「うう~、どうしたら黒歌たちのはぐれをなくしてくれるんじゃ? 私にできることなら何でもするぞ」
私はむっとした顔で対面に座るサーゼクスに言う。私の後ろには黒歌たち4人が座っていた。逆にサーゼクスの後ろにはグレイフィアが立っている。
「そうだな。さっきのことでおかしな方向にいったが、さっき言ったように君が何かをしてもらうというのにしようか」
「私としてはそれでよい。もちろん、性的なことはできん」
私が欲しかったら私を愛してほしいですね。そしたら、私が愛します。私も恋してみたいです。でも、万単位で長生きして娘がいる私を愛してくる人はいるんでしょうか? いないですよね。やっぱりいい年した私が恋する乙女になるのは合わないです。
「もちろんそんなことは頼まない。でも、今すぐ頼むわけではない」
「む。それでは黒歌たちのはぐれはそのときか?」
「いや、それはすぐにでもなくそう。君は別に約束を破らないだろう?」
「当たり前じゃ。これは契約みたいなもの。それを破るほど愚かではない」
私は助けてもらったら、ちゃんとその恩を返します。それが約束ではなくてもです。
「グレイフィア」
「はい」
「他の魔王と議員に黒歌と白音のはぐれを消すことを報告してくれ」
「分かりました」
簡単に返事をして、グレイフィアはこの部屋を出て行った。サーゼクスの護衛はいない。魔王なのにこれでいいのでしょうか? まあいいんでしょうね。それにもし襲撃者がいても、私が止めますよ。
今ここで死なれたら私にはマイナスしかありません。黒歌たちのはぐれもなくならないし、私に協力する者がいなくなります。
「やれやれ、これで明日はこれのことについての会議だな」
「すまない。けど、この子らは私の大切な子たちじゃ。危険は少なくしない」
「いや別にいい。一応、君の命令権は私たち魔王が持つだろう。あいつらなら信用できるからな」
あ~、あの3人ですか。私としてもあの3人なら別にいいでしょう。けど、あの3人の中で2人はよく知らないんですよね。知っているのはセラフォルーくらいです。あの子、可愛いですからね。帰る途中で会ったらおしゃべりでもしたいです。
「では、私はその結果を楽しみにしているよ。もし黒歌たちのはぐれがなくならなかったらどうしようかの~」
「……私たち魔王は君に前面的に協力する」
あ、ちゃっかり自分たち魔王だけ逃げました! でも、別に殺すとかするわけではないですよ。はぐれがなくならなかったら私も会議に参加しようと思っただけですから。
「もう帰るがいいか?」
「ああ、今度ここに来るのは結果を聞きに来るときだ」
私は立ち上がり、黒歌たちのほうを向く。
「行くぞ」
「はい!」
「はい、分かりました」
「分かったにゃん」
「はい」
咲夜、フェリ、黒歌、白音が返事をする。私は先頭をとり、この部屋の扉を開けた。みんなもそれについてくる。帰るために廊下を歩くと兵が歩いてくる。私は尋ねたい人がいたので呼び止めます。
「お主、セラフォルーがどこにいるか知らぬか?」
「なっ! 魔王様を呼び捨てにするとは貴様!」
兵がいきなり戦闘態勢になる。兵の右手の平が私へ向けられるとともに、魔力が込められる。私に完全に向けばそのときには魔力が放たれます。ですが、その手の平が私に向けられることはなかった。
黒歌たちの中の1人が飛び出した。飛び出した少女は咲夜。咲夜の手は魔力の刃が発動されていた。咲夜は刃を兵の首筋に当てる。
「母様になにしようとしているんですか? 死にたいんですか? 次はありませんよ。分かったら頷いてください」
テンションの高いいつもの咲夜と違って、このときの咲夜は冷たいものでした。ああ、咲夜もこんなに成長して。私、うれしいです。
咲夜に刃を当てられた兵は、大量の汗を出しながら、こわばった顔で頷く。そのときすでに兵の右手の魔力は納まっていた。
「それでセラフォルーはどこじゃ? ちょっと用があってな」
「は、はいっ。セラフォルー様はこの城の自室にいます!」
私の問いに慌てて答えます。そっか、自室か。ここからじゃ遠いです。
「ふむ、ありがとう」
「い、いえ! 私はこれで!」
兵は急いでどこかへ行ってしまった。
「咲夜、いくらなんでもやり過ぎです。お母様だったらあんな風になりませんでした」
「だって母様に万が一怪我をしたらって思って……」
「まったく咲夜はいい子ですね。私の自慢の妹です」
フェリは咲夜の頭を撫でる。仲がいいですね。親としてはいい気分です。どちらもいい子に育って。
「御魂ちゃん、セラフォルーって魔王の1人でしょ? なんで会うの?」
「久しぶりに世間話をしたくなってな。ただそれだけじゃ」
聞いてくる黒歌にそう答えた。次はセラフォルーの部屋へ向かう。そして1つの扉の前に来る。
「さて、ここじゃ。お主らはここで待っててよいぞ」
「いえ! 私は母様といます!」
「私もです。ちょっと話が興味があります」
「私は他の魔王様というのに興味がありますので」
「私も白音と同じにゃん♪ 他の魔王様がどんなのか興味があるにゃ」
どうやら咲夜、フェリ、白音、黒歌は一緒に来るそうです。うう、あんまり来ないで欲しいです。セラフォルーと会うとまずあのあいさつがあるから。あれはちょっと見られたくないです。いつも2人きりだからいいですけど……。
「本当にか? とても長くなるぞ? とても暇じゃぞ?」
「私たちは問題ないです。さ、お母様。入りましょう」
「むむ~」
どうにかしようと思ったんですが、あっさりと受け流されました。今回はあのあいさつはなしです。しようとしたらセラフォルーには悪いですけど、ちょっとね。私は意を決し、ドアを叩く。
「入ってもいいわよ☆」
あ、この声。セラフォルーです。私はゆっくりと開ける。今日はあのあいさつをしないでほしいと謎の念力で伝えます。そして開けた瞬間、美少女が私に向かって飛び込んでくる。
「やっぱり御魂ちゃんね! 待ってたよ☆」
その手は開かれており、抱きつくようにされていた。ええ、分かると思いますが、あいさつというのは抱きつくのです。いつもの私なら嫌がりますが、まあ、色々あって許したんです。
私は迫ってくるセラフォルーを回避します。回避したのでそのまま床に顔面からぶつかりました。
「ひ、ひどいよ御魂ちゃん! いつもなら抱きしめさせてくれるのに今日は避けるなんて! もう! 私、怒っちゃう!」
涙目でそう言ってくる。ごめんね。でも娘たちにそういう姿を見られるのは私のプライドが、ね? 今度ちゃんと抱きしめさせてあげるから。
「へえ~、お母様はセラフォルー様とそういうことをしていたんですね」
「か、母様! 私たちにはそういうことさせてくれないのに、そこの魔王とはしているんですね! ずるいです!」
「……わ、私はノーコメントです」
「あとで色々と聞かせてもらうにゃん♪」
うう、今日ほど家に帰りたくないと思った日はありません。でも、抱きしめられている私を見られるよりはマシです。
「ゴホン、セラフォルー、元気そうじゃな」
「元気だったよ。でも御魂ちゃんが抱きしめさせてくれないから、元気が抜けてきちゃったのよ~。私、もうダメ……。きっとソーナちゃんにも見放されるのね」
セラフォルーは床に倒れ、腕に顔を押し付けぐったりとしている。仕方ないですね。ちょっと元気にさせる言葉を言いますか。私はセラフォルーの耳元に口を近づけ、黒歌たちに聞こえないくらいの声で言う。
「こ、今度、今日の分までそ、その抱きしめていいから」
その瞬間、セラフォルーはガバッと顔上げ、私に顔を寄せてきた。私はいきなりのことでびっくりし、尻餅をつく。
「絶対だよ、御魂ちゃん! はああぁぁん、今の私ならどんな敵も一瞬でやっつけることができちゃう☆」
甘い声を出しその体から魔力が溢れでる。それに黒歌たち4人、特に白音と黒歌は体が崩れ落ちそうになっていた。そして、フェリと咲夜は額に汗をかき、顔の表情に変えていた。フェリと咲夜の魔力量は膨大ですが、それでも魔王クラスにはまだ及びません。
そして、私ですが表情は全く変えません。封印状態とはいえ、これくらいはなんともありません。そういうのが私ですから。けど他の子たちつらい状態です。
「ちょっとは抑えよ。私の子たちが耐えられん」
「ああ、ごめんね。ちょっと張り切りすぎちゃった☆」
「全く魔王の1人のくせにそういうところはダメダメじゃな」
「ああ~、それ言っちゃったら御魂ちゃんだってそうじゃない。いい年してそんなロリで」
「そ、それは仕方ないじゃろう! 力が強すぎるんじゃ!」
私だってフェリみたいな体つきのお姉さんモードでずっと過ごしたいです。でも、強すぎて力をセーブするしかなかったんですよ。
「でも、私としてはこっちの姿のほうがいいかな」
「な、なぜじゃ?」
私はそのわけを聞く。私にとってはこの姿は嫌いというわけではないが、本来の姿のほうが好きなのだ。だけど、こっちのほうがいいと言った。だからその理由を聞きたくなった。
「ふふん、だってこっちのほうが抱き心地がいいから☆ こうなんていうか、私の体にすっぽり包み込むのがいいって言うのかな? それがあるからね。でもあの姿になっちゃうと同じくらいの背丈になって、抱き合うようになるもん。ま、まあ、私は御魂ちゃんとそういう関係でも喜んじゃうけどね☆」
なんだか喜んでいいのか分かりません。抱き心地がいいからなんて複雑な気分ですよ。あと、最後になにか聞いていけないものを聞いたような気がするんですが、気のせいですよね?
「そういえばソーナはどうしておる? 会ったのは前にここに来た時の1度だけだったが、私はあの子を気に入ったぞ。あの子もまたリアスと同じように将来が楽しみじゃからな」
「へ~、御魂ちゃんが自分の娘以外にも興味を持つなんてね。娘以外にも興味をもたれたのって数人だよね」
私の性格柄、誰でも友人のように話すわけではない。私が気に入ったと思った者にしかそのように話す。
「お主とそういう関係になってのはまだ数年じゃろうが。なに何十年も一緒にいる友人みたいになっているんじゃ」
「ふふん! 友情に時間は関係ないもん☆」
「それでソーナはどうじゃ?」
このままでは話が進みません。さりげなく変えます。
「え~とね。ソーナちゃんもリアスちゃんと同じように人間界の学校に行くことにしたの。だからソーナちゃんのこともよろしくね☆」
ソーナも一緒に見守る必要が出ていました。フェリには悪いですけど、そっちにも気をかけてもらいます。まあ、フェリが負担になるようなことはないと思いますし、別に大丈夫でしょう。来年からは咲夜も一緒ですから。
「分かった。なら報酬はなんじゃ?」
「ん~、逆になにがいい? 御魂ちゃんが納得する代価は分かんないよ」
ん~、なにがありますかね。逆にこっちも迷います。そうですね。お金にしましょうか。色々とお金がかかりますからね。たくさんあって悪いことはありません。
「ふむ。ならば金じゃ。もちろん日本円で」
「それでいいんですか? もうちょっと欲を出してもいいんじゃない?」
「これでよい。他に欲しいものなどないからな」
「分かりました。それじゃソーナちゃんのことよろしくね☆」
ウインクをしながらそう言ってくる。どうしてこんな子が魔王なんだろうと思ってしまう。というか、魔王全員が。まあ、これで成り立っているので別にいいですけどね。
「お母様、なぜお金を? お金ならもうたくさんあります」
私の後ろにいるフェリが小さな声で聞いてきます。チラッと後ろを見ると咲夜も疑問の様子。黒歌と白音はまだ家に来たばかりなのでよく分からないといった顔です。
「お主らには秘密にしていたことがある」
「なんですか?」
「私は毎月、あるところにお金を送っておる」
「なっ!? そんなことをしていたのですか!? なぜ!」
私の告白にフェリは大きな声を上げ、聞いてくる。咲夜も驚き目を見開いた。
「フェリと咲夜は知っているだろうが、私には魂の一部である妹がいる。その妹は別の家族に育てておる。だからそのお礼にと教育費として毎月、送っておる。今の私にはそれしかできんからな」
魂の一部であり私の妹である信乃は別の家族、兵藤家の子として育てられている。私はあの子が色々と理解できるまであの家で育ててもらうと思った。だからその礼としてせめて教育費などを含め、お金を送っている。もちろん手紙つきで。
あの子を見つけて数年が経った今。きっと大きく育っているだろう。そして、自分が家族と違うと気付いているかもしれない。それできっと思い悩むだろう。あの子にはつらい人生だ。
私がいつか信乃の家族として訪ねたとき、あの子は私をどう思い、どう言ってくるのでしょうか? でもどんなものでも受け止めるつもりです。たとえ殴られようとも罵倒されようとも。あの子にはその権利があるから。
「分かりました。そういうことでしたら何も言いません。それに家主はお母様です」
事情を聞いたフェリは優しく微笑み、そう言ってくれる。この子も優しい子です。私はそれを実感した。
今と昔で書き方が変わっているので、昔の話を今の書き方に変えていきます。
それに加え、話の内容にも手を加えます。もちろん話のつながりは変えません。
しかし、手に加えたことにより8000文字を超えた場合、その話を2つに分けることになります。なので話数が増えていても最新話が変わらない場合は昔の話を2つに分けたせいです。
そこのところを注意してください。
では、これからもよろしくお願いします。