雪梛の一閃   作:雪梛

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雪梛と雪梛?

目的地に着くと二人はすでについていた。

「面白かったわー。貴方たちはいつもこれぐらいの速度で動いていると思うと恐ろしいわー」

「死ぬかと思ったわ!しかもちょっと吹っ飛ばしすぎや。強制力なかったらもっと飛んどったでほんまに」

どうやら香澄(かすみ)は無意識のうちにかなり吹っ飛ばしていたらしい。

「あら私としたことがこんな単純な力の制御もできないなんて。よっぽど恨みでも溜まっていたのかしら」

「実際何にそんなに恨んでおるのか聞きたいんやが。ええか?」

どうやら平和的解決を望んでいるらしい。

「そんな単純なことなら教えてあげるわ。貴方のせいで私が亜空間の私と戦えないのよ」

香澄の性格ならそれはキレて当然だとてんちょうはおもった。

香澄は努力タイプでもはや鍛錬の加護かと思ってしまうほどの成長力を持っている。

そして亜空間は一生自分より強い相手と戦闘ができるという理想の環境なのだ。

「それは確かに許されないことやな。そしたら雪梛(せつな)よ。私の本気を見せれば解放してやってくれないか?実際ここによんだ理由はそれなんやろ?」

「それはどういう考察かな?」

雪梛は試すかのように聞いた。

「簡単やろこんなん。直近の世無離(せなつ)が実力を隠しとりはってかなりの強者であった。もともと実力をセーブしとった自分たち以外にもそういう奴がいると知った。そして作者は全員例外なく強い。なのに私だけこんなに弱かったのは裏があるんじゃないのかっていう話や。それと今まで何度か殺しとんのに死なへん理由がわからんとかやろ。私の考察はこんなもんや」

雪梛はそれを聞いて頷いた。

「確かに悪くない考察だね。でもちょっと飛躍がすぎるかな。もう少し順序立てたり飛躍に足る理由を添えてあげると良いものになるよ」

そうは言いつつも否定はしてないので実際当たっていたらしい。

「そういえば本気を出すのにこんな狭いフィールドで足りるの?なんなら亜空間にでも行く?」

雪梛からの提案にてんちょうは一考した。

「そうやな。万が一を考えて一応亜空間にでもいっておくか。せやせしたら入ってき」

てんちょうは瞬時に亜空間を生成した。

とりあえず全員その中に入って雪梛とてんちょうが間合いをとった。

「懐かしいなこの感じ。さて今回はどの人格を選択しようかな」

雪梛は魔力を展開して立体的視認に見切りを発動した。

どうやら出方を観るようだ。

「おお、なかなかおもろい組み合わせやな。魔力展開に立体的視認に見切りとは。これは私も期待に応えねばならんな」

てんちょうは集中力を上げたかと思うとすごい覚えのある気配をはなっていた。

「随分と面白いことをするね。それが貴方の本気?」

雪梛はてんちょうの人格だったものに問いかけた。

「そうだよ。これが多分私最強の人格かな。とは言っても完全コピー的なものではないんだよ。まあそれでもセーブしていたら殺せるぐらいだけどね」

雪梛の人格を使っているてんちょうはそう言った。

その瞬間に雪梛は潜在能力を解放しててんちょうに向かってブレイキングショットを放った。

シュン

爆速で魔力が一塊飛んでいった。

てんちょうは雪梛が行動した瞬間に見切りを発動し技から軌道を把握して直前にシールドを張って防いだ。

「完璧なタイミングに精度だね。よほど貴方のポテンシャルが高かったんだろうね。じゃあさっさと始めよう。こうしている時間すら惜しいよ」

雪梛は楽しそうにニヤけながら亜空間から桜吹雪を取り出して抜刀しててんちょうに向けて身体を半身にして刀を下側に持って構えた。

てんちょうはその構えで技を把握したため同じ構えをした。

そして同時に斬り上げた。

「「空裂斬」」

てんちょうは速撃を入れ込み雪梛は流体無焦点を入れ込んだ。

両者の空気圧の斬撃はものすごい勢いでぶつかり相殺された。

「面白いね。速撃の二点同時発動は結構良い速度が出るんだね」

「そうなんだよ。それはそうと近距離の斬り合いはどうかな?今ならそれなりにいけるはずだよ」

本人はそれなりと言っているが実際には結構互角だと思われる。

そのぐらいてんちょうの順応性が高かったということにはなるがな。

雪梛はマイゾーンで一気に距離を詰めててんちょうを弾としたブレイキングショットを発動した。

てんちょうは立体的視認で軌道把握をできたが速度を計算ミスしてしまい吹っ飛ばされた。

雪梛は吹っ飛ばした方向に簡易呪文を数発放ってから魔力を練り始めた。

飛んできている方向を把握しながら回避不可な攻撃は刀で破壊した。

どうやら魔法や呪文を使って相殺がしないらしい。

てんちょうが回避している間に雪梛は脳内詠唱で桜吹雪を透き通った氷の刀身に変化させて鞘に収め重心を低くし眼を閉じた。

「何もなき空間の中に 突如と現れ互角に戦う 薄き心を宿すものは 透き通っている氷の刀身 この刀身が光に照らされた時 貴方は 何を思うかな」

雪梛は詩を詠みおえると動き出し、流体、無意識、コンセントレム、そして抜刀の瞬間に光の魔法を刀身にぶち込んだ。

てんちょうは動き出しの瞬間にスーパースローを使って体感時間を膨大に長くしてその間に速度の計算、雪梛の攻撃範囲、攻撃方法、攻撃時のパワーを全て決めて体感時間を元に戻した。

その瞬間に勝負は始まった。

てんちょうは完璧に計算通りの動きをして雪梛の刃がこちらの身体に触れる少し手前で身体を思いっきりそらしてそのままの勢いを利用して刀を蹴り上げようとした。

計算上では上手くいくはずだったのだがそこは規格外の雪梛。

やはり上手くいかなかったようだ。

雪梛はてんちょうが蹴り上げてくる少し手前で光の魔法を発動させた。

その瞬間に空間内を膨大な量の冷気が冷やし始めた。

そしてそのままてんちょうを斬った。

「マイゾーン:冷爆」

もはや文字通りの冷気爆弾であった。

静樹、香澄、雪梛以外は全員ぶっ倒れた。

「流石は流体だね。でもこんなに増えたりするものなんだね」

「びっくりしたわよー。マイゾーンをやったかと思ったら急に気温がえぐいことになったものねー。でも物足りない終わり方だったんじゃないの?」

雪梛はそう言われたが首を振った。

「実際そうでもないよ。確かに私の人格を形成してそれを使えるようにしたてんちょうはすごいけどこの程度で死ぬようじゃ面白くないね」

「この程度とはいうけれど多分私たち以外即死よこれ」

本当に絶対零度に達しているのではないのかと思うレベルで冷え切っていた。

「やっぱりこれは調整が必要だね。とりあえずこの世界を攻略する前にこっちを習得しないとね」

「攻略とは言っているけれどもいつでも可能じゃないのかしらー?」

痛いところをつかれたようだが雪梛は気にしなかった。

「じゃあとりあえず戻しとこうか。記憶もそのままでいいよね?」

「ええ。じゃあ戻してちょうだい」

雪梛はデバイスを使おうとしたが冷えすぎていて使えなかった。

「あー温度が低すぎて内部の回路が凍っているね」

雪梛はそう言うとデバイスに極薄のシールドを張った。

そして内部で熱の波長を調整した魔力を充満させて機能を復活させた。

そして記憶そのままの時を戻した。

戻るとちょうど間合いをとったところまで戻った。

「戻してくれたんやな。一瞬すぎてよーわからんかったのやさかい説明してくれへんか?」

てんちょうは人格を元に戻しているようだ。

「簡単な話だよ。てんちょうと朝月は凍死したってだけ。貧弱すぎるよ全く」

雪梛はため息をついた。

「貧弱と言われても宇宙レベルで冷えている場所で凍死しない方が異常だと思うわよ」

朝月は当たり前の指摘をした。

「まあそんなことはどうでもいいんだよ。ありがとね、てんちょう。今回ので反省点がわかったよ」

「ちょっとまちーや。あんな消化不良でええんか」

「そんなに死にたいんなら殺してあげるよ」

「え?」

どうやらこの事態を予想していたようだ。

雪梛はライトミクスアイスで刀身を透き通った綺麗に光る氷にして更にてんちょう付近に超高密度の炎を生成した。

「よし雪梛、一旦落ち着こうや。ホットココアでも飲んでゆったりしようやないか」

「それはいいね。マイ モウティッドメンショナル アイス ソード」

シュン ドカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

過去最大級の威力を叩き出して轟音を響かせながら亜空間内をひんやりとさせた。

音が鳴り止むとてんちょうの姿が消えていたようだ。

「逃げたのかしら?」

「いいや。一回死んでそこから復活した瞬間に脱出したらしい。まあいいや。とりあえず戻ってお開きにでもしようか」

雪梛は亜空間を生成してそこに全員ぶち込み元の世界に戻してきた。

「すごいわね。同じ場所に入ったのに行き着く先は違うのね」

「これも波長操作の延長だからね。さあ明日から光の調整をしようかな」

忙しくも発見が多かったこの日は終わった。

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