ハイスクールD×F×C   作:謎の旅人

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第8話 私の力は?

2年が経ち私たちは人間界に戻って来ました。この2年間は私の土地の整備をしていました。整備の結果、私の土地と他の土地の境界には高さのある城壁を設置。その城壁の上には私の式紙が配置されています。

 

私の土地に不法に侵入しようなら、その式紙が霊力弾、つまり気弾を放ち撃退する。その威力は式紙一体にある全ての気を使えば、上級悪魔数人を消すことが可能だ。しかし、式紙は気を動力として動いているため、それほどの気を使えば式紙も消える。

 

そうなれば、土地の守りに穴が開くので、ちょっと不安だ。もっともこれは念のための式紙で、他人の土地に勝手に侵入するような悪魔はいないと思う。この土地はグレモリー領の中にあるから。

 

まさか魔王であるサーゼクスの親族の土地に入ってくれる悪魔はいないでしょう。いたらよほど自分の力に自身がある者だろう。でもその自信は魔王と比べてでのもの。私と魔王たちの力の差は天と地の差以上ある。

 

魔王と比べての実力ならそれは、私には全く通用しない。だけど、その事実を知るものはほとんどいない。知っても信じないだろう。なぜなら魔王は悪魔最強といってもいいのだから。

 

そして、人間界ではサーゼクスに頼んで家を作ってもらった。場所は駒王町と呼ばれる町。なんでもここは悪魔が管理しているそうです。私が知らない間に地上は悪魔に支配されたか。

 

今日は二年ぶりに人間界に帰ってきたが、さっそく娘たちと街中を歩いていた。今日は私の力を探しにきたのだ。その力は偶然か必然か駒王町内にあった。私が次元の狭間から戻ってきたときに力の一部がなくなっていた。その力が駒王町にあったのだ。

 

今はそれがどこへ行ったか探します。獣耳と尻尾のある私とフェリは魔力による幻術で人間の姿になっていた。私たちは妖怪。化かすくらいはできる。私の隣を歩くフェリは人間の文化にオロオロとしていた。

 

なぜならフェリはできるだけ人間と離れて過ごしたからだ。遠目では見たことはあるものの、じっくりと見るのは今回が初めてらしい。もし私がフェリなら完全に人間の文化に馴染んでいた。

 

 

「お母様。これは何ですか? 『てれび』と書かれていますが、よく分かりません」

「それは科学技術の結晶で、画面というこの色が変わる板で、色々なものを映し出すものじゃ」

「なんの意味があるのですか?」

「そうじゃな。日本や世界の現在のことを伝えたり、娯楽を楽しむためじゃな」

「そうですか。やっぱり人間の考えることは分かりませんね。昔は自然に溢れていたのに、それを破壊して自分たちのためにするなんて」

 

 

フェリは目を細めて周りを見回す。どうやらあまり人間のことが好きではないらしい。一応昔は人間と交流があったが、自然をこうやったことに怒っているのだろう。その気持ちは私も分かる。

 

私は自然の恩恵によって育ってきたからだ。いくら前世が人間だったとはいえ、今は人間ではない。だから、自然をこうやった人間には少々怒りを覚える。

 

 

「でも、便利じゃぞ。まあ、人間はやりすぎたがな」

「便利でしょうが、あまり使いたくはないですね」

「じゃがこれからは使うことが多くあるぞ。これからはそういう世界で生きて行くのじゃから」

「ですが……」

「まあよい。ゆっくりと慣れればよい。ほれ、急ぐぞ」

 

 

私はフェリの手を引き、歩く。チラッとフェリを見るとうれしいのか、微笑んでいた。そのフェリの隣では私と手をつなぐフェリを羨ましそうに見る咲夜がいた。咲夜はさっきまでフェリと一緒にオロオロとしていたが、それよりも手をつなぐことに興味があるらしい。

 

ふふ、咲夜も可愛いところがあるんですね。私はフェリを挟んで向こう側にいる咲夜に手を差し出した。

 

 

「母様?」

「手を繋ぎたいのではないのか?」

「え!? いいんですか!?」

「よい。お主も私の娘じゃぞ。母親である私に遠慮はいらんよ」

「わーい!」

 

 

咲夜はすぐさま私の隣へと移動し、その手を繋いだ。その顔はフェリと同様に笑みを浮かべていた。はあ~、今の私はとても幸せです。こうやって娘たちにはさまれて、手を繋いでいるのですから。

 

私もまたうれしくて笑みを浮かべた。

 

 

「咲夜、あまりはしゃいだらいけませんよ」

「分かっていますよ、姉さま! でも、人間って変なのばっかり作りますね!」

「こらっ、声が大きいです」

「ご、ごめんなさい……。でも、どうしてもこういうテンションで話してしまうんですよ! 仕方ないです!」

 

 

フェリが怒り咲夜は反省するが、どうも咲夜のテンションが高いものは直らない。まあ、しかしこれが咲夜の個性なのだ。仕方がないだろう。

 

 

「それにしても私のほうが背が高いですね! こうなると私は姉みたいです!」

 

 

咲夜を見れば確かに見上げるような形だった。そして背の高い娘たちと手を繋ぎ挟まれているという私の立ち位置が、私が二人の妹であるような感じをさせる。うう、ちょっと複雑な気分だ。

 

私は母親なのにせめて姉ではなく、妹だなんて……。咲夜はもう片手で私の頭を撫でた。睨もうとするがニコニコ顔で撫でてくるので、そうもできず俯く。だって仕方ないじゃないですか。

 

母親だから娘が喜ぶ姿は大切にしたいんですから。

 

 

「こらっ咲夜! ダメじゃないですか! お母様を子ども扱いするなんて!」

「でも、これは愛情表現です! 私は姉さまと違ってこうやって触れ合った回数は少ないんです! いいじゃないですか!」

「だからといって頭を撫でるのは……」

「でも母様は喜んでいるみたいですよ!」

 

 

フェリは私を見た。その私は俯いているためフェリの高さから見えない。しかし、覗き込んだため私の顔を見られる。私はうれしさのあまり喜んでいた。

 

 

「お母様!! なんで喜ぶんですか!!」

「だ、だって仕方ないじゃないか。フェリだって頭を撫でられるのは好きじゃろう。母親じゃが私だって撫でられるのは好きなんじゃぞ」

「……なんだかあまり聞きたくないものでした」

 

 

フェリは額に手を付きガクッとうなだれる。それはそうだ。母親がこうだったら娘はそうなるだろう。その一方で咲夜は未だに私の頭を撫で続けていた。二人ともこの状況でも片方の手は私と繋いだままだった。

 

二人の手は私の手を強く握る。特にフェリの手は力が強い。それはもう離れたくないというようなものだった。フェリは私がいない千年という長い時間をただ一人で過ごした。

 

フェリのその長い時間は私の顔を忘れかけるほどの時間。それまでは私とずっといた。フェリにとっては不安だらけの時間だっただろう。きっと妖怪の容姿だったため人間に狩られかけて。

 

それからは身を隠しつつでの生活。他の妖怪に頼ろうにも居場所を知らないため頼れず、私と再会するまで孤独だっただろう。

 

その気持ちを察した私はその手を強く握った。私はもう離れないよと伝えるために。

 

 

「母様、なんだか見られているような気がします!」

「そうですね、私もそう感じます」

 

 

私も視線は感じた。そうでしょう。私たちの格好は町中では浮く存在だ。フェリと私は白と赤の巫女服で咲夜は黒を背景にし、花がところどころある柄の着物だった。そして周りの人間は洋服だ。

 

洋服の中にその服装では目立つのは当たり前だ。だが、周りのみんなが私たちを見る理由は私たちの服装だけではないようだ。

 

 

「見て、あの子たち。着物に巫女服よ」

「姉妹かしら」

「でも、髪の色が違うし、コスプレ仲間じゃない?」

 

 

と言う話や、

 

 

「いいね~。俺もああいう子と手を繋ぎたいね。中でも俺は着物の子かな」

「俺は金髪の子だ」

「お前、ロリコンかよ!」

「だって可愛いじゃん。結構好みだな。でも銀髪の子もいいな。おっぱいも大きいし」

「まったくお前はロリもいけるってことかよ」

 

 

などという話が聞こえました。よく聞こえるって便利なようで不便だ。最後のは聞きたくはなかった。ん? 私は探していた力を感じ取った。どうやら近づいたようだ。

 

 

「フェリ、咲夜。力に近づいてきたぞ」

「母様! 思ったんですけど、力ってどんな形をしているんですか?」

「さあな。キューブ型の結晶体になっているかもしれんし、もやの塊かもしれん」

「つまり、分からないんですね!」

 

 

なぜだろうか。咲夜のテンションでそう言われるとバカにされているような気がする。

 

 

「お母様、ここらへんは住宅街です。もしかして家の中でしょうか? だとしたら面倒ですよ。力を使うんですか?」

「もし手に入れることが難しいならな」

「でももしそれが誰かのものになっていたらどうするんですか?」

「それはありえん。私の力じゃぞ。人間には耐えられん。が、もしもそうなっていたらその者を殺せばよいじゃろう」

「「!!」」

 

 

フェリ、咲夜は私の発言に息を呑んだ。私は家族以外には容赦しない。それがこの私、薬信御魂だ。

 

 

「さすれば、器を失い行き場を失った力は解放される」

「そ、そうですね。お母様のいうとおりです」

 

 

フェリはそう言い咲夜はびくびくしながら頷いた。

 

 

「わ、私、母様が怖いって初めて知りました!」

「ん? そんなに怖いか?」

「だ、だって本当に殺すつもりなのに自然に言いましたから!」

「それならば、殺し屋だってそうじゃろう。あやつらは金のためならばターゲットが女子供でも関係なくある意味平等で殺すぞ」

「そうですね……」

 

    ◆  ◆  ◆

 

歩いて1時間ほどの時間が経った。歩くたびに力が近づくのを感じた。そして、ある家にたどり着いた。しかしそこはまだ見ぬ私の家の近くでした。これも偶然か必然か。力は家の中から感じた。

 

力に近づいて分かったが、その力は家の中で動いていた。なにかアクセサリーのような小物に力が宿ったのか、それともこの家の誰かが私の力を手に入れたのか。

 

 

「この家ですか。お母様、どうですか?」

「うむ。確かにこの家にあるな」

「どうしましょうか? 力を使いましょうか?」

「いや、どうやら人が持っているらしい。ならば向こうから持ってきてもらおうか」

「……つまり殺すんですね」

 

 

フェリの言葉にはあまりやってほしくないという感情がこもっていた。咲夜もそういう顔だ。本当に二人とも優しいですね。

 

 

「いや、それは分からんよ。アクセサリーに力が宿っているかもしれん」

「ありえるんですか?」

「ありえる。力が結晶化していてそれをアクセサリーにすればな。もしくは本当に宿っているのかもしれないが」

 

 

私はこの家の表札を見た。そこには「兵藤」と書かれていた。私はフェリにインターホンを押すよう指示した。フェリは私の手から離れ、インターフォン前に移動する。フェリ、咲夜に緊張が走った。

 

もし力が人に宿っていてその力を操れたなら攻撃される可能性がある。私の力はその一端でも使い方次第では強力だ。使われれば私はともかく、フェリたちは一撃をくらうかもしれない。

 

フェリはごくりとのどを鳴らし、インターフォンを押した。インターフォンの独特的なメロディーが流れる。一回押しても出ないので、再びまた。すると、

 

 

『はい。どちらさまでしょうか?』

 

 

インターフォンから女性の声が響いてきた。声からして成人女性でしょう。フェリはゴホンと整えて対応する。

 

 

「私はついこの間こちらに引っ越して来た者です。一応挨拶にと思いまして」

『ああ、そうですか! ちょっと待っててください』

 

 

少し待つと玄関が開き女性が出てきた。その女性のすぐ後ろには二人の子どもがしがみついていた。女の子と男の子の二人。女性は二人の母親だろう。女の子のほうは母親と男の子と違って、髪の色が金色に輝いていた。

 

あきらかに血はつながっていないということが分かる。そして、金髪以外に目立つ特徴は瞳の色だ。ラピスラズリの色、つまり瑠璃色の瞳だった。私の真紅と女の子の瑠璃色ですか。思わず笑いそうになる。

 

力は女の子から感じた。ああ、なるほどね。そうか。この子は……。私は一人で納得していた。私はゆっくりと子どもたちに近づく。すると男の子は女の子を守るように前に出た。女の子は男の子の背に隠れる。

 

 

「ああ、すみません。いつもこうなんです」

「いや、気にしておらごほん! 気にしていませんから」

 

 

私は口調を変えて言う。後ろではフェリと咲夜が笑うのを堪えていた。ここで怒るわけにもいかない。あとで覚えておいてくださいね! 本当は私だっていつもの口調で言いたいです。でも、人間の社会では小さな女の子です。

 

さすがにいつもの口調は色々とおかしい。私は腰を落とし視線を合わせた。

 

 

「大丈夫だよ。私たちは近くに引っ越してきたの。よろしくね」

 

 

私は男の子と女の子の頭を撫でた。二人は特別嫌がったりせず、撫でられた。男の子のほうの髪はやっぱり男の子らしく硬く、女の子のほうはサラサラとしていた。

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