型月世界はモブに厳しすぎる   作:音割れまーに

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四ヶ月くらい失踪してました。反省はしてます。理由はありますが言い訳臭くなるのでここは口を噤みます。


召喚

 

 暦は睦月から如月へと移り変わろうとしているそんな冬木の冬。気温は益々と冷え込みの一途を辿る今日この頃、俺は早朝から頭を悩ませていた。

 

 ……別に寒さで頭が痛いとか、持病の偏頭痛が悪化したとかそんなありふれた理由ならどれ程良かったか………何故俺がそんな風に頭を抱えているのか気になる人もいると……いない?…まあそこは聞いてクレメンス。

 聞いて欲しい理由というのは俺の右腕……というか右手にあるのだが、その右手の甲に()()()のは今も尚、まるで自分の存在を主張するかのようにうっすらと痣のようなものが浮かんで視えている。

 

 

今現在俺を困らせている悩みの種_________聖痕(マスター権)が現れてしまっているのだ。

 

 

 なんでマスター権が俺に現れたんだとか、他にもツッコミを入れたい所なんだが、そんな事をしている時間は俺にはない。

 話によると他の一部陣営はちらほらと召喚を済ませているらしい……とのことで、今朝に例の麻婆神父から留守電メッセージが来ていた。

 

 あの麻婆神父は一体どこから俺がマスター権を得たと知ったのか………プライバシー的な意味で非常に気になるし問いただしてやりたいのだが………メッセージには()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()との事。

 

 寝耳に水、まさに驚天動地。

 

 開戦間近、というかもう既に英霊が冬木に現界している時点で開戦はしているようなものなのだが……この状況……

 

 例の赤い弓兵の召喚をまだ終えてなさそうな凛に打ち明けた方が、今後の流れとしてスムーズに事が運びそうで手っ取り早そうなものだが…………俺と凛の共闘が原作にどんな影響が与えられるか未知数と判断した俺は一旦保留することに決めた。

 

 何故俺にマスター権が現れたのか、そして何故このタイミングで言峰綺礼から連絡が来たのか………裏で原作にないオリチャーしてそうで如何にもこうにも気がかりでしかならない。

 

 確か原作ではマスターは6人でキャス子が自分のマスターを殺害後、アサ次郎を山門に召喚してルール破りの7人目としてマスターを勤めていたはずだ。

 

「となると俺が召喚するクラスって………?」

 

 思考の海の中を漂っていると空の彼方から数日前から放っていた自分の鴉型使い魔が帰ってきたのが見えた。愛らしい鴉ちゃんをよしよしと撫でながら使い魔からの情報を精査する。

 

 

数分後……

 

 

「うーむ・・・・」

 

 使い魔から得た()()()()()()()()()。それに今更どう足掻いても聖杯戦争参加確定の現状に唸り声が自然と口から漏れる。俺は渋々と今日中に片付けなければならないタスクを果たすべく、俺は召喚の準備を進めていた…!!

 

閑話休題。

 

 現在の時刻は夜、それも草木や花々もが眠る深夜。俺はとある部屋の前まで訪れていた。

 

 訪れたその一室は、昔、もし聖杯戦争の参加者に選ばれたらこの部屋を使うようにと父親が用意した小部屋。

俺はその部屋には生まれてこの方入ったことは今まで一度たりともなかった。理由は言わずもがなで、自分が聖杯に選ばれるとは毛ほども思ってなかったからだ。

 

 その開かずの扉が満を辞して開かれると、中は少し埃っぽく。部屋のあちこちはバケツをひっくり返したように魔術書の類が散らかっていた。

 

「少しカビ臭いな……本当にここで召喚するのか………」

 

 部屋の明かりのスイッチは何処だろう……と、廊下から部屋に差し込む明かりを頼りに探そうとしたその時に俺はふと、窓から差し込む月明かりがある一点を照らしていた。

 

 

「あれは……」

 

 

 その月明かりの色は薄い蒼色のようで、それでいて銀色を想わせる様な冷淡色の冷たい月明かりが窓から淡く差していた。

 

その淡い光が差していた先は、まるで俺がこの部屋に来る事を予見していたかのように部屋の中央にあった魔法陣が描かれた敷物の様なものを照らしていた。

 

物言わぬ月明かりが魔法陣を照らしてる様は、まるで俺に()()()()()()とでも言わん限りのようにも感じた。

 

 

 俺は部屋の照明をつけようと壁を手探りにスイッチを探していたが、月明かりの妙な圧力に負け、その明かりを頼りに一歩また一歩と誘われるように魔法陣に近づいた。

 

 

 冒頭では聖杯戦争に参加する気全くありませんよ……みたいな強がりを言っていた俺なんだけど、お恥ずかしい話実はサーヴァントの召喚を少し、いや、結構楽しみにしていた。

 

 事実、本来の物語に俺のような異物は居ない。この世界でモブである俺がやれる事は主人公達所謂《主役》を裏方でサポートする端役に徹しようと割り切っていた。

 

だけど現実に俺の右手に聖痣が現れてからは少しの時間考えた。

 

 少しだけかよ!ってツッコミをイマジナリー士郎に入れられそうだが実際に余り考える時間がない中で俺は考えていた。

 

俺は魔術師の家の息子としてこの世界に産まれた訳だが、実際には魔術師としてのガワを着て産まれただけの中身一般人なんだ。(幼少期凛に無茶振りで熊と戦わされたけど)

 

そんな俺が血で血を洗う聖杯戦争に参加してもいいものか……と。刻一刻と決断の時間が迫る中、俺は一つの目的を果たすために1人の人間から殻を破り1人のマスターとしてこの部屋に訪れている。

 

 

_________この選択に後悔は無い_________と思いたい。

 

 

 それに俺は死ぬ気はさらさら無いし一般人でいる事を辞めると心構えをした反面、絶対に無いとは思いたいが…………もし仮に死んでマスターになった今日の選択を後悔したとしたらそれは_________

 

 

あの日の後悔と涙以上だと感じた瞬間なのだろう。

 

 

閑話休題。

 

 

 少しの期待と緊張の中、召喚にベストな時間になると俺は息を整え、全身の魔力回路のパスから魔力を通し始めると魔法陣は発光し始めた__________________

 

 

 

 

 

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公_________」

 

 

 

 

 

 

 詠唱を始めるとなぜかここで蔵書の中にあった古い一つの文献について頭の片隅の中で思い出していた。文献というのはサーヴァントの召喚についての考察や研究資料…?のようなものだったが、ぱらぱらと目を通していく中でこんな一節があった。

 

 

マスターが行う英霊召喚は時代・土地・人理の在り方により難易度が変わるが、最低条件は以下の3つ。

 

 

「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ_________」

 

 

 第一条件_________聖杯、もしくは霊脈の有る土地。

英霊を呼び出すために必要な力の源泉の事。彼らを喚び出すに足る魔力源がどこにも無ければ、そもそも召喚自体が出来ない。

 

 

「閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)_________」

 

 

 第二条件_________土地そのものが持つ記憶。

土地というブロックに存在する持つ記憶や歴史。

 

例えば召喚地が日本列島の場合、北海道・本土・四国・九州・付属諸島のブロックごとに大体の日本人英霊を呼び出せるほか、日本で電球の芯となる竹と出会ったエジソンのように、他国生まれでもその土地に強い縁があれば召喚が可能。

 

 

「繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する_________

 

 

 

_________________Anfang

 

 

 

_________________告げる」

 

 

 詠唱を続けていくたびに魔法陣は光を増していき、魔力による突風が吹き荒び、部屋中の書類や本類はばさばさと宙を舞う。俺の体から魔力が持っていかれるのを感じつつ、俺は歯を食いしばりながらも詠唱を続けていく。

 

「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ_________誓いを、此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者_________」

 

 

 そして最後の条件は_________召喚者本人。

召喚者個人が持つ記憶、すなわち遺伝子=血。

 

魔術師の血の中には延々と紡がれる遺伝と言う名の縁があり、触媒を一切使用しなかった状態で上記2つが当人にとって縁のある地域の場合、召喚者の遺伝と近い物が縁を結びやすい。

 

 

 急な事で触媒は用意していない。よって召喚される英霊は完全な俺との相性、性格、遠い縁による完全なランダム召喚だ。普通の魔術師ならこんなギャンブルみたいな事はしないだろう、何が先にあるかわからない細い糸を手繰るような物だ。

 

 

 

「汝三大の言霊を纏う七天!抑止の輪より来たれ!!天秤の守り手よ―――!!!」

 

最後の詠唱を終え、眩い閃光と魔力によって生じた突風が共にボワッ!っと部屋に吹き、光の粒子が人型の形となって魔法陣の上に現れたのを気配で感じた。

眩い光に目をやられた俺は少しずつ視力が戻ってきたのを感じ、取り戻した目の前の視界には魔法陣の上に佇む幼い少女が1人。

 

 

「えっ……?」

 

 

俺の願いと呼び声に答えてくれたそのサーヴァントに、俺は目を白黒とさせながら困惑と動揺で声にもならない声を出すだけで精一杯だった。なぜならそれは………

 

 

「驚いたわ……まさか(女神)を召喚するだなんて………あら、もしかして私を知っているのかしら?でも私は貴方のサーヴァント……ですもの。知っているとしても名乗らなくてはね……」

 

 

 

 

「サーヴァントアサシン________________()()()()。貴方が私のマスター?」

 

 

 

 

目の前の可憐な美少女は薄く笑いそう名乗った__________________

 

 

 

 




はい。召喚したサーヴァントはステンノ様でした!

ステンノ様のエミュこれであってます…?自信ないです…

それとバトル回を入れると告知していたのですが、それは次に投稿させてください。ステンノ様を召喚してからのちょうどいい区切り方がわからなかったので……
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