神様をやって数百年。
おかげでしゃべっているときの口調が少し古風になりました。
そのせいか、より神様らしくなった感じがします。
私は旅に出ました。
村には式紙を100体ほど置いてきました。置いてきた式紙は
私からの霊力がなくても、大気中の霊力を吸収することで動くことができます。
旅に出て数十年が経ちました。私は狼の赤ん坊を拾いました。
魔力があるところを見ると、狼の妖怪のようです。
ずいぶんと弱っていました。生まれつき体が弱かったようです。
私は抱きかかえながら神気を使います。体はよくなりましたが、この狼は生まれてなにも
食べていないようですね。私は哺乳瓶とお湯とミルクの粉を出します。
便利ですね、この能力は。早速飲ませます。神気を含んでいるミルクなので
体力もすぐに回復します。
適当なところに小さな家を作ります。
神気を使ったので体調には何の問題もないと思いますが、数日間寝ずに看病します。
狼の赤ん坊は元気になりました。狼は私のことを母親と思っているようです。
私がどこかへ行こうとすると鳴きながら追いかけてくるので、私が育てることになりました。
メスなので「フェリ」と名づけました。
毛が銀色なのであるキャラを連想してしまって名づけたことは内緒です。
フェリを育てて100年が経ちました。フェリが人間の姿になっていました。髪は銀髪です。
もちろん獣耳と尻尾は私と同じようにあります。人間の姿は私と背を比べると、
10cmくらいしか変わりません。
「う、あ・・・う」
どうやらしゃべれないようです。そういえば、狼のときもしゃべっていませんでしたね。
とりあえず、私が親なので教育していきます。
「私がわかるか?」
コクン
と頷きます。言葉は理解できるようです。
「そうか。じゃあ何か言えるか?」
「マ、マ」
そう言いながら私に抱きつきます。背が10cmしか変わらないのでまるで
姉妹が抱き合っているように見えます。
それにしてもママですか。いきなりですね。意味も理解しているようです。
とりあえず、服を着せます。服は私と同じ巫女服です。
私が教育して数ヶ月。フェリはまだ片言ですが話せるようになりました。
「お母さん、獲物、捕まえた、の」
「そうか。よくやったのう」
「うん。よくやったの」
「さあ、飯の準備をせい」
「分かった」
獲物は猪です。フェリはもとは狼ですので、猪程度は簡単です。
毎日丸ごと一匹食べます。小さな体のどこに入っているのでしょうか?
女の子の神秘ですね。
もちろん野菜も食べさせます。フェリは野菜を食べるの嫌がります。
しかし、私がいる以上栄養の偏りは許しません。
無理やりでも食べさせます。
数百年経ちました。フェリは成長しお姉さんになりました。口調もお姉さんです。
つまり、フェリもまた力の封印前の私と同じようなスタイルになったのです。
まあ、私のほうがスタイルはいいですがね。
しかし、このまま成長するとフェリは老いて死んでしまいます。
我がままを言うと私はいやです。私の実の娘ではありませんが、私はこの子の母親です。
だからフェリに聞きます。
「フェリ。お主は私と離れるのはいやか?」
「お母様、なぜそれを聞くのでしょう?私はお母様と離れるのはいやです。」
「そうか。しかしお主は今はただの妖怪。いずれは私とお主を死が離れ離れにさせる。
しかし、私はお主を死から遠ざける術を知っている。どうする?」
「死を、遠ざけるですか。具体的には?」
「吸血鬼の力でお主を吸血鬼にする。吸血鬼になればお主は私の眷属になり、
不死になる。どうする?」
「お母様、私を吸血鬼にしてください。私はお母様と離れるのはいやです」
「そうか。分かった。では、いくぞ」
私はフェリの首筋に口を近づけ、吸血します。ただの吸血ではなく、眷属にするための
吸血です。
私自身、初めての吸血です。私の中の何かが蠢くのを感じます。私の眷獣がようやく
目を覚ましたようです。しばらくして、口を離します。
フェリは顔を赤く染めています。吸血された人は快感を得るそうですから、
それで顔を赤くしたのでしょう。
「終わったぞ、フェリ」
「・・・]
「おーーーい」
「・・・・・・」
「フェ~~~~~リ?」ダキッ
「ひゃっ!?お、お母様?どうなされたのですか?」
「もう終わったよ」
「そ、そうですか、ありがとうございます!。私は部屋に戻りますね!」
フェリは急いで自分の部屋に戻ります。どうしたんでしょうか?
それにしても私の背が低いせいでどっちが親か分からないですね。
「そういえば、久しぶりにフェリを抱きしめたの。本当に大きくなりおって。
お主もそうは思わんか?」
私は縁側へ移動して空を見上げながら言います。その視線の先にはさっき目覚めたばかりの
眷獣がいました。眷獣はただ私を見つめ続けます。
私はフェリと戦っています。いわゆる、修行です。
吸血鬼の力などは私のほうが上なので、ハンデに体の身体能力の50%を封印し、
フェリには「心渡」を渡して戦っています。魔力は封印状態の私よりも2倍ほど高いです。
霊力は他の人間や妖怪と同じくらいです。
フェリは魔力の弾を放ちます。
それを
弾は霧散します。
「お母様?何ですか?さっきのは」
「あれは私の魔眼の力じゃよ」
「それはずるいです」
「ずるくない。使ってはならなんとは言っていない」
その会話の間にも空中での攻防が続きます。
いつの間にか日が暮れようとしています。
私は一気にフェリの下に移動します。
「フェリ。そろそろ終わりにするぞ」
私は手をフェリに向けた。そして、魔力を込める。するとフェリの動きは止まる。これにより空中にいるフェリの動きを止めます。
最後に魔力を集めた。その魔力はバレーボールくらいの大きさになる。
「焼き払え!」
その魔力球からは光線が放たれた。その光線の直径はバレーボールよりも大きいものとなった。光線は身動きの取れないフェリを包み込んだ。
うん。
地上に向けて撃たなくてよかった。
撃ったら絶対辺り一面まっ平らになってましたよ。
フェリはどこかな?まだ空中ですか。
私は身体能力の封印を解除して迎えにいきます。
落ちる前にキャッチしました。
私は布団に寝かせます。
「う、う~~~ん。金髪の悪魔が~」
この子はどんな夢を見ているのでしょう。
起きたら説教が必要なようですね。
ふふ、にしても、可愛い寝顔ですね。
私はフェリの布団に潜り込みそのまま寝ます。
フェリside
「ん、ん~~~」
私は大きく伸びをしながら、起きます。
ん?横にお母様が寝ています。気持ちよさそうに寝ています。
「すう、すう」
癒されます。ためしに頬をつついてみます。
「うにゃ、うにゅ、ん・・・んん」
ブハッ!!
思わず鼻血を吹き出します。こうして見ると母親らしく見えませんね。
そういえばお母様はずっとこの姿ですね。どうしてでしょうか?
よく見るとお母様の体全体に封印が施されています。
私はお母様から鍛えられているので霊力を視ることができます。
その結界は力の制限をする簡単な結界です。お母様から聞いた話では効果は抜群ですが
簡単に破壊できる結界だったと思います。
昨日、身体能力に封印をすると言っていたのでおそらくこれがそうなんでしょう。
私は手に魔力を込めて結界を破壊します。
パキンッ!
結界が壊れました。その瞬間、お母様の体がまばゆい光に包まれました。
光が納まったあと、そこには知らないお姉さんがいました。
誰でしょう?見覚えがあるような顔立ちをしています。
「あの~、起きてください」
私はそのお姉さんの体を揺さぶりながら起こします。
「ん~?なんじゃ?朝か?
どうしたフェリ。驚いた顔をしおって」
「あなたは誰ですか?」
「どうしたフェリ寝ぼけておるのか?おぬしの母親じゃろう?」
「いえ、わたしのお母様は少女の姿をしています。そんなスタイルはしていません」
「何を言って――――――っ!!」
見知らぬお姉さんは途中で何かに気づいたような顔をします。
そして、声を低くして言いました。
「お主、封印を解除したろう」
「ギクッ」
「正直に言うてみい。今なら怒らん」
「あ、あなたには関係ありません。封印を解除したからといってあなたに何の関係があるんですか?
というか、あなたはどこから入ってきたんですか?」
「ほう、フェリ。どうやらまだ私が分からんようだな。話の流れを読めば分かるじゃろう?」
「お、母さ、まです、か?」
「そう言っておろう?さて、勝手に封印を解除したお仕置きが必要なようじゃな」
「ひっ、ごめんなさい、お母様!許してください!」
まさかこのお姉さまがお母様だなんて。
お母様はあまり怒りませんが、怒ったときはそれはもう恐ろしいです。
その後、私の叫びが響き渡りました。
薬信御魂side
「全く、勝手に封印を解きおって。何か危険なものだった場合はどうするつもりじゃった」
「はい、すみませんでした・・・」
私の説教は4時間続きました。フェリは精神的にボロボロでした。
でもこれはフェリのことを思ってのことです。仕方がありません。
尻尾を1本から9本にします。そして、抱きしめ、尻尾で包み込みます。
その後私は再度、力を封印しました。
少女の姿になりました。
尻尾も1本にしました。
ある日私はある術式を完成させました。
「フェリリ~~ン」
「お母様。フェリリ~~ンと呼ぶのはやめてください。怒りますよ?」
「冗談じゃよ。フェリ、私はついに完成させたのじゃよ」
「なにをですか?」
「転移術式じゃよ」
「そうですか」
「それだけか?」
「ええ」
「最近冷たくないか?」
「いえ、いつも通りです」
「そうか」
「そうです」
そんな会話をした後、私は早速準備をします。
封印も解きます。
「いいか、フェリ。今から私はこの術式を試す。しかし、何があるか分からない。
私の身になにがあっても、心配するな。ちゃんと帰ってくる」
「お母様。それはジョークにしては笑えないですね」
「念のためじゃよ」
「お母様。無事に成功することを願っています」
私は転移術式が書かれた札に霊力を込めます。
すべては順調です。
しかし、私は異変に気づきます。
転移術式に乱れが生じました。どこに転移するか分かりません。
「なっ!?霊力を込めすぎた!」
「お母様!」
「来るな、フェリ!」
「しかし!」
「来るなといっておろう!いいか私は帰ってくる!
それまでいい子にして待っておれ」
「う、ううっ・・・分かり、まし、た。私は待っています」
フェリは泣きながら私を見ています。私は微笑みました。
そして、私はどこかへ転移したのです。
今回の話はどうでしたか?