した。

「かなり高度な技を使ってくるね。そろそろ全開でいくよ」

初雪はそういうと氷の霧を発動させてそこから氷の壁を張り少しの時間を稼いだ。

すぐに壁自体は破壊されたが初雪も予想通りだったらしい。

迫り来る火、闇、水、氷、などなど色々なものを全て体術回避して詠唱をした。

「貫き通せ。フリール」

結構大きい氷柱のような氷が生成されて世無離に発射された。

流石に簡易呪文だけでは対処できなかったので刀を構えて振った。

接触した際に力のベクトル方向に意識を向けて徐々にずらしていき紙一重の位置まで持っていき回避した。

そして片手をあげて振り下ろした。

初雪は上空を見上げると巨大な氷の塊が二つゆっくりと落下してきていた。

「やっぱり二重詠唱もしてくるよね。任せたよ。アイスミクロ」

初雪がそう口にすると氷の精霊が現れて冷気を一点に集中し始めた。

初雪は呪文を連発して火力を高めているようだ。

「いまだよ!」

初雪の合図とともに発射されて塊を一つ貫いて破壊した。

「満ちれ粒子!集まれ冷気!今ここでやつを迎え撃つ!ぬるくなったこの世界を再び冷やして呼び起こすのだ!熱さを跳ね除け業火を沈め氷の時代を巻き起こせ!これが私の思いの力。冷やし貫く思いの強さだ!凍れ!フリーラルストレェェェェェドォォォォォォ!!!」

初雪の叫びと共に大量の氷の粒子が初雪も頭上に集まっていき手を振りかざすと同時に世無離の氷に向かって突撃していった。

あまりの大量の冷気により地面が凍って氷の塊を貫くかのようぬ一本の氷の柱が立ち上がった。

「ものすごい呪文ですね。それでいてまだ戦える体力を持ち合わせているから貴方は面白いのですよ。第二ラウンドといきましょうか」

世無離が足元に氷と炎の呪文を同時発動させて爆風で距離を詰めると同時に雪梛が割って入っていった。

「そこまでだよ。流石の無情な私でも不要な殺生は見逃さないよ。一旦落ち着きな。あれは初雪じゃなくて精霊の方だよ」

雪梛にそう言われて世無離は冷静になったようだ。

どうやら今までの簡易呪文相殺に精霊の召喚からの特大技で疲弊し切っていた。

「私としたことが失礼いたしました」

「いいんだよ謝らなくて。戦いでは確実に生きている生物を殺しにかかるのは間違いじゃないからね。でもこれは戦いじゃなかった。それだけの話だよ」

初雪は疲れながらも立ち上がってきた。

「この後はどうするのかしら?もちろん私たちは貴方と戦ってもいいのよ?」

香澄がきて今後について聞いた。

「そしたら一旦室内に入って方針を決めましょう」

世無離はそういうと先頭を歩き始めた。

一つの部屋を選びそこに入っていった。

「さてと、こんなところまで来させて何を話したいのかしら?」

香澄は面倒だと言わんばかりの顔をして聞いた。

「少し確認をしたかったのですよ。この世界では貴方たち二人と一応私が強すぎるのですよ。そこでバランスを取り戻すために初雪に何かの処置を取りたいのですよ」

それを聞いて納得したようだ。

「そしたら簡単ね。初雪を亜空間に放り込んでおけばいいのよ。そうすれば一時間先の自分と常に戦えるし死んでも生き返るし問題ないわ」

それを聞いて雪梛が少し気になったようだ。

「それなんだけどね、かなり高難易度なんだよね。あっている対戦相手の方が伸び率はいいからね。もしやるんだったら本人の了承を取ってから30分先に変更した方がいいかもね。ということなんだけど初雪はどうしたい?」

ようやっと初雪に発言権が回ってきたようだ。

「私はそうしてもらえるならありがたい限りだよ。脱出方法だけ教えてくれれば今すぐにでもいいよ」

初雪はそう言い終えると唐突な浮遊感を覚えた。

そして視界が一旦暗くなった。

(あれ、久しぶりじゃん。もしかして鍛錬不足?)

「そういうことだからよろしくね。幼姫」

二人は間合いを取って戦闘を開始した。

 

 

「貴方も中々エグいことをするわね」

「だって良いって言ってたじゃん」

どうやら初雪が今すぐにでもと言った瞬間に生成したらしい。

まあ雪梛らしいのだがな。

「さてと、私たちはどうする?」

「そうですね。戦っても良いのですけれどもその前に人外ダンジョンの中級はどうでしょうか?一応この世界ではクリア者がいないのですよ」

「場所を教えなさい。さっさと壊滅させてくるわ」

世無離から場所を聞くと即座に二人は外に出ていって吹っ飛んでいった。

「相変わらず面白い方達ですね」

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